ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)27 出発(デパーチュア)

 

 

 

 

 

 

 

 ついに遠征当日を迎える。

 

「やぁ。来たね」

 

 ツナはバベルにやって来た。すでに【ロキ・ファミリア】のメンバーと今回、【ロキ・ファミリア】に動向する者たちはすでに待っていた。

 フィンがツナが来たことに気づくと全員、ツナの方を注目する。

 

「ご、ごめん。待たせちゃって……」

 

「気にしないでいい。まだ出発までには時間がある。むしろ僕が早く来すぎただけだ」

 

 自分が一番、最後に到着したということを理解したツナは謝罪の言葉を述べるが、フィンは全く気にしていない様子だった。

 

「君には期待してるよ。その実力を遺憾なく発揮してくれ」

 

「そ、そんなに期待されても……」

 

「ハハハ。すまない。プレッシャーを与えるつもりはなかったんだが」

 

 ツナへの激励のつもりが逆にプレッシャーを与えてしまった為、フィンは苦笑いを浮かべてしまう。

 

「其奴が急遽、追加メンバーになった男か?」

 

 ツナとフィンが話していると、長髪の黒髪と褐色の肌、左目に黒い眼帯をつけた女性が現れる。

 彼女の名は椿・コルブランド。鍛冶系【ファミリア】として名馳せる【ヘファイストス・ファミリア】団長であり、オラリオ最高の鍛冶師である最上級鍛冶師(マスター・スミス)の称号を冠する人物であり、Lv.5の冒険者でもある。

 ヒューマンとドワーフのハーフであり、体はドワーフのように低くはなく高身長である。これはヒューマンの血を濃く受け継いだのが理由である。

 

「そうだよ。彼が昨日、話した沢田綱吉だ」

 

「そうか。手前は椿・コルブランド。【ヘファイストス・ファミリア】で団長をしておる」

 

「え? 他の【ファミリア】もいるの?」

 

 てっきり【ロキ・ファミリア】以外の人間は自分だけと思っていた為、ツナは少しだけ意外そうな表情をする。

 

「今回は大掛かりな遠征な上に、前の遠征で武器を溶かす粘液を放つ怪物(モンスター)が現れてね。その対策としてオラリオ一の鍛冶系【ファミリア】である【ヘファイストス・ファミリア】のメンバーに同行してもらうことにしたのさ。59階層に行くなら武器はいくらあっても足りないし、本格的な武器の手入れは僕たちの【ファミリア】ではできないからね」

 

「ダンジョンの中で武器の手入れってできるの? 怪物(モンスター)が出て来たら武器を手入れするどころじゃないと思うんだけど」

 

「ダンジョンの中には怪物(モンスター)が出現しない安全階層(セーフティポイント)という場所があるんだ。絶対に安全という訳ではないんだけど、そこなら武器の手入れや休憩が取ることができる」

 

「へー。ダンジョンにもそういう場所があるんだ」

 

「フィンから聞いておったが本当にオラリオに来たばかりのようじゃな。本当に深層に向かわせて大丈夫なのか?」

 

 椿はツナとフィンの会話からツナがオラリオに来たばかりの冒険者だと知って、少しだけ心配になる。

 

「問題ない。彼の実力は充分に深層でも通用する。昨日、言った条件の1つ。彼のことを詮索しないという条件を破らない限りは大丈夫だ」

 

「まぁお主がそう言うのであれば問題ないか。ともかくよろしくなツナ(きち)よ」

 

「ツ、ツナ吉!?」

 

「ああ。すまん。ウチの【ファミリア】にお前と同じで自分のことを秘密にしとる奴がおってのう。そいつのことヴェル吉と呼んどるからつい。嫌だったか?」

 

「嫌じゃないけど……そんな呼び方する人は初めてだから驚いちゃって……」

 

「そうか。ならツナ吉と呼ばせてもらうぞ。よろしくなツナ吉よ」

 

「よ、よろしく……」

 

 椿が少しだけ変わった人物だということを理解しつつも、ツナは椿と握手を交わした。

 ツナが到着してから15分後。ついに出発の時間となる。

 

「総員。これより遠征を開始する!!」

 

 出発の時間となると部隊の正面にてフィンが団員に向かって叫んだ。フィンの言葉を聞いた途端、全員フィンの方を向いて真剣な面持ちでフィンの話を聞く体勢に入る。

 

「階層を進むに当たって、今回も部隊を2つに分ける! 最初に出る一班は僕とリヴェリアが、二班はガレスが指揮を執る! 18階層で合流した後、そこから一気に50階層に移動! 僕らの目標は他でもない! 未到達領域59階層だ!」

 

 フィンは目的地である59階層に向かうまでの流れを説明する。

 

「君たちは古代の英雄にも劣らない勇敢な戦士であり、冒険者だ! 大いなる未知に挑戦し、富と名声を持ち帰ろう!」

 

 フィンたち【ロキ・ファミリア】の周囲には住民、冒険者といったあらゆる人たちがフィンたちの遠征の行く末を見守っていた。

 

「犠牲の上に成り立つ偽りの栄誉はいらない!! 全員、この地上の光に誓ってもらう!! 必ず生きて帰ると!!」

 

「……」

 

 ツナは思い出す。自分の帰りを待つベルとヘスティア。そして自分の世界の仲間たちのことを。

 

「遠征隊!! 出発だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ついに遠征が開始される。ツナはフィンとリヴェリアの率いる先行隊の第一部隊に配属され、先にダンジョンの中へと入って行く。

 第一部隊はフィン、リヴェリアを筆頭に、アイズ、ベート、ティオナ、ティオネ。そしてラウル始めとした第二級冒険者とサポーターがいる。

 第二部隊はガレスを筆頭とし、ガレス以外はレフィーヤたち魔道士たちが主なメンバーとなっている。

 現在ツナたちは7階層を歩いていた。

 

「ねぇねぇ」

 

「何だ?」

 

「前から思ってたんだけど、頭燃えてるのに何で平気なのー?」

 

「馬鹿ティオナ!! こいつのことを詮索することは禁止だって団長から言われたでしょ!!」

 

 (ハイパー)死ぬ気モードになってからティオナがずっと気になってたことをツナに尋ねる。フィンから聞かされた条件を無視して質問したことにティオネは慌てていた。

 

「何で平気なのか俺もよくわかってる訳じゃない。ただこの炎は自分に対して害がないということだけだ」

 

 ティオナの質問は答えても問題はないと判断したのかツナは誤魔化す形ではあるがティオナの質問に答えた。

 

「ふーん。じゃあその耳飾りは何?」

 

「これは……自分の耳を守る為の物だ。聴覚をやられたら戦闘に困るからな」

 

 今度はツナはヘッドフォンについて尋ねる。どう答えようとか迷ったツナであったが上手く誤魔化した。

 この世界にはダウンロードした音楽をヘッドフォンやイヤホンにて聞くという技術がない為、正直に答えることができなかったのである。といってもツナの装着しているヘッドフォンは音楽を聞く物ではなく、ツナがとある技を放つ為に必要不可欠な物なのである。

 

「確かに耳を守るというのは大事なことだな」

 

「しかも鎧と違って速さに影響されない。実に合理的だね」

 

(なんか評価されてるな……)

 

 リヴェリアとフィンはツナのヘッドフォンのことを評価していた。咄嗟についた嘘がここまで評価されるとは思っていなかったのか、ツナは少しだけ驚いてしまっていた。

 

「けっ。あんだけ強ぇクセに慎重な野郎だぜ」

 

「……」

 

「何だよ? なんか文句でもあんのかよ?」

 

 ベートの発言を聞いてツナはベートの顔をジーッと見つめる。ツナが何も言わずに見つめてきた為、ベートは少しだけ苛立っていた。

 

「いや。俺の知り合いにお前と似たような奴がいたから少し驚いてな」

 

 ツナはベートを見てかつて未来で敵対し、虹の代理戦争で一緒に戦った白蘭のことを思い出していた。

 白蘭はベートとは性格は真反対であるが、白髪でかつ、顔に牙のようなタトゥーが入っているのである。

 

「ベートに似てるって人がいるの?」

 

「似てるといっても髪の色と頬のタトゥーだけだ。顔は似てないし種族も違う」

 

「会ってみたい!! どんな人なの!?」

 

 ベートに似ているという事実を聞いて、ティオナは興味津々の様子であった。

 

「いつも笑顔で掴み所がなくて楽観的な人間だ。普通に見ればな」

 

「強いの?」

 

 ツナの発言からその人物がただ物ではないということをアイズは察する。

 

「ああ。強さは本物だ。味方でいてくれれば頼もしいが、敵に回すと恐ろしい。二度と戦いたくない相手の1人だ」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 ツナに戦いたくないと言わせる程の強さを持ち主だということを知って、アイズたちは驚きを隠せないでいた。

 

(アイズや僕と戦った時ですら彼は余裕だった。そんな彼ですら相手にしたくない程の相手……一体、何者だい君は?)

 

 オラリオでも数少ないLv.6の冒険者よりも恐ろしい相手を知っているツナ。フィンはツナが何者なのか気になってしまっていた。

 しばらく歩くとツナたちは9階層に辿り着いた。

 

「あれは……!?」

 

 ツナは目を見開き驚きを隠せないでいた。なぜならツナたちの前方に血まみれのリリがおぼつかない足取りでこちらに向かっていたからである。そしてリリは力尽きたのかリリは前方にゆっくりと倒れていく。

 

「リリ!!」

 

 ツナはリリが地面に倒れる前にリリの元に辿り着き、リリを受け止めた。アイズたちも即座にツナの所に駆け寄る。

 

「大丈夫かリリ!?」

 

「つ、綱吉様……!? 何で……!?」

 

 ツナが話しかけるとリリは瞼を少しだけ開いた。そしてツナがここにいることに驚きを隠せないでいた。

 流石に59階層に行くとは言えなかったのか、ベルはリリにツナのことは伏せていたのである。

 

「そんなことはいい!! それよりどうしたんだその怪我は!? 何があった!?」

 

「ミノタウロスが現れて……ベル様は私を逃がす為に足止めに……このままじゃベル様がミノタウロスにやられて……」

 

「「っ!?」」

 

 このままではベルが殺されると知ってツナとアイズが驚きの表情を浮かべる。

 

「綱吉様、お願いです……ベル様を……ベル様を助けて下さい!!」

 

 リリは涙を流し、歯を食い縛り、右手でツナの服を掴みながらツナに助けを求めた。

 ツナは即座に理解した。リリは悔しくて仕方がなかったのだと。そして同時に許せなかったのだと。ベルを助けることもできず逃げ惑い、助けを求めることしかできなかった自分自身に。

 

「よく知らせてくれた。後は任せろ」

 

 

 

 

 

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