ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)147 暴走(デストゥルオ)

 

 

 

 

 

 ザニスから異端児(ゼノス)の密輸ルートがダイダロス通りにあると知ったツナは、ダイダロス通りへと向かった。

 

「駄目です。全く見つけられません……」

 

「土地勘がない奴からしたら、ダンジョンよりダンジョンしてるぞ」

 

「ヴェ、ヴェルフ様……何をおっしゃっているのか私にはよく……」

 

 手がかりを探しにやって来たものの、疲れた表情を見せる命、ヴェルフ、春姫。

 密猟者(ハンター)の密輸ルートを見つけ出す為にダイダロス通りにやって来たはいいものの、肝心の密輸ルートはおろか、怪しい場所すら見つけ出すことができないでいた。

 ダイダロス通り。オラリオの東と南東のメインストリートに挟まれた、第三区画にある貧民層の広域住宅街の通称である。

 名前の由来は下界に初めて神の恩恵(ファルナ)をもたらしたウラノスの眷属、ダイダロス。バベルを初めとしたオラリオの礎となる建造物の数々を築き上げた名工である。

 度重なる区画整理のせいで複雑な迷路構造となり、オラリオに住む者からはもう一つの迷宮と称されている。迷宮探索の専門家(スペシャリスト)が多く存在するオラリオでさえ、誰1人として全容を把握できている者がいない程の未知の領域なのである。

 

「というか帰り道が分からないんだけど……」

 

「それなら問題ありません。道標(アリアドネ)がありますから」

 

「アリアドネ?」

 

「壁に書かれている赤い線の事です。この目印を辿っていけば出口に戻れるようになっているんです」

 

「良かった……」

 

 リリの言葉で、このまま帰ることができないという最悪の事態にならないと知って、ツナは安堵する。

 

「ベル君もそうだけど、ダイダロス通りにいい思い出がないんだよなぁ」

 

「何かあったの?」

 

「ちょっとね……」

 

 ヘスティアはツナがこの世界に来る前。ベルがリリとすら出会うよりも前に起きた出来事を思い出していた。

 ダンジョンで捕らえた怪物(モンスター)を観客の前で【ガネーシャ・ファミリア】の調教師(テイマー)調教(テイム)するという怪物祭(モンスターフィリア)というイベントがオラリオでは開催されている。

 その際に檻に捕らえていたシルバーバックという怪物(モンスター)が逃げ出し、ベルとヘスティアを襲いかかった。その際にダイダロス通りに逃げ込みんだ。そしてヘスティアは完成したばかりのヘスティア・ナイフベルに渡し、ベルは見事にシルバーバックを倒したのである。

 

怪物(モンスター)!?」

 

 半人半蛇(ラミア)と思われる怪物(モンスター)が路上で倒れており、ヴェルフ達の視界に入る。半人半蛇(ラミア)は暴走したのか、ダイダロス通りの壁や建物が破壊されつくされており、半人半蛇(ラミア)の体中の至るところに破片が突き刺さっていた。

 

「敵の住処(アジト)から脱走してきた怪物(モンスター)……って事でいいのか?」

 

「……待って下さい、あれは!!」

 

 ただ事ではないと判断した、背中に携えていた大剣の柄に掴み戦闘体勢に入るヴェルフを命が制止した。なぜなら遭遇経験のある怪物(モンスター)にしか反応しない筈のスキル、【八咫(ヤタノ)黒鳥(クロガラス)】が反応したからである。

 

「……ヴィーヴル!?」

 

 リリは体を震わせながら、この怪物(モンスター)半人半蛇(ラミア)ではなくヴィーヴルだということに気づくと同時に、このヴィーヴルの正体が脳裏に過っていた。

 すると倒れていたヴィーヴルが突如、起き上がり、ツナ達を襲う。このヴィーヴルの正体に気づいたせいで、反応が遅れ、吹き飛ばされてしまう。

 

「春姫君!!」

 

 ヘスティアの視線の先には路上で倒れている、春姫がおり、その側にはヴィーヴルがいた。

 

「ウィーネ様……?」

 

 ウィーネと仲の良かった春姫はこのヴィーヴルだと確信。そして変わり果てたウィーネを見て瞳に涙を溜める。

 

『ァアアアアアアアアア!!』

 

 するとウィーネは目の前にいるのが春姫だという事に気づかず、そのまま巨木のごとき尾を振りかざした。ヘスティア達は助けが間に合わず、春姫の名を叫ぶ事しかできなかった。

 

「大丈夫か春姫?」

 

「綱吉様……」

 

 だがウィーネの攻撃に巻き込まれる前に、(ハイパー)死ぬ気モードになったツナが春姫を抱え、ヘスティア達の前に着地した。

 

「みんなも大丈夫か!?」

 

「多少の怪我はしましたが問題はありません!! それよりもウィーネ殿を!!」

 

「一体、何がどうなっているんだ!? ウィーネの身が何が起きているんだ!?」

 

 超直感であれがウィーネだとツナは感じ取ってはいたが、人間の子供とあまり変わらない見た目と背丈だったウィーネが、半人半蛇(ラミア)のように下半身が大蛇のような胴体になり、体長が7M(メドル)にもなっている。その理由が分からずツナは困惑していた。

 

「ヴィーヴルの涙です!! ヴィーヴルは額にある宝石が失くなると暴走状態になるんです!!」

 

「っ!?」

 

 リリからヴィーヴルの生態を聞き、額の宝石に戻せば元の姿になるかもしれないとツナは考えたが、その宝石がどこにあるかなど知る筈もない。あるいはすでに破壊されてしまっていたのならウィーネを元の姿に戻すことができない。そんな最悪な事態が頭をよぎり、ツナは苦渋の顔を浮かべる。

 ツナがそんな事を考えている間にウィーネは再び動き出す。

 

「ベル!?」

 

 ウィーネが動き出したと同時に、18階層に行っていた筈のベルがウィーネを追いかけて行った。あまりに必死だったのか自分達の存在に気づいていないようだった。

 いくらベルが敏捷に優れているとはいえ、こんなに早く18階層から帰って来るなど考えられなかったが、ウィーネを止めようとしているのだと察したツナは後を追おうとした。

 その時だった

 

『ァアアアアアアアアア!!』

 

 どこからか凄まじい勢いで槍が飛び、ウィーネの肩を貫きそのままウィーネは壁に磔状態にされる。

 

(あの槍は……!?)

 

 ウィーネを貫いた黄金の槍。ツナはあの槍を見たことがあった。そして槍の飛んだ来た方向に視線を移した。

 

「あれが今回の騒動の元という事かな?」

 

 ツナの視線を移したの建物の上。そこには先にはフィンを始めとした、【ロキ・ファミリア】の幹部人が勢揃いしていた。

 【都市最大派閥(ロキ・ファミリア)】が来た事で恐怖のドン底に陥っていた住民達の顔が明るくなる。

 

(最悪だ……)

 

 

 

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