ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
ウィーネを助けようとやって来たツナ。しかし時すでに遅く、ウィーネを死亡してしまった。
「───ぁあああああ……」
ウィーネの死を目の当たりにしたベルは溢れ出る涙が止める事ができず、精神が崩壊しそうになっていた。
(俺は……俺はまた護れないのか……!!)
一方でツナは視線を落としたまま、グローブを壊さんばかりの強さで拳を握っており、内心では怒りと悲しみの感情が渦巻いていた。そしてオラリオ中から非難される事を恐れ、行動を起こさなかった事を後悔していた。
その時だった
「【未踏の領域よ、禁忌の壁よ。今日この日、我が身は天の法典に背く──】」
ウィーネを死なせてしまい、2人が打ちひしがれる中、背後から第3者による詠唱が鳴り響く。
2人が振り返るとそこには、フェルズが立っていた。
「【ピオスの
すると灰の山の上に白の
「【王の審判、断罪の
「───【ディア・オルフェウス】」
詠唱が終わると光の柱が消えると同時に、地下全体に目映い光が包み込まれた。あまりに輝きにベルとツナは反射的に目を瞑った。
「えっ……!?」
光が収まり再び目を開けると、信じられない光景がツナの視界に映っていた。
なぜならそこには完全に消滅した筈のウィーネが、ベルの胸の中で眠っていたのだから。
「ぁあ……あああああ……!!」
先程まで感じていたウィーネの温もりを再び感じたベルは、ウィーネを抱き寄せた。
「生き返った……!?」
今、フェルズが使用した魔法が死者を蘇生させるものだという事をツナは理解させられ、ツナは驚愕を禁じ得なかった。
「ああ……」
「大丈夫かフェルズ!?」
自分の意思ではなく、フェルズは脱力するかのように尻餅をついた為、ツナは慌ててフェルズの元に駆け寄った。
「問題ない……魔法を発動する為に魔力を使い切っただけだ……時間さえあれば回復できる……」
「本当にそれだけなのか……? 他に何か代償があるんじゃないのか……?」
未来のユニは死んだ
「全魔力の使用以外の代償以外に私へのデメリットはない……ただこの魔法は今まで一度として成功した事がなかった魔法……成功したのはウィーネが初めてだ……」
フェルズの脳裏にはこれまでこの魔法を使用し、失敗し打ちひしがれた時の事が脳裏に浮かぶ。
「800年か……全く、
死者の蘇生という魔法でありながら、成功する確率があまりにも低過ぎるが故に、発現して良かったと思った事など800年の時ので1度としてなかった。しかし今回ばかりは、心の底からこの魔法の存在にフェルズは感謝していた。
この後、地上にいたリド達が下水道にやって来て、合流する事ができた。しかし再び、追っ手がやって来るのは時間の問題だった為、ツナ達は下水道の天井を破壊し道を塞ぎ、そのまま地下通路の奥へと移動する。
「リド。聞いておきたい事がある」
「何だツナっち?」
「今回、18階層で暴れたのは例の
移動する最中、ツナは自分達がダンジョンにいた間の出来事について尋ねる。
「ああ……奴らにウィーネが拐われて……そしてラーニェ達が殺されて……罠だとはわかっていたんだが、どうしても許せなくて、そのまま奴らの手がかりを得る為に18階層に……」
「そうか……」
申し訳なさそうな表情を浮かべながらリドはツナの質問に答えた。
ラーニェは
「
「やっぱりか……」
「気づいていたのか?」
「リボーンがな。バベルの下にあるダンジョンの入り口を利用して
(流石だな)
誰の力も借りる事なく、ギルドの地下祭壇への抜け道を見つけ侵入するだけの洞察力は伊達ではないと、フェルズは心の底からリボーンを称賛する。
「俺達は地上からその密輸ルートを探してたんだが、手がかりさえ見つからなかった」
「無理もない。名工ダイダロスの作った地上の迷宮だからな」
「ダイダロス……ダイダロス通りを作った奴の名前が由来になっているのか?」
「ああ。そして地上に降りたウラノスが最初に
(そう言えば……)
『私はこのオラリオ創設して以来、中立を保つことにしている。故に
ウラノスと初めて会った際に、ウラノスが
「ダイダロスはバベルを始めとした、オラリオの建造物の制作していた。しかしある時、我々の前から消えた。彼の行方を探したが足取りを掴む事はできなかった。先程までは……」
「どういう意味だ?」
「先程、言った
「何の為に?」
「わからない。ただダイダロスが亡き後も、1000年以上に渡り、
「……」
あまりにおぞまし過ぎる話にツナは言葉を失ってしまっていた。
「そして奴らの
「それで……」
暴走したウィーネを助ける為にベルとリド達は、
「……リド。リヴィラの街で暴れてしばらくしてから、ベルと共に冒険者がやって来た筈だ。その冒険者達はどうした?」
ツナはリド達を
「同胞を拐った奴らは殺したが、ツナっちの言う冒険者は殺してねぇ。少なくとも俺っち達は……」
「どういう意味だ?」
「ウィーネを助ける為にアステリオス……前に行った深層に修行に行った
「黒いミノタウロスの事か?」
「ああ。アステリオスは人類との共存よりも叶えたい夢があるが、それでも基本的に人間達を殺さないと約束してるから殺してはいない筈だ。絶対ないとは言い切れないが……」
「いや、それが聞けただけで充分だ」
リドの言葉に確証が無かったが、シャクティ達が死んだという可能性が低いと分かってツナは安堵する。
ひとまず安全な場所に移動し終えると、ウィーネが無事をリド達は心の底から喜んでいた。
「ベル。お前を攻めたい訳じゃない。だがそれでも1つ聞かせてくれ」
ツナの言葉を聞いた途端、ベルは何を聞かれたのかを察したベルは暗いを表情を浮かべながら、視線を反らした。
「ウィーネを護る為に他の冒険者を攻撃したというのは本当か?」
この事実が嘘ではないという事は分かっていた。それでもツナはベルの口から聞いておきたかった。
「…………………うん」
しばらく沈黙を貫いた後、ベルはツナの質問に答えた。ベルの返答に対して、ツナは何も言う事はせず、右手を頭を乗せ、炎の属性を晴に切り替えてベルの傷を治す。
広場に空いた大穴。あれはウィーネを倒す為に放った魔法によって開けられた大穴である。その際にベルはウィーネを、魔法から護る為に飛び込んだせいで、魔法が直撃してしまったのである。
ツナが広場にいた際に冒険者達がいなかったのは、魔法攻撃の後に、広場の近くの建物の上から、投擲した槍でウィーネの体を貫いた【イケロス・ファミリア】の団員の1人を殺した後、広場にいた冒険者を襲って追い払った為である。
「君のお陰で
「僕、は……」
「後悔しているのだろうか?」
「あの人に……
フェルズの言葉を聞いて、ベルはディックスと対峙した事が脳裏に浮かんでいた。
ウィーネを助ける為に、嫌われないよう取り繕い、挙げ句の果てに仲間、憧憬、自分の事を応援してくれる住民達を裏切るような真似をした。
そして生き返ったとはいえ、ウィーネを助けられず、死なせてしまった己の力のなさに絶望してしまっていた。
「ベル・クラネル。これは持論に過ぎないが、私はこう考える。偽善者として罵られる者こそ英雄になる資格があると。これからも悩み、悶え、迷い、そして今日のように決断してくれ」
「フェルズさん……」
「英雄が下したそれは、残酷であり、時に非常であり、時に許されざるものであり、そして何よりも尊い意志だった。彼等と同じようにして出した答えは、罵られようと蔑まれようときっと間違っていないのだから」
今まで重々しい表情を浮かべていたベルであったが、フェルズのこの言葉を聞いて表情に少しだけ生気が戻った。
「肉と皮を失った私が言おう。骨と未練しか残らなかったこの私が敢えて言おう。愚者であれベル・クラネル。どうか君だけは、愚者でいてくれ。君の持っているものは私達に取ってとても愚かで、しかし神々からすれば、きっとかけがないものなのだ」
フェルズがリド達の元に視線を向けると、ベルも同じ方向に視線を移した。そこにはリド達があった。
「ベルさんっ、本当ニ、ありがとウ……!!」
「すまねぇ、ベルっち……ありがとウ……!!」
「……アリガトウ。感謝、シテイル……!!」
レイ、リド、グロスがウィーネを助けてくれた事に対して感謝の言葉を述べた。
今まで自分の選択に後悔したベルであったが、3人の偽りない感謝の気持ちを聞いて胸が熱くなっていた。
原作と変わらない展開で申し訳ありません。ですがアステリオスの登場や、ウィーネの死、フェルズの名シーン。これらを省略するのはなんか違う気がしたもので。
ここからは11巻。ダイダロスの戦いを書いていきます。ここからは原作とは違う展開を書いてくので、温かい目で見守ってくれたら幸いです。
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