ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
ついに
「出たぞ
「アルミラージだ!!」
「いたぞ!! 【リトル・ルーキー】だ!!」
そしてベルを追いかければ武装した
「いない!?」
「どこに行きやがった!!」
路地裏に入った筈にも関わらず、ベルの姿がない事に冒険者達は動揺していた。
リバース・ヴェール。フェルズ製作した
(いや……いる)
冒険者達が動揺する中、建物の上からアイズはベルが透明になっていると確信していた。
リバース・ヴェールは使い勝手はいいが、あくまでその効果は姿を消すのみ。五感が超人レベルになっている上級冒険者や、嗅覚が鋭い獣人であれば気づかれてしまうというデメリットがある。
囮になるという役割を与えられたベルではあったが、フィンはこれが囮だという事を看破していた。ベルが囮だという事に気づいて敢えて、ベルの監視を少人数のみとした。
そんな中、アイズはフィンにベルを監視させて欲しいと嘆願した。他の人にやらせるくらいなら自分にやらせて欲しいというアイズの願いを聞いて、多少、不安になりつつもフィンはアイズを信頼してベルの監視を許可した。
「【剣姫】」
ベルを追おうとした瞬間、全身に金色の光を纏ったエルフが現れる。
「手合わせを願いたい」
アイズの前に現れたのはリューだった。少し前。アイシャとリューがベルに接触した。【ヘスティア・ファミリア】に協力を申し出た。そしてリューは裏で
ベルはアイズとリューの存在に気づいていたが、リューを信じ、囮としての役割を全うする為に歩を進めた。
───リリサイド
「【響く十二時のお告げ】」
ダイダロス内にある、とある路地裏。そこには変身魔法である【シンダー・エラ】にて
「またこのような任務をやる事になるなんてぇ……」
リリの任務は
(ですが……!!)
どうしようもなかった自分をベルは救ってくれた。故に
(やり遂げてみせます!!)
──ヴェルフ&命サイド
「このドワーフ、めちゃくちゃ強いぞ!!」
「煙幕を張った!! これであの男と逃げ切るんだ!!」
あまりに強すぎるガレスに、フェルズは対象者に絡みつく
「こっちも魔剣をビクともしねぇぞ!!」
「ヴェルフ殿、
命とヴェルフ役割は、フェルズと共にいるリド達の護衛。
2人はフェルズやリド達と共にガレスと戦っていた。しかしLv.4であるフェルズ、Lv.5クラスのリドとグロス、そしてヴェルフが不眠不休で造った、クロッゾの魔剣を駆使してもなお、ガレスはものともしない為、苦戦を強いられていた。だがベルとリリが冒険者達を引き付けているのと、ツナがいる事で【ロキ・ファミリア】側が戦力を分散させられているお陰で、ガレスと【ロキ・ファミリア】を相手にするだけで済んでいたのが不幸中の幸いだった。
「ふははははっ、祭りじゃな!」
すると第三者の声が響き、上空から大量の魔剣の入った入れ物を持った椿が現れた。
「椿!? 何でここにいる!?」
「主神様からお主を助けてやってくれと懇願されたのよゼノスとやらの話も聞いた。中々、面白い事に巻き込まれておるの、ヴェル吉」
今回、【ヘスティア・ファミリア】を救う為に【ヘルメス・ファミリア】とだけでなく、ヘファイストス、ミアハ、タケミカヅチは3
ベルがアイシャとリューと接触するさらに前に、ナァーザが接触し、3派閥が協力してくれる事を伝えた。そしてベルはフェルズからもらった、記憶された物体の幻影を、花粉を吸い込んだ者に幻視させることのできる
「考える事は一緒のようだな、ヴェル吉。まぁ任せろ、こちらの正体がバレない
「お前、魔剣の試し打ちがしたいだけだろ!!」
「馬鹿を言うな。お主の為に【ロキ・ファミリア】から恨まれるのも覚悟の上で馳せ参じたのではないか!! フフフ、いくぞ!! それっ、それ!!」
「やっぱり楽しんでるじゃねぇか! っておい!! そんなに撃ちまくったら【ロキ・ファミリア】が!!」
「ふははは!! あのドワーフがこれしきの事でくたばるか!! 【ロキ・ファミリア】の幹部共はみな化け物よ!!」
ヴェルフの制止を無視し、椿は煙幕で見えない事を利用して、容赦なく魔剣を乱射し始める。
元々、椿は自身の造った武器を試す為にダンジョンに潜り、Lv.5にまで昇りつめた。
そして今この場にいるのは、第1級冒険者の中でも、最高クラスの耐久力を持つガレス。つまり魔剣を試せる絶好の相手である為、椿は歓喜以外の感情などなかった。
「この魔剣の味は椿か!?」
防御体勢を取りながら、魔剣を乱射しているのが椿だという事を身を持って理解する。
(神ヘファイストスは武装した
ヘスティアとヘファイストスが神友である事は知っていた。それ故にヘファイストスが【ヘスティア・ファミリア】に協力した事にガレスはそこまで驚いていなかった。
「それで? お主を何を呆けて突っ立っているのだ? 腰に差している
椿は戦況が悪いのにも関わらず、使おうとしない魔剣に視線を移す。
「何の為に用意したのだ、間抜けめ。さっさと使え。ぜのすとやらを助けるのではなかったのか? 貴様がうじうじ悩んでいる間に怪物共は汚い灰になってしまうぞ」
「……これを使えば、第1級冒険者でも……」
「馬鹿め。言ったであろう、あやつらは化け物だ。ひよっこの魔剣なんぞで早々にくたばるものか。相手の心配してる暇などないだろう」
椿の言い分に反論できず、ヴェルフは覚悟を決め、鞘から魔剣から解き放った。
「2時の方角だ。そう、そこにいる。警戒されているが問題ない。お主の馬鹿げた魔剣ならな」
「射線に
「おらん、安心しろ。今が好機よ。やれ」
椿を信じ、ヴェルフは椿の指示した方向へ魔剣をおもいっきり振るった。
「
刀身から猛吹雪から放たれた。するとあまりの威力にガレスは瞠目し、咄嗟に盾を取り出し防御体勢を取った。
「ガ、ガレスさん!?」
「……リヴェリアの魔法と同等と言ったところか。こいつはちと、効くのう……」
団員を魔剣から庇う為に盾を使って防御したが、盾と半身が凍っていた。
「ほれ見ろ。生きておる」
「うるせぇ。──ヘスティア様、聞こえますか!!」
自分の予想通りの結果となって、自慢気に笑う椿。そんな椿を他所にヴェルフは、
「あ、あぁ。何だい、ヴェルフ君?」
「俺達がここを何とか押さえます!!
これだけ暴れてもなお
───ヘスティア&春姫サイド
「不味い、不味いぞ……!!」
「あ、あぁ……!?」
ダイダロス通りにある塔の屋上。ヘスティアと春姫は床に置かれた地図を見ながら、青ざめていた。
ヴェルフの指示でリド達を先に行かせたまでは良かったが、その際にウィーネだけ完全に孤立しているのが地図上から判明していたのだった。
「春姫君!?」
すると春姫は何も言わず塔から飛び降りた。春姫の行動に共学すると同時に、ウィーネを助ける為に飛び出したのだとヘスティアは即座に理解する。
「ベル君、頼む、助けてくれ!!」
春姫だけでは冒険者からウィーネを到底、護りぬけない。ツナは【ロキ・ファミリア】の団員を削る為に動き、ヴェルフと命はガレスの足止め。となれば冒険者の撹乱をしているベルかリリしかいない。そしてLv.3でかつ、敏捷のステイタスが優れているベルであればウィーネの元に早く辿り着けると判断し、ヘスティアはベルに助けを求めた。
──ウィーネサイド
「はぁ……はぁ……」
孤立してしまったウィーネ。追手によって左腕を傷を負わされ、体力も消耗していた。リド達に合流したくともウィーネは
「ベル……」
周りに誰もおらず、いつ殺されるか分からないこの状況に耐えられず、ウィーネはベルの名を囁いた。
「──ウィーネ!!」
そんな中、自分の名を呼ぶ者が声がした。ウィーネが見上げるとそこには、春姫を抱えたベルが現れた。
「あぁ、ウィーネ様……ウィーネ様!!」
「良かった……ウィーネ……!!」
「ごめんね、ごめんね、ベル、春姫……!! ありがとう大好き……!!」
生き別れた親と子が再会したかのように、3人は涙を溢しながら喜ぶ。
ヘスティアからの救援を受けたベルは、まずヘスティアに春姫の居場所を尋ね、春姫と合流。そして【
「時間がない。早く行こう。何とかリドさん達と合流しなきゃ」
「うん!!」
感動の再会ができたのは良かったが、今は1分1秒が惜しい状況。ベルはまずウィーネをリド達と合流させる為に動く。
その解き時だった
「っ!?」
ベルの直感が警鐘を鳴らし、咄嗟に2人を抱き寄せて纏っていたリバース・ヴェールを纏わせ、2人を抱え移動した。
するとその1秒後、上空から何者かの蹴りが放たれ、ベル達がいた地面に穴が開く。
(ベートさん……!?)
現れたのはベートであった。ウィーネを助けに向かう際にリバース・ヴェールで姿は消していたものの、移動の足音がベートの耳に捉えられてしまったのである。
ベル達は路地裏の先にある開けた、空間に移動し息を潜める。
「───出てこい」
しかし視覚は誤魔化せても、獣人であるベートの嗅覚は誤魔化せず、すぐに位置はバレてしまう。
逃げられないのは明白。ベルは、ウィーネを春姫に託し、ベートと対峙する事を覚悟する。
その時だった
「あァん?」
ベルは怪訝な顔を浮かべる。なぜなら春姫がベート前に立ち塞がったのだから。
「1人じゃねぇだろ。他の連中も出てこい」
「私は1人です」
「ふざけた事を抜かしてんじゃ…!!」
「私は1人です!!」
体を震わせながらも、春姫ウィーネを護る為に覚悟を決めておりベートに立ち向かう事を覚悟した。
「だからあっちに行って下さい!! 早く!!」
「っ!?」
ベートではなく、これが自分に向けられているものだと判断し、ベルは歯を食い縛り、苦渋の表情を浮かべながらも、春姫の覚悟を無駄にしない為、ウィーネをリド達と合流させる為に走った。
「……戦えもしねぇ奴が粋がってんじゃねぇ」
ベルとウィーネの気配が遠くなって行く事に気づいていながら、ベートは追おうとしなかった。そして地面を蹴り、石片を飛ばした。石片が春姫を襲い、春姫は避ける事はできなかったが、それでも倒れる事なく、そのままベートの前に立ち塞がった。
「どけ」
「嫌でございます」
「潰すぞ」
「どきません!!」
ベートの脅しに屈する事なく、春姫は両腕を広げて立ち塞がる。
「何もできねぇくせに……覚悟はできてんだな?」
「っ!?」
「調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」
ベートが左足で地面を振り下ろすと、ベートの蹴りの余波で春姫は吹き飛び、倒れ込んでしまう。
「
「っ!?」
ベートに罵声を浴びせられながらも、春姫は顔を上げる。
「【──大きくなれ】」
そして詠唱を始める。【
「【其の力に其の器。数多の財に数多の願い。鐘の音が告げるその時まで、どうか栄華と幻想を。大きくなれ。
詠唱を続ける春姫。詠唱を止める事ができるにも関わらず、ベートは何もしなかった。そして嘲笑う表情を浮かべながら、歓喜していた。圧倒的な実力の差が有りながら、全霊で自分に挑もうとしている春姫の覚悟を。
「【ウチデノコヅチ】」
春姫の詠唱が完了する。そして同時に大木刀を持ったアイシャが春姫の隣に着地し、アイシャの体が金色の光に包まれる。
「おいお前、私の妹分に手を出そうとしたよな? そうだよな? 私の中ではそうなった」
「おい」
「可愛い妹分にちょっかい出す奴は許しておけないよ。ここでぶっ飛ばしてやらなきゃ、気が済まない」
ベートの言葉を無視し、アイシャは不敵な笑みを浮かべながら、一方的にベートと敵として認定する。
イシュタルが天界に送還された後、アイシャは春姫がまた生贄にならないよう、殺生石の搬入ルートを把握する為に運び屋として都市の搬入事情に詳しい、【ヘルメス・ファミリア】に
そして今、春姫の【
「アイシャさん……」
「ヘッポコ狐。無茶するんじゃないよ全く。あれだけ大っぴらに使うなって言い含めたっていうのに……だが、まぁ、ちょっとはマシになったその面構えに免じて許してやるよ」
以前は、引っ込み思案で、何もかもを諦めていた
「結局は人任せじゃねぇか。くだらねぇ」
そう言いつつも、ベートは春姫に失望する事はなく笑み浮かべたままであった。
「さっさと来い馬鹿女
ベル&ウィーネサイド
(春姫さん……!!)
アイシャが春姫の援軍に来ている事も知らないベルは、今すぐ春姫の元に戻ろうとする衝動を必死に押さえながら、目的の遂行の為に進んで行く。
(春姫……)
ウィーネもまた春姫の事が心配で仕方がなかったが。春姫の覚悟を無駄にできない事を理解していた為、前に進む事を決める。
「っ!?」
するとベルは足を止める。そして捉えてしまった。目の前に人影に。よく知る人物の姿を。
「アイズさん……!!」
前方に現れたアイズを見て、ベルの心臓の鼓動がかつてない程に早く動き、大量の汗が噴き出す。
アイズがここにいるという事はすでにリューは倒されたという事、そして今度こそ逃げ切る事はできない事をベルは理解させられる。
【
「……生きていたんだね
多くの者の目撃証言と地下通路にあった大量の灰。以上の点から
しかしそれでもアイズは冷静だった。ただベルの知るいつものアイズの目とは違い、自身の体が心の底から震える程に冷たい目をしていた。
「君が何であんな事を聞いてきたのか……ずっと考えていた」
『
5日前。18階層に
「アイズさん!! この
ウィーネに理性がある事にアイズが気づいた事にベルは気づき、剣ではなく言葉を交わそうとする。
「私の答えは……変わらない!!」
だがベルと言葉を交わそうという意思はなく、アイズは抜剣した。
「
『私は
5日前のベルの質問の返答と同じく、アイズは
「待って……待って下さい、アイズさん!! この
「その
諦めず説得しようとするベルであったが、アイズはの話を聞くつもりなどなかった。
「何で……何で……ちくしょう!!」
なぜ話を聞いてもらえないのか。なぜ自身の憧憬と戦わないといけないのか。色んな感情がベルの脳裏に渦巻いていたが、ベルは
「ウィーネ逃げて!!」
アイズのデスペレードとベルのナイフがぶつかり合い、互いの武器が火花を散らすも、すでに【
(僕を見ていない!?)
ベルの体勢が崩れる僅かな間、アイズは地を蹴り、空中へ移動し、ウィーネに迫って行く。アイズの一番の目的は
「【ファイアボルト】!!」
アイズのデスペレードがウィーネに迫る中、ベルはアイズに向かって、魔法を放った。アイズは壁を蹴って空中を移動し炎雷を躱す。
ウィーネはそのままアイズの視界から外れ、逃げる事ができた。しかし前と同じようにウィーネを助ける為に再び他人に攻撃した。しかも憧憬であるアイズを。そして後悔、罪悪感といったありとあらゆる感情に苛まれるが、時すでに遅く、もうベルは引き返せなくなってしまう。
「アイズさん、話を聞いて下さい!!」
「……君と話す事はないよ」
「僕にはある!!」
アイズを止めようとするも、ベルは軽くあしらわれてしまう。
「……君と戦いたくない」
「僕もですよ!!」
市壁での特訓の事を思い出すアイズ。アイズに取って、他人に初めての教えるというのは初めての事であり、大切な思い出だった。故にアイズもベルと同じ気持ちであった。
「アイズさん、お願いですから聞いて下さい!! あの
「私の答えは……変わらないよ」
「っ!?」
何度、叫んでもアイズは自分の話を聞いてくれなかった。
そして自分の言葉が届かないと悟らされたベルは敏捷を全解放。自身の最高速度で移動しながらアイズを撹乱しつつ、無我夢中で斬撃を繰り出した。ベルの怒涛の斬撃にアイズは防戦一方となる。
「……強くなったね」
しかしベルの全力の斬撃はアイズに掠ってすらいなかった。自分が師事していた頃よりも、格段に成長したベルにアイズは僅かばかりの嬉しさがあった。
「私も、もう手加減できないよ」
ベルの視界からアイズの姿が消えた。そしてベルの足元から、姿勢を低くしたアイズによる右切上によってベルのヘスティア・ナイフがぶつかり、ベルの右腕の軌道が強制的に上げられ、同時にベルの体勢が崩れた。
「がっ!?」
そしてデスペレードの柄の先端がベルの脇腹に直撃し、ベルは壁に叩きつけられ、そのまま地面に倒れそうになるが、上空からアイズが追撃を喰らわせようとするアイズがベルの視界に映り、ベルは地を蹴ってバク宙しアイズの斬撃を躱し、地面に着地する。
『いいかベル。逃げられないくらい格上の奴と戦う事になったら、防御は捨てて、攻撃する事だけ考えろ。もうこの先、2度と体が使い物にならなくなる事になってでもだ。特にLv.6を相手なら尚更だ。ま、それでも一太刀、浴びせられれば奇跡みたいなもんだがな。だからウィーネ達を護りてぇなら死ぬ気でやれよ』
(馬鹿か僕は!?)
この戦いに臨む前にリボーンから言われたアドバイスを思い出し、ベルは自分の愚かさを自覚する。
(みんなだって戦っているのに!!)
(死ぬ気でやらなきゃ!! 強くならなきゃ!! 今ここで!!)
ベルは覚悟を決め、再びナイフを構える。ベルが先程とは違う目つきとなった事にアイズも気づく。
「うぁあああああああああ!!」
(さっきよりスピードが……!?)
ベルは絶叫を上げながら斬撃のラッシュを放つ。先程より、敏捷も斬速も比べものにならないくらいに上昇している事にアイズは瞠目する。
しかしアイズは冷静に斬撃を見切り、デスペレードの柄をベルの腹部に叩き込み、ベルは吹き飛ばされる。
「あぁああああああああ!!」
「っ!?」
再びベルは真正面から特攻。真正面から攻めるベルにアイズは神速の斬撃を繰り出した。だがベルは防御の構えを一切取らず、斬られながらも、お構い無しに特攻。アイズはベルを殺してしまうかもしれないという気持ちが働いてしまい、アイズの剣が鈍る。
「がっ!?」
だがアイズの右足による膝蹴りがベルの顎に直撃。ベルは顔を強制的に仰け反らされた。
「【ファイアボルト】!!」
「っ!?」
仰け反らされた状態のまま、ベルは右手を前方に出しノータイムで炎雷を放った。アイズはに反時計回りに回転し、魔法を躱す。
「ガハッ!?」
そして遠心力加えた右足による、ミドルキックがベルの左脇腹に直撃。ベルの体内から、血液が逆流するが、ベルはそのまま血を霧状にして、アイズの顔面に向かって飛ばす。
(血を!?)
反射的に左腕で両目を覆うと、アイズの左腕にベルの血が付着する。
そしベルはそのまま両膝を曲げ、姿勢を低くすると、右手の掌を地面に向けた。
「【ファイアボルト】!!」
「がっ!?」
地を蹴り、魔法を逆方向に放つ事で空中で加速したベルはそのままアイズに突撃し、そのままアイズの腹部に頭突きを放った。流石のアイズも予想外だったのか、ベルの頭突きを躱す事ができず、腹部を左手で押さえた状態でフラつきながら後方に下がる。レベル差があるとはいえ、加速した頭突きは流石のアイズでも痛みが走った。
ベルは着地の事までは考えておらず、そのままうつ伏せの状態で倒れた。
「【ファイアボルト】!!」
うつ伏せの状態のまま、ベルはアイズの両サイドに炎雷を放ち、逃げ道を防ぐと同時に着弾した際に発生した
煙幕でアイズの視界を防ぐ。
(上!!)
地上から上に動く影を捉え、アイズはベルが上空から奇襲すると事を察知して、視線を上に向けた。
(ナイフ!?)
しかし空中にいたのはベルではなく、ベルの持っていた牛若丸であった。そしてベルはアイズの間合いへと移動し、横薙の構えを取っているベルの姿があった。
煙幕で視界を塞ぎ、
(私の方が早い!!)
だがベルの斬撃よりもアイズの斬撃をの方が早く、アイズはデスペレードを振り下ろす。
「【ファイアボルト】!!」
だがベルは左手の掌を地面に向け、アイズのデスペレードを躱すと同時に上空に移動する。
そして空中で縦方向に回転し、先程、囮として放った牛若丸の柄を踵で蹴り、地上にいるアイズに向かって飛ばす。アイズは顔を右に傾けるも、完全に躱す事ができず、ナイフが左頬に掠る。
「【ファイアボルト】!!」
左手の掌を上空に向け、地面に向かって加速しヘスティア・ナイフを振り下した。
アイズはデスペレードでベルの渾身の一閃を受け止める。ヘスティア・ナイフとデスペレードが火花を散らす。
「ファイアボルトォオオオオオオ!!」
そこさらにファイアボルト5連射しさらに加速し、そのままナイフを振り切って、アイズの体に一閃を叩き込んだ。だが加速した事でベルは地面に猛スピードで激突した。
地面に激突した痛みに耐えながら、視線を上に向けた。そしてベルの視界には、右腕のプロテクターに大きな切り口が入り瞠目しているアイズの姿が映った。
(あれだけやっても……)
防御を捨て、攻撃のみに集中してもなおアイズに与えられたのは3回。しかもどれも致命傷には程遠かった。だがベルは立ち上がった。自分の身を削った戦い方をしたせいで、消耗していたがベルはそれでも諦める事はなく、ナイフを構えた。
「どうしてそこまでするの?」
「あの
「本当に、本気で言っているの? 人じゃない
「普通の
同じ感情を持っています!!」
「違う。同じなんかじゃない。みんなはそんな事できない。
「でも、それは!! それは僕達冒険者だって、同じじゃないですか!?」
「っ!?」
「アイズさんの剣だって!! 僕のナイフだって!!」
淡々とした表情でベルの言葉を否定していた、アイズの表情が代わり言葉を失った。
「僕は……あの
決して口にする事のできなかった、本心をベルは口にした。
「何を言ってるの……?」
アイズは気持ち悪い物を見るような目をしながら、呟いていた。
「もういい……どいて」
「嫌です……」
「止めて」
「嫌だ……」
「お願いだから」
「できない!!」
「どいて!!」
両者ともこれ以上、傷つけ合う事はしたくない。だが両者の言葉が交わる事はなかった。
「斬るよ……?」
「っ!?」
「すごく、痛いんだよ? だから……」
悲壮感にまみれた表情を浮かべるアイズの警告。こんな事を言いたくないというアイズの感情が伝わり、ベルは自分の選択がアイズを苦しめ、傷つけていると知ってベルの心は痛める。
「───だめ!!」
そんな中、第3者の叫び声が響いた。するとベルとアイズの間にウィーネが両手を広げていた。
「ベルをいじめないで!!」
「ウィーネ……?」
ウィーネがここに戻って来た事にベルは放心状態になってしまっていた。
ベルの渡した
「お願い……ベルをいじめないで!!」
「っ!?」
両目に涙を溜め、必死に訴えるウィーネを見て姿を見アイズの心がかき乱れる。
「止めて……喋らないで……」
自分達と同じように喋るウィーネを、アイズは受け入れる事ができなかった。
「……どうして貴方みたいな存在がいるの? 貴方達の……貴方の目的は何?」
「わ、わたしは……ベルと一緒にいたい」
「そんな事させない。あの
アイズは左手で顔を覆い、切っ先をウィーネに向けながら敵意を露にする。
「貴方の爪は誰かを傷つける、貴方の翼は多くの人を恐れさせる、貴方のその
アイズの語っている事は事実。しかしウィーネを殺す理由を作っているようにも見えた。
「だから……私は貴方を見逃す事なんてできない!!」
これ以上、ウィーネの言葉を聞きたくなかったアイズは一瞬でウィーネの前を移動し、そのままデスペレードを振り下ろす。
「ウィーネ!!」
今まで受けたダメージのせいで反応が遅れ、ベルは飛び出すも、すでにウィーネにデスペレードが目前まで迫っていた。
ウィーネもどうする事もできず、目を瞑ることしかできなかった。
「え……!?」
ウィーネは自身に何も痛みを感じなかった為、ゆっくりと目を開いた。そしてそこには、刀身に燕が彫られた刀を持った青年が、アイズのデスペレードを受け止めていたのだから。
「滑り込みセーフってとこだな」
長くなったー……ほとんど原作通りになるから、ベルとアイズの戦いだけ変えました。原作の大量コピーに引っ掛からないよな?
そして満を持して登場させられた!! ようやく
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