ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)51 旅の神(ヘルメス)

 

 

 

 

 

 聞き覚えのある女性の声がした為、ツナたちは声のする方へと走る。向かったのは17階層と18階層を繋ぐ連絡路であった。

 

「おおおおおおお!? あ、あんな巨大な怪物(モンスター)がいるなんて聞いてないぞ」

 

「あっははははは!! 死ぬかと思ったー!!」

 

 そこには死にそうな顔をしたヘスティア、顔に引きつった笑みを浮かべ橙黄色の髪を持つ旅人風の男がいた。そして他にも疲弊しているアクアブルーのショートヘアーの女性、木刀と2本の小刀を携えた覆面のエルフ、斧を携えた大柄な男、弓矢を携えた小柄な少女と、日本刀を携えた黒髪ロングヘアーの少女がいた。

 

「あ……ベル君!!」

 

「おふぅ!?」

 

 そしてヘスティアはベルの存在に気づくと、走り出しておもいっきりベルに飛びついた。ベルはそのまま転倒し仰向けの状態で倒れ、ヘスティアに押し倒されるような形になってしまう。

 

「ベル君、ベル君!! 本物かい!?」

 

「か、かみひゃま!?」

 

 ヘスティアはベルの体をベタベタと触って本当にベルなのかどうか確認する。ヘスティアに体中を触られまくったベルは困惑してしまっていた。

 

「よかった……」

 

 目の前にいるベルが本物だとわかったヘスティアは、涙目になりながらベルを抱き締める。

 

(もしかしてベルを心配して……!?)

 

 ツナはヘスティアがベルを心配してここまで来たのだということを理解すると同時に、ヘスティアの行動力に衝撃を受けていた。

 神は絶対的な力を誇っている。しかし地上では神の力(アルカナム)を行使することは不可能。故に地上においては神の戦闘力は恩恵(ファルナ)を与えられていない人間とほとんど変わらない。いくら仲間を引き連れて来たとはいえ、下手をすれば天界へ強制送還され二度と地上には戻れない。そのリスクを理解しながらダンジョンに入るなど大博打もいいところ。だがそれでも来たということは、ヘスティアの眷属(ベル)への想いが強かったからである。

 

「いい加減にして下さいヘスティア様!!」

 

「お、コラッ、感動の再会に水を差すんじゃない!! は、離せー!?」

 

 感動の再会の中、嫉妬したリリがヘスティアを無理やりベルから引き剥がした。

 

(というかあれって……リュー?)

 

 ツナは覆面を被ったエルフが豊穣の女主人の店員であるということにリューだということに気づく。

 

(それにあの人たちは……?)

 

 ツナは残りの人たちが誰なのかわからず疑問符を浮かべる。

 

「あいつら……」

 

「知ってるの?」

 

「俺たちに怪物進呈(パス・パレード)してきた奴らだ」

 

 ヴェルフが大柄の男と、黒髪ロングヘアーの女性と、小柄のショートヘアーの女性の方を睨みながらそう言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、ヘスティアたちはロキ・ファミリアのキャンプへ移動すると同時にヘスティアからここに来た理由を聞く。

 ベルたちが中層攻略に向かったまま帰って来ない為、ヘスティアはギルドにベルたちの捜索願いを依頼すると同時に、ベルたちを助ける為の仲間を集める為にやって来たのだという。

 仲間を集める中でヘスティアは知り合いの神であるタケミカヅチの元に訪れ、事情を話した。だがタケミカヅチの眷属が怪物進呈(パス・パレード)をした3人の冒険者であることが判明した。

 話を聞くと彼らは負傷した仲間を助ける為にベルたちに怪物進呈(パス・パレード)をしたという。だがまさか自分たちのせいで、ベルたちが窮地に追いやられているとは思っていなかった為、彼らはベルたちを助けに行くことを決意し18階層までやって来たのだという。

 現在ベルたちは怪物進呈(パスパレード)した冒険者たちと話すこととなり、テントの中で話し合いが続いていた。

 

「えっと……リューなんだよね?」

 

 話し合いが終わるのを待つ間、ツナは覆面をしたリューに話しかけた。ツナの問い掛けに対してリューは黙ったまま首を縦に振った。

 

「申し訳ありませんが、あまり私の名前を呼ばないでいただけますか。沢田さん」

 

「え? 何で?」

 

「話すと長くなりますが、私はあまり冒険者に顔を知られると困るんです」

 

「わかった」

 

 なぜ冒険者に顔を知られるのが困るのかはわからないが、ツナはリューの頼みを了承する。

 

「それよりも良かったのですか?」

 

「え? 何が?」

 

「いや……あなたも怪物進呈(パス・パレード)されたのでしょう? 理由があったとは言え、窮地に追いやられたのですから言いたいことの1つもあるのではないのですか?」

 

「い、いや……俺はいいかなって……そ、それより帽子を被った男の人と青い髪の女の人は……?」

 

「今回、あなた方を助ける為に協力してくれた【ヘルメス・ファミリア】の主神である神ヘルメスと、【ヘルメス・ファミリア】の団長であり私の友人のアスフィ・アル・アンドロメダです」

 

「え!? あの人も神様!?」

 

「はい。あなた方が窮地に陥ったと知って私に依頼してきたんです」

 

「そうだったんだ……」

 

「とにかくあなた方が無事で本当に良かったです。後はあちらが丸く収まってくれればいいのですが」

 

「そうだね……」

 

 ツナとリューは今もテントの中で行われている話し合いを見ながら言った。

 

「話し合いの様子はどうだい?」

 

 するとヘルメスとアスフィがツナとリューの元へやって来た。

 

「そちらの方は?」

 

勇者(ブレイバー)からの滞在許可は取れました」

 

「そうですか。こちらは難航しているようです」

 

「ま。事が事だからねぇ……」

 

「まだまだかかりそうですね」

 

 リューから話し合いの状況を聞いて一筋縄ではいかないことを悟るヘルメスとアスフィ。

 

「ん? 君は?」

 

「えっと……【ヘスティア・ファミリア】に所属している沢田綱吉です」

 

「そうか。俺はヘルメス。【ヘルメス・ファミリア】の主神をやっている。こっちはウチの団長のアスフィだ」

 

「アスフィ・アル・アンドロメダです。以後、お見知りおきを」

 

 ヘルメスがツナの存在に気づくと自分のこととアスフィの紹介をする。ヘルメスが紹介するも、アスフィはフルネームで丁寧に自己紹介した。

 

「それよりも君は話し合いに参加しなくていいのかい?」

 

「い、いや……重苦しい雰囲気は嫌っていうか……」

 

「おや? どうしてそんな嘘をつくんだい?」

 

(そうだった!! 神様は嘘を見抜けるんだった!!)

 

 ヘルメスの言葉から、神が神以外の存在の嘘を見抜けるという能力を持っていることを思い出し、ツナは後悔する。

 

「嘘? どういうことですか沢田さん?」

 

「それは……」

 

「何かやましいことでも?」

 

「い、いや……今回、俺はベルたちと一緒じゃなかったっていうか……別の場所にいたっていうか……」

 

「別の場所? ということはあなたは事件には巻き決まれていないということですか?」

 

「まぁ……」

 

「ちょっと待って下さい!! それならどうやってあなたは18階層に来たんですか!?」

 

「確かに……!?」

 

 アスフィとリューは気づいてしまう。ベルたちと一緒いた訳でも、自分たちと共に来た訳でもない。名の知れていないツナが、どうやってここまで来たのかという疑問が浮上するのは至極当然である。

 

「もしかしてバベル以外にもダンジョンに入れる入り口(・・・・・・・・・・・・・・・)を見つけた。とか?」

 

 ヘルメスは不適な笑みを浮かべながら、どういう訳かツナに探りを入れる。

 

「え? そんなのあるんですか?」

 

(嘘はついていない……考え過ぎか)

 

 ツナが嘘をついていないということがわかると、自分の勘違いであったということに気づく。

 

「えっと……俺がどうやってここまで来たかは言えないんですけど、俺は別にやましいことをしてた訳じゃないのは本当なんです。だから信じて下さい」

 

 神の嘘を見抜く力を逆手に取り、何も悪いことはしていないということを伝え、これ以上の詮索をされないように身の潔白を証明しようとする。

 

「どうやら本当みたいだね」

 

 ツナの言葉が嘘でないことがわかったヘルメスはこれ以上、詮索しないことを決める。

 

「だそうだ。これ以上、彼への詮索は無しということでいいかい?」

 

「神であるあなたがそう言うのであれば」

 

 嘘を見抜くことのできる神が嘘ではないと言うのであれば、ツナが何か良からぬことをしていないということが本当であるということの証明になる為、リューはヘルメスの言葉を承諾する。

 

「ただこちらからもお願いがあるんだ綱吉君」

 

「何ですか?」

 

「今回、僕とヘスティアがダンジョンに入ったことは決して口外しないで欲しい」

 

「どういうことですか?」

 

「神がダンジョンに入ることはギルドによって固く禁じられているんだ。もしこのことがバレたらギルドから相当なペナルティを課せられてしまうんだ」

 

「え!? そうなんですか!?」

 

 せっかく命がけで59階層まで行き、その報酬で【ヘスティア・ファミリア】の財政をなんとかしようと考えていたツナ。もしバレてしまえば報酬を没収されてしまい、今までの苦労が水の泡になるかもしれないと理解させられてしまう。

 

「だが安心したまえ。どんなにやましいことがあろうとも、バレなければ問題にならない。だから堂々としてればいい。コソコソしているとかえって怪しまれるからね」

 

「その言い方だと他にも他人に言えないことをやってません……?」

 

「ギクッ!! そ、そんなことしてる訳ないじゃないか!! 冗談が上手いな綱吉君は!! ハハハハ!!」

 

(めちゃくちゃ動揺してる!? しかもギクッって言ってるし!!)

 

 顔中から大量の汗をかきながら、挙動不審になってしまうヘルメス。明らかに動揺を隠せていないヘルメスを見て、ツナは心の中でツッコミをいれる。

 

(アスフィはしっかりしてそうなのに……)

 

 ツナはヘルメスからアスフィへと視線を移す。アスフィは見た目と立ち振舞いからしっかりしているのが一目瞭然。そんなアスフィが他人に言えないことをしていることがツナからすれば意外としか言いようがなかった。

 

「何か?」

 

「い、いや……アスフィがそんなに言えないことをやってるとは思わなかったっていうか……」

 

「私だってやりたくてやっている訳じゃないですよ……全てはそこにいる、いい加減で人をコキ使わせて団員を過労死に追い込む神とは名ばかりの邪神のせいです」

 

(地雷踏んだ!?)

 

 今まで凛とした表情であったアスフィであったが、急に疲れ果てた表情へと変貌する。そんなアスフィ見てツナは自身の発言を後悔してしまう。

 

「ア、アスフィ……? 邪神は言い過ぎじゃないかな……?」

 

「私からすれば邪神にしか見えませんよ……たださえ休めていないのに、急にヘルメス様自ら18階層まで行くから着いて来てなんて言うんですから……」

 

「そ、それについては悪かったって……」

 

「禁止事項を破っているだけでもアレなのに、一歩間違えればダンジョン内で恩恵(ファルナ)が無くなるかもしれないという恐怖……あなたに私の気持ちが分かるんですか!?」

 

「わ、わかった!! 地上に帰ったら休暇を出すから!!」

 

「そう言って休暇なんてほとんどくれた試しがないじゃないですか!! もう嫌だぁ!! こんなブラックな【ファミリア】!! 絶対にいつか訴えてやるー!!」

 

「アスフィー!! 愚痴なら聞くから!! 頼むからここで不満をぶちまけないでくれ!! 」

 

 膝から崩れ落ち地面にうずくまりながら溜め込んでいた不満をぶちまけるアスフィ。アスフィの心の叫びを聞いて周囲にいた人間がこちらへ注目し始めた。これでは自身の評判に関わる為、ヘルメスはなんとかアスフィを宥めようとする。

 

「見ての通りアンドロメダは苦労人なんです……普段はそう感じさせないように振る舞ってはいますが、実際はとんでもないストレスを抱えているんです……」

 

「見ての通りだね……」

 

 リューの説明を聞いてアスフィに同情すると同時に親近感を抱くツナであった。

 

 

 

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