ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
精霊の魔法によって死んだと思われていたツナ。
「はぁ!!」
そしてついに精霊の顔面に拳を叩き込むことに成功した。
が、
(やっぱりダメか……!?)
ツナの拳を受けても精霊は
精霊の超長文詠唱を防ぐ為に膨大の炎を消費した為、ツナは自分の攻撃が効かないことはわかっていた。
そして精霊の触手がツナに襲いかかる。ツナは即座に空中に逃げる。
「あの隕石の中をくぐり抜けたのか……!?」
フィンはなぜツナが精霊の元に辿り着くことに成功したのかを理解する。フィンの言葉を聞いて一同は全員、衝撃を受けていた。
今まで触手によって精霊に近づくことすらできなかった。そしてさらに隕石が次々に落下するという絶望的な状況。ツナはこの絶望的な状況を逆に利用し、降りそそぐ隕石の中をかいぐぐって精霊に近付いていたのである。
精霊は自分がやられるとは微塵も思っておらず、完全にツナたちを見下し楽しんでいる。しかも隕石が落下した余波で大量の土煙が発生。精霊の視界が塞がれた状況であれば近付づけるとツナは考えたのである。
「しかも僕たちの回復する時間を稼ぐ為に……!!」
フィンは歯を喰い縛り、血が出る程、両手を握りながらツナの行動の真意を理解する。
あの隕石の魔法で自分たちが生き残ると信じ、ツナは隕石の中に特攻。精霊の注意を自分に引き付けることで仲間たちの回復する時間を作り出したのだとフィンは理解する。
「すぐに回復を済ませろ!! 彼の覚悟を無駄にするな!!」
フィンは一同に向かって叫ぶ。絶望していた団員たちであったがツナの覚悟を知り、そして無駄にしない為に、団員たちは1秒でも速く回復を済ませようと機敏に行動する。
(くっ!?)
大量に襲いかかる触手たち。今のツナでは精霊に近づくどころか、触手の攻撃を躱すのがやっとの状態であった。
「【突キ進メ雷鳴ノ槍代行者タル我ガ名ハ
ツナが弱っているということを理解した精霊は短文詠唱を唱え始めた。
「【サンダー・レイ】」
大矛と化した豪雷が地上にいるツナの向かって放たれた。そして大矛と化した豪雷がツナに直撃し、ツナは土煙に覆われる。
「直撃!?」
「そんな……!?」
精霊の雷の魔法がツナに直撃したことにレフィーヤとアイズは驚きの声を上げる。ツナが精霊の魔法に直撃した光景を見て再び団員たちは絶望感に襲われる。
短文詠唱は長文詠唱や超長文詠唱に比べれば威力は低い。しかしそれは術者の強さによって異なる。術者が強ければ短文詠唱でも致命傷となる。中には短文詠唱で長文詠唱を上回る威力を出せる者もいる。
(おかしい……)
そんな中でフィンは精霊の魔法がツナに直撃したことに違和感を覚えていた。
『アハハ!! アハハハ!! アハハハハハハ!!』
一方で精霊はツナを完全に仕留めたと確信して高笑いをしていた。
その時だった。
『っ!?』
高笑いをしていた精霊であったが、突如として高笑いを止めた。そしてツナが雷の魔法を喰らった地点へと視線を移した。
すると雷の魔法によって発生した土煙が晴れる。そこには先程よりもグローブの炎と額の炎が大きくなっているツナがいた。
「次は俺の番だ。
「ツナだ!! ツナが生きてるよ!!」
ツナが生きているとわかってティオナは喜びの声を上げる。ツナたちが生きていると知って団員たちの顔が明るくなる。
『ガッ!?』
するとツナの姿が一瞬にして消え、精霊の顎にアッパーを喰らわせた。精霊は花弁を展開することすらできず、精霊の上半身が仰け反る。精霊は何が起こったのかわからず困惑してしまっていた。
『ゴフッ!!』
そしてツナは精霊に向かって回し蹴りを放った。遠心力によって強化された蹴りは精霊の横腹にめり込む。先程、ツナに顔面を殴られても嘲笑を浮かべていた精霊であったが、なぜか今は苦悶の表情を浮かべていた。
『ヨクモ……ッ!?』
即座に体勢を立て直した精霊。ツナは右手を薙ぎ払って炎を精霊の顔に向かって飛ばした。精霊は反射的に両腕で両目を防いだ。
『ガハッ!?』
ツナの炎が精霊の視界を塞いでいる間にツナは精霊の真上から、縦方向に回転しながら落下し、回転によって強化した
ツナは59階層の上空に逆さまの状態で浮き、精霊を見下ろしていた。
「あの
「気のせいではない!! どういう訳か知らんが明らかに動きが良くなっておる!!」
(まさか!?)
椿とガレスはツナの動きが明らかに変化していることに気づく。フィンはツナの動きが良くなった原因が何なのか気づく。
「【
精霊はツナが危険人物だと理解すると、天井にいるツナに視線を移し先程とは別の短文詠唱の魔法を放とうとする。
それに対してツナは避ける素振りを見せず、右手の掌を正面に、左手の掌を自身の方に向けた。そして両手を少し斜めに傾けると左手の親指で第2関節の側面に、右手の親指を右手の第2関節の側面に当てて平行四辺形の隙間を作った。そして目を閉じると両手の炎と額の炎がノッキングするかのように不規則になる。
「避けないのか!?」
「何を考えてやがる!?」
魔法が放たれようとしているのにも関わらず空中で止まったまま、避けようとする素振りを見せないことにリヴェリアとベートは驚きを禁じなかった。
「早く援護を!!」
「手を出すな!!」
「団長!?」
魔剣で援護しようとしたラウルであったがフィンが制止した。フィンの発言に耳を疑ったラウルであった。
「大丈夫だ。彼を信じろ」
「団長……?」
フィンが何を考えているかまではわからなかったラウルであったが、何か考えがあるのだと理解し援護することを止めた。
「【アイシクル・エッジ】」
精霊の口元から
が、
『アレハ……!?』
爆煙が晴れるとそこには冷気の球体に包まれているツナがいた。そして冷気が球体に収縮しツナの両手の中へと消えていく。
「【死ぬ気の零地点突破改】」
『私ノ魔法ガ……!?』
するとツナの両手の炎と額の炎が激しく燃え上がる。精霊は自分の魔法が無力化されたことに衝撃を隠せないでいた。
「魔法を吸収して無力化した……!?」
「いや。少し違う」
「どういうことですか……!?」
「彼は魔法を吸収して無力化しただけでなく、自身の力に変換しているんだ」
「なっ!?」
フィンの言葉を聞いてティオネは驚きの声を上げる。他の団員たちもフィンの言葉を聞いて絶句する。
(思った通りだ)
このスキルの存在はツナはヘスティアから聞かされていない。理由は【
だがオッタルとの戦いでオッタルの大剣を受け止めた際、ツナは【零地点突破】で大剣を凍らせようとした。その時にツナの超直感が何かに気づいた。
そして下層のブルークラブとの戦い。この時にブルークラブを【零地点突破】で凍らせた時にツナはこのスキルの存在に確信を持って気づいたのである。
「ナッツ」
ツナがナッツの名前を呼ぶと両腕に装着していた噴射口が消え、右手がガントレットへと変化しガントレットに炎が集まっていく。
『っ!?』
本能で自身の命の危機を感じた精霊は花弁を展開し、花弁の前に全ての触手を集めて、触手で巨大な盾を展開。2重の防御壁を作った。
「【バーニングアクセル】!!」」
ツナは精霊に向かって自身の炎を凝縮した火球を放った。だが
ツナの放った火球は精霊の2重の防御壁を貫いた。
『ギャアアアアアアアアア!!』
ツナの放った火球は精霊の脇腹の腹部と下半身を大きく削り、精霊は断末魔を上げる。
(ズラされた!!)
ツナは今の一撃で精霊にあるであろう魔石を狙った。しかし2重の防御壁が視界を防ぎ、精霊本体に狙いがつけづらくなった。それに加えて精霊は横に体を傾けて魔石が破壊されるという最悪の事態を防いだのである。それでも精霊の体を大幅に削り、深手を負わせることに成功した。
『私二近ヅカナイデ!!』
精霊は残った触手を全てツナに向かって放つ。ツナは炎を逆噴射させて、触手を躱しながら後方に下がって行く。
ツナはそのままフィンたちの元へ戻り、精霊は削られた体を治すことに集中する。
「大丈夫か?」
「ああ。君のお陰で回復する時間ができた」
「そうか」
「すまない。君にばかり無茶をさせることになってしまって」
フィンは何もできず見守ることしかできなかったことを恥じ、ツナに謝罪の言葉を述べた。
(みんなも回復できた)
団員たちが回復できたということを把握すると、ツナは精霊の方を振り向いた。
(そして俺も)
ツナは仲間を回復させる為だけに隕石の中を特攻したのではない。自身の消費した炎を回復する為に特攻したのである。
精霊に自分が弱っているとわからせれば、精霊は炎の魔法や隕石の魔法よりな強力な魔法ではなく、もっと弱い魔法を使ってくるのではないかと思ったのである。
「これで本気で戦える」