ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)44 必殺技(イクスバーナー)

 

 

 

 

 

 

 

 

「オペレーションX(イクス)

 

『了解シマシタボス。イクスバーナー発射シークエンスヲ開始シマス』

 

 ツナがそう呟くとツナの装着しているヘッドフォンから女性の機械音声が聞こえる。そしてツナの両目に2つのメーターが上下に映し出される。

 そしてツナは後方に下げた右手の掌から炎を噴射する。

 

(炎を逆方向に噴射した!?)

 

(まさかあの炎を支えにして……!?)

 

(これはまたとんでもないことが起こりそうだね……)

 

 ツナが右手の掌から放った炎が自分自身が吹き飛ばされない為の支えだとベート、アイズ、フィンは即座に理解する。他の団員たちもツナのやろうとしていること理解し、冷や汗をかいていた。

 ツナの放とうとしているこの技は強力であるのだが、あまりにも威力が高すぎる為、支えがなければ自分自身が吹き飛ばされてしまうのである。

 

『ライトバーナー柔ノ炎45万FV(フィアンマボルテージ)デ固定。レフトバーナー柔カラ剛二変換シツツ炎エネルギーヲグローブクリスタル内二充填』

 

 上下にあるメーターが上昇していき、ヘッドフォンから炎の出力状況が知らされる。

 ツナの目に映し出されているのはこの技を撃つ為のコンタクト。ヘッドフォンも同様である。

 この技は後方に逆噴射した炎を支えにして放つ技なのであるが、発射する炎と支えとなる炎の出力を均等にしなければならない。支えとなる炎が発射する炎よりも出力が弱ければ吹き飛ばされてしまう。逆に発射する炎が支えとなる炎よりも弱ければ充分な威力を出すことができない。さらに言えば両手の位置を均等にしなければ安定して撃つことができない。だからこそこのコンタクトとヘッドフォンが必要不可欠なのである。

 このコンタクトとヘッドフォンはスパナというメカニックが製作したアイテムであり、これらのアイテムは炎の出力状況と両手の位置情報を教えるという役割を担っている。

 ツナが技を放つ為に準備していると60階層からやって来た怪物(モンスター)たちが向かってくる。

 

「沢田綱吉の障害となるものを全て排除しろ!! 絶対に彼に怪物(モンスター)を近づけさせるな!!」

 

 フィンの指示を聞いて団員たちも武器を構えて戦闘体勢に入る。

 

「【目覚めよ(テンペスト)】」

 

 アイズは魔法(エアリアル)にて全身に風を纏い戦闘体勢に入る。

 すると今度はツナたちの後方から新たに怪物(モンスター)が出現する。

 

「う、後ろからも……」

 

 前方からだけでなく後方からも怪物(モンスター)たちが現れた為、ラウルたちを始めとするサポーターたちは動揺を隠せないでいた。

 

「あれは手前がなんとかしよう。そっちは任せたぞフィン」

 

「了解した」

 

 椿は自身の持ってきた刀を両手に握るとフィンに告げた。フィンも椿に後方を任せることを了承する。

 

「リヴェリアは魔法で精霊に攻撃!! レフィーヤは沢田綱吉の護衛!! 魔法の選択は君に任せる!!」

 

「了解した」

 

「はい!!」

 

 フィンの命令を聞いてリヴェリアとレフィーヤは魔法の詠唱を始める。

 

「ラウルたちは僕たちと椿の後方支援及び、レフィーヤ、リヴェリア、沢田綱吉の護衛!! 彼の発射準備が整ったら合図を送れ!!」

 

『はい!!』

 

 フィンがサポーターたちに命令するとラウルたちは力強い返事をした。

 

「【魔槍よ。血を捧げし我が額を穿て】」

 

 フィンが詠唱するとの左手の親指が紅の魔力が収束していき、フィンは魔力が収束した親指を額に押し当てる。

 

「【ヘル・フィネガス】」

 

 そしてフィンの瞳が紅色が染まっていき、理性を失い戦うだけの狂戦士と化していく。

 

「おおおおおおおおおおおお!!」

 

 狂戦士と化したフィンが怪物(モンスター)の群れに特攻していく。狂戦士と化したフィンは両手に持った金と銀の槍で芋虫型も食人花も次々に斬り裂いていく。フィンの攻撃によって怪物(モンスター)たちは宙に吹き飛ぶと同時に次々に消滅していく。

 

『消エテ!!』

 

 先程まで活発に動いていたツナが急に動かなくなっているのを見て、精霊はツナが何かしようとしているのだと理解する。そしてツナを消そうと触手を一直線に伸ばす。

 

「はぁ!!」

 

「おらぁ!!」

 

「ふんっ!!」

 

「このっ!!」

 

「やぁ!!」

 

 アイズはデスペレード、ベートは蹴撃、ガレスが斧、ティオネは斧槍(ハルバード)、ティオナは大剣でツナに向かう触手の軌道を反らす。

 

『邪魔シナイデ!!』

 

 ツナを護ろうと奮闘する者たちを忌々しい表情で睨み付ける精霊。

 

「【火ヨ来タレ】」

 

 この場にいる者たちを確実に抹殺する為に精霊は超長文詠唱にて一気に勝負をつけようとする。

 

「魔法が来る!!」

 

「やべぇぞ!!」

 

 精霊が超長文詠唱を始めた為、ティオネとベートが叫ぶ。

 

「【代行者ノ名ニオイテ命ジル与エラレシ我ガ名ハ火精霊(サラマンダー)炎ノ化身ノ女王(オウ)】」

 

「ああああああああああああああああ!!」

 

 全てを焼きつくす詠唱が完成しようとする中、フィンが再び雄叫びを上げる。そして右手の金の槍を精霊に向かっておもいっきり投げ飛ばした。

 フィンの投げ飛ばした槍は凄まじい勢いで飛んでいく。精霊は咄嗟に花弁で体を覆って防御体勢に入る。

 が

 

『グッ!?』

 

 花弁が精霊の体を完全に覆う前にフィンの放った金の槍が精霊の口を貫いた。そして詠唱が失敗した際に発生する現象、魔力爆発(イグニス・ファトゥス)が発生。精霊の顔が爆破する。

 

「【閉ざされる光、凍てつく大地。吹雪け三度(みたび)の厳冬。終焉の訪れ】」

 

 仲間がツナの技を放つ時間を稼いでいる間、リヴェリアもまた特大の一撃を与える為に目閉じて詠唱していた。

 

「【間もなく()は放たれる】」

 

 リヴェリアの下に浮かび上がっていた翡翠色の魔法円(マジックサークル)の模様が変わり輝く。そして氷属性の魔法の詠唱を唱えていたリヴェリアであったが、今度は全方位殲滅魔法の詠唱を唱え始める。

 

「【忍びよる戦火、免れえぬ破滅。開戦の角笛は高らかに鳴り響き、暴虐なる争乱が全て包み込む至れ、紅蓮の炎、無慈悲なる猛火。汝は業火の化身なり】」

 

 リヴェリアには他の魔道士にはないリヴェリア唯一の魔法特性が存在する。それは自分の持っている魔法の詠唱文を他の魔法と連結させて詠唱することができることである。

 本来ならば魔法のスロットは3つしかない。故に最高でも3種類の魔法しか発現しない。だが彼女の魔法は攻撃、防御、回復の3種類の魔法に加えて、それぞれ3段階の階位を含めた魔法を詠唱連結することによって規模や効果を変える事が可能なのである。これにより合計9種類の魔法を扱えるという特徴を持っており、彼女の【九魔姫(ナイン・ヘル)】という二つ名はリヴェリアの魔法特性が由来である。

 

「やっぱり武器の性能を確かめるには試し切りが一番だな!!」

 

 一方で後方の怪物(モンスター)たちを相手にしている椿は嬉々とした表情で次々に怪物(モンスター)たちを斬り消滅させていた。

 

「【エルフ・リング】」

 

 ツナの側にいるレフィーヤは詠唱を終えて、魔法を放てる状態となっていた。

 レフィーヤの使った魔法は【エルフ・リング】。その効果はエルフの魔法に限り、詠唱とその効果を完全把握していれば、他者の魔法を使用できるという前代未聞のレア魔法。

 通常、魔法のスロットは一人最大でも3つまでしか存在しないが、彼女はこの魔法によって数多の魔法を行使することができる。それ故にレフィーヤは【千の妖精(サウザント・エルフ)】と呼ばれている。

 ただし【エルフ・リング】の詠唱を行ってから次に使用する魔法の詠唱をしなければならないので時間を要し、精神力も【エルフ・リング】と使用する魔法の二つ分消費する必要があるなど、燃費がかかるというデメリットがある。

 精霊は魔力爆発(イグニス・ファトゥス)によって受けた傷を即座に回復させる。精霊はこのままではツナを止められず殺されてしまうことを理解しているからである。

 

「【突キ進メ雷鳴の槍代行者タル我ガ名ハ雷精霊(トリトニス)雷ノ化身雷ノ女王(オウ)】」

 

 かつてない程の速さで精霊は魔法の詠唱を唱える。そして精霊の前に黄金の魔法円(マジックサークル)が現れる。

 

「【サンダー・レイ】」

 

 そして魔法円(マジックサークル)から雷の大矛が放たれる。雷の大矛はツナに向かって一直線に向かって行く。

 

「【盾となれ、破邪の聖杯(さかずき)】!!」

 

 レフィーヤはツナを護る為に持っていた杖を強く握ると即座に詠唱を始めた。

 

「【ディオ・グレイル】!!】」

 

 ツナの前に白い円形の障壁が展開される。そしてレフィーヤの展開した障壁魔法と精霊の雷の矛がぶつかり合う。

 

(絶対に負けられない!! ここを破られたら全てが終わる!!)

 

 短文詠唱ではあるものの精霊の放った大矛は凄まじいものであり、両足の力を少しでも抜けばレフィーヤ自身が吹き飛ばされそうであった。しかしここを護り切れなければ精霊を倒す術が失われてしまう。レフィーヤは持っている杖を壊すぐらいの勢いで握り締め、死ぬ気で戦っていた。

 その一方でツナは動揺することなく倒すべき精霊(相手)を見据えていた。

 

(ダメ!! このままじゃ!!)

 

 防御壁が破られない為に死ぬ気で戦うレフィーヤであったが、力で押され少しずつ後方へ後退していた。

 

「レフィーヤ!!」

 

「踏ん張れぇええええええ!!」

 

 するとティオナとティオナが後退するレフィーヤの元に駆け付けてレフィーヤの背中を支押す。

 

「私だって……私だってええええええええ!!」

 

 わざわざ自分の為に戻って来てくれたティオネとティオナ。レフィーヤにとってこれ程心強いことはなかった。そしてレフィーヤが叫ぶと防御壁が大矛が少しずつ押し返していく。そして大矛が爆発し、レフィーヤ、ティオネ、ティオナは吹き飛ばされる。

 

『ァアアアアアアアアアア!!』

 

 ツナを始末することに失敗し、その間にフィンたちが自分の元へと近づいて来る。このままでは自分の命に関わると感じた精霊は突如として叫び声を上げた。すると地面(・・)から無数の触手でできた円形の壁が出現した。

 

『ターゲットロック。ライトバーナー炎圧再上昇。48万。49万。50万FV(フィアンマボルテージ)

 

 右手の炎の出力状況を示す上のメーターが上昇していき、メーター全体が赤く染まっていく。

 

「【永遠トワノ凍土ノ如ク氷結セヨ数多ノ刃代行者タル我ガ名ハ】」

 

 精霊は詠唱を終えると地面に向かって氷柱を放とうとする。地面に穴を開けて下の階層に逃げようと画策したのである。

 が、

 

「ああああああああああお!!」

 

「ぬおおおおおおおおおお!!」

 

「ぶっ壊れろおおおおおおおおお!!」

 

 狂戦士と化したフィンの槍による刺突、【ロキ・ファミリア】一のパワーを誇るガレスの右ストレート、自身の炎の魔剣をメタルブーツに吸収させ、足に炎を纏ったベートの蹴撃が触手の壁に向かって放たれた。3人同時攻撃によって触手の壁に亀裂が入る。

 

「【リル・ラファーガ】!!」

 

 そしてアイズが凄まじい勢いで突進し触手の壁に向かって刺突を放った。アイズの放った刺突によって触手の壁が粉々になり触手の壁は完全に破壊された。

 今の技は【リル・ラファーガ】。エアリエルの風を全身に纏い、神速の勢いで突進しながら突くというアイズの必殺技である。

 

「【ことごとくを一掃し、大いなる戦乱に幕引きを。焼き付くスルトの剣。我が名はアールヴ!!】」

 

 そしてリヴェリアの詠唱が完了し、同時に閉ざされていたリヴェリアの目がカッと開かれた。

 

「【レア・ラーヴァテイン】!!」

 

 リヴェリアが叫ぶと59階層中に炎の柱が発生し、60階層から出現した怪物(モンスター)たちを次々に灼き尽くす。

 それに対して精霊は即座に花弁を纏って防御体勢に入る。そして10個の炎柱が精霊に襲いかかる。

 

『アアアアアアアアアア!!』

 

 10つの炎柱は精霊の花弁を灼き尽くし、精霊の本体をも灼き尽くす。あまりの熱さに耐えられず精霊は絶叫を上げる。

 

(なんて固さだ!!)

 

 これだけ強力な魔法でも内側まで削ることができないことにリヴェリアは驚きを禁じえなかった。

 

『レフトバーナー炎圧再上昇。48万。49万。50万FV(フィアンマボルテージ)。』

 

 左手の炎の出力状況を示す下のメーターが緑色に染まっていく。

 右手の炎と左手の炎の出力が同じになると、ツナは左手の掌を開くと掌を精霊に向けた。

 

『ゲージシンメトリー。発射スタンバイ』

 

 発射する右手と支えとなる後方の左手の位置が一直線となり、ついに準備が整った。

 

「待たせてすまない。準備ができた」

 

「ラウル!! 上に向かって魔剣を撃て!!」

 

「はいっす!!」

 

 発射準備が整ったと知ってリヴェリアは即座にラウルに指示。ラウルは上空に向かって魔剣を振るうと、上空に雷が拡散する。

 

「雷……」

 

「合図か」

 

 アイズとベートが上空に放たれた雷を視認すると同時にツナの発射準備が整った合図だということを理解する。

 

「フィン!!」

 

 ガレスは狂戦士と化しているフィンの名を叫んだ。ガレスに名を呼ばれたことでフィンの動きが止まる。

するとフィンは少しだけ目を閉じた。そして再び目を開けるとフィンの瞳の色が紅から元の碧眼の色へと戻っていた。

 

「総員!! 撤退!!」

 

 狂戦士から指揮官へと戻ったフィンはアイズたちに撤退命令を出した。フィンの命令を聞いてアイズたちは全速力でその場から撤退。凄まじい勢いでツナの後方へ向かって行く。

 

(ハヤク!! ハヤク!!)

 

 リヴェリアの魔法によって深手を負わされた精霊は肉体は再生していた。しかし生命の危機を感じている為、明らかに焦っているのが表情から伝わっていた。

 そしてついにフィンたちはツナの元へと辿り着いた。

 

「頼む!!」

 

 フィンがツナの横を通り過ぎて行くと同時にツナに向けてそう言った。それに対してツナは黙ったまま首を縦に振った。

 

「覚悟しろ」

 

『イヤァ……』

 

 精霊に向かって宣告するツナ。一方で精霊は自分が死ぬことを理解し、何もできず悲鳴を上げることしかできないでいた。

 

「【XBURNER(イクスバーナー)】!!」

 

 前方に出した左手から莫大な炎が大地を削りながら一直線に放たれる。

 

『ギャアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 ツナの放った膨大な炎は精霊の全身に衝突。そして精霊の断末魔が59階層中に響き渡り、精霊の体を徐々に削っていく。

 

「これで終わりだ」

 

 精霊が断末魔が響き渡る中、ツナがそう言うと精霊の中にあった魔石が消滅。魔石を失ったことで精霊の体が完全に消滅した。そして精霊という遮蔽物が無くなったことでツナから放たれた炎はそのまま貫通した。

 

『……』

 

 貫通した炎は再び大地を削りながら一直線に向かって行く。そして60階層の入り口のある壁に巨大な穴を空けた。

 そして自分たちの想像を絶する光景にフィンたちは言葉を失うのであった。

 

 

 

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