ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

32 / 160
標的(ターゲット)32 相棒(ナッツ)

 

 

 

 

 

 

 その後、ツナとフィンはリヴェリアたちと合流。そこから19階層へと入って行くと、そこから24階層へと一気に移動していく。

 19階層から24階層は大樹の迷宮と呼ばれる森林タイプのダンジョンとなり、強力な状態異常攻撃や罠タイプのモンスターが出現するようになる階層である。

 

『ガッ!?』

 

 ツナは雄鹿型の怪物(モンスター)。ソードスタッグの群れの中に突入。真正面からソードスタッグの群れを一撃で次々に沈めていく。

 そして今度は茸型の怪物(モンスター)であるダーク・ファンガスの群れが出現し、一斉に毒の胞子をばら蒔いていく。

 

『オオォォォォ……』

 

 だがツナは毒の胞子に恐れることなく左手を前方に向け炎の壁を作りながらダーク・ファガスの群れに突入。大空の炎の特性である調和によって毒の胞子は浄化され、毒の胞子の無くなったダーク・ファンガスの群れはなす術もなくやられていく。

 ダンジョンは下へ行けば行く程、怪物(モンスター)は強くなり出現頻度は上がっていく。だがツナはそれをものともせずに1人で怪物(モンスター)をどんどん狩りつくしていった。

 

「全然、追い付けないよー!!」

 

「速過ぎんでしょ!!」

 

「クソッタレが!!」

 

「っ!?」

 

 ベルとミノタウロスとの戦いを見て発破がかかったティオナ、ティオネ、ベート、アイズ。しかしツナの速度に追い付けない上に、次々に怪物(モンスター)を倒されていく為、不満が溜まるだけだった。

 その一方で他の団員たちはツナたちがあまりにハイスピードで進んでいく為、必死に追いかけているのにも関わらず置いてけぼりの状態になってしまっていた。

 

「一体どうなっとるんじゃあやつは……!?」

 

「彼の実力ならこれくらいは当然だよ。といっても相変わらず流石に規格外なことに間違いはないんだが……」

 

 ツナの戦うところを初めて見る椿は驚きを隠せないでいた。

 全てではないとはいえツナの強さを知っているフィンからすれば、これくらいは当然だとわかってはいたがそれでも驚きを隠せないでいた。

 

「しかし妙だのう。初めて戦う怪物(モンスター)を相手しているはずなのに……どうしてあんなにも迷いなく戦うことができる……?」

 

「今までの戦闘経験と類い稀なる戦闘センスがそれを可能にしているんだ」

 

 椿がツナの強さに対する秘密について疑問を口にすると、フィンが椿の疑問に答えた。

 

「ただ彼の場合はそれだけじゃない」

 

「どういう意味だフィン? ツナ吉は何かしとるのか?」

 

「一度倒した怪物(モンスター)の動きを完全に見切り、次に同じ怪物(モンスター)と戦う際にはその怪物(モンスター)に対して最適な動きと最適な攻撃を繰り出している。つまり彼は戦う度に強くなっているんだ」

 

「いくら何でもそれは規格外過ぎやしないか……!?」

 

 ただでさえ強いのに、そこから成長の速さが半端ではないと知って流石の椿は引いてしまっていた。

 

「それにしてもアイズたちが張り切っておるようじゃが、一体何があった?」

 

 基本的に【ロキ・ファミリア】は若い団員に育成の為に、若い団員を優先して戦わせ経験を積ませる。

 しかし今日は幹部格のアイズたちが浅い階層であるのにも関わらず前線に立っている。ガレスはそのことに違和感を覚える。

 

「面白い冒険者を見つけてね。その冒険者の戦いを見てから発破をかけられたのさ」

 

 そう言うとフィンは思い出す。格上であるにも関わらず、ミノタウロスに臆することなく勇敢に立ち向かい勝利を収めたベルの姿を。

 

「じゃがあれでは若い連中が育たん。それに奴が怪物(モンスター)を狩りつくすからアイズたちの鬱憤が溜まっていく一方じゃ」

 

「今回ばかりは仕方がない。彼がいなくてもこうなっていたさ」

 

 ガレスは若い団員たちが置いてけぼりにされている状況を嘆くも、フィンはどうすることもできないということを知っていた。

 

「それに彼に経験を積ませるのは悪いことだけじゃない」

 

「何を考えている?」

 

「この先、また彼の力が必要になるかもしれない。いくら強くとも冒険者としては駆け出し。だからここで彼に経験を積ませることは今後の為に役に立つ」

 

例の件(・・・)か?」

 

「ああ」

 

 リヴェリアが遠回しに小声で尋ねると、フィンも小声で返事をした。

 

「それに彼の強さを見せつけて、団員たちに発破をかけるのも悪くないと思ってね。だから彼に頼んでおいたのさ。先頭に立って怪物(モンスター)を好きに倒してくれって」

 

「自信が無くなるかもしれないぞ」

 

「かもね。だがそれでもなお進み続ける者、自信を失っても這い上がる者だっているはずだ。真の強者とは負けたことのない者じゃない。悩み苦しみ、それでもなお這い上がる者のことだからね」

 

 そう言うフィンの脳裏にはオッタルの姿が浮かんでいた。フィンはオッタルが負け続けてもなお這い上がり、都市最強と冒険者と呼ばれる男になったということを知っている。故にツナに先陣を切らせたのである。

 

「蜂?」

 

 ツナが最前に立って次々と怪物(モンスター)を倒していくと。空を飛行する蜂型の怪物(モンスター)が大量に現れた。

 この怪物(モンスター)の名はデッドリー・ホーネット。上級者殺しの異名を持つ怪物(モンスター)で素早い敏捷性に優れた怪物(モンスター)である。

 

(あれは……)

 

 大量のデッドリー・ホーネットの先にある木の枝にぶら下がっている松ぼっくりのような形の何かがツナの視界へ入る。

 この怪物(モンスター)の名はブラッディー・ハイヴ。デッドリーホーネットと共生するという希少種(レアモンスター)である。ブラッディー・ハイヴは移動することはできず、粘着性の液を放つことしかできない。粘液には殺傷能力はなく相手の動きを封じることしかできない。ブラッディー・ハイヴだけであれば何も脅威ではないのであるが、共存しているデッドリー・ホーネットが粘液によって動けない獲物に襲いかかるというダンジョン内でも変わった習性を持つ怪物(モンスター)である。

 しかもブラッディー・ハイヴは、自身が倒されない限りデッドリー・ホーネットを無尽蔵に生み出す。デッドリー・ホーネットに手間取っている間に他の怪物(モンスター)にやられるということは珍しくない。

 

(成る程な。怪物(モンスター)であると同時に、あの蜂たちの巣でもある訳か。しかもあの巣から次々に生まれてくる。厄介だな)

 

 ツナはブラッディー・ハイヴの習性を即座に理解。このまま真正面から倒すこともできない訳ではないが、それでも厄介だと感じていた。

 するとツナは右手に装着している動物の顔とボンゴレのマークが彫られたリングを見つめる。

 このリングは【ボンゴレギア】。【ボンゴレファミリー】のボスに代々、受け継がれる【ボンゴレリング】というリングがある。価値のつけられない程のリングであり、このリングを守る為に多くの人間の血が流れたという曰く付きのリングである。ツナの持つ【ボンゴレギア】は【ボンゴレリング】をパワーアップさせたものである。

 

(なら……)

 

 するとツナは【ボンゴレギア】に炎を灯す。するとがリングが光り輝き始める。

 死ぬ気の炎を扱うには炎を灯すことができるリングと覚悟が必要。これができなければ死ぬ気の炎を使って戦うことは不可能。死ぬ気の炎を使える者と使えない者では実力に天と地程の差が存在するといっていい。

 

「ガウ!!」

 

天空ライオン(レオネ・デイ・チエーリ) Ver(バージョン). V(ボンゴレ)

 

 するとツナの右肩に炎の(たてがみ)に纏った小柄なライオンが現れた。

 このライオンの名はナッツ。ツナの相棒であり、(ボックス)兵器でもある。

 (ボックス)とは武器や死ぬ気の炎を纏った動物を、武器や動物の大きさや重さに関係なく、立方体の小さな箱に収めることのできるアイテムである。

 (ボックス)に収められた動物は一般的に(ボックス)兵器と呼ばれ、(ボックス)から武器や動物を出す場合には、リングに炎を灯し、(ボックス)に注入する必要がある。

 ただツナの場合は(ボックス)ではなく【ボンゴレギア】からナッツを出したり収めたりすることができるのである。

 

「GURURU……GAOOOO!!」

 

 ナッツが咆哮が上げると、ナッツの口から大空の炎が放たれる。すると前方にいたデッドリー・ホーネット、ブラッディー・ハイヴの体が木に覆われ、動きを止める。そして宙を舞っていたデッドリー・ホーネットは地面へと落下し、地面に落ちた衝撃で体が粉々になる。

 今のは天空の雄叫び(ルッジート・デイ・チエーリ)。咆哮で大空の炎を発射し、喰らった者を大空属性の特徴である調和の効果を喰らわせる技である。

 今回の場合は周囲の木々と調和させることで怪物(モンスター)の体を木と同じ性質へと変えたのである。

 そしてツナはブラッディー・ハイヴのぶらさがっている枝の目の前まで一気に移動すると、右ストレートでブラッディー・ハイヴの体を粉々に破壊する。

 

(あらかた片付いたな)

 

 ブラッディー・ハイヴのぶらさがっていた枝の上に立って、他に怪物(モンスター)がいないか確認するツナ。ほとんど片付いたと知ってツナは枝から降りて地面へと着地するのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。