ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)3 異世界(オラリオ)

 

 

 

 

 

 ヘスティアの口から異世界という言葉を出て、驚きを隠せないツナ。

 

「い、異世界って……何言ってるんですか神様……!?」

 

 だが異世界という言葉を聞いて驚いていたのはツナだけでなくベルも同じであった。

 

「信じられないのも無理もないさ。でも証拠ならちゃんとある」

 

 そう言うとヘスティアは机の置いてあった地理の教科書を手に取った。

 

「それはこの本さ」

 

「それってさっきの……」

 

 ベルは思い出す。ツナが目覚める前に見ていた自分たちの知らない景色や建物が映っていた本を。

 

「悪いが君の身元を確認する為に色々と荷物を見せてもらったよ。そしてこの本が君が異世界の人間だという何よりの証拠だとわかったんだ」

 

「え……!? どういうことですか……!?」

 

 ただの地理の教科書に自分が異世界に来たという証拠になるというのがツナには意味がわからないでいた。

 

「まず第1に僕たちはこの本に書かれている文字を1文字も読むことができない」

 

「そ、それは当然のことなんじゃ……国が違えば文字だって違うんだし……」

 

 名前からしてツナは日本人の名前。ヘスティアとベルを外国人の名前。日本語を喋れても日本語の読み書きができるのは別問題。ツナからすれば何もおかしい話ではなかった。

 

「その言い方だと、君の住んでいた世界では国によって文字が違うみたいだね」

 

「そうですけど……というか文字だけじゃなくて言葉も違いますけど……」

 

「基本的に僕たちの世界は共通語(コイネー)と呼ばれる言葉と文字でやり取りが行われているんだ」

 

「コイネー?」

 

「世界共通で使われている言葉や文字のことさ。今、僕が話している言葉が共通語(コイネー)だ。といっても共通語(コイネー)ではなく独自の言語で喋る人もいるにはいるらしいが大多数の人間は共通語(コイネー)で喋るんだ」

 

「え……!?」

 

 ツナからすれば信じられない出来事だった。世界中の

人間が同じ言語と文字を使っているという事実に。

 

「そして第2にこの本に映っているこの絵だ」

 

 ヘスティアは地理の教科書の映っている日本の首都である東京の街の画像を人差し指で指す。

 

「この絵。あまりにも精巧過ぎる。まるで景色を切り取ったかのように見える。少なくとも僕はこんなにも鮮明な絵を見たことがない」

 

「え……? 写真を知らないんですか……?」

 

「「しゃしん?」」

 

「はい……人や物とかを記録できる技術で……これは誰かが書いた技術じゃなくて、カメラって機械で景色を記録してるんです……」

 

「「っ!?」」

 

(ほ、本当に知らないんだ……)

 

 ベルとヘスティアは教科書を凝視しながらありえないと言わんばかりの表情を浮かべていた。2人の表情を見てツナは本当に写真のことを知らないのだと判断する。

 

「す、すまない……話の途中だったね。それで第3の証拠なんだが。まずここに写っているのは君の国ということ間違いないかな?」

 

「はい……そうですけど……」

 

「ここに写っている建物。僕たちの世界にこんな高度な建築技術は存在しない。まるで文明が違うとしか言いようがないんだ」

 

「でもどこもかしこもこんな同じ建物がある訳じゃないですし……」

 

「それもそうだ。だが第4の証拠。これが何よりも決定的な証拠だ」

 

 するとヘスティアは地理の教科書をツナにめくりながら見せていく。

 

「この本には君のいう写真という技術が使われている。見るからに色んな国。そして人も載っている。だがある違和感がある」

 

「違和感?」

 

人間以外の種族(・・・・・・・)がいないということさ」

 

「はい……!?」

 

「この世界にはエルフ、ドワーフといった他にも色々な種族がいるんだ。君はこの世界だとヒューマンと種族に分類される」

 

「エルフにドワーフって……そんなの空想上の存在でしょ……!?」

 

「成る程。空想上とはいえエルフとドワーフを知ってはいる訳か。だったら確めてみるかい? 実際にいるかどうか?」

 

「え……!?」

 

「ベル君。ちょっとこの子と出掛けてくる。留守番を頼むよ」

 

「え? でも……」

 

「安心したまえ。すぐに戻る。それに明日もまたダンジョン攻略(・・・・・・・)だろ。ちゃんと体を休めておくことも重要だぜ」

 

「わ、わかりました……」

 

(ダンジョン?)

 

 ヘスティアがベルの言ったダンジョンという単語の意味がわからずツナは疑問符を浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ツナはヘスティアと共に教会の外に出る。

 

「っ!?」

 

 ヘスティアと共に教会から出たツナ。だがツナは驚きのあまりその場で固まってしまっていた。なぜならツナの視界には石畳の造りの地面、自分の知らない町並み、そして街の中央に存在する天に向かって聳える高い塔。何もかもが自分の知らない物ばかり。まるでゲームの中の世界に迷い込んでいるみたいであった。

 

「ここはオラリオ。この世界で一番栄えている都市さ」

 

「オラリオ……」

 

「まぁとにかく歩いてみようか」

 

 ヘスティアがそう言うとツナはヘスティアの案内の元、オラリオの街中を歩いていく。

 

「ほ、本当だ……!?」

 

 歩くこと10分。多くのテントが立ち並ぶ商店街にやって来ていた。

 そこにはエルフやドワーフ、そして他にも空想上と思われていた生物が当たり前のように対話、闊歩し、誰も違和感を覚えずにいる光景が広がっており、ツナはヘスティアが言っていたことが本当なのだと理解する。

 

(見たことない物ばかり……)

 

 人や商店街が販売されている食べ物や商品がどれも知らないことばかりだった。

 

(お金も違う……)

 

 ツナの視界に店主と客が売買のやり取りをしている光景が目に入る。そこで使われている硬貨や紙幣が違うことに。

 

(文字も……)

 

 次に目に入ったのは店の看板や商品名の書かれている札であった。しかしそれはツナは見たことのない文字であった。

 

(見たことない建物……)

 

 ツナは空を見上げる。ツナの視界には街の中央に空高く聳え立つ塔が映っていた。

 

(ここは本当に異世界なんだ……)

 

 その塔は街のどこにいても見える程、巨大な塔。観光スポットや世界遺産として有名になっていてもおかしくないレベルの建物だった。にも関わらずその存在をツナは知らなかった。その事実が今いる世界が異世界だということ確信させる一番の理由だった。

 

「どうだい? ここが異世界だということがわかったかい?」

 

「はい……」

 

 ヘスティアが尋ねるとツナは暗い表情になりながら答えた。

 誰も頼れる人がいない上に、元の世界に戻ることもできないという現実を理解させられたからである。

 

「とりあえず一旦、戻ろうか」

 

「はい……」

 

 ヘスティアはツナと落ち着いて話す為に一旦、教会へ帰ることを進言する。ツナは落ち込みながら返事をすることしかできなかった。

 2人は商店街を離れ、来た道へ戻り教会を目指して行く。

 

「心配しなくていい。僕に任せたまえ」

 

「え……!?」

 

 帰り道。暗い表情をしているツナを見て心情を察したのか、ヘスティアはツナを安心させる為に言葉をかけた。

 

「言ったはずだぜ。困っている子供に手を差し伸べるのは神として当然のことだって。だから君の今後は僕が保証する。君が元の世界に帰る方法が見つかるまでね」

 

「で、でも……」

 

「勿論、タダじゃないぜ。君の境遇には同情するがちゃんと働いてもらうぜ。生憎とウチはお金に余裕はないからね」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

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