ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
フィンたちと話を終えたツナ。ポイズン・ウェルミスにやられた団員が完全に回復するまで18階層にて過ごすことになった。
18階層にたどり着いてから2日後。ポイズン・ウェルミスの毒にやられた団員たちは回復傾向にあった。
「うーん」
ツナは両手の指を指と指の間に挟むと、空に向かっておもいっきり伸ばし背伸びをする。
「さーて。どうしようかなー?」
「ツナ」
「ひっ!!」
ツナが何をしようかと考えていると、背後からアイズがツナの名を呼ぶ。音も気配もなく背後から声をかけられた為、ツナは心臓が飛び出そうになってしまっていた。
「ご、ごめん……びっくりさせちゃった……?」
「だ、大丈夫……それでどうしたの?」
「お願いがあるんだけど」
(こ、このパターンは……)
アイズがわざわざ自分の元に訪れてお願いすることと言えば、1つしかなかった。
「お、俺!! リヴィラの街に行く用事があるから!!」
ただでさえ戦いたくないのに加えて、ようやく遠征が一段落してのんびりしたいと考えている時にアイズと戦うなどまっぴらごめんであった。ツナは即座に理由をつけて即座に逃走を選択した。
(まさかここで勝負を挑んで来るなんて!?)
遠征が終わってゆっくりしようとした矢先に勝負を挑まれるとは思ってもみなかった為、ツナは驚きを禁じえなかった。
「逃がさない」
「ええ!?」
しかしアイズの執念は凄まじく逃走するツナを追いかけてくる。追いかけてくるとは思ってもみなかった為、ツナは驚きの声を上げる。
「せっかくの休みなんだから休もうよ!!」
「無理。ツナの
「あの技!? もしかして
「イクスバーナーっていうんだあの技」
「うん……炎を支えにして……じゃなくて!!」
アイズの反応を見て
「というか俺じゃなくて他の人と戦えばいいじゃん!!」
「ツナなら魔法を使っても大丈夫だから」
「バレたらまたリヴェリアに怒られるって!!」
基本的に他の【ファミリア】同士の深い干渉は禁じられている。51階層で戦った時も他の団員たちにバレる可能性は充分あった。だが50階層という普通の冒険者が来ることのできない場所であり、フィンたち幹部陣が誤魔化すことも容易であった。
しかし現在いるのは18階層。自分たち以外の冒険者もいる上にリヴィラの街の商人たちもいる。その冒険者たちにツナとアイズが戦っているところを見られたら、【ロキ・ファミリア】の団員全体にルールを破ったことが露見してしまうことになる。
「も、問題ない……バレなければリヴェリアに怒られることはない……」
「怖がってるじゃん!!」
大丈夫だとは言ってはいるものの、アイズは顔を真っ青にして動揺しているのが一目瞭然であった為、ツナはツッコミをいれる。
アイズにとってリヴェリアの怒りに触れるのは何よりも怖い。しかしそれでもアイズはツナと戦いたくて仕方ないのである。
「という訳だから戦って」
「どういう訳!? とにかく俺は戦わないから!!」
「だったら戦ってくれるまで追いかける」
戦いたくないツナと戦いたくて仕方のないアイズという相反する感情を持ち合わせた2人の壮絶な追いかけっこが始まるのであった。
「お願いだから諦めてくれない!?」
「諦めない……」
追い掛けが始まって1時間が経過した。だが2人の追い掛けっこは終わっていなかった。1時間経過してもなおアイズはツナと戦うことを諦める気は微塵もなかった。
(まさかこっちの世界でこんなことになるなんて!!)
元いた世界での生活はハチャメチャで心が休まることがなかった。こちらの世界ではこのようなことがないと思っていた為、ツナは心の中で悲痛な叫びを上げた。
『ォオオオオオオオオオ!!』
「「っ!?」」
突如、ツナたちの耳に
「な、何!?」
「おそらくゴライアスの声……」
「ゴライアス?」
「17階層の階層主のこと」
「もしかして18階層の入り口の前に生まれるっていうあの?」
ツナは18階層に初めて来る際にフィンに教えてもらったことを思い出す。
「うん。2週間前にツナとフィンがベルたちを連れて地上に戻っている間に私たちが倒したから、そろそろ生まれ落ちる頃なんだけど……」
「けど?」
「でもここまで叫び声が聞こえるってことは誰かが襲われてるのかもしれない。助けに行かないと」
「あ。ちょっ……」
アイズはゴライアスの元へと走って向かって行く。誰かが襲われているかもしれないと聞いては放ってはおけなかった為、ツナはアイズを追いかける。
ツナたちは森林を抜け、18階層の入り口へと辿りついた。
「「え……!?」
入り口に辿り着いた瞬間、ツナとアイズは衝撃のあまり立ち尽くしてしまっていた。なぜならそこには全身がボロボロなベルとリリと、赤い髪の青年がうつぶせの状態で倒れていたのだから。
するとベルが少しだけ顔を上げ、ツナの右足を掴んだ。
「仲間を助けて下さい……」
「ベル……」
意識が
「運ぼう」
「うん」
ツナとアイズは3人を手当てする為に、3人をかついでキャンプに運ぶ。
3人をキャンプに連れて行くとツナとアイズはテントに寝かせる。そして治療のできるリヴェリアを呼んで、治療してもらう。
「怪我は酷かったが命に別状はない。時期に目を覚ますだろう」
「ありがとう」
治療にあたっていたリヴェリアが3人の状態を説明するとツナはリヴェリアにお礼の言葉を述べた。リヴェリアは団員たちに今のことを報告すると言ってテントを出た。
「よかったね。命に別状がなくて」
「うん。でもまさか……こんなことになってるなんて」
久々に会えたのは良かったが、再会の仕方が仕方であった為、ツナはなんとも言えない気持ちになってしまっていた。
「邪魔するぞ」
ツナとアイズが見守る中、テントの中に椿がやって来る。
「やはりお前だったか。ヴェル吉よ」
「え? この人が?」
赤い髪の青年を見て呟く椿。今、目の前にいる人物が前に言っていたヴェル吉という人物だとツナは知る。
なぜ椿がやって来たのかというと、瀕死の冒険者がいるという噂を聞いたのである。そしてその冒険者の特徴を聞いてもしやと思ってやって来たのである。
「ああ。本名はヴェルフ。前に言った通りウチの【ファミリア】の鍛冶師よ」
「そっか……」
「しかしまさかヴェルフ吉の武器を買う者がいるとは。物好きな者もおるものよ」
ヴェルフの作った鎧をまとっているベルを見て椿は少しだけ口角が上がっていた。
「物好きってどういうこと?」
「こやつは作る武器や防具はそれなりに良い物なんじゃが全く売れなくてな。購入してくれる者など今の今までおらんかった」
「良い物なのに売れないの?」
「ああ。物は良い。だがあまりにも絶望的なネーミングセンスの無さに誰も買おうとせんのだ」
(どんな理由!?)
右手を額に当て、呆れた表情をしながら売れない理由を語る椿。売れない理由がまさかネーミングセンスだとは思っていなかった為、ツナは驚きを隠せないでいた。
「ま。こやつの顔を見れたし。手前は失礼させてもらうぞ」
ヴェルフの顔を見れて安心した椿はテントを去って行った。
その後もツナとアイズはベルたちの看病を続ける。そしてベルたちが18階層に辿り着いてから2時間が経過する。
「んん……?」
「「ベル!!」」
意識を失っていたベルの
の反応を見てツナとアイズは反応する。
「大丈夫!? ベル!?」
「ツナ……?」
ベルの視界にツナの姿が映る。なぜツナの姿が視界に映っているのかベルはわからないでいた。ベルが無事だとわかってツナは少しだけ安堵する。
「久しぶりベル」