ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
ツナに興味を持ったフィンはツナの実力を見る為にアイズとの戦いを観戦することを決める。
「今日こそ勝って見せる」
アイズが鞘からデスペレードを解き放つと、いつものように正眼の構えを取る。
「死ぬ気でこい」
ツナは27と書かれた手袋を装備した後、
(佇まいだけでわかる。数多の死線を乗り越えた強者だということが)
普通の人間であればツナの
「いくよ」
そう呟くとアイズは両手で握っていたデスペレードに力を込めると、そのまま加速し一気にツナの間合いへと侵入すると刺突を繰り出した。
「っ!?」
だが刺突を当たる直前にアイズはデスペレードから手を離した。そしてアイズは携えていた鞘を左手で握り、鞘による右薙をツナの右頬にめがけて放つも、ツナは右腕で防いだ。
(今!!)
アイズはその場でしゃがみ込むと、右手で地面に落ちようとしていたデスペレードを握った。そこからジャンプすると同時に、下から上に向かって斬り上げた。
ツナは首を反らしてアイズの放った
(まだまだ!!)
アイズは左手で握っていた鞘から手を離して両手でデスペレードを上から振り下ろそうとする。ツナはアイズの唐竹を躱す為に炎を逆噴射させて、アイズの背後に一瞬にして移動する。
「そう来ると思ってた」
アイズは空中で体を捻って背後に向かって遠心力を加えた右薙を放った。
5日とはいえアイズはツナが自分の攻撃をどういう風に避けたり、防いだりするのか見てきた。その経験からツナが次にどう動くか予測したのである。
「ああ。俺もそう来ると思ってた」
(え……!?)
だがそのアイズの予測をツナはさらに上回り、ツナは右腕をクロスさせてアイズの斬撃を受け止め、斬撃の衝撃を利用して後ろへ飛んだ。そしてツナは両腕を後ろに移動させ、炎を逆噴射させて空中でアイズの斬撃の衝撃を打ち消して、空中でピタッと止まる。
「と、飛んでる……!?」
(まさかここまでのことができるとは……!?)
当たり前ように飛んでいるツナを見てベルとフィンは驚きを隠せないでいた。
(空中で止まって……まさか空を飛べるの!?)
移動する時にだけ炎の勢いを強め、逆噴射させることで高速移動と空中移動を可能にしていると今までアイズ思っていた。しかしツナは常に炎を逆噴射させ、空中を自由に移動できるのだと理解させられ、驚きを隠せないでいた。
「隙だらけだ」
「っ!?」
アイズが呆然している間にツナは炎を逆噴射させて、アイズの背後へ移動すると、手刀をアイズの首筋を突き付けた。
「油断したな。まだ戦いの最中だぞ」
「参りました……」
アイズはツナの言い分に反論することができず、負けを宣言する。アイズの降参宣言を聞いて、ツナは手刀をアイズの首筋から離した。
「素晴らしい戦いだった」
自分が想像を遥かに超える戦いを見せてくれた為、フィンは拍手しながら称賛する。
「そしてありがとう。君の力を見せてくれて」
「これくらいは構わないが。それよりもお前の本心は何だ? 力が見たいと言ってきたということは何か目的があるんだろう?」
「まぁね。君に頼みたいことがあってね」
「先に言っておくが勧誘ならお断りだ。俺は別の【ファミリア】に移籍する気は毛頭ない」
「そのつもりはないよ。というよりもそれは無理な話だけどね」
「何でだ?」
「【ファミリア】からの移籍……
「そうか。早とちりしてすまない」
「構わないよ。それで本題なんだが……君には2日後に行く我々の遠征に着いてきてもらいたいんだ」
「フィン!? 何を考えてるの!?」
自分の目的を話したフィン。フィンの発言が正気の沙汰と思えなかったのか、いつもはおとなしいアイズが声を荒げた。
「遠征?」
「【ファミリア】にはランクがあるんだ。一定ランクの【ファミリア】。中でもダンジョン探索系の【ファミリア】にはギルドから
「ミッション?」
「
「つまりその
「その通りだ」
「それでどんなことをするんだ?」
「到達階層を増やす、新たな採取物や採掘物の発見、地図に載っていない未開拓領域の発見など、他にも色々とあるんだけど……要するに何かしらの成果を上げてこなければいけないんだ」
「成る程な。それでお前たちは何をするんだ?」
「到達階層を増やす。目指す階層は59階層。そこに到達することが目的だ」
「59階層……」
ツナは初めてダンジョンに行った日から到達階層を増やしていない。理由はベルがアイズの修行でボロボロであった為、アイズの修行が終わるまでは10階層より下の階層には行っていないのである。故に59階層と聞いても全く想像がつかなかった。
「はっきり言って生きて帰って来れる保証はない。59階層に何があるのかもほとんどわかっていない。だから何が起きるかもわからない状態だ。59階層に辿り着く前に死ぬ可能性だって充分ある。だから断ってくれても構わない。ただ受けてくれるのであればちゃんと相応の報酬を支払う。成功しても失敗してもね。断っても別にアイズとの特訓を中止にしろなんて言わないからそこは安心してくれ。それとこれとは別問題だからね」
フィンはちゃんと断っても大丈夫だということと、協力してくれた場合のメリットを伝える。
「ツナ。止めた方がいい。ダンジョンの深層はとっても怖いところ。
「アイズさんの言う通りだよ。それにツナには帰りを待ってる人にいるんでしょ」
アイズとベルはツナが遠征に行くことに対して反対する。
「今から言う2つの条件を呑むなら協力する」
「何かな?」
「まず1つ。俺が戦力にならないような状況になったら引き返させてもらう」
「2つ目は?」
「俺の詮索をしないことだ」
「どういことだい?」
「そのままの意味だ。俺の出生、血縁関係、経歴、能力、俺に関する全てのことを詮索しないよう遠征に行くメンバーに通達してくれ。この2つの条件が呑めるなら俺はお前たちの遠征に協力する」
「わかった。君の条件を呑もう」
なぜ自分のことを詮索するなということを条件に出したのかわからなかったが、難しい条件ではなかったのでフィンはツナの条件を呑んだ。
「ツナ!? 本当に行く気!?」
「ああ。俺の力が役に立てるというなら是非とも役に立ちたい」
そう言うツナであったが、ツナが遠征を受けた一番の理由は遠征の報酬だった。オラリオ最大派閥たる【ロキ・ファミリア】の団長からの報酬となれば相当な物になると思ったからである。この遠征の報酬があれば【ヘスティア・ファミリア】への恩返しになると考えたからである。
「遠征が終わるまでダンジョン探索に俺は同行できない。悪いがリリと行くか中止にしてくれ」
「ツナ……」
ツナが本気で遠征に行くという覚悟を感じ取ったベルは何も言うことができなかった。