ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
ダイダロス攻防戦から2日後。
【ヘスティア・ファミリア】の【竈の館】では。
「集まったか」
ここはダイニングルームの。何枚も座布団を重ねたダイニングテーブルの椅子に、胡座をかいた状態で座ったリボーン。その視線の先にはツナ以外のメンバーが座っていた。
「色々とあった後で集まってもらって悪いなお前ら」
「それはいいけどよ⋯⋯」
騒動の疲れが完全に抜けきっていない状態で招集に応じさせたことを謝るリボーン。だがそんなことよりもヴェルフはリボーンが神妙な面持ちであることが気になって仕方がなかった。
「それに話というなら沢田殿も⋯⋯」
「問題ねぇ。ツナは今から俺がする話をしに【ガネーシャ・ファミリア】に行ったからな」
ツナがいないのに話を始めることに命は抵抗も覚えるも、リボーンが杞憂を取り払った。
「それで話というのは何ですかリボーン様?」
「俺達の正体についてだ」
「っ!?」
リリが自分達を集めた理由を尋ねる。ついにリボーンが自分達の正体について明かすと知ってベルだけは瞠目していた。
一方でベルとヘスティア以外はなぜこのタイミングでリボーンが正体を分からず困惑していた。
「今回の作戦。お前らに秘密で俺達の仲間を向かわせた。流石に隠し通す訳にはいかねぇと思ってな」
「確かに驚きましたが⋯⋯作戦を成功する為だったのですよね?」
相手にツナの仲間達の存在を知られないだということ、ツナの仲間がいなければ【ロキ・ファミリア】の幹部人を退くことはできなかった。春姫と同じくそのことを理解していた為、誰も責める者はいなかった。
「まぁな。だがそれとは別にお前達に隠していたことがある。それを話す上で俺達の正体を話す必要があるんだ」
「今からリボーン君が言うことは到底、信じられないことだけど全て事実だ。そして他言無用しないことを約束してくれ」
ヘスティアが真剣な眼差しで告げると、ベル以外は困惑しつつも首を縦に振って意思表示した。
「結論から言うぞ。俺達はこの世界の人間じゃねぇ。俺達はこの世界から別世界から来た人間だ」
ついに正体を明かすリボーン。しかしベルとヘスティア以外はリボーンの言いたいことが理解できず思考が停止してしまっていた。
「信じられねぇのは無理もねぇ」
こうなることは想定内であり、リボーンは懐からリングをヘスティア以外に配った。
「そのリングを指に装着して、覚悟を示せ。覚悟を炎にするイメージだ。動機は何でもいい」
リボーンの真意が分からず困惑しつつも、リボーンの言う通りベル達は覚悟を示した。
「───っ!?」
するとベルは雷。リリは霧。ヴェルフは嵐。命は雨。春姫は晴。各々のリングに炎が灯る。
ツナが使っている炎が自分にも使えたことに一同は瞠目する。
「そいつは死ぬ気の炎つってな、人間の生命エネルギーを可視化したもんだ。炎を灯す為のリングと炎を灯すだけの覚悟さえあれば誰でも使える力だ」
死ぬ気の炎について説明するリボーン。しかし誰でも使えるということ、そして
「死ぬ気の炎には大空、嵐、雨、雷、晴、雲、霧の7つの属性がある。属性によってそれぞれの特徴があるんだ。大空は調和、嵐は分解、雨は鎮静、晴は活性、雷は硬化、雲は増殖、霧は構築って言う風にな。基本的に使える属性は1つ。稀に複数の属性を使える奴もいるがな。ただ属性は選べねぇ。ちなみにツナは全部、使えるがあれはスキルの力だ。
属性について説明するリボーン。
「つまりだ。俺達が今まで正体を秘密にしてたのは、この力の存在を隠す為でもあったんだ」
「隠すのも無理もないぜ⋯⋯この力の存在が知って都市外の国が黙っている訳がねぇ⋯⋯少なくともラキアは絶対に戦争の道具に使う⋯⋯」
ラキアという軍事国家出身であるヴェルフは、この力が知られた際の最悪のシナリオが瞬時に浮かぶ。
「ですが⋯⋯これなら沢田殿達の名が今まで知られていないことにも納得できます⋯⋯」
あれだけの力を持っていながら、今の今までツナ達の存在が周知されていなかった理由命を理解する。
「⋯⋯なら綱吉様の額に炎を灯すあの力も誰にでも使えるということですか?」
ツナと同じく額に炎を灯す炎真と遭遇したリリは、あの力もまた誰にでも使えるものではないかと推測する。
「ああ。あれは
「「「「「え!?」」」」」
まさかあの状態がそこまでのリスクのある力だとは思っていなかった為、全員驚きの声を上げた。
「まだ本格的に修業する前の話だがな。だが
ツナ以外の人間で
「だからと言って【ロキ・ファミリア】の第一級冒険者に勝てる時点でどうかしてるけどね⋯⋯」
いくら死ぬ気の炎の力があるとはいえ、ヘスティアからすれば
「というかお前らの世界の人間は全員、この死ぬ気の炎を使えるってことか⋯⋯?」
「いや一般的には知られていねぇ。死ぬ気の炎の存在を知ってんのは、主に裏社会の人間だ」
「う、裏社会⋯⋯!?」
ここで裏社会という不穏な言葉がリボーンの口から出てきた為、ヴェルフは震え始める。
「ツナは【ボンゴレファミリー】っていうマフィア⋯⋯こっちの言い方で言う、
「「「「っ!?」」」
ツナが犯罪組織の次期ボス候補だと知り、ベルとヘスティア以外は驚愕する。
(
リリは【ヘスティア・ファミリア】の中で唯一、暗黒期のオラリオを知っている。ツナがオラリオ地獄に変えた
「綱吉様が、そんなこと⋯⋯!?」
「事実だ。【ボンゴレファミリー】のボスは代々、【ボンゴレ】のボスの血を引く者が継ぐ掟だ。そしてあいつは【ボンゴレファミリー】の創設者の血を引いている」
ツナが犯罪組織のボス候補だということを信じたくない春姫であったが、リボーンがそれを否定する。
「それに俺は現【ボンゴレ】のボスである9代目の命令を受けて、ツナを【ボンゴレ】のボスに鍛え上げる為にやって来た
自身の正体について明かすリボーン。ツナとリボーンの正体を知り、ベルとヘスティア以外は衝撃を隠せないでいた。
「⋯⋯他に後継者はいないのですか?」
「3人いた。だが全員、抗争で死んでツナだけが残っちまったんだ」
「ですが⋯⋯血統ではなくそれに相応しい者が継げばいいではありませんか」
「【ボンゴレ】は世界最強のマフィア。【ボンゴレの】ボスの座に継ぐということは裏社会を支配者になると同義だ。歴代の【ボンゴレ】のボスは超直感という、全てを見透かす力で【ボンゴレ】を導いてきた。だから普通の人間には務まらねぇんだ」
(だから⋯⋯)
命とリボーンの会話を聞き、リリは思い出す。初対面でありながら、ツナは自分が変身魔法を姿を変えていたことを見抜いていたことを。そしてそれは超直感という力を持っていたからだということをリボーンの言葉を聞いて、理解した。
「これは俺たちの正体。そしてここから本題だ」
「それで隠していたことって一体、何ですか?」
ツナ達が異世界から来た人間だとことを皆が信じたことで、ベルは隠していたことについて尋ねる。
「今回の戦い。ベルとアステリオスとの戦いがなかったら、俺達はこの世界から去るつもりだった」
「どういうことですか?」
「今回の戦いで、ツナはかつてこのオラリオを地獄に変えた
「「「「─っ!?」」」」
自分達の想像を越える事態、あのツナがそんなことをしようとしていたとは想像外であった為、ヘスティア以外は衝撃のあまり言葉を失っていた。
「な、何でですか⋯⋯何でツナが!?」
「お前らを護る為だ」
「どういう⋯⋯!?」
「今回の戦い。オラリオ中の冒険者を敵に回すという状況。まともに戦えば勝ち目はなかった。仮に
動揺しながら尋ねるベルに対して、リボーンは淡々と答えた。
ベル以外もオラリオ全土を巻き込んだツナの計画を知り、衝撃のあまり言葉を失っていた。しかしツナのやり方が正しいとは思わなかったが、理解できない訳でもなかった。
今回の戦い。ベル達は
「そんな⋯⋯僕のせいでツナが⋯⋯」
ウィーネを護る為とはいえ、自分が他の冒険者を攻撃したせいで、ツナに重荷を背負わせ、ツナを悪役させる原因になってしまったことにベルは罪悪感に苛まれる。
「元はといえば【イケロス・ファミリア】が
リボーンは事実を述べるも、そう簡単に立ち直れる筈もなくベルはショックの色を隠せないでいた。
「⋯⋯ヘスティア様はこのことを知っていたんですか?」
下界の住人は神の前で嘘はつけない。この世界の常識。住む世界は違えど、ツナも人間。故にリリはヘスティアはツナの計画を知っていたのではないかと睨んでいた。
「⋯⋯知っていた」
リリの問いに対して、言い訳もせず端的にヘスティアは答えた。
「どうしてですか神様⋯⋯どうして⋯⋯!?」
ヘスティアがツナの計画を知りながらも、何も言わなかったことがベルには信じられなかった。ベルの問いにヘスティアは答えることができなかった。
「ヘスティアは最後まで反対した。それでもツナは首を縦に振らなかったんだ」
ヘスティアの名誉を護る為にリボーンが代わりにベルの問いに答える。
「⋯⋯違うよ。綱吉君の計画を知りながら僕は君達に黙っていた。どれだけ言おうとも僕はただ、綱吉君よりも僕達の安寧を選んだんだ⋯⋯」
内密だったとはいえ、ベル達にツナの真実を伝えるチャンスはいくらでもあった。それでも言わなかった事実は変わらなかった。
俯き、暗い表情を浮かべながら答えるヘスティアに誰も何も言うことができなかった。
「ですが今だに信じらません⋯⋯あの綱吉様がこのような事をしようとしてたいただなんて⋯⋯」
ツナが悪役になろうとしたことは本当だということは頭で理解していても、それでも春姫は信じられないでいた。
「今までツナがこんな選択したことはねぇ。だがまた仲間を失うくらいなら悪役になることを選んだ。未来の自分がそうしたようにな」
「未来⋯⋯!?」