ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
フィンに負けを認めさせることに成功したツナ。
「立てるか?」
「すまない」
地面に倒れたフィンに右手を差し伸べる。フィンは上半身を起こすと、左手でツナの右手を掴んで立ち上がった。
「それで?俺は遠征に協力しても問題なさそうか?」
「勿論だよ。はっきり言って文句のつけようがないよ」
アイズとの戦いを見ていた時も充分にその強さが伝わっていた。だが実際にツナと戦ったことで自分の予想を遥かに上回る実力者だということがわかった。フィンからすれば文句のつけようがなかった。
「どうだろうみんな。彼を遠征に連れていくことに反対の者はいるか?」
フィンは団員たちに尋ねるがフィン相手にあれだけの戦いをする者を協力させない理由もない為、反対する者はいなかった。むしろ逆に自分たちの方が足を引っ張るのではないかと思う者がいるくらいであった為、団員たちは黙り込んでしまっている状況だった。
「ちょっと待たんかい!!」
団員たちは何も言えず黙っている中で声を上げる者がいた。それは【ロキ・ファミリア】の主神であるロキであった。
「おい!! そこのお前!!」
「俺か?」
「そうや!! お前一体何なんや!?」
ロキは目を開き真剣な眼差しでツナを指を指しながら問い詰める。
「人に物を尋ねる前にまず自分の名前を名乗るのが礼儀じゃないのか?」
「くっ……ウチはロキや。この【ロキ・ファミリア】主神や」
「そうか。俺は沢田綱吉だ。それで? 俺に何か用か?」
「お前オラリオに来たばかりの冒険者らしいな!!」
「それがどうした?」
「どうしたもこうもあらへん!! 何でオラリオに来たばかりの冒険者がフィンに勝てんねん!! 本来なら絶対にありえへんことやで!! お前一体何者や!?」
冒険者の強さは基本的にステイタスの数値やスキル、魔法、ランクが全てといってもいい。余程のことがない限り自分よりステイタスが優れている者に勝つことはないと言っていい。
しかしツナはオラリオに来て間もない。Lv.1の冒険者がLv.6の冒険者に勝つことなど不可能。仮にオラリオの外にある【ファミリア】に所属していたとしても不可能。理由はダンジョンがないからである。オラリオの外に存在する
「それに関しては黙秘させてもらう」
「はぁ!? 何でや!?」
「今回、彼が遠征に協力する為の条件の1つに彼の詮索をしないことを条件に出してきてるんだ。詮索した場合、彼の協力を得られなくなる。こちらとしても彼の力を得られなくなるのは痛手だ。悪いがロキ。それ以上の詮索は止めてくれ」
「な、何やねんそれ!?」
一番気になることが遠征の協力の条件のせいで聞けないと知ってロキは苛立ちを見せていた。
「ならどこの【ファミリア】に所属しているんや!? それくらいなら聞いてもええやろ!?」
「【ヘスティア・ファミリア】だ」
「ドチビのとこやとーー!?」
ツナが【ヘスティア・ファミリア】の所属してると知ってロキは憎たらしそうな表情を浮かべながら叫んだ。
「よりによってドチビのとこの眷属にウチのフィンが負けるやなんて!! 最悪やーー!!」
「仲が悪いとは聞いていたがどうやら本当みたいだな」
「当たり前や!! あいつはムカつくんや!! ドチビの癖に生意気で!! なのにウ、ウチよりも大きゅうて……!!」
途中まで苛立ちがマックスだったロキであったが、途中から絶望的な表情を浮かべ、途中までの勢いが無くなってしまう。
ロキは自分のスタイル。つまり胸部の大きさにコンプレックスを抱いている。ヘスティアの胸部と比べれば天と地程の大きさがある。最強【ファミリア】という肩書きの主神で富や名声があろうとも、スタイルだけはどうにもできなかった。
「意味がわからないな。何でお前の方が小さいんだ?」
「あぁ!? 喧嘩売っとんのかワレぇ!?」
「どうしてそうなる……どう見たってお前の方が大きいだろ」
(う、嘘は言ってへん!? こいつ本気でそう思うとるんか!?)
ツナの発言を聞いたロキ。最初はツナの発言に怒髪衝天であったが、ツナが嘘をついていないとわかりロキは衝撃を受けた。
「沢田綱吉って言うたなお前……」
「ああ」
「お前……ええ奴やなー!!」
「は……?」
先程まで敵対視し、ツナを睨みつけていたロキであったが急に満面の笑みを浮かべながら急にツナを褒め称える。ロキの急な態度の変わりにツナは唖然としてしまっていた。
「先は悪かったなー。いきなり嫌な態度取ってもうて」
「あ、ああ……」
「もしドチビんとこの【ファミリア】が嫌になったらウチの【ファミリア】に来いや。お前やったら大歓迎や。ほんならなー」
そう言うとロキは満面の笑顔を浮かべ、スキップしながら【黄昏の館】の中へと帰って行ったのだった。
「一応、確認するけどロキの大きいっていうのは何のことだい……?」
「勿論、
(やっぱりか……)
神は神以外の存在の嘘を見抜くことができる。気休めであんなことを言えば、ツナが言ったことが嘘だということがわかりロキはあんなに上機嫌になることはなく、ツナを殺そうとする程の殺意を向けられていたはず。しかしそうならなかったのはツナが身長のことではなく、胸部のことだと微塵も思っていなかったからである。
「どう考えてもはあいつの方がヘスティアよりも身長が大きいはずなんだが……」
(僕との戦いでは僕の心を読んでいたのに……何で気づかないんだ?)
戦闘において相手の心を見透かし、自分の手の内を読んでいたのに、その力がここではなぜ発揮されないのかフィンはわからないでいた。
「お前らの神は前向きそうに見えるが意外とネガティブなんだな。もっと自分に自信を持ってもいいと思うんだが」
「頼むからこのことはロキには絶対に言わないでくれ……」
「何でだ?」
「頼む……下手をすれば君の命に関わるんだ……」
「わ、わかった……」
なぜ身長のことを言ってはならないのかわからなかったが、命に関わるとまで言われた為、ツナはこの話をロキにはしないことを誓うのだった。