ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
次の日。ついに59階層攻略の為の遠征が始まろうとしていた。
「出発する」
事前に59階層攻略についてのことは話し合いが終わっている為、フィンは余計なことは言わず1言だけ言い放った。
部隊は前衛にベートとティオナ、中衛にツナとアイズとレフィーヤとフィン、後衛にガレスとリヴェリア。そして各
現在のツナたちはついに50階層と51階層を繋ぐ連絡路の灰の大樹林を歩いていた。
「ここからは無駄口はなしだ。総員、戦闘準備」
灰の大樹林を抜けると、大穴が現れた。そこは崖と同義とも言える程の急斜面だった。下にはいくつのも
この先が51階層。51階層から57階層は深層では珍しい上層と同じ迷宮構造。しかし規模は上層よりも比べものにならないくらい広大なのである。
「行け。ベート。ティオナ」
フィンが命令するとベートとティオナは崖を飛び降りて、
ベートのフロスヴィルトと呼ばれるメタルブーツとティオナの大剣が
「予定通り正規ルートを進む! 新種の接近には警戒を払え!」
フィンが指示するとツナたちは止まることなく、前進しながら
階層とは比べならない程の
「今までと違って
「同感だな。確かにこれは骨が折れるな」
「という割に余裕っすね2人とも……」
いくら自分より強いとはいえ、ツナと椿はこの階層に何度も来ている自分より余裕で
倒していることにラウルは驚きを隠せないでいた。
「というか椿は冒険者じゃなくて鍛冶師なのに何でそんなに強いんだ?」
「ん? 武器の試し切りというものがあるだろ。手前の武器が迷宮の
「それは凄いな……」
ツナは今まで感じていた疑問を椿に尋ねたが、予想外の返答であった為、なんとも言えない気持ちになってしまっていた。
「来た! 新種!」
ティオナが叫ぶと、前方には昨日フィンが言っていた芋虫型の
「隊列変更! ティオナ下がれ!!」
フィンが指示すると前衛にいたティオナは中衛に下がり、中衛にいたアイズが前衛に出る。
「【
「アイズ! 寄越せ!」
「風よ」
アイズが詠唱するとアイズは体と武器に風の鎧を纏わせる。そしてデスペレードをベートに向かって薙ぎ払った。するとベートのメタルブーツにアイズの風が吸収され、メタルブーツにアイズの風が纏われる。
ベートのメタルブーツは魔法を吸収する性質があり、吸収した魔法をブーツに纏わせることができるのであるのである。
「オラァ!!」
「はぁ!!」
ベートは双剣にいよる斬撃と風を纏った蹴撃を放ち、アイズは風を纏ったデスペレードによる神速の斬撃で新種を消滅させていく。
前回の遠征で【ロキ・ファミリア】は新種の放った腐食液にて武器を破壊されて窮地に追いやられた。しかし今回は
「前に出てもいいか?」
「ああ。許可する」
ツナは前に出る許可をフィンに求めた。何か考えがあるのだと踏んだフィンはツナに前衛に出る許可を与えた。
するとツナは両手を後方に下げると、炎を逆噴射させて低空飛行で新種に近づいて行く。
「【
低空飛行からツナは螺旋状に上昇した。すると炎の竜巻が発生し、竜巻に閉じ込められた新種たちは死ぬ気の炎の熱と破壊力によってなす術もなく消滅する。
「炎の竜巻……」
「凄い……」
ツナの発生させた竜巻にティオネとレフィーヤは見惚れてしまっていた。
竜巻を発生させた後ツナは天井に逆さまの状態で張り付いた。
「【閉ざされる光。凍てつく大地。吹雪け、三度の厳冬。我が名はアールヴ】!!」
「総員、退避!!」
後衛で詠唱を唱えていたリヴェリアの詠唱が終わる。フィンはリヴェリアの魔法に巻き込まれないよう撤退命令を出す。
前衛にいたアイズとベートは即座に横道に避難、ツナは階層の天井に逆さまの状態でしゃがみ込む。
「【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」
するとリヴェリアから猛吹雪が通路中に放たれる。新種たちは猛吹雪によって一瞬にして氷像と化していく。
そしてツナとベートとアイズは氷像と化した新種たちを完全に破壊する。
「凄いな……これは」
ツナは凍りついたダンジョンを見て呟いた。50階層まで大部隊であった為、リヴェリアはステイタスと威力の低い魔法しか使わずにいた。なので今までリヴェリアの力を完全に見ることはできていなかったのである。
「君こそ。リヴェリアが詠唱しやすい環境とガレスの負担を軽くするとはね」
「え?」
フィンの言っている言葉の意味がわからずレフィーヤは疑問を浮かべる。
「炎の竜巻で新種を倒すと同時に、奥にいる新種を炎の竜巻で近づけないようにするのと、腐食液の攻撃がこちらに降り注がないようにした。そうすることでリヴェリアが少しでも詠唱に集中できる環境を作った。そしてリヴェリアを護るガレスは後方の敵にだけ集中することができる。そうだろう?」
(前衛に出たのはリヴェリア様の為!? あの状況で!?)
自分と同じく初めて来る階層。しかも今までとは
「だがリヴェリアは敵が目前にいようとも詠唱し魔法を発動させることができる並行詠唱のできる魔道士。それに今回はガレスがいたから不発になることはまずない。そのことに君は気づいていないとは思えないんだけどね」
「ダンジョンでは何が起きるかはわからない。なら成功率は少しでも上げた方がいい。違うか?」
「違わないね」
ツナの言い分に特に反論もなかった為、フィンは特にこれ以上、何も言うことはしなかった。
すると壁から大量の
「総員、戦闘……」
「【
フィンが指揮を取ろうとした瞬間、左足を前方に踏み出すと同時に右手を前方におもいっきり突き出した。すると炎が一直線に放たれ
「準備と言いたかったんだが……必要なかったみたいだね……」
「ガハハハ!! 指揮官の立つ瀬がなくなったのうフィン!!」
自分が指揮するよりもさらに早くツナが倒してしまったことに対してなんとも言えない気持ちになっているフィンを見てガレスが豪快に笑い飛ばした。
「しかしさっきの竜巻の技といい、今の技といい……豊富な技をお持ちなのですね……」
「竜巻に関しては元々持っていた技だが、今の技は今思い付いた技だ」
「ええ!?」
今放った技がたった今思いついた技だということを知ってアリシアは驚きの声を上げる。他メンバーたちもアリシアと同じ気持ちだったのか驚きを隠せないでいた。
「感謝するリヴェリア。さっきのお前の魔法を見てこの技を思いつくことができた」
「あ、ああ……」
ツナはリヴェリアの放った吹雪の魔法。【ウィン・フィンブルベトル】から【
【
(この階層で技を思いつき、それを迷うことなく行動に移せるだけの胆力……どこまで予想を裏切って来るんだい君は……)