ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
「俺。解毒できるかも」
「「「は!?」」」
オラリオ1の
「前にフィンと戦った時に暴走状態になったフィンを元に戻したでしょ」
「そうか!!」
『俺の炎は調和という特徴を持ってる。だから暴走状態のお前を暴走状態になる前の状態を元に戻した』
フィンは思い出す。ツナと戦った時の際にツナの炎が調和という特性を持っているということを。
「俺の炎を解毒だけに集中させればみんなを燃やさずに解毒できると思う」
(ただいくら彼の炎が調和の力を有しているとはいえ、まさか解毒までできるとは……)
(戦いが終わったと思い油断していた……)
(まさか戦闘面以外でも驚かされるとはのう……)
今まで圧倒的な戦闘力にばかり驚かされてばかりいた3人だったが、まさかこのような治療面でも驚かされるとは微塵も思っていなかった為、衝撃を隠せないでいた。
「わかった。お疲れのところ悪いが頼めるかい」
「うん」
今までのツナの行動からできないことは言わないことを知っている為、フィンはツナの言葉を信じポイズン・ウェルミスの毒によって苦しむ団員の解毒を依頼した。
フィンの許可を得るとツナはポイズン・ウェルミスの毒によって苦しむ団員たちの元へと向かう。
「今から沢田綱吉がポイズン・ウェルミスの毒の解毒を行う」
フィンが毒に犯され苦しむ団員と毒に犯された団員の看病をしている団員に向けてそう言った。またツナがとんでもないことを言い出した為、団員たちは開いた口が塞がらない状態になっていた。
「頼む」
「了解した」
フィンが解毒を頼むとツナは
「うぅ……」
「もう大丈夫だ」
毒で苦しむ女性の団員の額にツナは右手を当てる。そして右手に炎を灯す。するとツナの炎が女性の団員を包んでいく。
「も、燃やしてる!?」
「ま、まさか火葬してるんじゃ!?」
「何やってんだ!!」
解毒と言いながら容赦なく女性団員の体を炎で燃やした為、団員たちは大騒ぎする。
が、
「温かい……」
だが治療されている女性団員は苦しむ声を上げるどころか、むしろ心地よい表情を浮かべており顔色が良くなっていた。
騒いでいた団員たちも女性団員の言葉を聞いた途端静まり返り、治療の様子を見守っていた。そしてツナは女性団員の額に当てていた右手を離す。
「どうだ?」
「体が軽いです……」
ツナは女性団員に体調を尋ねる。女性団員の顔色は明らかに良くなり、荒かった呼吸が落ち着き、上半身だけだが体を起こせるようになっていた。
起き上がれない程、苦しんでいた女性団員が本当に元気になった為、団員たちは驚きのあまり言葉を失っていた。
「まだ安静にしていろ。あくまで体内の毒を浄化しただけだ。毒によって受けたダメージや消費された体力までは回復していない」
「はい……」
ツナがそう言うと女性団員はゆっくりと体を動かし、再び仰向けの状態になる。
「よし次は……」
女性団員を治すことに成功したツナは毒で苦しむ他の団員の元へと向かう。そして次々にポイズン・ウェルミスの毒を大空の炎で浄化していく。
「これで最後だ」
解毒を始めてから40分。ツナは毒に犯された全ての団員の解毒を終える。
「終わったぞ」
「ありがとう。君には本当に礼を尽くしても言い切れないな」
団員たちを解毒してくれたことに対してツナにフィンはお礼の言葉を述べた。
「何の騒ぎだこりゃ?」
団員たちの歓喜の声を聞きつけたベートがやって来る。
「今、沢田綱吉がポイズン・ウェルミスの毒を解毒したんだ」
「あぁ!?」
特効薬とアミッドしか治せないはずのポイズン・ウェルミスの毒をツナが解毒したことに流石のベートも驚きを隠せないでいた。
「といっても解毒しただけで、怪我や体力までは回復していない。しばらく安静にする必要があるがな」
「解毒できてもまだここにいなきゃならねぇって訳か。ったく。雑魚共のせいでとんだ迷惑だぜ」
これで帰れるかと思いきや、団員たちが完全に回復するまで待たなくてはならないと知ってベートは悪態をついた。
ベートの発した言葉によってその場の雰囲気がピリつき、沈黙が訪れる。
「ベート。口を慎め」
「事実だろうが。雑魚共が毒にやられたせいでこんな所でいなきゃいけなくなったんだろうが」
「難儀な性格だな。自分を抑えることができず、人の心を傷つける言葉を発することしかできないなんてな」
「っ!?」
ツナはベートに対して哀れみの表情を向けながらそう言った。ツナの言葉に対してベートは何も言い返すことができずにいた。ベートが言い返せない様子を見て団員たちは戸惑いを隠せない様子であった。
「丁度良かった。ベート。ここで足止めされるのが嫌なら、君は先に地上に戻ってロキに今回の遠征のことを報告して来てくれ。僕らは出発でき次第地上へ戻る」
「ちっ」
フィンはピリついた空気をどうにかする為にベートに命令を与える。ベートはフィンの意図に気づき舌打ちするも、この場から去り地上へと戻って行く。
「見苦しいところを見せてすまんのう」
「気にするな」
「じゃがそれにしてもベートのあの発言を聞いて、あんな言葉をかけれたもんじゃのう」
ポイズン・ウェルミスの毒によって苦しんでいた団員たちに酷い言葉を浴びせてなお、不快感や苛立ちを覚えなかったツナにガレスは疑問を覚える。
「前にあいつと似たような男がいたんだ。本当は優しい人なのに自分を偽って戦っていた男が」
そう言うツナの脳裏にはマフィアを殲滅し、世界大戦を起こそうとした六道骸との戦いの際に戦ったランチアのことを。
ランチアは元々心優しき男であったが、禁弾と呼ばれた特殊弾である憑依弾によって骸に操られ、自身の所属する【ファミリー】を殺害させられ、殺戮人形と化した悲しき男である。ツナが骸を倒したことでランチアは骸の呪縛から解き放たれ、現在は罪を償う為に自身が殺害した【ファミリー】の構成員の親族の元に訪れ、償いの旅を続けている。
「それに本当に仲間に対して何も思わない奴はわざわざあんなことを言ったりはしない。それどころか興味すらもたない」
そう言うツナの脳裏には【ボンゴレ】が誇る最強の暗殺部隊【ヴァリアー】のボスであり、ボンゴレ9代目、ボンゴレ
XANXASはツナの真逆の存在と呼べる存在であり部下がどうなろうと何も思わない人間である。部下が使えないとわかれば全く容赦なく殺す。部下が鮫に喰われるのを見てもなお何も思わないどころか、笑うという狂気とも呼べる男である。
ボンゴレの次期ボスの座を決めるリング争奪戦においてXANXASは9代目と血の繋がっていない親子だということが判明し、XANXASはツナに敗退。しかし負けてもなお性格は何も変わらないどころか、今もなおツナを殺したいと思っている。
「あいつは無関心になりたくてもそれができない。その上、人として接することが不器用。そのせいであいつは弱者を見下す悪役に見えてしまうんだろう」
ツナの超直感はベートの本心を見抜いていた。ツナの言葉を聞いてその場にいた者は唖然としてしまっていた。
一方で地上に向かっているベートは。
(クソッ!! 一体何なんだあいつは!?)
獣人は五感が優れている。故にベートは先程のツナの言葉が聞こえており、ツナに心の内を見透かされて苛立ちを覚えていたのだった。