ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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前回の話で最後にレフィーヤが登場しましたが、この時はまだレフィーヤは人造迷宮(クノソッス)にいるので、完全に僕の間違いです。なのでレフィーヤではなく、エルフィに変更しました。大変申し訳ありませんでした。


標的(ターゲット)157 嵐()()者vs凶狼(ベート)

 

 

 

 

 

 

 

───春姫&アイシャサイド

 

「【3倍ボム】」

 

 すると先程よりも大量のボムを持ち、導火線に着火させる。

 獄寺(ごくでら)(はや)()。10代目【ファミリー】の嵐の守護者であり、体中の至るところにダイナマイトを持っている事から裏社会では【人間爆撃機】、【スモーキングボム】の異名で知られている。守護者の中で唯一の中距離支援担当であり、ツナへの忠誠心が一番高い。ツナの右腕になる事が目標であると同時に己の全てであり、ツナの右腕になる為に日々、精進している。

 そして獄寺は大量のボムをベートに投げ飛ばした。

 

(こいつ、イカれてやがる!!)

 

 流石に全ての軌道を反らせない為、ベートは飛び引いて躱した。

 この世界にダイナマイトがない為、ベートはダイナマイトの事は知る筈もなかったが、それでも爆発する魔道具(マジックアイテム)を使う者はいる。しかしこれだけの爆発物を大量に持ち歩き、戦う存在はベートの知る限り存在せず、ベートは戦慄を覚えた。

 そして獄寺が敵だと認識したベートは攻撃に転じる隙を与えない為に、爆煙の中を持ち前の走力で突っ切り、最短ルートで獄寺を狩ろうとする。

 爆煙を抜けると、再びボムを構えている獄寺の姿をベートは視界に捉える。

 

「っ!?」

 

 だがベートは地を蹴って、上空に退避。すると地面にはボムが設置してあり、ボムが爆発した。

 

(こいつ……!?)

 

 獄寺は爆煙で視界が塞いでいる間に地面にボムを設置。そして自身がボムを持ち、迎撃体勢を取る事でベートの注意を引いて、地面に仕掛けているボムから意識を外そうとしたのである。

 

「果てな」

 

 そして青年は空中にいるベートに向かって、ボムを放った。

 

「【ロケットボム】」

 

 すると途中でボムは急に加速しながらベートに迫って行く。

 【ロケットボム】。仕込んだ推進用火薬をの噴射であらかじめ決めた方向に2度変化させ、ダイナマイトそのものを高速移動させる技である。

 元々は獄寺にダイナマイトを教え、【トライデントシャマル】の異名を持つ殺し屋、シャマルが使っていた技であったが、リング争奪戦の際の修行で、頭を悩ませた末に会得した技である。

 

「ちっ!!」

 

 ボムが途中で加速した事に瞠目するも、ベートは右足を薙ぎ払ってダイナマイトの軌道を反らし、ボムは地上にいる獄寺に向かって落ちていく。

 

(うり)形態変化(カンビオ・フォルマ)

 

 降り注ぐボムを前にしても獄寺は避ける素振りも微塵も見せず、呟いた。

 

「お、おい!!」

 

 誰かは分からなかったが、アイシャはそれでも反射的に叫び、春姫は言葉を失っていた。一方でベートは何も言わず、ただただ爆煙の中を見ていた。

 

「【SISTEMA (スィステーマ) C.(シー)A.(エー)I.(アイ)】」

 

 すると爆煙が晴れると、そこには体中にダイナマイトを帯びたベルトを装着し、目にはサングラス、口にはパイプ、そして骨を模したパーツで構成された、透明な障壁が張られている複数のシールドが獄寺を囲むように空中を浮遊していた。

 

「感のいい野郎だぜ。だがこれで嗅覚(はな)は封じた」

 

(こいつ……最初から)

 

 現在、この場には火薬の匂いが充満している。そのせいで、ベートは嗅覚で相手の位置を特定する事ができなくなっていた。

 最初にボムを投げまくり、機動力がない事と爆発まで時間がかかる事をわざとベートに見抜けさせ、地面に仕掛けたボムで自身を空中に誘導。そこから加速したボムを放つ事で、相手を動揺させ仕留めるという戦略。仮に失敗しても嗅覚を機能させなくさせ、獣人を相手にする上で厄介な特性を封じた。これまでの一連の流れからベートは獄寺が相当な頭脳の持ち主だという事を悟る。

 普段は喧嘩早く、特定の人物以外には敵意を剥き出しにしている為、誤解されやすいが獄寺は守護者の中で随一の頭脳の持ち主である。

 

「とっと行け。てめぇらにはやる事があんだろ」

 

「……あんた一体、何者だい? 何で私らの味方をする?」

 

 アイシャは主神(ヘルメス)の意向と春姫(妹分)を護る為、そして春姫を救ってくれたツナへの借りを返す為に【ヘスティア・ファミリア】に協力した。

 しかし獄寺は【ヘスティア・ファミリア】とは関係のない人間。故に自分達に味方する理由が分からなかった。

 

「俺達のボスの命令だ。てめぇらを護れってな」

 

「ボス……?」

 

「10代目……沢田さんの事だ」

 

「「「──!?」」」

 

 ここでツナの名前が出てきた事に、春姫、アイシャ、ベートは瞠目する。

 

(春姫が知らない……!?)

 

(知らされてねぇだと……?)

 

 同じ【ファミリア】である、春姫にすら獄寺の存在がを伝えられておらず、アイシャとベートは瞠目した。

 

「そのような話、綱吉様から聞いておりません!!」

 

「こいつらのボスが頭のキレる野郎だから、話せなかったんだよ。俺達の存在がバレれば対策が打たれるからな」

 

 動揺しながら尋ねると春姫の疑問に、獄寺は淡々と答えた。

 

「今、俺の仲間がこいつらの幹部を抑えてる。とっと行け」

 

「で、ですが……」

 

「目的を誤ってんじゃねぇよ。お前の目的はこいつに勝つことじゃねぇだろ。今こうしている間にも、お前の助けを必要としてる奴らがいる筈だ」

 

「っ!?」

 

 フェルズと共にいる異端児(ゼノス)以外は、今だにどこにいるのかが判明していない。その異端児(ゼノス)達の姿が春姫の脳裏に浮かんでいた。

 

「それは俺にできねぇ事だ。だからお前にできねぇ事は俺がやってやる」

 

(こいつ……やっぱり雑魚じゃねぇ……)

 

 端からみれば、全く名の知られていない冒険者がLv.6に挑むという無謀な光景。いつものベートであれば、嘲笑い見下していた。しかし獄寺の目はベートが認めた強者と同じ目をしていた事に気づいた。

 

「行け」

 

「はい」

 

 獄寺の言葉で自分の為すべき事を見据え春姫は、この場を去って行く。

 

(あの目……似てるね……)

 

 戦いの邪魔にならないよう、大朴刀を杖代わりにして離れた場所へと移動するアイシャ。そして獄寺が初めて会った時のツナと同じ目をしていた事をアイシャは思い出す。

 

「これで本気で()れる。後は他の奴らと同じく、てめぇをぶちのめして終わりだ」

 

「思い上がってんじゃねぇぞ。減らず口野郎が」

 

「だったら見せてやるよ。俺達の力をな」

 

 獄寺は着火装置であるパイプに嵐の炎を灯し、ベートは戦闘体勢を取った。

 最初に動いたのはベート。地面に拳を叩きつけると、石片と共に砂塵が舞い、視界が塞がれる。

 

「死ね」

 

 獄寺の上空。ベートは死角から右足による踵落としを放った。

 

「甘ぇよ」

 

「っ!?」

 

 するとシールドが自動に上空に移動。シールドが水平になり、ベートの蹴りを防いだ。破壊する気で攻撃した筈が、壊せなかった事に瞠目する。

 獄寺は嵐の炎だけでなく、雨、晴、雷、雲の5つの波動を持っている。そしてシールドに纏った嵐の炎の上に雨の炎をコーティング。雨の炎の特徴である沈静によっベートの蹴りを弱体化させた上で嵐の炎で弱体化させたのである。

 

「【ロケットボムVer.(バージョン)X(イクス)】」

 

 獄寺がベートの方を向き、ボムに炎を灯すと、上空に向かってボムを投げた。ボムは盾の側面を通って上昇。上空にいるベートに向かって曲がり、挟み込むように移動していく。

 ベートは体を竜巻のように回転させ、蹴りの風圧でボムの軌道を変えた。そして時間差でボムは爆撃する。

 

(スピードに加え、追尾までしてきやがる!!)

 

 ボンゴレギアのボムは威力とスピードの向上に加え、追尾機能が登載されている事を理解したベートはシールドの淵を蹴って一気に地上に急降下。シールドが正面に展開される前に獄寺の背後から奇襲をかけた。

 

「遅ぇよ」

 

「っ!?」

 

 すると獄寺は振り向く事なく、周囲の地面に導火線のないボムが落とされ、ベートは即座に飛び引いて爆発範囲外まで移動した。

 

「【0着火】」

 

 だがボムは爆発する事はなく、代わりに大量の煙幕がボムから噴射され、獄寺の姿が煙幕に包まれた。

 【0着火】。火種なしで炸裂し、大量の煙幕を展開できるボムである。

 すると獄寺の足音が離れて行くのをベートは自身の耳で知覚した。

 

(自分の有利な場所に移動する気か)

 

 ボムの特性上、障害物がある場所の方が真価を発揮する。ベートは煙幕に隠れている間に、ベートの機動力が生かしにくく、死角の多い場所へと移動するのだと推測。ベートは先回りする為に、地を蹴って建物の屋上から獄寺のいる場所へと向かった。

 武装した怪物(モンスター)の始末しに行くのがベートの本来の目的であるが、売られた喧嘩を無視できる程、ベートは器用な男ではない。でなければわざわざ春姫やアイシャを相手にする事せず、目的を最優先に動いていた筈だからである。

 

(あそこか……)

 

 ベートの推測通り、獄寺は細い路地裏にいる事を耳で察知。そのまま屋上から降り、余計な事をされる前に頭上から獄寺に奇襲をかけた。

 

「っ!?」

 

 しかしそこには獄寺の姿はなく、ベートの視界に映ったのは、プロペラのついた飛行する物体に小さな長方形の機械が付属した物であった。

 これはチョイスで使っていた炎の囮にスピーカーを搭載したものである。

 虹の代理戦争でツナ達は囮人形の中に、人形だと悟られないように人形内に心拍数音や声を出すスピーカーと、炎の発生させる装置を仕込む事でバミューダ達を欺く事に成功した。この相手を誘き寄せる戦略が今後、役に立つと考えた獄寺は虹の代理戦争後に、入江正一に頼んで作らせた(ボックス)兵器である。

 事前に獣人の特性を聞いていた獄寺は、この囮に足音を録音しておいた。そして装置を路地裏に移動させ自分が移動しているとベートに錯覚させたのである。火薬で嗅覚を封じ、煙幕で視界を塞いだのはこの為であった。

 

「まんまと引っ掛かったな狼野郎」

 

 すると路地裏の入り口に獄寺は現れた、路地裏にボムを投げ入れた。

 

「【エアーボム】」

 

 するとボムから大量の空気と共と同時に茶色の粉塵が飛び出した。

 

(毒か!?)

 

 粉にまみれたベートはすぐに右腕で口を覆い、左右の壁を蹴りながら屋上へ移動する。

 ベートもまた耐異常の発展アビリティを持っているが、耐異常もステイタスと同じくランクが存在し、同じ毒でも耐異常を持っていてもランクが低くければ毒に犯されてしまう。この茶色の粉が何か分からない以上、引くしかなかった。

 

「毒じゃねぇよ。そいつは餌だ」

 

「っ!?」

 

 獄寺がベートの心中を当てると、ベートのさらに空から導火線の焼き切れる音が聞こえる。上に視線を向けるとそこには嵐の炎を纏った猫がいた。

 

「言った筈だぜ。俺達の力を見せてやるってな」

 

 嵐猫(ガット・テンペスタ)。獄寺の(ボックス)アニマルであり、獄寺は(うり)と命名した。

 

「【瓜ボム】」

 

 すると瓜の体が爆発。瓜が爆発するとは思ってもみなかった為、ベートは爆風で下へ強制的に落とされた。

 【瓜ボム】。爆弾と化した瓜を特攻させる奇襲技である。

 大量の空気が入ったボムを炸裂する【エアーボム】がある。獄寺は【エアーボム】の中に大量のマタタビをあらかじめ仕込んでおき、炸裂する事で大量の空気と共に大量のマタタビを散布した。そこにマタタビの付着したベートを狙った瓜が上空から奇襲を仕掛けたのである。

 SHITT.Pの際は直接、マタタビを仕込んだが接近戦や空中戦を得意とする者を相手にする際は仕込む事は困難である為、【エアーボム】の中に仕込み広範囲に散布させる事でマタタビを付着させる事を獄寺は思いついた。

 

「【ジェットロケットボム】」

 

「っ!?」

 

 すると獄寺のボムが先程よりも何倍も速く加速。そしてさらに先程の何倍もの威力でボムが爆発。路地裏で大量の爆発が発生し、あまりの威力に建物が倒壊した。

 

「瞬時に変わったボムの特性に対応できなかったみてぇだな」

 

 【SISTEMA (スィステーマ) C.(シー)A.(エー)I.(アイ)】はCambio(カンビオ) Arma (アルマ)Istantaneo(イスタントネオ)の略。瞬時武装換装システムを意味する。

 獄寺はあらかじめ用意していたリングに晴の炎を灯し、リングの炎を晴の炎にパイプに着火。そして晴の炎を纏ったボムは、晴の炎の特徴によって活性によってスピードと威力を加速させたのである。

 獄寺が形態変化(カンビオ・フォルマ)してから一番、最初に放ったボンゴレギアのボム。あのボムが獄寺の最速かつ最高威力のボムと錯覚してしまった為、ベートは晴の活性の付与したボムに対応できなかった。

 

(D(デイモン)の野郎に先に使われたのが気に入らねぇがな)

 

 D(デイモン)・スペードとの戦い。その際にD(デイモン)は大空と大地以外の装備を使っていた。その際にボムに雷を纏わせ、嵐と雷の複合併用をしていたのをD(デイモン)の作った幻覚空間から見ていたのを思い出し、獄寺は少しだけ苛立ちを覚えていた。

 

(あ、あの野郎……えげつなさ過ぎる……)

 

 爆発物を大量に持ち歩いているだけでも普通じゃないのに、逃げ場のない路地裏で容赦なく大爆発を発生させた事にアイシャは空いた口が塞がらない状態になっていた。

 

「とっとと起きろ。時間の無駄だ。狼の癖に狸寝入りこいてんじゃねぇ」

 

 瓦礫の下敷きになっているベートに向かって挑発すると、瓦礫が飛び散り、殺意に満ちた目で獄寺の事を見ているベートが現れた。

 

(クソッ!! 嗅覚(はな)に続いて聴覚(みみ)もロクに機能してねぇ!!)

 

 獄寺が狭い通路で大爆発を起こしたのは逃げ場を無くす為だけでなく、爆発の大音響でベートの聴覚を封じるのが目的であった。

 獣人の嗅覚と聴覚に優れている。しかし逆を言えば、普通の人よりも刺激に敏感という事。獄寺は獣人の特性を逆手に取り、嗅覚と聴覚の機能を封じたのである。

 実際にベートの聴覚は、何も聞こえていない訳ではなく、音量と聞こえて来る方向が()(たら)()になっている状態になっていた。

 チョイスでの戦い。獄寺は桔梗の雲桔梗(カンパヌラ・ディ・ヌーヴォラ)によって(ボックス)を封じられ、対抗手段を失った。そのせいでほとんど何もできず敗北した。その経験を生かし、獄寺はベートの嗅覚、聴覚を使えなくさせたのである。

 

(こいつ、何手先まで呼んでやがる……!?)

 

 ベートも決して頭が悪い訳ではない。【ロキ・ファミリア】に入団する前は、【ヴィーザル・ファミリア】という【ファミリア】にて団長を務め、団員達を導いていた経験がある。しかし獄寺はそんな自身をさらに上回る頭脳を持っていた。

 かつてシャマルは言った。獄寺の生きる世界は自分で自分の生き延びる術を見つけられる奴しか生き残れないと。そして生き残る為に習得した技はしぶとく決まる。

 虹の代理戦争で復讐者(ヴィンディチェ)を相手に獄寺は時間稼ぎと、バトラーウォッチを破壊する事に成功した。しかしあれがルールなしの、生きるか死ぬかの戦いであれば死んでいたかもしれなかった。故に獄寺は考えた。またあのような敵が現れた際に、生き残れる為の策を。

 

「どうだ? パワーもスピードも遥か格下にここまでやられた気分は?」

 

「……殺す」

 

「もっとマシな言葉を吐けよ。脳筋が」

 

 額に青筋を浮かべ、目を血走らせるベートに臆する事なく獄寺は淡々と答えた。

 するとベートは魔剣を手に取ると、魔剣の魔力をフロスヴィルトに吸収させると、ベートと両足に雷が付与される。本来は黒いミノタウロスに対して使用する筈の1本であったが、ここまで苔にされて黙っていられる止むなく使用する事を決めた。

 さらに椿が製作した、不壊属性(デュランダル)が付与された双剣を構えると、ベートの姿が一瞬にして消える。ベートの足音だけ響き渡たるも、獄寺は動じず眼球だけを動かす。そして ベートは獄寺の背後から右足を薙ぎ払うと大量の雷が放たれた。獄寺はシールドを全て展開し、雷を防いだ。

 

(喰らいやがれ!!)

 

 だがこれで仕留められるとは思っておらず、シールドと雷がぶつかってる間に、反対方向から現れる。再び右足を薙ぎ払い、獄寺に向かって雷を放った。

 先程の一撃で獄寺はシールドを使った事で、今は無防備状態にある。獄寺は雷に挟まれる形になり、逃げ場を失った。

 

「【エアーボム】」

 

 雷の包囲網が迫る中、獄寺は右手に持ったボムを下に投げつけ、空気の力で空中へと緊急回避した。

 そして獄寺とシールドを分断させ、獄寺を上空に追いやったベートは地面を蹴って上空にいる獄寺に強襲をかけた。

 

「ちっ!!」

 

 獄寺は左手で4本のボムを握り、自身に向かって来るベートに向かってボムを放った。

 

「しゃらくせぇ!!」

 

 迫り来るボムを前にしても、ベートは怯まず椿が製作した双剣でボムを切り裂いた。

 

(小麦粉!?)

 

 しかしボムを切り裂いた瞬間、中から大量の小麦粉が飛び出しベートの体を包んだ。

 

「粉塵爆破って知ってるか?」

 

「っ!?」

 

 獄寺がそう呟いた瞬間、爆発が発生し、ベートの体が爆炎に包まれ、爆風で勢いを失いベートは地面へと落下し、獄寺はリングから炎を噴射して壁を作り、爆発から身を護った。

 粉塵爆破。可燃性の微細な粉、小麦粉、金属粉、炭塵などが空気中に一定濃度で浮遊し、火花や高温面などの着火源によって一瞬で燃え広がる化学現象。獄寺はベートのフロスヴィルトに纏っていた雷を着火材代わりにする事でして粉塵爆破を発生させたのである。

 ボンゴレリングをボンゴレギアに進化させた事で、追尾機能が付与されたボムを手に入れたが、それでも絶対に当たる訳ではない。そこで獄寺は広範囲に展開可能かつ、敵に爆破を浴びせられる可能性を上げる方法を考えた挙げ句、粉塵爆破に辿り着いた。

 死ぬ気の炎は炎自体が破壊力持った生命エネルギーであるが、炎である事には変わりはない。特に死ぬ気の炎による戦いが主流になった今だからこそ、獄寺は使えると確信した。

 

「【サンダーボム】」

 

 今度は雷の炎を纏ったボムが放たれ、爆破と雷がベートが襲った。

 

(体が……!!)

 

 死ぬ気の炎の中でも攻撃性能の高い嵐と雷の炎を同時に喰らった上に、雷によってベートの筋肉が弛緩し体が一瞬、動かなくなる。

 

「クソッ!!」

 

 だがその一瞬の間にもベートの斜め上からボムが迫っていた。ベートは右手で弾いて軌道を反らす。

 

「っ!?」

 

 しかしベートの拳にボムは当たらず、そのままベートは顔面に爆撃を喰らってしまう。

 遠近法を使ったトリック。柿本(かきもと)()(くさ)との戦いで使ってた、通常よりも小さいミニボムを先に放っておき、その後で通常のボムの放つ事で、ミニボムを通常のボムの大きさだと誤認させるトリックである。

 

「クソッ……っ!?」

 

 ベートが再び目を開けると、すると獄寺はホバーに乗り、ボムを持った状態で自身にに特攻する獄寺が間近に迫っていた。

 山本と同じく機動力を失った獄寺は機動力を確保する為に、未来で使っていたホバーの製作をリボーンに依頼し、ボンゴレギアに搭載した。

 ベートは反射的に右ストレートを繰り出すも、急だった事で雑な攻撃になってしまい、獄寺は容易に躱されてしまう。

 

「【ボムスプレッズ】」

 

 獄寺はすれ違い様にボムを放つと、ボムはベートを囲む。

 【ボムスプレッズ】。強化プログラムで獄寺が習得した、相手の近接攻撃を躱すと同時にボムを放つ事で躱す隙すら与えなくさせる技である。

 躱せないと判断したベートは腕をクロスさせ、防御体勢を取った。

 

「【フェイクボム】」

 

 しかしボムが爆発する事はなかった。だが獄寺は冷静さを欠くことなく、(ボックス)を取り出し晴の炎の注入。すると(ボックス)から晴の炎が飛び出し、ベートの体に纏わりつく。

 

「がぁあああああああああああ!!」

 

 そしてベートの全身を激しい痛みが走り、ベートは絶叫を上げた。

 

「てめぇの力で自爆しな」

 

(最初からこれが狙いだったのか……!?)

 

 この(ボックス)の中に入っているのは肉体の活性化に特化させた晴の炎である。晴の炎の特徴である活性によって肉体を強制的に活性化。そして活性の力に耐え切れなくさせ、相手の体をクラッシュさせた。

 ボムを一番、確実に当てるには相手を動かせないようにする事。晴の活性による強化は活性に耐えられる体を持つ者だけ。そうでない者からすれば晴の活性による強化は毒にしかならない。

 未来のメローネ基地での戦いで、未来の了平がバイシャナの(ボックス)兵器である嵐クワガタ(C・V・テンペスタ)を晴の活性で制御不能にし自爆させた。そこから着想を得た戦略である。

 とはいえ神の恩恵(ファルナ)を持つ者。それも6度も器を昇華させたベートに取ってはデメリットではなく、メリットになる可能性があった。さらに基本的に死ぬ気の炎は、波動の強い属性は1つのみで、残りは微弱という特徴がある。その出力を上げる方法はないかと考えた際に、獄寺は未来のγが使っていた炎を蓄積できるバッテリー(ボックス)の存在を思い出し、【ボンゴレ】に製作を依頼。晴の炎をあらかじめ蓄積しておく事で、微弱だった炎の出力を上げる事にも成功した。

 それでも獄寺の晴の炎は蓄積したとはいえ、晴の炎がメイン属性である者に比べれば出力は弱い。故に獄寺はベートにダメージを負わせ、ボムに似せた偽物のボム使用し隙を作った。

 

「【サンダーボム】」

 

 肉体が動なくなったところに、追い討ちで雷の炎を纏ったボムが炸裂。爆発に加え、電流がベートの体の自由を奪う。

 

「【ジェットロケットボム】」

 

 さらに晴の活性によって威力とスピードが強化されたボムがベート襲う。

 

「これでダメ押しだ。【10倍ボム】」

 

 そして雲の炎の纏ったボムが特攻。雲の炎の特徴である増殖によって大量に増えたボムがベートを襲う。

 

(なんて凄まじい攻撃……)

 

 常に攻撃の核となり休む事ない怒涛の嵐。嵐の守護者の使命を果たした獄寺の戦い方にアイシャは、衝撃を隠せないでいた。

 爆煙が晴れるとそこには獄寺の怒涛の爆撃によって全身黒焦げになっているベートの姿があった。

 

「クソが……」

 

 ベートが呟くと、ベートの体が後方にゆっくりと倒れ、そのまま仰向けの状態で倒れた。

 

「【ボンゴレ】舐めんじゃねぇ」

 

 獄寺はボンゴレギアを解除すると、そのままタバコに火を灯すと、そのまま倒れているベートの元へ歩いた。

 

「まだ意識があんのか」

 

 あれだけ攻撃を浴びせたにも関わらず、ベートは殺意満々の目で獄寺の事を睨んでいた。

 ベートのタフさに呆れつつも、獄寺は(ボックス)に晴の炎を注入。そして今度は傷の再生に特化した炎でベートの傷を治す。

 

「何してやがるてめぇ……!?」

 

「見りゃ分かんだろ。てめぇの傷を治したんだよ。つっても俺の炎じゃ全快させんのは無理だったがな」

 

「そういう意味じゃねぇ……何でわざわざ治した聞いてんだよ……!?」

 

「10代目に頼まれてんだよ。お前らをなるべく傷つけないでくれってな。といっても加減が通じる相手じゃない事は10代目が一番分かってたから、こうなる事もわかってただろうがな。だったら治すしかねぇだろ」

 

「っ!!」

 

 獄寺にやられ、やられた相手に治療されただけでも屈辱的にも関わらず、ツナの意図を知って余計に怒りが込み上がった。

 

「怒るなとは言わねぇが、文句は言わせねぇぞ。強者は弱者から奪える。ここで俺がお前を治すも治さないも俺の自由だ。これはお前が周りに押し付けてきた価値観の筈だ」

 

「っ……!!」

 

 ベートは弱者は嘲笑い、罵詈雑言を浴びせ、力で黙らせた。だがそれは弱者が戦場に出て死んで欲しくないという想いがあったから。それでも自分の価値観を押し付けておいて、ここで獄寺の言い分に反論などできる筈もなかった。

 

「何でだ……何でお前はあいつの下につく……?」

 

「どうしようもなかった俺を受け入れてくれたからだ」

 

 獄寺の実家はマフィア。だが城での生活に嫌気が刺し家出した。それから【ファミリー】に入団しようにも誰も受け入れてくれる者はおらず、孤独だった。それからは1匹狼で喧嘩に明け暮れるの日々。さらに自分の命を軽んじている性分であった為、本当にどうしようもない人間だった。

 だが日本でツナと獄寺は出会って変わった。こんな自分を受け入れてくれただけでなく、友達だと言ってくれた。そしてツナだけでなく他にもたくさん仲間ができ、仲間の大切さ、命の大切さなど色んな事を教わり、獄寺は自分達の居場所を護りたいと心の底から思えるようになった。

 

「そしていつだって仲間の身を案じ、誰も失わせない為に、仲間を護る為に戦ってる」

 

「……甘い戯言だ……」

 

 自分が強ければ全てを護れる。ベートはかつてはそう思っていた。しかし自身が強くなっても、一族も、家族も、仲間も、そして自分自身すら護る事はできなかった。だから他者を傷つけて戦いから遠ざける道を選んだ。

 

「だろうな。あの人だってそれを分かってる。けどだからと言って仲間を護る事を絶対に諦めたりはしねぇ」

 

 ツナに取って仲間は何よりも譲れないもの。しかし物語の英雄のようになれないという事はツナ自身も分かっている事も獄寺は理解しているし、ユニとγのように護れなかった者もいた。だがそれでも仲間を護る事をツナは諦めたりはしない事を獄寺は知っていた。

 

「そんな10代目だから俺達は集まった。そんな10代目だから俺達は命を張れる。そんな10代目だから俺は生涯を賭してついて行くと決めた」

 

(……気に入らねぇ)

 

 獄寺の真っ直ぐな瞳。そして穢れなき忠誠心を見て、心の中で悪態を吐きながらも、ベートは思い出す。かつての自分自身を。

 

「この勝負は俺の負けだ。獣化を使わせられないようにはした上に、お前の魔法(・・・・・)を使わせられなかったからな」

 

「なっ……!?」

 

 ベートには魔法が存在する。しかしベートを魔法を使いたがらない。なぜなら詠唱分が己の弱さと、思い出したくない過去を思い出すものであるが故にベートは自ら使用を禁じ、平行詠唱の練習すらしていない。その為、ギルドはおろか少し前まで【ロキ・ファミリア】内ですらベートの魔法の存在を知らない者がほとんどだった。故にツナも知る筈がない為、獄寺が知っている筈がないのである。

 

「だがお前のお陰で俺はまだお前に魔法を使わせられない程、弱いって事が分かった。礼を言うぜ」

 

 そう言うと獄寺はベートから離れ、そのまま去って行った。

 

「クソォオオオオオオオオオ!!」

 

 ベートは許せなかった。獄寺に負けでいいと言わせた自分自身の弱さに。

 

「10代目……」

 

 そんな中、獄寺はツナが戦っているであろう方向を向き、悲しそうな表情を浮かべていた。

 

 

 




正直、この戦いは書くのが難しかったです。
ハティ出したいけど、因縁の相手であるフレイヤ・ファミリアが知らない時点で、抗争で使ってないだろうし……

獣化に関しては話の都合上、霧で月の光で遮らせて、使えなくさせました。といってもこの日が満月かどうかまではよく分からなかったですが……
ただ魔剣を使うのはどうかと思いましたが、でも戦闘の幅を広げる為に必要だったので……

獄寺に関してはボムと炎の複数併用できたら面白いと思って勝手に僕が作りました。といってもすでにデイモンがやってますが……

頭脳派の一面を見せる為にドローンとかバッテリーボックスとか色々とやりたい放題やっちゃいました。なんか獄寺だけ色々と使っちゃってズルい気が……

次は熱き闘志持つ者達、ガレスと了平の戦いです。



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