ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)28 都市最強(オッタル)

 

 

 

 

 

 

 リリからベルがミノタウロスに襲われたことを聞いたツナ。

 

「ベルのいる場所はわかるか!?」

 

「正規ルート……E-16の広間(ルーム)……」

 

「E-16……?」

 

 ツナはベルの居場所を尋ねる。リリはギルドが公開しているダンジョン内の地図の情報を伝える。しかしツナはリリの言う場所がわからない為、困惑してしまっていた。

 

「私が案内する。ついて来て」

 

「おいアイズ!! 何やってんだ!!」

 

 アイズは先に走り出してベルの元へと向かう。ベートは勝手に先に走り出したアイズを見て叫ぶも、アイズは止まることはなかった。

 

「リリを頼む」

 

「え!? ちょっと待ってよー!!」

 

 ツナはリリをティオナに渡すとアイズの後を追う。ティオナは制止するもアイズと同じくツナは止まることはなかった。

 

「どうします団長? 勝手に行っちゃいましたけど……」

 

「仲間の窮地なら仕方がないさ。とにかく彼女の処置を優先。処置が終わり次第、アイズたちと合流する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方でアイズとツナはベルを助ける為に走っていた。

 

「前に少し聞いたがミノタウロスっていうのは強いのか?」

 

「私やツナなら大丈夫だけど普通のLv.1の冒険者が勝てる相手じゃない。普通なら逃げるのが正解。だけどミノタウロスは咆哮(ハウル)を持ってるから逃げられてるかどうかわからない」

 

「ハウル?」

 

怪物(モンスター)が放つ叫び声のこと。ミノタウロスの咆哮(ハウル)は相手を威圧して怯ませる効果がある。Lv.1の冒険者ならまず怯んで動けなくなっちゃう」

 

「それは不味いな……」

 

 ただ強いというだけなら逃げられる可能性もあっただろうが、威圧されて逃げられないようにさせられてしまえば、どうすることもできない。ツナは焦りの表情を浮かべていた。

 

(無事でいてくれ……)

 

 圧倒的に絶望的な状況だと知ったツナであったが、今のツナは心の中で祈ることしかできなかった。

 

「見えた! あの先にベルがいる!」

 

 目的地の前に存在する広間(ルーム)の先を指で差し示した。もう少しでベルの元へ辿り着くとわかった2人はさらにスピードを上げる。

 その時だった

 

「待て」

 

 ここで2人を制止する声が聞こえる。すると大剣を持った2M(メドル)(ツナの世界に言うメートル)の筋骨隆々の猪人(ボアズ)が現れる。

 

「【猛者(おうじゃ)】……」

 

「知っているのか?」

 

「【フレイヤ・ファミリア】の団長……Lv.7の冒険者で都市最強の冒険者」

 

「都市最強……」

 

 目の前にいる男が都市最強の冒険者だと知って驚くも、取り乱すことはなかった。

 この男の名はオッタル。都市最強のファミリアである【フレイヤ・ファミリア】の団長にして世界に2人しかいないLv.7の冒険者。【猛者】の二つ名を持つオラリオ最強の冒険者である。

 

(この男がヘディンの言っていた男か)

 

 ヘディンと同じ【フレイヤ・ファミリア】であるオッタルは知っていた。アレンたちがアイズを襲撃しようとした際にアレンたちを返り討ちにしたという冒険者がいたことを。

 

(ベル・クラネルたちと一緒に来ると思い、俺が足止めする手筈だったが……まさか【剣姫】と共にしていたとは……)

 

 オッタルはツナと戦う準備をしてきた様子であったが、アイズと一緒にいたのはオッタルにとっても予想外な様子だった。

 

(だがあの方の命令……通す訳にはいかない)

 

 オッタルは大剣を右手で持つと、ベルのいる通路に向かって剣を降ろす。ここを通りたくば力ずくで通ってみよと言わんばかりに。

 

「お前に構っている暇はない。そこをどけ」

 

「こちらにはある。通りたくば力づくで通ってみせろ」

 

 ツナは戦いを避けようと説得を試みるもオッタルは通すつもりは毛頭ない様子であった。

 

「俺があいつの相手をする。アイズ、お前は隙を見てここを突破しろ」

 

「わかった……」

 

 オッタルは都市最強の冒険者。アイズですらオッタルの底を知らない。故にツナ1人に任せるのは心配だったが一刻を争う事態であった為、そうするしかないと判断しツナの指示に従うことにする。

 

「ふんっ!!」

 

 オッタルは大剣を上空に掲げると大剣を地面に向かっておもいっきり振り下ろす。

 その時だった

 

(この男……!?)

 

 ツナは大剣が地面に振り下ろされる前にオッタルの間合いに入り大剣を右手で受け止めた。ツナが大剣を受け止めた瞬間、地面に巨大な半径5M(メドル)のクレーターが発生する。

 オッタルは力任せに大剣を振り下ろして、粉塵を発生させてツナとアイズの視界を奪い、ツナたちを強襲すると同時に時間を稼ぐつもりであった。

 しかしツナはオッタルのパワーを超直感で見抜き、間合いに入りオッタルの大剣を受け止め、オッタルの作戦を無力化した。

 

(俺の一撃を受け止めただと……!? いや!! 驚くのはそこではない!! この男、俺の実力を見抜いた上で俺の間合いに……!?)

 

(なんてパワーだ……!? パワーだけなら幻騎士をも越えている……しかも両腕(・・)を使わされた……!?)

 

 オッタルは自身が誇る圧倒的なパワーを正面から受け止めたこと、何より自身の力を見抜いてなお引くどころか自分の間合いに入って来るというツナの精神に驚きを禁じえなかった。

 一方でツナもかつて未来で戦い、圧倒的なパワーの持ち主であった幻騎士をも超越したオッタルのパワーに驚きを隠せないでいた。

 ツナは今、オッタルの一撃を右手で受け止めるだけでなく、左手を地面に向け炎を地面に向かって逆噴射させることで支えを作り、オッタルの一撃を受け止めているのである。

 

「行け!! アイズ!!」

 

「うんっ!!」

 

(しまった!!)

 

 ツナはオッタルの方を向いたまま叫ぶとアイズは地を蹴って一気にベルの元へと向かって行く。アイズを通してしまったことにオッタルは苦渋の表情を浮かべる。

 

「お前の相手は俺だ」

 

(額の炎が……!?)

 

 ツナがそう言うとツナの額の炎がノッキングするような不規則な炎を放出して瞬くような炎になる。オッタルは何が起ころうとしているのかわからず困惑してしまっていた。

 

(この目……間違いない。奴らと同じ目……)

 

 オッタルはツナの瞳を見て思い出す。かつて自身を敗北に追い込んだ歴戦の猛者たちを。

 オッタルは都市最強の冒険者ではあるが、かつてオラリオに存在した【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】は今のオッタルをも越える猛者であり、オッタルは全く歯が立たず、数えきれない程の敗北を味あわせられてきた。

 7年前に【ゼウス・ファミリア】の団員の1人に勝利し、Lv.7となったオッタル。しかし相手は弱体化しており、本来の実力を出せない状態にあった。故にオッタルはこの勝利を自分の力で掴み取ったとは微塵も思っていない。

 オッタルは都市最強と呼ばれてはいるが、今の自分に満足しておらず、修練を続けている。自分を敗北に追い込んだ猛者たちを越える存在になる為に。それがオッタルの全てである。

 

(この男は奴らと同等の猛者だとでもいうのか……!?)

 

「っ!?」

 

 ツナがかつて自身を追い込んだ猛者たちと同じ境地に辿り着いていると知って驚愕するオッタル。それと同時にわずかではあるがオッタルの口角が上がる。

 オッタルの口角が上がったのを見てツナは即座に大剣から手を離して後方へ飛び引いた。

 

(何だ……!?)

 

 なぜ後方に引いたのかツナ自身にもわからなかった。わかったのはオッタルの口角が上がった瞬間、考えるよりも先に体が動いてしまったということだけだった。

 

「オッタル!?」

 

 するとリリを抱えたリヴェリアが現れ、オッタルがここにいることに驚愕していた。フィンたちも到着しており、オッタルがいると知って警戒体勢に入った。

 

「状況は?」

 

「ベルを助けようとしたらこいつが邪魔してきた。だから俺が時間稼ぎをしてアイズを先に向かわせた」

 

(またさらっととんでもないことを……)

 

 フィンに状況を聞かれて、ツナは端的に状況を説明する。内容は端的でわかりやすかったが、とんでもないものであった為、フィンは驚きを通り越して頭を抱えてしまっていた。

 

「リリは?」

 

「命は別状はない。それにリヴェリアが魔法で治療した。今は眠っている」

 

「そうか……」

 

 ツナにリリの状態を尋ねられて、フィンはリリの状態を説明する。リリが無事だとわかってツナは安堵する。

 

「やぁ。オッタル。彼は今回の我々の遠征に協力してもらっていてね。その邪魔をしたということは我々の遠征を邪魔したということになるんだが。これは我々に対する宣戦布告と捉えてもいいのかな?」

 

「そのつもりはない。そこの男によって俺の作戦はすでに阻まれた。そしてお前たちにまで徒党を組まれば俺に勝ち目はない。故にこれ以上、何かをするつもりはない」

 

「そう言ってもらえると助かるよ。僕たちは君とことを構えたくない」

 

 お互いに戦う意思がないとわかるとオッタルはダンジョンから出る為に、ツナたちのいる方へ向かってゆっくりと歩いて行く。

 ツナとフィン以外はオッタルが何かをして来るのではないかと警戒する。しかしオッタルは何もすることはなく、通り過ぎて行く。

 

「忘れていた」

 

 するとオッタルは歩みを止めてツナたちの方向を向き直した。

 

「そこの茶髪の男」

 

「何だ?」

 

「名は何と言う?」

 

「……沢田綱吉だ」

 

 なぜ名前を聞かれてのはわからなかったが、ツナは自分の名を名乗った。

 

「そうか……」

 

 ツナの名前を聞き終えるとオッタルは何も言わず、そのままツナたちの前から去って行くのだった。

 

 

 

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