ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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この小説を書き始めてから2年が経過しました。時は早いものです。


標的(ターゲット)152 決断(デギデーレ)

 

 

 

 

 

 【ロキ・ファミリア】と戦う事を覚悟したツナ。

 一方、その頃。ダイダロス通りでは武装した怪物(モンスター)を討伐する為に【ロキ・ファミリア】の仮設キャンプを設置され、色んな指示が飛び交い、団員達の出入りが激しい状態にあった。

 

「絶対に負けない……か」

 

 レフィーヤ達の報告を聞いたフィン。ツナの推測通り、フィンはリド達に理性がある事を見抜いていた。故に敵に回る事は想定内であったが、それでもツナからの宣戦布告を聞いて、フィンは頭を悩ませていた。

 ちなみに監視という任務の最中に勝手に【竈の館】に向かったレフィーヤは監視の任務から降ろされた。

 

「どうやら我々があの武装した怪物(モンスター)に理性がある事を知っている事を、沢田綱吉は見抜いているようだな……」

 

「まさか遠征前にフィンが言った事が本当になるとはのう……」

 

 仮設キャンプにある個室。フィンと同じくレフィーヤ達の報告を聞いて、リヴェリアとガレスは頭を悩ませていた。

 全体の士気に関わる為、フィンは武装した怪物(モンスター)の正体に気づいていながら話さなかったが、

最古参のメンバーにして、友である2人には武装した怪物(モンスター)の正体について話していた。

 

「あの黒いミノタウロスだけでも脅威だというのに……さらにアルフィアを上回る存在を相手にしなくてはならんとはのう……」

 

「しかもそれに並行して闇派閥(イヴィルス)の対処まで……どうするフィン?」

 

「作戦に変更はない。というよりも変更できない。あの怪物(モンスター)達も闇派閥(イヴィルス)も放置する事などできない。沢田綱吉が僕らを邪魔をするのであれば、戦う以外に選択肢などない。といってもまともに戦う気はないけどね」

 

 ツナとまともに戦えば、戦力を無駄に疲弊するだけ。であれば戦力を分散させ、怪物(モンスター)を討伐するしかないとフィンは判断する。

 

「どれだけ沢田綱吉が機動力に優れていようと、ダイダロス通りは広大な迷宮。彼と言えど、全てをカバーする事は難しい。といっても気休めに過ぎないけどね」

 

 いくら機動力に優れていようと、ダイダロスを把握していなければ時間を消費する。であればその僅かな時間で武装した怪物(モンスター)を討伐するしかない。

 この作戦が成功するのは極めて低いだろうが、正面からまともに戦うよりはマシであった。

 

「あのリボーンとかいう赤ん坊はどうする? あれもまたアルフィア以上の怪物だぞ」

 

 先日のラキア侵攻の際にアルフィアに向かって、放ったリボーンの殺気はアルフィアを有に超えていた。ツナだけでも脅威だというのに、さらにリボーンまで加われば勝ち目は無くなる為、ガレスもリボーンの対処をどうするのか尋ねた。

 

「……多分、大丈夫だと思う。アルフィアに勝てる実力を有していながら、彼は沢田綱吉に倒させるように仕向けていた上に加勢する様子すら見せなかった。彼は自分で言っていたように、沢田綱吉を育てるという使命をただただ全うしている。だから戦力に加わる事はないと思う。勿論、警戒は解かないが」

 

 都市の危機だというのにも関わらず、リボーンは手を出さずツナの戦いを見守っていた。そして勘ではあるが、今回もまたリボーン参戦する可能性は低い感じていた。以上の点からフィンはリボーンよりもツナの事を警戒していた。

 

「それとベル・クラネルへの警戒も怠れない。彼もまた前代未聞の冒険者だ」

 

 ゼウス、ヘラの両【ファミリア】をも超える速さで、器を昇華させたしたベルもまた、自分達の予想を超えた何かを起こすとフィンは確信していた為、Lv.3とはいえフィンは警戒を怠ってはいなかった。

 

(この親指の疼きはベル・クラネルと沢田綱吉のもの……本当にそれだけか?)

 

 ツナとベルに対して自身の親指が疼いている、と思いたいのだがフィンはそれだけはないと感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────【竈の館】。

 

『そうか……』

 

 修行が始まってから数時間。一旦、休憩を挟みつつ、眼晶(オクルス)を使ってリド達を助ける旨をツナは伝えた。

 

『【ロキ・ファミリア】にダイダロス通りから撤退するように言ったが、無理だった。正直、フェルズ以外に頼れるのはお前達しかない……すまない、私が不甲斐ないばかりに……』

 

 遠征にて【ロキ・ファミリア】と共に戦ったツナに、【ロキ・ファミリア】と戦わせるような真似をさせてしまった事にウラノスは罪悪感を覚え、謝罪する。

 だがツナもリボーンがウラノスが責めような小さな器ではない為、黙ってウラノスの謝罪を受け止めていた。

 

「リボーン君、綱吉君」

 

 すると修行部屋に真剣な眼差しを浮かべ、1枚の羊皮紙を持ったヘスティアがやって来る。

 

「フェルズ君から秘密裏に文書が届いた」

 

「何て書いてあったの?」

 

「明日の夜。ダイダロス通りに向かう」

 

「わかった」

 

 フェルズの文書の内容を聞いても、ツナは動じず、まるでこうなる事がわかっていたかのように答えた。

 

「それとベル君達も異端児(ゼノス)君達を助ける事を決意してくれた」

 

「……みんなは大丈夫なの?」

 

「ああ」

 

「そっか……」

 

 あれだけ落ち込んでいた皆が覚悟を決めたと知って、嬉しい反面、不安も隠せずにいた。

 

「君達が修行している間にベル君が外に出たいって言って、外に出たんだ」

 

「え!? 大丈夫だったの!?」

 

「予想通りだけど、完全にベル君は悪役だったよ。けど女神(ぼく)の借金の為にベル君があんな事をしたって言っやったら、手は出されずに済んだよ」

 

「まさかお前の2億ヴァリスの借金がこんな形で役立つとはな」

 

 【ヘスティア・ファミリア】が2億ヴァリスの借金をしている事はオラリオ中に知れ渡っている。それ故に入団希望者がいなくなるという事態に陥ったが、その借金のお陰で助かった事に、リボーンはなんとも言えない気持ちになっていた。

 

「その時にたまたまロキに会った。異端児(ゼノス)

君の事を話して、手を引いてくれないかって頼んだんだけど、案の定駄目だった」

 

『ロキはなんと言った?』

 

「聞かなかった事にするって言ってたよ」

 

『それは確か?』

 

『ああ』

 

 異端児(ゼノス)討伐に一番、力を入れている【ファミリア】のロキ(主神)が、わざと見逃した事が信じられなかったウラノスであったが、ヘスティアの声音を聞いて本当なのだという事を理解する。

 

「綱吉君の推測通り、【勇者(ブレイバー)】君は異端児(ゼノス)の正体に気づいていながらも、討伐する構えでいる。辛いだろうけど、綱吉君には【ロキ・ファミリア】を相手取ってもらわないといけない。そして君の存在はバレると言ってもいい。それでも本当に大丈夫かい?」

 

「わかってる。もう覚悟はできてるから」

 

(ごめんね……綱吉君)

 

 覚悟しているとはいえ、辛い任務を押し付ける事になった事をヘスティアは悔やむと同時に、ツナの心を乱れさせなない為、心の中で謝った。

 

「とはいえ戦況は絶望的だぞ。ツナがいるとはいえ、【ロキ・ファミリア】がツナと正面から堂々と戦う訳がねぇ。しかも広大で複雑なダイダロス通りを移動しながら、それもたった6人で異端児(ゼノス)達を護りながら戦うのは困難を極めるぞ」

 

『ヘルメスは我々に協力を申し出た。ヘルメスは異端児(ゼノス)の事を話してある。だが戦力的にも世間的にも派手な戦闘はできないだろう。それと【フレイヤ・ファミリア】は、引き続き都市の防衛に就くようだ。こちらから攻撃を仕掛けるような事がない限り、奴らが動く事はないだろう」

 

「どのみち僕達だけでやるしかない事だね」

 

 戦力差は歴然。それに今、【ヘスティア・ファミリア】はオラリオの中で一番、印象が最悪の悪い【ファミリア】。そんな【ファミリア】に協力してくれる者など皆無。それ故に戦力を増やすことは不可能である為、ヘスティアは今の戦力で戦うしかないと結論づけた。

 

(そもそも【ロキ・ファミリア】を出し抜ける方法が思いつかない……)

 

 戦力差も問題であるが、こちらがどれだけ知恵を絞ったところで、あの天才(フィン)を超える作戦が浮かぶとはツナにはどうしても思えなかった。仮に意表をついたとて、フィンであれば即座に最適解を思いつき、対応されるだろう。

 さらに言えば戦力や指揮以外にも、連携、戦闘経験。ありとあらゆる要素で負けている。ベル達を信じていない訳ではないが、それでも自分達が勝てるとはツナはどうしても思えなかった。

 

(フィンが白蘭みたいに手加減してくれるなんて事は絶対にない……)

 

 今までのツナが戦ってきた戦いの中で、今のこの状況は【ミルフィオーレファミリー】との戦いに近かった。

【ミルフィオーレ】側は膨大な戦闘員がいながら、数の暴力で【ボンゴレ】をいつでも潰すことができた。それでも勝てたのは、白蘭がゲーム感覚で楽しんでいる部分があったからである。

 正一がスパイと気づいていながら、わざと泳がせ、【ボンゴレ】と【ミルフィオーレ】の戦いの決着を互いのボスと守護者同士という少数でかつ、チョイスというルールありきの勝負で決めようとしていた。

 しかしフィンに白蘭のように楽しむなどという感情など微塵もない。油断や慢心など無く、用いる戦力の指揮を最大まで上げ、徹底的に戦う。つまり付け入る隙など、どこにもない。

 

「そして賞金目当ての冒険者達。実質、6人で実オラリオ中の【ファミリア】が敵を回してる状況だ。それにベルに恨みを持つ者や、この騒ぎ便乗して仕返しをする奴らが絶対に現れるぞ」

 

 今回、ベルはオラリオ中から非難された。そして【ヘスティア・ファミリア】の風向きが悪い事をいい事に、ベルから攻撃を受けた者はともかく、元々ベルが短期間で【ランクアップ】していた事に嫉妬していた多くの冒険者が便乗し、戦闘の騒ぎを隠れ蓑にしてベルに仕返しする冒険者が徹底的に邪魔をして来るとリボーンは予測していた。

 

(……白蘭……恨み……)

 

 自分の脳裏に浮かんだ白蘭、リボーンの言った恨みという言葉を聞いた途端、ツナの脳裏に何かが引っ掛かる。

 

(っ!?)

 

 数秒後、ツナの脳裏に火花が走った。同時に何かを思いつき、同時にもの凄く、辛そうな表情を浮かべた。

 

「どうしたツナ?」

 

「大丈夫かい綱吉君? やっぱり【ロキ・ファミリア】と戦うのは辛いのかい……?」

 

 ツナがあまりにも辛そうな表情を浮かべていた事にリボーンとヘスティアが気づくも、ツナは眼晶(オクルス)を強く握り締める。

 

「───ウラノス様。お願いがあります」

 

『何だ?』

 

「───」

 

 ツナは今、思いついた作戦をウラノスに話す。ツナの作戦を聞いて、3人は驚愕を禁じ得なかった。

 

「君は何を言っているのか、分かっているのかい綱吉君!!」

 

 そしてヘスティアは激怒し、ツナの提案した作戦に反対の姿勢を見せた。

 

「……本気かツナ?」

 

「正直、フィン達に勝つ方法がこれしか思いつかない……」

 

「そんな事をさせられる訳ないだろ!! いや、主神として絶対に許可しない!!」

 

「俺だってこんな事やりたくないよ……でもこれくらいやらないと勝てない……いや、これでも絶対に勝てるっていう保証がない。それにこの作戦は俺以外の誰にもできない……ヘスティアだって分かってるでしょ?」

 

「だからって……!!」

 

『私もヘスティアに同意だ。お前にそんな事をさせるくらいなら、私が異端児(ゼノス)を保護していた事を全て話す。元はと言えば私が眷属の動向を把握できなかった事と、私の神意にお前達を巻き込んだのが原因だ。創設神として責任を果たさねばならまい』

 

 ヘスティアだけでなく、ウラノスもツナの作戦に反対の様子であった。

 眷属だったダイダロスの行方を把握していれば、人造迷宮(クノソッス)という空間の製作を止め、異端児(ゼノス)達が捕らわれたり、商品にされるという悲劇は起きず、【ヘスティア・ファミリア】が都市中から

非難される事はなかったかもしれない。

 

「ツナの作戦に賛成する訳じゃねぇが、異端児(ゼノス)の事を保護していた事が知られれば、お前は確実に失脚。そしてこのオラリオそのものが崩壊するぞ」

 

 創設神(ウラノス)であろうとも、人類の敵たる怪物(モンスター)を匿っていたと知られば、創設神としての地位を失う。この2000年間、オラリオが幾度なく

危機に陥ってもなお、オラリオが機能し続けられたのはウラノスが創設神として君臨していたからと言っても他ではない。全知たる神であっても、オラリオを安定させられる神はウラノス以外に誰もいない。

 ウラノスが失脚すればオラリオが崩壊すれば、オラリオだけでなく下界全体に激震が走る。黒竜の討伐ができるのはオラリオの冒険者のみだという事は周知の事実。そのオラリオは滅べば、この世は終わる。ウラノスの失脚する事はそれだけの事態なのである。

 

「お願いしますウラノス様。やらせて下さい」

 

 その後、ヘスティアとウラノスは何度も止めたがツナの意思が変わる事はなかった。

 

 




ここからどうなる事やら……

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