ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)40 59階層(デスティネーション)

 

 

 

 

 

 

 58階層の怪物(モンスター)たちを一掃したツナたちは傷や魔力をポーションで回復させる。59階層に入る前の小休憩に入っていた。

 

「それでね!! ツナの炎が砲竜(ヴァルガング・ドラゴン)の炎を貫いてたんだよ!!」

 

「「「「……」」」」

 

 ティオナが大穴が落ちている時にあった出来事を嬉々として語る。その光景を見ていない者たちは開いた口が塞がらない状況になっていた。

 現在、ツナは異常事態(イレギュラー)に備えて空中に飛んで辺りの見張りを。アイズ、ベート、ティオナは地上の見張りをしていた。

 

「あの炎を上回る威力の炎を出せるのか……」

 

「我々は何度、驚愕させられれば気が済むんだ……」

 

「おそらくだけどこの先でもさらに驚かせられるだろうね……」

 

 ティオナの話を聞いて流石のガレス、リヴェリア、フィンも動揺を隠せないでいた。

 

「それとまた新たに技を開発しよった」

 

「さっきの技か。しかし分断している間もない時間でそこまで成長できるのか……」

 

「ああ。それと奴は戦う相手が強ければ強い程、それに比例して成長の幅も上がるということがわかった」

 

「この土壇場で新技を産み出せたのはそれが原因か……」

 

 この52階層から58階層で新たに技を生み出すことができたのは、相手が今までにないぐらいの強かったからであるということを。

 

「確かに驚きではあるが、この先は何があるかわからんから頼もしい限りではないか」

 

「まぁ。それはそうなんだが……」

 

 砥石で剣の整備をしながら発言する椿。フィンは上空にいるツナの方を見上げる。

 

(本当に君は何者なんだい?)

 

 ツナが戦う姿を見た時からずっと思っていたことであったが、改めてツナが何者なのか気になってしまっていた。

 10分後、フィンはツナたちを呼び寄せて、59階層に攻略にあたっての準備を始める。

 

「どうしたフィン? 何かあったのか?」

 

 皆が準備している中、59階層の入り口を見つめながら何かを考え込んでいるフィンを見てツナは何かあったのかと気になった為、話しかけた。

 

「【ゼウス・ファミリア】が残した記録によればこの先は氷河の領域になっているはずなんだ……」

 

「確か至るところに氷河湖の水流が流れ進みづらく、極寒の冷気が体の動きを鈍らせるんでしたよね?」

 

「ああ。その通りだ」

 

「氷河の領域か……動きが鈍りそうだな」

 

 フィンとティオネの会話からこの先の階層の戦いは寒さで力を出し切ることができなさそうだと判断する。

 ツナは今まで極寒での命懸けの戦闘経験はない。しかも超高速で戦うツナにとって、極寒はまさしく天敵と呼べるものであった。

 

「大丈夫っすよ。防寒耐性のある火精霊の護布(サラマンダー・ウール)を用意してるっすから」

 

 ラウルはパックパックから紅の布を取り出すと同時にツナの懸念を払拭した。

 

「第一級冒険者の動きを凍てつかせる程の恐ろしい冷気……ならその階層を目前にしている僕たちの元に、どうして冷気が伝わってこない?」

 

「そういうことか」

 

 ツナは先程、フィンが59階層入り口を見て何かを考え込んでいた理由を理解する。

 

「何かあるってか」

 

「わからんが……【ゼウス・ファミリア】の誇張とは考えにくいのう」

 

 59階層攻略の準備をしながらベートとガレスは59階層の入り口を見つめる。ただでさえ来たことのない階層に挑むという緊張しているのにも関わらず、それに加えて予想外の出来事が起ころうとしていると知ってさらに緊張が走る。

 

「だ、団長……どうするんですか……?」

 

火精霊の護布(サラマンダー・ウール)はいい。総員、3分後に出発する」

 

 嫌な予感を感じて声を震わせながらフィンに判断を求めるラウル。フィンは自身の親指の疼きから防寒対策をせずに59階層に入ることを決意する。

 そして3分が経過し、一同はついに59階層へと続く連絡路へと入って行く。

 

「寒いどころか……」

 

「蒸し暑いですね……」

 

 連絡路には冷気ではなく湿気が漂い、ティオナとレフィーヤは少しだけ汗をかいていた。

 

「ダンジョンの環境がランダムに変わるということはないのか?」

 

「いや。おそらくこの先にあるのは神々ですら目撃したことのない未知だ」

 

 ツナの予想を否定できる根拠はなかったが、フィンはツナの予想が当たっていないことを確信していた。

 すると連絡道の出口が見える。ついにツナたちは59階層へと足を踏み入れた。

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」

 

 59階層に広がっている光景を見て一同は絶句する。なぜならそこには氷河湖も水流はなく、広大な密林が広がっていたのだから。

 そして密林には不気味な咀嚼音と甲高い声が響き渡っていた。

 

「前進」

 

 一同が動揺を隠せない中、フィンはそう一言だけ呟いた。フィンの一言で一同は前進する。

 歩き続けること数分。密林が消え、視界が一気に広がる。

 

「何あれ……!?」

 

 ティオナの表情が驚愕の表情へと変化する。そこには(おびただ)しい数の芋虫型の怪物(モンスター)と食人花の怪物(モンスター)がいた。

 そして大群の怪物(モンスター)の中には巨大な植物の下半身、上半身が女体の形をした怪物(モンスター)がいた。

 

宝玉(・・)女体型(モンスター)か……」

 

「寄生したのは……タイタン・アルムなのか?」

 

(宝玉? 寄生?)

 

 フィンとリヴェリアが気になることを言った為、ツナは疑問符を浮かべる。

 リヴェリアの呟いたタイタン・アルムとは冒険者だろうが怪物(モンスター)であろうが手当たり次第喰い尽くす怪物(モンスター)である。故にタイタン・アルムは死体の王花の異名を持っている。

 タイタン・アルムの女体型の部分に怪物(モンスター)たちは魔石の乗った舌を伸ばす。そしてタイタン・アルムはその魔石を体内へと吸収していく。

 

「不味い……!!」

 

強化種(・・・)か!!」

 

 タイタン・アルムが魔石を喰らって強化していることをフィンとベートは理解し焦り表情を浮かべる。

 強化種とは怪物(モンスター)が他の怪物(モンスター)の魔石を喰らったことによって同一個体の怪物(モンスター)よりも強化された怪物(モンスター)のことである。強化種は怪物の宴(モンスター・パーティー)と同様に予想することはできない異常事態(イレギュラー)なのである。

 

「違う……」

 

「あぁ!?」

 

「あいつじゃない!! パワーアップしているのは別の奴だ!!」

 

「何を言ってやがんだてめぇ!!」

 

 ツナは目の前にいるタイタン・アルムではなく別の何か(・・・・)に恐怖していた。急に意味のわからないことを言い出すツナに対してベートは苛立ちを覚える。

 するとタイタン・アルムの上半身の女体が不気味な音を立てながら膨れ上がっていく。形だけだった女体から新たに緑色の長い髪に緑色の肌の容姿端麗な女性の体が生まれ落ちる。

 

『ァアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 新たに生まれた女体は歓喜の声を上げた。だが歓喜の声とは裏腹に、その実態は鼓膜を破壊せんとする音波であり、ツナたちは咄嗟に両手で耳塞いだ。

 新たな女体はさらに変貌していき下半身に巨大な花弁と無数の触手が発生する。

 

「嘘……」

 

(アイズ……?)

 

 そんな中でアイズだけが耳を塞がず、新たな女体型を見て茫然と立ち尽くしていた。アイズの様子がおかしいことにツナは気づく。

 

『アリア……アリア!!』

 

 ここで新たに生まれた女体が言葉を発した。発せられた言葉は誰かの名であった。

 

「精霊……!?」

 

 

 

 

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