ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
襲撃にあったその夜。あれからツナたちは無事にファミリアに戻る。
「遠征まで後3日か……」
ここはアイズの所属する【ロキ・ファミリア】の
彼の名はフィン・ディムナ。【ロキ・ファミリア】の団長であり、【
高いカリスマ性・統率力・指揮能力を持ち、団員達からの信頼は非常に厚い。自分が先頭に立って周囲を鼓舞するのを得意とする事から、仲間の士気を高める天才と称されている。
「どうしたフィン。急に呟いて」
フィンの発言に対して緑色のロングヘアーのエルフの女性が反応する。
彼女の名はリヴェリア・リヨス・アールヴ。【ロキ・ファミリア】の最古参のメンバーであると同時に副団長でもある。都市最強の魔導士であり、【ファミリア】では母親的な存在であり二つ名は【
リヴェリアはエルフの王族、ハイエルフである。ハイエルフは神以上の存在なので、世界中のエルフから崇拝されている。リヴェリアに手をあげるようなことがあれば、全てのエルフを敵に回す事になる。
もっともリヴェリア自身は、自分を王族として扱われる事をよく思っておらず、エルフ達の自分に対する態度にかなりうんざりしている。その為、自分の事を王族として扱うなと周囲によく言っているのだが、全く改善されず呆れている。
「いや……今回の遠征。本当に最善を尽くすことができているのかと思ってね。なんせ今回、目指すのは59階層だからね」
「気持ちはわかるが【ファミリア】の選りすぐりのメンバー。【ヘファイストス・ファミリア】に依頼した
茶髪の髪に茶髪の髭を蓄えたがたいのいい中年の男がフィンの言葉に反応する。
彼の名はガレス・ランドロック。【ロキ・ファミリア】最古参のメンバーの1人であり、豪快な性格と戦い振りから、二つ名は【重傑(エルガルム)】。その力はオラリオでも1、2位を争うと言われている。
彼はドワーフという種族である。ドワーフは身体能力に優れており、筋肉質な体格で普通の人より少し背丈が低く、他の種族よりも力に特化している種族である。
「【フレイヤ・ファミリア】が協力してくれればいいんだけどねぇ」
フィンは溜め息をつき、顎に手を当て右肘を机につきながら呟いた。
【フレイヤ・ファミリア】とは【ロキ・ファミリア】と対を成す都市最強の【ファミリア】のことである。
「無理な話だな。奴らは我々に敵意以外の感情を持ち合わせていない。奴らは女神フレイヤの命令がない限り、協力はしてくれないだろう。その女神も我々に協力してくれるような神じゃない」
「協力してくれたとて奴らと一緒に戦うなんぞ無理な話じゃろう。女神の命令があったところで今までの因縁が消える訳じゃないしのう。むしろ協力してくれてもマイナスしかならん。暗黒期程の出来事がない限り、奴らと協力するなんてのは無理な話だのう」
「だよね……」
フィンの話を聞いてもリヴェリアとガレスは検討することもなくフィンの意見を却下する。フィンもこの反応が予想できたのか、再び溜め息をついた。
「全く心配するなと言っても無理だろうが、若い連中も育ってきている。奴らと共にいれば辿りつける。違うかのう?」
「みんなを信じていない訳じゃないんだけどね……それでも少しでもいい方法がないかって模索してしまうんだ……」
ガレスの言い分はわかっている。しかし頭ではわかっていても、考えることを止めようと思っても、フィンは考えることを止めるどころか余計に考えてしまうのである。
「まぁガレスの言う若い連中は遠征前だというのに、張り切り過ぎて鍛練に勤んでいる者が多くて困っているがな……」
「こればかりは仕方がないさ。みんな遠征を成功させようと必死なのさ」
「それはわかっている……だが気合いを入れすぎて空回りするんじゃないかと心配でな……」
「ティオネにティオナ。ベートも裏でコソコソと鍛練しているようじゃしのう……」
「全く……幹部としての自覚を持って欲しいのだがな……」
近頃の【ファミリア】の近況について話し、ガレスとリヴェリアは頭を悩ませていた。そんな2人を見てフィンは苦笑していた。
「そういえば。近頃アイズの奴の様子がおかしいと耳にしたんじゃが……」
「様子がおかしい?」
「ああ。ここ最近、朝早く出掛けておるらしくてな」
「アイズも我々のいないとこで鍛練していたか……まぁアイズらしいと言えばそれまでだが……」
ガレスからアイズの話を聞いて、リヴェリアはアイズが何をしているのかすぐに理解し、額に右手を当てながら呆れてしまっていた。
「リヴェリアの言う通り鍛練してるんじゃろうが、どうも毎日、相当疲れた様子で帰って来るらしい。ただ何やらブツブツと呟いておるらしくってのう」
「呟く? 何をだい?」
「詳しくは知らんが……ただ明日こそ絶対に勝つと言っておったらしい。それが何を意味するのか……詳しく聞こうにも怖くて聞くどころか近寄ることも叶わんらしい」
「明日は勝つ……眷属同士で特訓でもしているのか? いや……それだったら誰かが知っているはずか……ならばダンジョン……だがダンジョンならそんなにすぐに帰って来れない……ダンジョンだったとして、それ程の相手なら疲れるだけで済むはずがない……」
リヴェリアは顎に手を当ててアイズが何をしているのか考えるが、どれも決め手に欠ける為、結論はでなかった。
「後は他派閥と戦っているかだね」
「「っ!?」」
フィンがアイズが何をしているのか予測する。フィンの言葉を聞いてリヴェリアとガレスは顔色を変える。
「確かにそれなら辻褄は合うが……しかしアイズとまともに戦える相手などそうはいない……いるとすれば【フレイヤ・ファミリア】の眷属だが、奴らが戦ってくれる訳がない……」
「戦ってくれたとしても、奴らと戦って無事に済むはずがない。ではアイズは何と戦っておるんじゃ……?」
アイズが戦っている相手が全く予想できず、リヴェリアとガレスは頭を悩ませる。
「答えはアイズが朝早くどこに向かっているのかを調べればわかるよ」
「それはそうじゃが……仮に他派閥と関わっているのならアイズは何も言わんだろうし。ロキなら嘘を見破れるがアイズが他派閥と関わってると知れれば何をしでかすかわからんからのう」
「ならばアイズを尾行して調べるしかないが……アイズに気配を気取られずに尾行できる者など限られてくる。それにアイズがもし他派閥と関わっていたらロキ程じゃなくともショックを受ける者もいるぞ」
アイズを調べようにも様々な弊害が生じる。故にガレスとリヴェリアは頭を悩ませていた。
「僕が行こう。最近、体をあまり動かしていないから体が鈍っていてね」
フィンが右手で左肩を掴み、首を左右に傾けるとポキポキと音を鳴らしながら答えた。
「確かにお前程の適任はいないな。全く……フィンの手を煩わせるとは……アイズの奴め……」
「あの頃のアイズに比べたらまだマシさ。それよりもこのことは内密に頼む。特にロキには気づかれないようにね」
「やれやれ……それはそれで大変だな……」
「全くじゃわい……」