ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)43 希望(スペス)

 

 

 

 

 精霊の魔法を吸収したことで消費した炎を回復しただけでなく、パワーアップしたツナ。

 

「これで本気で戦える」

 

(この絶体絶命とも言える盤面で今までにないくらいの成長を見せてくれるとは……本当に君という男は)

 

 この絶体絶命とも呼べる盤面で自分の予想を上回る成長を見せた為、フィンは不敵な笑みを浮かべていた。

 

「まるで今まで本気を出せていなかったような口ぶりだね」

 

「そうだ」

 

「ガハハハ!! この状況でそんな生意気な言葉を放つか!!」

 

 ツナの発言を聞いて豪快に笑い飛ばすガレス。今だに劣勢であるものの、ツナがパワーアップしたことで部隊の士気は上がっていた。

 

「だが劣勢には変わりはないぞ。奴は今再生に集中しているが再生が終わればまた振り出しだ。しかも先程の攻撃であの精霊も警戒し始めた。こちらも何か手を打たなくてはならない」

 

 ツナがパワーアップしたことで士気は上がったが、リヴェリアは冷静に現状を把握する。

 

「手ならある」

 

「何だと?」

 

「聞かせてくれ」

 

 この状況を打破する手があるというツナの発言を聞いてリヴェリアとフィンが反応を示す。

 

「あいつは最初からあの位置から動いていない。さっきの俺の攻撃も避けようとせず、防御を固めて俺の攻撃を凌ごうとした。つまり奴はあの位置から動けないということだ。だが奴は俺の攻撃で警戒心が強くなっている。だから同じ手は通じない」

 

「焦らさないで早く言いなさいよ」

 

 結論をツナが中々言わない為、ティオネは気になって仕方がなかった。

 

「だったらやることは1つ。あいつが再生できない程のエネルギーを喰らわせて完全に消滅させればいい」

 

「「「「「「「「は!?」」」」」」」」

 

 まさかの脳筋作戦であった為、他のメンバーは空いた口が塞がらない状態であった。

 

「何とんでもないことをさらっと言ってんのよ!! そんなことできる訳ないでしょ!!」

 

 自分の予想を上回るとんでも作戦だった為、ティオネは叫ばずにはいられなかった。まさかの脳筋作戦であった為、他の団員たちも驚きのあまり言葉もでなかった。

 

「でもリヴェリアさんとレフィーヤが同時に魔法を放てばなんとかなるんじゃ……」

 

「無理だろうな……」

 

「私もそう思います……」

 

 精霊を消滅させる程のエネルギーと聞いてラウルはリヴェリアとレフィーヤの持つ最大の魔法を同時に放つということが頭が浮かんだ。

 根拠がある訳ではなかったが自分たちの魔法であの精霊を仕留めることができるとはリヴェリアとレフィーヤには到底思えなかった。

 

「問題ない。俺の持つ最高の技であいつを跡形もなく消滅させる」

 

 ツナは自信を持って答える。ツナの持つ最高の技を聞いて一同に緊張が走る。

 

「だがこの技は発動するまで時間がかる。その間は俺は敵の攻撃を避けることすらできない。だから発動できるまで俺を護ってもらうことになる。だからやるかやらないかはお前たちが決めてくれ。ただ悩んでる時間はあまりない。早く決めないと奴の再生が終わる」

 

 自分の主張を無理やり押し付けても作戦は成功しない。ツナは皆に選択肢を与えてやるかどうかを決めさせる。

 

「僕はいいよ」

 

「団長!? 本気ですか!?」

 

 ツナのとんでも作戦に1度は絶句したフィンであったが、フィンはツナの作戦に賛同する。フィンが賛同したことにティオネは耳を疑う。

 

「君たちだって見てきたはずだ。彼は今まで僕たちの想像を超える出来事を何度も起こし、僕たちは何度も驚かされてきたんだ」

 

 フィンの言葉を聞いて一同は思い出す。この59階層に辿り付くまでに起こしたツナの常識外れの強さを。行動を。勇気を。

 

「僕たちはここへ勝つ為にここへ来た。だが彼以外、誰も精霊に有効打を与えるどころか、近づくことすらできず無様に地に転がり、彼に命懸けの時間稼ぎをさせる始末。現状、彼の攻撃が精霊に有効打を与えられるということが彼の命懸けの特攻によって証明された。信じる根拠としては充分だ」

 

 フィンの言葉を聞いて思い出す。ツナの放った火球によって精霊の体が削られた光景を。

 

「それとも君たちには時間稼ぎをすることすら荷が重いかい?」

 

 ここでフィンは団員たちを挑発する。フィンに挑発された団員たちは顔つきが変わる。

 

「それぐらいできるってんだよクソが!!」

 

「そんなこともできない程、落ちぶれてると団長に思われるのも(しゃく)だしね。やってやるわ」

 

「私たちだって頑張らないとね!!」

 

 フィンの言葉によって触発されたベート、ティオネ、ティオナはフィンの挑発に乗せられてしまう。

 

「この生意気な小人族(パルゥム)が」

 

「今に始まったことじゃないだろう」

 

 フィンと長い付き合いであるガレスとリヴェリアは知っていた。フィンが人を焚き付ける天才であるということを。だがわかっていてもガレスとリヴェリアもベートたちと同様にやる気に満ち溢れていた。

 

「私も頑張る」

 

 そしてアイズも静かに呟いた。だがアイズの表情とは裏腹にアイズのデスペレードを握る手はとても強く、アイズもやる気満々の様子であった。

 

「単純な奴らよ。だが手前も乗ったぞ」

 

「わ、私も頑張ります!!」

 

 幹部たちだけでなく椿とレフィーヤ。そしてサポーターたちもフィンの挑発を受けて覚悟を決める。

 

「どうやら覚悟は決まったみたいだね」

 

「助かった。恩に着る」

 

 自分の作戦を実行させる為に団員たちに発破をかけてくれたフィンにツナはお礼の言葉を述べた。

 

「礼を言うのはこちらの方さ。情けない話だが今のところ君にしかあの精霊に勝てる可能性がないからね。そしてすまない。勝手に巻き込んだ上に君にばかり負担をかけてしまって。だがそれでも恥を承知で頼む。また僕たちを驚かせてくれ」

 

「フィン……」

 

 笑顔でそう言うフィンであったが、自分の無力さが悔しくて悔しくて悔しくて仕方がないということが、槍を握る手から伝わっていた。そのことに気づいたツナであったがそれ以上何も言うことはしなかった。

 すると精霊の体が完全に再生する。それと同時に60階層に続く道から大量の怪物(モンスター)が精霊を囲むように現れる。

 

「総員!! ここが正念場だ!! 僕らの全てを賭けて沢田綱吉を護れ!! ここで全ての決着をつける!!」

 

『うぉおおおおおおおおおお!!』

 

 フィンが槍を天に掲げながら叫ぶと、団員たちの雄叫びが59階層中に轟く。

 そんな中でガントレットを解除しナッツをリングの中へ戻すと、ツナは目を閉じて少しだけ息を吐いた。そして再び目を開いて倒すべき精霊(相手)を見ると、右手を後方に左手を前方に移動させて両手の掌を開いた。

 

「オペレーションX(イクス)

 

 

 

 

 

 

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