ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)24 死ぬ気(レディネス)

 

 

 

 

 

 

 

 

 フィンに勝ったことで遠征の協力をさせてもらえることとなったツナ。

 

「今日はその……ごめん……おもいっきり攻撃しちゃって……」

 

 現在、ツナは【黄昏の館】の前にてフィン、ガレス、リヴェリアに見送られていた。そしてツナは遠征前日というのにフィンに対して、X(イクス)カノンを零距離で3発も喰らわせたことを謝罪する。

 

「元はといえば僕が魔法を使ったせいで、ああいうことになったんだ。君の気にすることじゃない」

 

「そうだ。明日が遠征だというのに魔法を使って勝手に大暴れしたどこぞの小人族(パルゥム)のせいだ」

 

「そうじゃのう。遠征よりも、ただただ目の前の相手に勝ちたいという欲を優先させたどこぞの団長のせいじゃ。主が気にすることはないわい」

 

「悪かったね……」

 

 名前は言わなかったものの、誰のことかわかる言い方でリヴェリアとガレスは嫌みを放った。2人の言い分に少しだけ苛立ちを覚えたフィンだったが、反論できなかった為、謝ることしかできなかった。

 

「さっきも言った通り明日の朝。バベルの前で集合だ」

 

「うん。わかった」

 

 明日の遠征の出発時間と集合場所を伝えると、ツナは【黄昏の館】を後にする。

 

「良い意味で裏切られたな。あれだけの力を持っているとはな」

 

「いや。彼はまだまだ力の全てを見せてはいないよ」

 

「何?」

 

「彼は僕に対して全力を出してはいない。それどころか僕との戦いの中で急激に成長していた。はっきり言って強さの上限が見えない」

 

 実際に戦ったフィンはリヴェリアよりもツナの強さを身近に感じていた為、リヴェリアの感じたツナの強さとフィンの感じた強さは違っていた。

 

「お主にそこまで言わせるとはのう。まぁ儂らとしては助かるがな」

 

「まぁね。だが彼が敵に回れば恐ろしい。今のところ彼に勝てる気がしないよ。今回、彼は僕の魔法の発動を待っていてくれたけど、やろうと思えば魔法を発動させる前に僕を倒すことなど造作もなかったはずだからね」

 

「何を言うか。あの者が敵になることなどまずありえん。それはお前が一番、わかっておるはず。だからこそ遠征に協力するように頼んだんじゃろうが」

 

「彼が悪人ではないことは重々承知さ。ただそれでもお互い譲れない物があって、ぶつかり合うことがあるかもしれない。そうなった時に僕らは勝てるのかと勝手に思ってしまった。ただそれだけだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フィンとの戦いを終えたツナはベルがダンジョンから帰ってから再び市壁にて遠征前最後の修行を行う。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

 ベルはツナに向かって【ファイアボルト】を放つ。ツナは【ファイアボルト】を右方向に首を傾けて【ファイアボルト】を躱す。

 

「はぁあああああ!!」

 

 【ファイアボルト】を放った隙にベルは姿勢を低くしてツナの間合いに入ると、無数の斬撃を放つ。だがアイズやフィンに比べればベルの移動速度も攻撃の速度も遅い為、ツナは余裕でベルの斬撃を最低限の動きだけで躱していく。

 

(これならどうだ!!)

 

 ベルは両手に握ったナイフを移動させるとそこから一気にツナに向かって振り下ろす。ツナは右腕を掲げてベルの竹唐を防ぐ体勢に入る。

 

「っ!?」

 

 ツナの右腕には左手に持った両刃短剣(バゼラード)がぶつかっている一方でヘスティア・ナイフはツナの右腕にぶつかっていなかった。ベルは両刃短剣(バゼラード)とヘスティア・ナイフを両方振り下ろすと見せかけて、両刃短剣(バゼラード)だけを振り下ろしたのである。

 

(今だ!!)

 

 ベルはそこから右腕に持ったヘスティア・ナイフによる刺突を放った。

 

「っ!?」

 

 だがツナは左手の人差し指と中指でヘスティア・ナイフを真剣白羽取りの要領で挟んでベルの一閃を止めた。

 

(う、動かない!?)

 

 ベルはヘスティア・ナイフを引き抜こうとするもヘスティア・ナイフは微塵も動くことはなかった。

 ツナは左手の人差し指と中指に力を集中させているのである。それ故にヘスティア・ナイフを止め、ベルがヘスティアナイフを引き抜くことができなくなったのである。

 

「このっ!!」

 

 ヘスティア・ナイフを引き抜くことができないと判断したベルはヘスティア・ナイフを引き抜くことを諦め、即座にしゃがみ込んでツナに向かって右足を薙払った。ツナはジャンプしてベルの蹴りを躱した。

 

「【ファイア……】!!」

 

 ベルは左手の掌を上空にいるツナの方に向けて【ファイアボルト】を撃つ体勢に入る。ツナは左腕を左頬の横に移動させて【ファイアボルト】を弾く体勢に入る。

 しかし途中で詠唱を止めてツナが地上に降りる瞬間を狙う為に、ツナの着地点に向かって走って行く。

 

(考えたな)

 

 左手の掌を向け【ファイアボルト】を放つ為の詠唱を途中まですることで、【ファイアボルト】を撃つと思わせたのである。

 ベルはツナのがら空きになった左脇を狙って両刃短剣(バゼラード)による一閃を放とうとする。

 

「っ!?」

 

 するとツナは顔をベルの方を向けたまま、両目の眼球だけを上に向ける。すると背後から何かが上空に向かって飛び出していく。

 

(あれは!?)

 

 ベルはツナの背後から飛んできた物に視線を移動させる。それは先程、ツナがベルから奪った【ヘスティア・ナイフ】が縦方向に回転しながら宙を舞っていた。

 

(しまった!!)

 

 ツナが空中から着地したところを狙うベルであったが、宙を舞うナイフに気を取られてしまった為、ツナが地面に着地してしまっていた。ベルはこれがツナの作戦であると気づき、攻撃のチャンスを失ったことを理解させられてしまう。

 ツナが今行ったのはミスディレクション。ミスディレクションとは、注意を意図していない別の所に向かせる現象やテクニックのことであり、主にマジックで用いられ、観客の注意を別の場所にそらす手法である。

 ツナはジャンプした後、ヘスティア・ナイフを持った左手を背後に移動させ眼球を上に向けることで、ベルの視線を空中に移動させた。そしてこの土壇場で空中にナイフを投げた為、何かあると思ってしまった。この一瞬の隙がベルの作戦を無効化したのである。

 

「作戦は失敗したな」

 

 そう言うとツナは空中から落ちてきたヘスティア・ナイフに視線を向けずベルの方を向いたままキャッチする。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 ここで体力も精神も限界になったのかベルは大の字になって倒れていた。

 

「動きも考えも見違える程によくなったな。ただお前の奥底に眠る恐怖を克服できなかったな」

 

 最初に比べてベルは格段に強くなった。しかし恐怖に囚われてその強さを充分に発揮できていないことには変わっていないことをツナは理解していた。

 

「ツナは怖くないの?」

 

「怖いさ。だが仲間が傷つけられたり、仲間を失うことの方がもっと何よりも怖い。だから戦ってるんだ。死ぬ気でな」

 

「死ぬ気……」

 

「そうだ。まず死ぬ気とは体が壊れようとも喰らいつく覚悟のことだ」

 

「体が壊れようとも……」

 

 ベルは思い出す。【フレイヤ・ファミリア】の襲撃の際にツナが自分を巻き込むことをわかってもなお、容赦なくアレンに向かって攻撃したことを。

 

「ま。といってもこれはある男の受け売りだけどな」

 

「ある男?」

 

「ああ。その男は相手を倒す為に関節を外して敵と戦っていた」

 

「か、関節!?」

 

 ツナは虹の代理戦争にて自分に戦い方を教えてくれた男が、ツナの父親である家光と戦っていた時のことを思い出す。

 その男が本来の姿(・・・・)に戻ったリボーンなのだが、ツナはそのことに気づいていない。

 間接を外して戦うという常識外れの戦い方をすると聞いてベルは驚くと同時に畏怖の念を抱いていた。

 

「そして後は迷わないこと、後悔しないこと、自分の力を信じることだ。俺は死ぬ気を繰り返す度に自分の知らない自分に出会い、そしてこれが本当の自分だと俺は確信したんだ。これが本当の死ぬ気だ」

 

「本当の死ぬ気……」

 

 本当の死ぬ気という言葉を聞いてベルは何かを考え込む。

 

「それとお前は魔法の力をまだ充分に引き出せていないぞ」

 

「え? どういうこと?」

 

「それは自分で考えることだ。そして強くなる為に可能性を模索することも修行だ」

 

 

 

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