ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)55 残党(イヴィルス)

 

 

 

 

 

 18階層に突如、膨大な魔法が放たれた。

 

「俺も行く」

 

「っ!?」

 

 魔力の発生源の元に向かう為に(ハイパー)死ぬ気モードとなったツナ。先程までとは打って変わって雰囲気が変わったツナを見てリューは驚きを隠せないでいた。

 

(この感覚……まるであの時と同じ……!?)

 

 (ハイパー)死ぬ気モードとなったツナを見たリューの脳裏には、暗黒期に戦った銀髪の髪の冒険者の姿が浮かんでいた。

 

(まさか彼はそれ程の冒険者なのか!? たがオラリオに来たばかりの冒険者がなぜここまでの力を!?)

 

 リューにはわからなかった。目の前にいるツナがなぜこれだけの力を持っているのかを。

 

「俺の足に掴まれリュー」

 

(飛んだ!?)

 

 ツナは炎を逆噴射させて宙に浮く。まさか飛ぶことまでできるとは思っていなかった為、驚きを禁じ得なかった。

 

「服の上からなら触れても問題ないはずだ」

 

 ツナがそう言うとリューは地面を蹴って空中に跳び、ツナの左足を左手で掴んだ。

 

「しっかり掴まってろ」

 

 ツナは炎を逆噴射させると、空中から魔法の発生源へと向かって行く。リューを運んでいる為、ツナはリューに負担をかけない程度の速度で移動して行く。

 

(あれは……)

 

 僅かではあるが魔力の発生源に59階層にいた食人花の姿がツナの視界に映っていた。

 

(数は10体と言ったところか……だがなぜここに?)

 

 59階層に出現するはずの怪物(モンスター)だと思っていた為、ツナは食人花がここにいることに違和感を覚える。

 

「18階層に植物型の怪物(モンスター)がいるなんて聞いたことはありませんが、どうやら新種の怪物(モンスター)のようですね」

 

「どうやらお前の嫌な予感が当たったみたいだな。それよりリュー。お前のLvはいくつだ?」

 

「Lv.4です」

 

「広範囲攻撃の魔法は使えるか?」

 

 リューはリヴェリアとレフィーヤと同じエルフである為、攻撃魔法が使えるのではないかとツナは推測する。

 

「可能です。ただし詠唱が必要な為、時間がかかりますが」

 

「なら詠唱を始めてくれ。今から始めれば少しでも早く魔法が撃てる」

 

「ですがあそこに辿り着くまでには詠唱を完了するのは不可能です」

 

「問題ない。あそこに着いたら俺が奴らの動きを止める」

 

「了解しました」

 

 どうやって敵の動きを封じるのかはわからなかったがリューはツナの言葉を信じ、魔法の詠唱を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ツナとリューが魔法の発生源に向かっている頃、魔法の発生源では。

 

(どうしよう……このままじゃ!!)

 

 目の前にいる10体の食人花に、命の危機を感じているレフィーヤと、意識がなく気絶しているベルがいた。

 なぜこのような状況になっているかというと昼間、ヘルメスに唆され、不慮の事故でアイズたち女性陣の水浴びを見てしまったベル。その後、覗いてしまった女性陣に謝罪。ヘルメスに唆されたということもあって女性陣には許された。しかしレフィーヤには許されることはなく、夕食前に追い回された挙げ句の果てに森の中で迷子になった。

 そんな中、2人は落とし穴に嵌まってしまう。ただの落とし穴であれば良かったのだが、それが敵を落とし穴に嵌めて底にある溶解液で溶かして殺す、(トラップ)型の怪物(モンスター)であった。レフィーヤとベルはなんとか(トラップ)型の怪物(モンスター)に向かってありったけの魔法を放って撃破することに成功した。

 しかし突如として白装束に身を包んだ謎の2人組が現れ、どういう訳か食人花を召喚し、レフィーヤとベルを消そうとしていた。

 

(私がなんとかしなきゃ!! 元はと言えば私のせいなんだから!!)

 

 動かないベルを護るように立つレフィーヤ。ベルのことは嫌いであるが、レフィーヤは別にベルの死を望んでいる訳ではない。せめてベルだけはどうにか逃がさなければならないと考えていた。しかし先程の戦いでレフィーヤも魔力を消耗し、動けないベルもいる。状況は最悪であり、レフィーヤの脳裏に死という文字が浮かび上がる。

 その時だった

 

「ナッツ」

 

「GAOOOOOOOO!!」

 

 上空からナッツの咆哮が響き渡り、上空から大量の青い炎(・・・)が放たれた。すると食人花たちの動きが遅くなる。

 ツナは大空の炎から雨の炎へと属性を変化。それによってスキルの影響下にあるナッツも雨属性となった。そして雨属性となったナッツは食人花に向かって雨の炎を放ち、雨属性の特徴である鎮静によって食人花の動きを鈍らせたのである。

 

「今だリュー」

 

「【空を渡り広野を駆け、何者よりも()く走れ。星屑の光を宿し敵を討て】」

 

 ツナがそう言うとリューは掴んでいたツナの右足から右手を離し、落下しながら詠唱を続ける。

 

「【ルミノス・ウィンド】!!」

 

 緑の風を纏った無数の魔力の球が地上にいる食人花に向かって放たれた。リューの魔法によって食人花たちはなす術もなく消滅し、広範囲に渡って爆発が発生する。リューの魔法による爆発を隠れ蓑にして白装束たちは姿を消す。

 落下していたリューは地上に着地。続いてツナも上空からゆっくりと降り立つ。そしてナッツをリングの中へと戻した。

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい……ありがとうございます」

 

「ツナ……? リューさん……?」

 

 ツナが尋ねるとレフィーヤがお礼の言葉を述べ、気絶をしていたベルが意識を取り戻した。

 

(炎の色が違う?)

 

 レフィーヤはツナの額の炎と肩に乗っているナッツの炎の(たてがみ)の色がオレンジではなく、青色になっているということに気づく。

 

(かなり深手を追っているな……)

 

 ベルとレフィーヤの体は無数の打撲傷に皮膚が溶かされた跡がツナの視界に映った。

 するとツナの額の炎が色から黄色へと変化する。そしてベルとレフィーヤの頭の上にそっと両手を乗せる。

 

「じっとしていろ」

 

 そう言うとツナはグローブに炎を灯す。すると炎がベルとレフィーヤを包んでいく。

 

「沢田さん!! 何をして!?」

 

「傷が……!?」

 

「治っていく……!?」

 

「なっ!?」

 

 だが晴の炎によってダメージは無いどこか、打撲の傷や溶かされた皮膚が完全に元通りになっていく。傷が完治していくことにベル、レフィーヤ、リューは驚きを禁じ得なかった。

 

「傷の治りを活性化させて傷を治した。これで大丈夫なずだ」

 

 傷が治った原理を説明すると、炎の色が黄色からオレンジへと戻っていく。

 黄色の炎は晴の炎であり特徴は活性。今のように傷の治りを活性化させて治癒力を向上させたり、肉体を強化させたりなどが可能なのである。

 

「レフィーヤ!!」

 

「アイズさん!!」

 

 ここで騒ぎを聞きつけたアイズがやって来る。皆が無事だとわかってアイズは安堵する。

 

「彼女がいれば大丈夫でしょう。気になることがあるので私はこれで」

 

 顔をバレることを恐れたリューはそのままこの場から去って森の中へと入って行く。ベルたちは黙ってリューを見送った。

 

(あの目……)

 

 だがツナだけは先程のリューを見て、何かを感じていた。

 その後、アイズに続いて騒ぎを聞きつけた【ロキ・ファミリア】のメンバーがやって来る。そしてここで起きたことの調査が始まることとなる。

 

(あれ? ツナは?)

 

 ここで一体、何があったのか【ロキ・ファミリア】から事情聴取を受けていたベルであったが、ツナがいないことに気づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方で気になることがあると消えたリューは。

 

「「がぁああ!!」」

 

 逃げた白装束の2人組の足に容赦なく斬撃を放ち、逃げられようにし追い詰めていた。

 

「さて、あなたたちに色々聞きたい。あの新種の怪物(モンスター)を放ったのはあなたたちか? もしそうならここで何をしている?」

 

 冷酷な視線で動けなくさせた白装束を見下ろしながら、リューは尋問を始める。

 リューはあの食人花に魔法を放つ前にこの白装束たちの姿を視界に捉えていた。故にあの食人花が出現したのが偶然ではなく人為的なものだと推測したのである。

 すると白装束の1人の懐から紅色の球が落ちる。この球は魔道具(マジックアイテム)の1つ、火炎石である。

 魔道具(マジックアイテム)とは魔法的・超常的な効果をもたらす道具の総称であり、日常的な物や非人道的な物など種類は多岐に渡る。

 今、目の前にあるのは火炎石。強力な火炎と爆発を発生させる魔道具(マジックアイテム)である。

 

「それにその自決用の装備……私はそれを見たことがある」

 

 リューは思い出す。暗黒期の時代に全身に火炎石を装備し、自身を爆弾に変え、自身の命と引き換えに相手を道ずれにしようとする存在を。自身の友の命を奪った存在を。

 

()の派閥の生き残り。【闇派閥(イヴィルス)】の残党か」

 

 リューはこの2人組が【闇派閥(イヴィルス)】の人間であるということを見抜いていた。

 リューから放たれた殺気と気迫に気圧され、白装束たちは体を震わせていた。

 

「何も喋らないようならその背中を(はずか)しめ、お前たちの素性を暴く。暴いて、邪神に与する者たちを滅ぼす」

 

 かつてリューは自身の【ファミリア】の命を奪った者たちへの復讐の為に闇派閥(イルヴィス)とその関係する者たちを次々に手にかけた。全て終わったと思っていたが、【闇派閥(イヴィルス)】がまだ生きていると知りリューの復讐の炎が再び燃え上がる。

 そしてリューは解錠薬(ステイタス・シーフ)で2人の正体を暴く為、右手で木刀を握り掲げる。

 

「よ、止せぇええ!! 止めろ!!」

 

 命乞いをする白装束であったがリューは聞く耳を持たず、容赦なく木刀を振り下ろす。

 

「そこまでだ」

 

「っ!?」

 

 だがリューの木刀が白装束を襲うことはなかった。なぜならリューの木刀が白装束に直撃する寸前に、ツナがリューの木刀の先端を握りしめていたのだから。

 

 

 

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