ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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ようやく夏バテから回復して、書けるようになりました。


標的(ターゲット)166 未完の新人(ベル・クラネル)vs雷光(アステリオス)

 

 

 

 

 

 民衆、冒険者、神。オラリオ中を熱狂させる戦いが。前世からの因縁の戦いが始まった。

 ベルを倒す為にアステリオスは死力を尽くしている為、アステリオスは周りの被害の事は微塵も考えていない。故にベルは他者への被害が少なくできる上に、おもいっきり戦える場所、バベルのある中央広場(セントラルパーク)へと戦いの舞台を移す。

 

「おおおおおおおおおおおおお!!」

 

「オオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 ベルのナイフとアステリオスの両手斧(ラビュリス)が激しくぶつかり合う音と互いの雄叫びが響き渡る。オラリオ中が熱狂していたが、戦いに全神経を集中してる2人の耳には歓声は一切、聞こえていなかった。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

 ベルは零距離から魔法を連射。アステリオスの上半身に魔法が直撃を喰らうも、全く堪える事はなく、両手斧(ラビュリス)を振り下ろす。

 

「っ!!」

 

 ベルは牛若丸でアステリオスの一撃を受け取るも、アステリオスの圧倒的のパワーに牛若丸が耐えられず砕け散る。

 するとタイミングを見計らったかのように上空から大剣が回転しながら落下するのをベルは視界に捉えた。普通であれば違和感を覚えるであろうが、今は極限の命のやり取りの最中。ベルは魔法を地面に撃って上空に飛ぶと、大剣を迷う事なくキャッチ。そのまま空中から大剣によるラッシュも放つもアステリオスは難なくベルの斬撃を防ぐ。

 

(強い……!!)

 

 アイズによって左腕を失い、瀕死の重傷であるにも関わらずアステリオスは圧倒的な力で全てを打ち砕かれる。仮に万全の状態であれば瞬殺されて終わっていたとベルは理解させられる。だがベルは恐怖で臆する事も絶望する事はなく、不敵な笑みを浮かべていた。それどころか闘争心がさらに増すばかりであった。

 一方でアステリオスもベルと同じく不敵な笑みを浮かべていた。

 この戦いが始まってから、ここに来るまでアステリオスは何人もの冒険者達と戦い、全て返り討ちにした。だがベルと同じ格好をしているだけで自分を満足させる者は1人としていなかった。

 目の前にいるベルは先日、戦った【ロキ・ファミリア】と比べれば天と地の程の実力差がある。にも関わらずアステリオスの闘争本能は煮えたぎっていた。

 

(この者が……)

 

(この怪物(ひと)が……)

 

((好敵手!!))

 

 両者共にこの世に生を受けてから、ここまで血が滾った事などなかった。故に今戦っている相手こそ紛うことなき好敵手だと確信していた。オラリオ中の熱狂よりも2人の心の方が誰よりも熱狂していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────バベル最上階

 

「これは誰かが定めた運命? それとも単なる奇跡? どちらにせよ、感謝するわ」

 

 バベルからフレイヤは恍惚の表情を浮かべながらベルとアステリオスとの戦いの行く末を見守っていた。

 ベルが名声が地に落ちたと知ってもフレイヤはベルがまた奇跡を起こす事を確信していた。だがベルはまたフレイヤの予想をも遥かに越える奇跡を起こした。愛しきベルがまた英雄へと近づいた事でフレイヤのベルに対しての執着心がより一層、強くなっていた。

 

「また(・・)この戦いを目にできるなんて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ベルサイド

 

(勝ちたい!!)

 

 偽善者と呼ばれ、オラリオ中から非難され、憧憬であるアイズと敵対しベルの心はボロボロになった。だがこの熱き死闘がベルの迷いや弱りきった心を払拭した。

 

(英雄になりたい!!)

 

 もう誰に何と言われようと構わない。アステリオスに勝ちたい。いかなる逆境に立たされようとも立ち上がり、足掻き続け、大切なものを護れる存在に。英雄になりたいとベルは心の底から思った。

 そしてアステリオスが両手斧(ラビュリス)を薙ぎ払う。

 

「っ!?」

 

 アステリオスの視界からベルの姿が消える。だがすぐにアステリオスは視線を後方に移す。そこには水平となった両手斧(ラビュリス)の上に乗り、右手の掌を向けているベルの姿があった。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

 ベルはアステリオスの顔面に向かって魔法を六連射。顔面に魔法に直撃によりアステリオスの視界が塞がれる。

 生前のアステリオスにも使った相手の視覚を奪う手段。前世よりも強くなろうとも、視覚を鍛える事ができない事は変わらない。

 

「あぁあああああああああ!!」

 

 ベルは両手斧(ラビュリス)の上から降り、アステリオスの背後に回ると大剣を縦横無尽に振り回し、アステリオスの背中と両足に斬撃を喰らわせた。

 視界を奪われたアステリオスは両手斧(ラビュリス)をなりふり構わず振り回す。ベルは飛び引いて躱す。

 そこから再びベルのアステリオスとの斬撃の応酬が始まる。

 

(倒せない!!)

 

 ベルの攻撃で初めてアステリオスが損傷を負った。しかしベルは勝ちを微塵も確信していなかった。アステリオスの両足に斬撃を浴びせ、機動力を弱体化させたが、それでもこのまま長期戦になれば勝ち目はないのは明白だった。

 

(だったら!!)

 

 弱体化しているとはいえアステリオスが圧倒的な耐久と力の権化である事には変わりはなく、このまま普通に斬撃を喰らわせ続けても決定打にはならない上に、アイズの時のようにダメージを受ける事を前提とした戦法は成立しない。であればベルに残されたのは【英雄願望(アルゴノゥト)】による一撃に全てを賭けるしか選択肢しかなかった。

 

(でもそれだけで勝てるのか……!?)

 

 相手はベルが今まで戦ってきた怪物(モンスター)の中で最強の怪物(モンスター)にして最強の異端児(ゼノス)。英雄の一撃を放つだけで本当に勝てるのかという疑念がベルの中に生まれる。

 

(っ!!)

 

 だがその時、ベルの脳内にとある光景が思い浮かび瞠目する。

 

(でも上手く行くのか⋯⋯!?)

 

 大剣を見つけるベル。何を思いついたようだが、成功するのかどうか分からず自信が持てないでいた。

 

『後は迷わないこと、後悔しないこと、自分の力を信じることだ。俺は死ぬ気を繰り返す度に自分の知らない自分に出会い、そしてこれが本当の自分だと俺は確信したんだ。これが本当の死ぬ気だってな』

 

 市壁の上でのツナが語った言葉がベルの脳裏で再生された。そしてこのツナの言葉がベルの迷いを払拭した。

 するとベルは地を蹴り、上空からアステリオスに向かって大剣を振り下ろした。だがアステリオスは両手斧(ラビュリス)を下から振り上げお互いの武器が激突し火花を散らす。しかしパワーは圧倒的なアステリオスのパワーに叶う訳もなくベルは凄まじい勢いで遥か上空へと飛ばされてしまう。

 

「【ファイアボルト】」

 

 だがベルは取り乱すことなく、空中で体勢を整える。すると刀身が白く染まる。そして空中からオラリオ中に鐘の音が響き始める。

 

(なんて衝撃⋯⋯!!)

 

 身体が無傷だったものの、それでもアステリオスのパワーの余波がベルの全身に走る。

 

「【ファイアボルト】」

 

 ベルは冷静さを失うことなく大剣に向かってが魔法を放った(・・・・・・・・・・・・・・)。すると白く染まっていた大剣に炎が付与された。

 

(上手くいった!!)

 

 ベルは大剣に炎を纏わせることで斬撃と魔法の威力を【英雄願望(アルゴノゥト)】にて同時に強化する事で今までにない威力を持った斬撃を放つことができるのではないかと推測した。

 しかし一方で【英雄願望(アルゴノゥト)】は戦況を覆す強化なスキルではあるものの、その代償として真価を発揮するには時間を要さねばならない。最強の異端児(ゼノス)たるアステリオス相手ではその時間を稼ぎのは困難を極める。

 そこでベルはアステリオスの圧倒的なパワーを逆手に取り、わざと真正面から、それも逃げ場のない上空から斬りかかることで自身を遥か上空に吹き飛ばされるように仕向けた。全ては【英雄願望(アルゴノゥト)】の真価を発揮する時間を稼ぐ出す為に。

 

「勝負だ」

 

 極限の命のやり取りの中で稼いだ20秒分の蓄積(チャージ)。ベルは落下しながら両手で大剣を握り、大剣を振り下ろす体勢を取ると地上にいるアステリオスを見据える。

 【英雄願望(アルゴノゥト)】の発動条件は英雄を思い浮かべること。ベルの脳裏には浮かんでいたのは神々が地上に降臨する前に王国に巣食うミノタウロスを倒し、始まりの英雄と呼ばれたアルゴノゥト。

 そしてもう1人。

 

(ありがとうツナ)

 

 両手に炎を纏い、空中を自由自在に飛び回り、圧倒的な強さを誇る【ファミリア】の仲間である沢田綱吉。ツナが炎を纏って戦っている姿を見てきたからこそ、ベルは斬撃と魔法の同時強化を思いついたのである。

 

(それでこそ我が好敵手!!)

 

 自身のパワーを逆手に取る事で切り札を放つ為の時間を稼ぎ、遥か上空から落下の勢いを利用することで威力をさらに底上げ。自分の予想を上回るベルにアステリオスは不敵な笑みを浮かべる。

 そしてアステリオスは逃げることなく、ベルの最大の一撃を真っ向から迎え撃つ為に迎撃体勢を取った。

 

「聖火の英斬(アルゴ・ウェスタ)!!」

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 ベルの大剣による最大の一撃とアステリオスの両手斧(ラビュリス)による一撃が激突する。

 

「オオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 両手斧(ラビュリス)が砕け、アステリオスの上半身にベルの一閃が深く刻まれ、大量の鮮血が舞い、アステリオスの上半身が仰け反る。

 だが

 

「っ!?」

 

 しかしアステリオスの両目が見開かれ、瞬時に上体を起こすとベルの顔面を鷲掴みにすると、そのまま次々に建物を突き破りながら走り出す。ベルは成す術もなく、そのままバベルを突き破り、地下へと続く螺旋階段の上空から圧倒的な腕力で投擲、ダンジョンの入り口の地面に叩き落とされ巨大なクレーターが発生させた。

 

「ガハッ⋯⋯!?」

 

 地面に叩きつけられた吐血するベル。意識は失わなかったものの、ダメージは深刻であり自力で立つことは叶わなかった。

 そして時間差でアステリオスが空中から倒れたベルの元へと降り立った。

 

「これで1勝1敗」

 

 倒れるベルを見下ろしながら、決闘を制したアステリオスは呟いた。

 

「次だ。次こそ決着を」

 

 笑みを浮かべながらそう言うと、アステリオスはそのままダンジョンへと去って行った。

 

「敗けたんだ⋯⋯」

 

 ベルの視界からアステリオスの姿が消え、ようやくベルは自分が負けたのだということを自覚する。

 

「異端児(ゼノス)のみんなは⋯⋯グロスさん達は助かったのかな⋯⋯」

 

 異端児(ゼノス)達の心配するベルであったが、立ち上がることすらできない為、ヘスティア達が救出してくれたと信じるしかなかった。

 

「これで良かったんだ⋯⋯敗けて良かったんだ⋯⋯」

 

 アステリオスを勝つ為に己の最大一撃を繰り出すしなかった。だが勝ってしまえばアステリオスは死に、二度とリド達今生の別れを告げることになっていた。

 しかしベルの言葉瞳から溢れんばかりの涙が溢れていた。

 

「嘘だ⋯⋯そんなの嘘だ⋯⋯」

 

 本当は悔しくて悔しくて仕方がなかった。己の全てを賭してもアステリオスに勝つことができなかったことが。

 

「う、あ、あああああああああああ⋯⋯!!」

 

 その後、ダンジョンにベルの慟哭(どうこく)が響き渡った。だがこの戦いがベルを大きく成長させたのだった。

 

 




本来なら聖火の英斬(アルゴ・ウェスタ)はここでは出ませんが出しちゃいました。でも守護者バトルと同じくらいやりたかった展開でした。

さて今度はツナのバトルパートです。ツナとあいつが戦います。


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