ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)50 英雄(ヒーロー)

 

 

 

 

 

 

 

 ツナが椿と共に59階層に行ったと知って衝撃を受けるヴェルフ。

 

「つ、椿!! それ言ったらダメだって!!」

 

「おお。すまんすまん。ツナ吉はどうしてもLv.1とは思えんくてつい」

 

「Lv.1!?」

 

 ツナがLv.1だということをうっかり漏らしてしまった為、ツナは慌ててふためき、ヴェルフは衝撃の声を上げてしまう。

 

「ま、待て!! ベルと同じ【ファミリア】ってことはお前【ヘスティア・ファミリア】の眷属だよな!?」

 

「ん? そうだったのかツナ吉?」

 

「あ。うん」

 

 ヴェルフの言葉を聞いて椿はツナが【ヘスティア・ファミリア】に所属することを椿は知り、ツナもそのことを肯定する。

 

「というかウチの【ファミリア】のこと知ってるんだね。ウチの【ファミリア】って知名度が低いと思ってたんだけど」

 

「ウチの主神様とヘスティアは天界時代の神友らしくてな。下界に降りて右も左もわからないヘスティアをウチの主神様が世話してやったことがあるからな」

 

「へー。そうだったんだ」

 

「まぁといっても下界に降りてから数ヶ月、ろくに働きもせずゴロゴロと自堕落な生活を送ってウチの主神様が激怒して強制退去させられたがな」

 

(何やってんのヘスティア!?)

 

(神様……)

 

(ヘスティア様……)

 

 ヘスティアの黒歴史を聞いてツナは心の中でツッコミをいれ、ベルとリリはなんとも言えない気持ちになってしまっていた。

 

「待て待て!! いくら何でもありえねぇだろ!! そもそもLv.1で深層に行ける訳ねぇだろ!! 」

 

「綱吉様はどういう訳かは知りませんが、Lv.1でありながらLv.1ではありえない程の強さを持っているんです」

 

「僕もツナに修行をつけてもらったけど1回も勝ったことがないんだ。ランクアップした今の僕でも全く勝てる気がしない」

 

「う、嘘だろ……」

 

 ありえない話ではあったが、リリとベルが嘘をつく理由がない為、ヴェルフは信じるしかなかった。

 

「このことは他の人に言わないで欲しいんだけどいいかな?」

 

「お、おう……まぁ言ったところで信じる奴もいねぇと思うけどな……」

 

 Lv.1の冒険者が深層に行ったという話を聞いたところで信じる者など皆無であろうが、それでもヴェルフは他言しないことを約束する。

 

「食事の用意ができたけど大丈夫?」

 

 ツナたちが話しているとアイズが夕食の用意ができたことを知らせに来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一同は外に集まり食事を取ることになる。

 

「みんな聞いてくれ。もう話は回っていると思うけれど今夜は客人を迎えている。彼等は仲間(お互い)の為に身命を投げうち、この18階層まで辿りついた勇気ある冒険者たちだ。仲良くしろとまで言うつもりはない。けれど冒険者として欠片でもいい。敬意を持って接してくれ。それじゃ仕切り直そう」

 

 フィンがベルたちのことを紹介すると同時に、避けられる揉め事を避ける為に団員たちを説得した。そして一同は夕食を食べ始める。

 

「アルゴノゥトくーん!! どうやったらLv.1でミノタウロスを倒せるの!?」

 

「え?」

 

「話、色々聞かせなさいよ。一宿一飯の恩よ。構わないでしょ」

 

「うん。聞きたい聞きたーい」

 

 Lv.1でありながらミノタウロスを倒すという偉業を成したベル。そんなベルにティオネとティオナは前々から興味を持っていた。そして自分たちが強くなる為の秘訣がわかるのではないかと思い質問しようとしていた。

 

「アルゴノゥト?」

 

 ティオナがベルのことをアルゴノゥトと呼んだこととアルゴノゥトが何なのかわからず疑問符を浮かべる。

 

「アルゴノゥトを知らないんすか?」

 

「え? うん」

 

「有名な英雄譚よ。アルゴノゥトっていう主人公が多くの人々に騙されながら、なし崩し的にミノタウロスを倒して英雄になるっていう。本当に知らないの?」

 

「い、いや……俺、そういうの全然、興味なかった上に修行ばっかりだったからさ……ハハハ……」

 

 アルゴノゥトのことを知らないツナにラウルとアキは違和感を覚える。アルゴノゥトがこの世界で有名だったと知ったツナは苦笑いしながら誤魔化した。

 

「でもベルなら本当にアルゴノゥトっていう人みたいに英雄になりそう」

 

 ベルとは出会って間もないが、ベルなら本当に英雄になれるとツナはなんとなく思ってしまっていた。

 

「いやいや……ツナがこの中で一番、英雄になれる可能性が高いと思うんすけど……」

 

「え? 何で?」

 

 他人事のように言うツナにラウルが恐る恐る言った。ツナはラウルの言っている意味がわからず疑問符を浮かべる。

 

「何でって……あんだけ強いんだから当然でしょ……この中にいる誰も反論しないわよ……」

 

 あれだけの強さを見せつけられ、ツナが英雄になれないと思う者などいない。むしろなぜツナがこんな反応をするのかアキにはわからなかった。

 

「俺は英雄になんてなれないよ」

 

『かっこつけんなツナ。お前はヒーローになんてなれない男なんだぞ』

 

 ツナは思い出す。未来の世界でリングに炎を灯す修行の際にリボーンに言われた言葉を。

 

「昔リボーンに言われたんだ。お前はヒーローになれない男だって」

 

「「ヒーロー?」」

 

「あ……えっと……英雄のことを俺の国ではそう言うんだ」

 

 ラウルとアキの反応からこの世界で、ヒーローという言葉が一般的でないと知ったツナはなんとか誤魔化した。

 

「で、でもそれはオラリオに来る前の話っすよね? 今は恩恵(ファルナ)をもらってるんっすから……」

 

「ううん。俺はなれないよ。英雄って世界を救うような凄い存在でしょ。俺は別に世界を救いたいと思わないし。もし誰かが世界を救ってくれるなら俺は戦う気はないよ」

 

 そう言うツナであったがツナは白蘭によって支配されていた世界を救っている。しかしツナは世界を救う為に戦った訳ではなく、大切な仲間を護る為に戦っていた。

 

「そもそも俺は戦いたくなんてないし、地位とか名誉とかいらない。普通に過ごせれば俺はそれでいいよ」

 

「「え……!?」」

 

 ツナの発言を聞いてアキとラウルは意味がわからないでいた。オラリオにいる冒険者の多くは地位や名誉を求め、ダンジョンに潜っている。だがツナは戦いが嫌いで、地位も名誉を求めていないのに冒険者の道を選択しているという事実に。

 

((どうして……?))

 

 アキとラウルは複雑な感情を抱いていた。2人は英雄譚に登場するような英雄に憧れ、英雄になる為に冒険者となった。あらゆる苦難を乗り越え、Lv.4まで至った。しかしフィンを始めとした冒険者たちを目の当たりにして、自分たちはフィンたちのような英雄になれないと悟らざるを得なかった。

 だが逆にツナは英雄になりたいと思っていない。にも関わらず英雄と呼ばれてもおかしくない力を持っている。英雄になりたいと思っていた自分たちよりも、英雄になりたいと思っていないツナの方が英雄になれる素質を持っている。2人が複雑な気分になってしまうのは無理もなかった。

 

「じゃあ何でツナは冒険者になったんすか?」

 

「それは……」

 

 ラウルは一番の疑問について尋ねると、ツナは冒険者になった理由を答ようとする。

 その時だった

 

「ぐぬあぁっ!?」

 

「「「っ!?」」」

 

 突如、18階層に女性の驚く声が響き渡る。この声を聞いてツナ、ベル、リリが目を見開き反応する。

 

「ベル!! 今の声って!!」

 

「行こう!!」

 

 

 

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