ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
格上のミノタウロスを倒すという偉業を成したベル。
「悪いがベルとリリを地上に送り届ける。一旦、抜けるがいいか?」
「あ、ああ……」
ベルがミノタウロスを倒したという衝撃が抜けきっていなかったのか、フィンは困惑しながら返事をした。
「なら案内役として僕も行こう。それと地上に戻るまでの護衛を含めてね」
「助かる」
「リヴェリア。指揮を頼む。戻り次第、18階層に合流。ガレスたちにこのことを伝えてくれ」
「了解した」
フィンはこれからのことをリヴェリアに伝え、部隊の指揮権をリヴェリアに委譲した。
ツナは左手でベルを、右手をリリを抱える。
「よし。行くぞ」
「待ちやがれ!!」
ベルとリリを連れて帰ろうとした矢先、ベートがツナに制止をかけた。
「そのガキは一体何なんだ!? 何で駆け出しの冒険者がミノタウロスに勝てるんだ!? 答えやがれ!!」
ベートは同じ【ファミリア】のツナであれば、ベルの強さの秘密がわかるのではないかと思いツナに問い詰めた。
「答えは1つ。ベルが死ぬ気だったからだ」
「ふざけんじゃねぇ!! そんな根性論だけで勝てる訳ねぇだろ!!」
ベートが皆が思っていたことを尋ねるも、納得のいく回答が得られなかった為、苛立ちを覚える。
「自分がベルと同じ頃にはミノタウロスに勝てなかったからといって嫉妬するのは結構だが、俺にはベルが死ぬ気で戦った以外、思い当たる節がない。これ以上詮索しても無駄だ」
「う、うるせぇ!! そ、そんなんじゃねぇ!!」
ベートは自分の思っていることを完全に見透かされて、顔を真っ赤にしながら叫ぶ。そんなベートを見て、団員たちはクスクスと笑っていた。
「笑うんじゃねぇええええええ!!」
リヴェリアたちと別れ、ベルとリリを抱えて地上を目指すツナとフィン。
「それにしてもよく彼がミノタウロスを倒すと確信できたね」
「あの時のベルなら勝てると思った。それ以上でもそれ以下でもない」
「そうか……」
フィンは自分とツナでは見えているものが違うということを理解したのか、それ以上のことは聞くことはしなかった。
「それと彼女は君たちの【ファミリア】のサポーターかい?」
「いや他の【ファミリア】のサポーターだ。どこの【ファミリア】かまでは知らないんだが……」
「知らない?」
「ああ、自分のこと知られたくないみたいでな。だから詮索はしないことにしてる」
「そうか……」
「何かあったのか?」
「いや。何でもない。急ごう」
一方。その頃。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい。オッタル」
ダンジョンから地上へと戻ったオッタルはバベルの頂上にいた。オッタルの視線の先には露出の多い銀髪のロングヘアーの女性が片足を組んで椅子に座っていた。
彼女の名はフレイヤ。迷宮都市オラリオに置いてトップクラスの探索ファミリア【フレイヤ・ファミリア】の主神であり、容姿端麗な神々においても随一の美貌を持つ美の女神である。
「申し訳ございません。フレイヤ様の指令を果たすこと叶いませんでした」
オッタルは片膝をついた状態で頭を下げ、謝罪の言葉を述べた。
「顔を上げなさいオッタル。
「左様でございますか?」
「ええ。この目で見たから間違いないわ」
フレイヤは自分の座っている椅子の横に浮いている鏡の縁を右手で軽く触りながら返事をした。
フレイヤの横で浮いている鏡は神の鏡。天界から下界の様子を見ることのできる鏡である。通常、神は下界においては自身の力、
神の鏡を使うと特定の波動が発生し、その波動を察知され神の鏡を使ったということが露見すれば、使用した神は天界に強制送還となる。なのでフレイヤはルールを犯している。しかしフレイヤは己の美貌を利用して他の
「それに思惑通り魔法にも目覚めていた。何よりあの子の
優しい笑みをフレイヤだったが、急に恍惚な表情へと変貌していく。
フレイヤはベルを自分のものにしようと画策している。フレイヤはあらゆる人間の魂の色を見ることができる。あらゆる人間の魂を見てきたフレイヤであったが、中でもベルは今まで見てきた人間の中でも見たことのない程、綺麗な魂の色をしていた。故にベルに執着しているのである。
この世界の人が死ねばその魂は天界へと送られる。もしベルが死ねばフレイヤは2度と下界に戻れなくなろうとも、迷わずベルを追いかけて天界へと戻ることを選択する。フレイヤのベルへの執着はまさしく常軌を逸していると言っていい。
「とはいえ今回の目論みは
「はっきり申し上げますと、戦闘力の底が見えません。強さは私よりも遥か上かと。アレンたちを1人で圧倒したというのも納得がいきます」
「その割には嬉しそうね。オッタル」
「嬉しい? 私がですか?」
「ええ。ようやく自分とまともに戦える好敵手と巡り逢えたっていう顔をしているわ」
「そのようなこと……私はフレイヤ様に忠誠を……」
「いいのよ。自分の気持ちに素直になりなさい。私への忠誠を誓ってくれるのは嬉しいけど、自分を捨てる必要はないわ。私はどこまでも強さを求めるあなたが好きなんだから」
「もったいなきお言葉。感謝いたします」
フレイヤの言葉を受けてオッタルは右手を胸に当て、再び頭を下げた。
「話を戻しますが、沢田綱吉については現状どうすることもできないと思われます。勝っても負けてもこちらに甚大な被害が出るだけかと」
「興味深いわね。駆け出しの冒険者でありながらあなたたちを圧倒する者がいるなんて。それに……」
「どうかされましたか?」
「彼は確信を持って私が普通の
「馬鹿な!? そんなことが!?」
「おそらく相手の心を見透かす類いの力。少しだけ神に近い能力を持っているのかもね」
(初めて対峙したにも関わらず、俺の力量を見抜くことができたのはその力という訳か……)
フレイヤの言葉からオッタルは自分の間合いに入り、大剣を受け止めることができたのはフレイヤの言う相手の心を見透かす力があったからこそだということを理解する。
「あくまで普通の人間ではないということに気づいているだけで、流石に
「いかが致しますか?」
「バレたところで問題ないわ。バレたら適当な理由をつけて、秘密にしてくれと頼めばいいだけだもの」
「吹聴される可能性もありますが」
「問題ないわ。彼はそんなことができる人間じゃない。彼はどこかアリィと似ているもの」
そう言うフレイヤの脳裏には褐色の肌に薄紫色の瞳を持つ少女の姿が浮かんでいた。
「彼に関してはこちら側が何かしでかさない限りはまず問題ないわ。だから彼に手を出さないように徹底しなさい」
「御意」
原作を読んでない方には意味のわからない要素があってすいません。
知りたい方は原作を読むか、今年アニメ化される豊穣の女神編を見て下さい。
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