ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)159 雲()()者vs勇者(フィン)

 

 

 

 

 

 

───フィンサイド

 

(……何者だ?)

 

 突如として現れた謎の青年。フィンは頭の中で現段階の状況と今までの情報を元に、この青年のプロファイリングをするも、正体を暴く事はできなかった。だがトンファーの返り血とラウルへの攻撃。明らかに自分達の敵だと認識したフィンは槍を構えた。

 

「君は一体、何者だい?」

 

「その問いに答える必要はないな。君はここで噛み殺す」

 

 青年が地を蹴って空中に飛ぶと、左手首に装備されたブレスレットが光り輝き、何かが凄まじい勢いでフィンに向かって飛んで行く。フィンは上半身を反らして何かを躱した。

 

(ハリネズミ!?)

 

 上半身を反らした状態で地面を見ると、そこには雲の炎を纏ったハリネズミが地面に突き刺さっており、フィンは瞠目する。

 フィンが瞠目するも、青年は自身の後方で少しだけ膨張し、浮遊しているもう1匹のハリネズミを蹴って空中で加速すると、一気にフィンの間合いに動。そして雲の炎を纏ったトンファーを振り下ろした。フィンは即座に上半身を起こし、槍を水平に構え、トンファーの一撃を防ぐ。

 

「ワオ。いい反応だね」

 

 フィンが自分の予想以上の反応速度を見せた為、青年は笑みを浮かべた。

 

「……君は沢田綱吉の仲間かい?」

 

 炎を纏った動物、武器に炎を纏わせる力。ツナと似た力を持っている事から、フィンは青年がツナと関係していると推測した。

 

「仲間? 違うね。沢田綱吉は噛み殺すべき獲物以外の何者でもない」

 

 ()(ばり)(きょう)()。10代目【ファミリー】の雲の守護者。並盛の不良の頂点に君臨しながら、風紀委員長という肩書きを持っている異色の男。好戦的で群れる事を嫌い、基本的に仲間意識は無く、ツナ達の事も獲物としか思っていない。しかしその実力は本物であり、ツナの守護者の中で最強の戦闘力を持っておりいる。その強さは【ボンゴレ】の歴史の中でも群を抜いており、他人に憑依し、誰よりも【ボンゴレ】の歴史を間近で見てきたD(デイモン)曰く、【ボンゴレ】歴史の中でも数える程しかいない破格の戦闘力を持つ逸材であるという。

 雲の守護者の使命。何物にも囚われる事なく独自の立場から【ファミリー】を守護する孤高の浮雲。この使命を体現できる者は他にいない為、雲雀は雲の守護者として選ばれた。ただし当の本人はこの肩書きを嫌っている。

 

「っ!?」

 

 フィンの親指が危険を察知し疼く。すると後方の地面にめり込んだ、ハリネズミが膨張し巨大化していく。フィンは後方に飛び引くと同時に、迫り来る針を足場にしてハリネズミの上に移動した。

 雲ハリネズミ(ポルコスピーノ・ヌーヴォラ)。雲雀の(ボックス)アニマルである。雲雀はロールと名付けた。

 ロールは雲属性の特徴である増殖によって自身の体を大きさを膨らませる事ができる。これを雲雀は(きゅう)針体(しんたい)と呼称している。

 またロールは増殖の力で自身の数を増やす事もできる。先程、雲雀の後方に現れたのは増殖によって増えたもう1匹のロールである。

 

(ここで戦うのは不味い……)

 

 今いる拠点はダイダロスが見渡せる高所の建物の上である為、逃げ場が少ない。拠点を勝手に離れてしまえば団員達との情報の共有ができなくなってしまうが、このままでは意識を失った、ラウルが戦いに巻き込まれる事を危惧したフィンは屋上から飛び降り地面に着地した。

 フィンと同じく、雲雀も建物から飛び降りる。そして雲の炎によってロールを何体にも増やすと、全てのロールを球針体にし、足場代わりにし地面に着地した。

 

「ロール。形態変化(カンビオ・フォルマ)

 

 フィンが飛び降りた後、雲雀はロールを元の大きさに戻すとロールを形態変化(カンビオ・フォルマ)させると雲雀の体に【ボンゴレ】の紋章が浮かび、雲雀の服装が改造長ランに変化し、トンファーにアーマーを取り付けられた。

 

「僕は頭のいい人間が嫌いでね。君に個人的な恨みはないけど、這いつくばらせたくなる」

 

(なんて殺気だ……!?)

 

 今まで抑えていた殺気を解放する雲雀。あまりの殺気にフィンの体が全身が鳥肌が立った。

 

「さぁ。始めようか天才君」

 

 そして雲雀の姿が消え、フィンの間合いへと一瞬にして消える。フィンは槍を薙ぎ払うが、雲雀は一瞬にしてフィンの背後に移動して躱した。

 

「っ!!」

 

 背後から奇襲を仕掛けようとした矢先、薙ぎ払ったフィンの槍が背後に移動した、雲雀の両足に穂先が向かって行き、雲雀は瞠目しつつも地を蹴って上空に回避する。

 ロールを使われる前にフィンは即座に空中にいる、雲雀へと最速の平突きを繰り出した。雲雀は左足で槍を蹴り上げて、槍の軌道を上へ反らした。

 

「っ!?」

 

 雲雀は右足の靴裏を地上にいるフィンに向けると、靴裏から針が飛び出し、雲属性の増殖によって、そのまま地上にいるフィンへと一直線に伸びる。フィンは飛び引いて躱す。

 雲雀は右手のトンファーの下部の先端から鎖分銅のついたチェーンが伸びていくが、フィンは槍を地面に突き刺して急ブレーキをかけると同時に、槍の持ち手でチェーンを防いだ。

 そしてフィンの着地する瞬間を狙って、雲雀がフィンの間合いに入り、左手のトンファーを薙ぎ払った。

 

「くっ!!」

 

 焦りながらもフィンは槍から手を離し、落下する事で地面にトンファーの一撃を躱した。

 雲雀は落下するフィンに向かって、右足による膝蹴りを放ったが、フィンは左の足裏で膝蹴りを防ぐ。そして右手で槍を握り引き抜き、水平にすると槍をプロペラのように回転させた。

 雲雀は咄嗟に上半身を傾け、切断機と化した槍の猛攻を躱した。雲雀が上半身を元に戻すも、視線の先にはフィンの姿はなかった。

 すると雲雀の頭上から上空から奇襲を仕掛けようとしているフィンの姿があり、フィンは体を縦方向に回転させながら勢いよく落下する。

 

「大した事ないね」

 

 雲雀が右手に握られたトンファーを頭上で水平に構える。その直後、上空からフィンが槍を振り下ろしながら落下。トンファーと槍がぶつかり火花を散らす。

 雲雀が上半身を反らした事で、視界が上空に向けられた。雲雀が上半身を起こすタイミングを見計らって、フィンは上空へ飛び、自身の存在を隠蔽したのである。

 しかしこのフィンの戦法も雲雀は即座に対応。すると左のトンファーの上部の先端をフィンに向けた。

 

「っ!?」

 

 親指が危険を感知し、フィンは咄嗟に雲雀の右腕を蹴って移動。その直後、トンファーの先端から極太の針が飛び出した。

 地上に降り立つとフィンは地を蹴り、敏捷のステイタスをフルに発揮して雲雀に襲いかかる。同じく雲雀も常人離れした脚力で移動。超高速戦闘が始まり、トンファーと槍がぶつかり合う音だけが響く。

 

(強い……!!)

 

 何十年と鍛え上げた戦闘技術と経験、常人離れした頭脳、親指の疼きを屈指しても、雲雀にダメージを与えるどころか、隙を作る事すら叶わなかった。

 

「もう見飽きたよ。君の小細工は」

 

「がっ……!?」

 

 自身に向かって迫り来る槍を右足で踏み、武器を通じてフィンの動きを封じると、雲雀は右のトンファーからチェーンを解放。チェーンの先端の鎖分銅がフィンの額に直撃。そこから雲雀はフィンの顎に左足による膝蹴りを喰らわせ、そこからさらに右足によるハイキックを喰らわせ、フィンを上空に蹴り飛ばした。

 

「ガハッ!?」

 

 二段蹴りを喰らわせた後、雲雀は地を蹴って上空に移動すると、左のトンファーを薙ぎ払い、フィンを地面に叩きつけた。

 

「興醒めだね。そろそろ終わりにしよう」

 

(……魔法を使わなければ負ける!!)

 

 つまらなさそうな表情を浮かべながら、雲雀は先程、放ったチェーンを元に戻した。

 戦いが始まって数分たらずで自身の動きが見切られ、追い詰められていた。フィンが焦りを覚える一方で、雲雀はまだまだ余裕な様子。このまま戦っても倒されるのは時間の問題。であれば魔法で己自身を強化するしか勝ち筋はなかった。

 

(同じ轍を踏む訳にはいかない!!)

 

 少し前の闇派閥(イヴィルス)との戦い。フィンの前に強敵が現れ、魔法を使わざる得ない状況に追い込まれた。しかし団員達が自分が指揮を受けられなくなる事を恐れ、魔法を使用するかどうか迷った。だがその一瞬の迷いが隙を産み、フィンは致命傷を喰らって生死の淵をさ迷い、団員達は自分の指揮を受けられなくった上に士気も下がり、犠牲者を出す羽目になってしまった。故に同じ過ちを繰り返す訳にはいかず、魔法の行使を即座に決断する。

 

「【魔槍よ、血を捧げし我が額を穿て】」

 

 フィンが詠唱すると、右手の親指が深紅へと染まる。そして親指を額に押し付けた。

 

「【ヘル・フィネガス】!!」

 

「っ!?」

 

 フィンの瞳が碧眼から深紅へと変貌。フィンは槍を捨て、凄まじい勢いで雲雀に特攻しながら左ストレートが放った。雲雀は右のトンファーに炎を集中させ防御力を高めるも、で防ぐも、圧倒的なパワーによる衝撃によって、雲雀は凄まじい勢いで吹き飛ばされた。

 

「がぁあああああああ!!」

 

 明らかに普通ではないフィンを見て、雲雀は移動ルートを絞る為に周囲に大量のロールを展開する。

 

「っ!?」

 

 だがフィンはダメージを受ける事も厭わず、ロールを殴り飛ばしながら雲雀に向かって特攻した。流石の雲雀もこれには瞠目せざる得なかったが、それでも雲雀は右手のトンファーの先端から針を伸ばした。

 

「っ!?」

 

 だがフィンは針の先端を噛み砕き破壊。雲雀が再び、瞠目したのも束の間。フィンが折れた針を掴むと、そのまま体を回転させ、遠心力を利用して、雲雀を上空に投げ飛ばした。

 

「くっ!!」

 

 投げ飛ばした雲雀の頭上に一瞬にして移動すると、フィンはそこから右ストレートが放ち、雲雀は右のトンファーで防ぐも、そのまま地面に叩きつけられた。

 だがフィンの攻撃はこれで終わらず、右足を天に掲げ、そのまま倒れているフィンに向かって踵落としを放った。

 雲雀は倒れた状態のまま、転がり踵落としを回避。そして地面にクレーターが発生した。

 

「っ!?」

 

 だがフィンの両足に手錠が取り付けられた。フィンは手錠を破壊しようと、手を伸ばす。

 

「遅いよ」

 

 すると手錠が次々に増えていき、一瞬にしてフィンの全身を拘束していく。

 この手錠は元は某国の諜報機関のトップであり、【ボンゴレファミリー】の初代雲の守護者にして、ボンゴレⅠ世(プリーモ)からⅡ世(セコーンド)へ移り変わる時代に、ボンゴレⅠ世(プリーモ)自身が、ボスの権力を分散するために作られた組織、ボンゴレ門外顧問組織、【CHDEF】の初代ボスであったアラウディが使っていた手錠である。

 アラウディは1人でいる事を好み、【ファミリー】と足並みを揃える事はなかったが、Ⅰ世(プリーモ)と己の正義が重なった際は誰よりも多くの敵を倒し、誰よりも味方に優しかったと言われている。

 

「がぁあああああああああ!!」

 

 すると拘束具と化した手錠から収縮し、フィンの体を締め上げる。フィンは必死に足掻くも、全身を拘束させられたせいで力を発揮する事ができず、絶叫を上げる事しかできなかった。

 ついに体が拘束に耐えられなくなり、フィンは全身から血を噴射させる。そして魔法の効果を維持できなくなり、フィンの瞳が深紅から碧眼へと戻る。

 

「思ったよりは楽しめたよ」

 

 戦った感想を呟くと雲雀は拘束を解除し、そのまま去って行った。しかしフィンは意識はすでに失われており返事をする事はおろか体を動かす事はできないでいたのであった。

 

 

 




という訳で女性冒険者から人気が高いフィンと夢女子を量産した雲雀との戦いでした。僕は男な上リボーンは連載が終わった後にハマったので、今イチ当時の反応は知らないのですが……黒歴史だった方は申し訳ございません。

そう言えば、とあるVtuberが最近、リボーンにハマったらしく、山本が好きだと公言していたようです。ちょっと利用規約に引っ掛かる可能性があるので、名前は出せませんが……リボーンについて語る配信やってくれないかなー。


次回は体術使いであるティオナvs幻術使いのクロームの戦いです。まだ出てないあの男も出るのでお楽しみに。


X(旧Twitter)→https://twitter.com/husuikaduti

評価→https://syosetu.org/?mode=review&nid=340850

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