ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)151 決意(コンフリクト)

 

 

 

 

 

 その後、リド達は追っ手から逃れる達にフェルズと共に地下通路を移動しながら逃げる事を決意。ツナとベルは別の入り口から地上へ戻った。

 ベルを報復から護る為に自分とベルを幻術で他人を化けて移動し、そのままヘスティア達と合流。そしてヘスティア達にも幻術をかけ、そのまま【竈の館】へと帰還した。

 事件から4日後。今回の事件はギルドが全ての責任を【イケロス・ファミリア】に押し付け、主神であるイケロスをオラリオから永久追放する事で住民から非難を避ける事に成功した。

 

 

 

 

 

 

───【竈の館】

 

「まさかこんな事態になっちまうとはな」

 

 リビングのソファーの上で、リリの集めた情報誌に一通り目を通した後、リボーンは情報誌をテーブルに投げた。

 情報誌には地上に怪物(モンスター)を解き放った【イケロス・ファミリア】の蛮行と、ダンジョンに第2の入り口があるのではないかという文面。そして利益獲得の為に、他の冒険者を攻撃した暴挙と暴走について書かれていた。

 比喩でも何でもなくベルの名声は地に堕ちた。ベルのした行動によってオラリオ中の人達は、ベルに失望。非難の声が消える事はなかった。

 さらに【竈の館】の周辺はベルが今回の事件の何かを知っているのではないかと疑われ、多くの【ファミリア】によって監視されている。

 

異端児(ゼノス)の正体と、俺達が異端児(ゼノス)との繋がりが露見している事がバレていないのは、不幸中の幸いだったな」

 

 人類の敵たる怪物(モンスター)と繋がりが露見していれば、イケロスのようにオラリオからの永久追放、それ以上の地獄が待っていたかもしれなかった。非難されているとはいえ、それでもオラリオ内にいられるだけマシであった。

 

「だが問題は懸賞金がついちまった事だな」

 

「……オラリオ中が無視できない程の事態です。ギルドとしてもここで何もしない訳にはいかないでしょう」

 

 怪物(モンスター)がオラリオ内に進出、しかも【ロキ・ファミリア】が取り逃がす程の強さだという事はすでにオラリオ中に知れ渡っている。ギルド(ウラノス)としても何も対応しなければ、不信がられてしまうからだとリリは理解していた。

 

「ただ懸賞金のお陰で【ファミリア】同士の連携する可能性が低くなる。少しは異端児(ゼノス)君生き延びる可能性が上がる」

 

 徒党を組めば賞金の分配しなければ無くなる。それ故に【ファミリア】同士は情報交換などの過度な接触は行われなくなり、完全なる包囲網を構築する事ができなくなる。

 またリド達のいるのはダイダロス通りの地下通路。地上の迷宮ということもあって、他の場所に比べれば冒険者達に見つかる可能性が低い為、ヘスティアは異端児(ゼノス)達が早々に討伐される事はないと考えていた。

 

「ベルの調子はどうだ?」

 

「相変わらず、部屋に籠りきりです……」

 

「相当に参っておられるご様子です……」

 

 リボーンがベルの様子を聞くも、命と春姫は浮かない表情をしながら答えた。

 ツナが幻術で姿を誤魔化したまま本拠(ホーム)に戻った為、他の者に気づかれる事はなかった。それでもベルに対してへの非難の声は嫌という程に聞こえた為、ベルの精神は相当にやられていた。

 一方でヴェルフだけはこの場におらず、ずっと鍛冶場に籠っていた。

 

(未来の俺もベルと同じ気持ちだったのかな……)

 

『そして10年後の君は関係ない仲間を最後まで躊躇していたが、最終的に過去の自分達の成長に必要だと了承したんだ』

 

 ツナはメローネ基地にて未来の正一が言っていた言葉を思い出した。

 未来の自分(ツナ)はボンゴレリングを破壊したせいで、同じくボンゴレリングと同等の力を持つマーレリングを対抗する力が無くなり、白蘭率いる【ミルフィオーレファミリー】に対抗する力を失い、【ボンゴレファミリー】は壊滅。自分達の関わりのある者達も殺されていた。

 これ以上の犠牲者を出さない為に未来のツナは、過去の自分だけでなく、獄寺達を始めとした守護者やCHDEFのバジル、そして子供のランボとイーピン、戦えない京子やハルをも過去から呼んだ。

 白蘭に勝つ為とはいえ、未来の自分がこんな真似をした事が信じられなかった。だがウィーネを助ける為にオラリオを敵に回す事を覚悟したベルを見て、今なら未来の自分の気持ちが少しだけわかってしまった。

 

(そう考えたらユニも……)

 

『ボスのユニちゃんが裏切ったとして……残されたブラックスペルがどうなってもいいのかい? まぁ奴らはユニちゃんにゾッコンみたいだから、煮られようが焼かれようが大喜びかもしれないけど』

 

『……みんなは……わかってくれます』

 

 ツナが思い出したのは、チョイスに敗北した後の白蘭とユニの会話。

 元々、未来のユニはマーレリングを手に入れようとする白蘭によって魂を破壊され操り人形にされていたが、魂を取り戻した後、白蘭に反旗を翻した。

 それに対し、白蘭は【ジッリョネロファミリー】を人質に取った。だがユニは【ファミリー】の皆を見殺しにする事になっても前へ進む事を決めた。

 

『彼らの復活は沢田さん達が平和な過去へ帰る為に必要なんです。そしてそれ多くの人々の命を救う事に繋がります……ようやく私の力を正しく使う為の気が熟しました……これが私にできる唯一の賭け……そして避ける事のできない私の運命(さだめ)

 

 そして白蘭との最終決戦。ユニは世界と自分達の為に自らの命を捧げた。

 虹の赤ん坊(アルコバレーノ)ボスで予知能力を持ってはいるが、それ以外は他の人間と何も変わらない年端のいかない少女。いつも笑顔でいる事がユニであるが、その心中は想像を絶する苦悩と葛藤があったのだと、ツナは理解してしまう。

 重苦しい空気が流れる中、呼び鈴が鳴る。こんな状況でこの本拠(ホーム)に訪れるな者など普通いない。故に玄関に向かう者はいなかったが、帰る様子がないのか何度も呼び鈴を鳴らす為、皆は警戒しながら玄関に向かい、ツナはチェーンロックをかけ、恐る恐る玄関の扉を開けた。

 

「レフィーヤ……!?」

 

 少しだけ空いた扉の隙間から外を覗くと、そこには不機嫌な顔をしているレフィーヤの姿があった。

 

「ベル・クラネルを出して下さい。いるのはわかっています」

 

「い、今はちょっと……」

 

 不機嫌な様子を隠す事なく、淡々と告げるレフィーヤに若干、怖じ気づくもツナは返答するが、レフィーヤは納得する訳もなく、それどころか余計に不満を募らせるだけであった。

 

「───ベル・クラネルゥウウウウウ!! 出てきなさぁああああい!!」

 

「ちょ、ちょっと!!」

 

 このままでは埒が明かないと判断したレフィーヤは、チェーンロックがかかってるのにも関わらず、扉を無理矢理開き、本拠(ホーム)内にいるベルに向かって叫ぶ。

 アイズへの嫉妬という自分勝手な理由であるが、レフィーヤはベルの事をライバル認定していた。にも関わらずベルは、あんな真似をした事のかが何よりも許せなかった。

 レフィーヤの行動にツナ達は慌てふためき、今度は同じ【ロキ・ファミリア】の団員であり、遠征の際に59階層攻略の際にサポーターとして選ばれた犬人(シアンスロープ)のクルス、レフィーヤと同じルームメイトでありLv.3の人間(ヒューマン)のエルフィが慌ててレフィーヤを取り押さえるも、レフィーヤは連れ戻されまいと駄々をこねる子供のように暴れ抵抗する。

 そんな光景を見てヘスティア達と監視していた他の【ファミリア】も唖然としてしまっていた。

 

(やっぱりフィンは……)

 

 レフィーヤが取り抑えられる光景を見て、ツナだけは何かを悟っていた。そして同時に拳を強く握りしめる。

 

「ごめん……ベルには会わせられない……」

 

 ツナが言葉を発した途端、レフィーヤは暴れる事を止め、クルスとエルフィも動きを止めた。

 

「フィンに伝えて。俺は絶対に負けないって」

 

 レフィーヤ達にそう告げると、玄関の扉を閉めた。覚悟を決めたツナに気圧され、3人はその場から動けないでいた。

 

「何を考えているのですが綱吉様!! 【ロキ・ファミリア】相手に宣戦布告するなんて!!」

 

 この最悪の状況で【ロキ・ファミリア】を相手に喧嘩を売ったツナにリリは憤慨する。

 

「フィンは気づいてるよ。リド達に理性がある事も。ベルが何であんな事をしたのかも。そして俺と戦う事になる事も」

 

 異端児(ゼノス)に理性がある事にフィンが気づいていないとはツナには到底、思えなかった。しかしその

事に気づいていながら、フィンはリド達を討伐しようとしている。そうでなければレフィーヤ達に【竈の館】を監視させない筈だからである。

 しかしツナはフィンを責める事はなかった。【ロキ・ファミリア】の団長という立場である以上、住民や団員を護らなければならない。それにフィンもまた怪物(モンスター)に大切な者を殺されている筈。その恨みをすぐに無くす事などできないし、至極真っ当な感情だからである。

 

「正気ですか!? オラリオ中を敵に回す事になるんですよ!! そうなれば今度こそリリ達は……!!」

 

「後で考える。このまま何もしなかったら全てが終わる」

 

 ツナはわかっていた。後の事を考えている暇などない。今、動かなければリド達は確実に殺されると。

 

「もう誰も死なせない。俺の誇りにかけて」

 

 そう言うとツナは歩を進め、リボーンの前で立ち止まった。

 

「リボーン。俺、もっと強くなりたい」

 

「……わかった」

 

 ツナの申し出に対して、リボーンは引き受けると、リボーンはツナと共に地下の修行部屋へと歩いて行く。

 

「……ごめん」

 

 振り返らず、【ファミリア】の未来を蔑ろにした事を謝るツナ。そして2人はヘスティア達の視界から消えた。

 

「「「……」」」

 

 この圧倒的に絶望なこの状況にも関わらず、ツナが負けるつもりなど毛頭ないという顔をしていた事。そして自分達が落ち着かされている事に驚愕を禁じ得なかったのだった。

 

 

 

 

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