ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)61 賢者(サピエンス)

 

 

 

 

 

 リューのアッパーカットを喰らったツナ。

 

「も、申し訳ありません……沢田さん……」

 

「それはいいんだけど……何で視線を反らしてるの?」

 

 店の中に入って椅子に座っているツナに対して謝罪の言葉を述べたが、リューは顔を後方に向けていた。

 

「もしかしてさっきのこと気にしてる?」

 

(そうじゃないだろ!! 鈍感か!!)

 

 リューが自分にアッパーカットを喰らわせたことが気まずくて、自分と顔を合わせられないのだと考えるツナにルノアはツッコミを入れると同時に、ツナの鈍感さに頭を抱える。

 

「ルノア。後を任せます。私はやることがあるので」

 

 そう言うとリューはツナから視線を外したまま、早歩きで厨房へと向かっていった。

 

「気にしなくていいのに……」

 

(これは前途多難だな……)

 

 鈍感過ぎるツナとツナを意識過ぎるあまりまともに会話することすらできないリュー。これでは両者の関係が進展するのは難しいと確信するルノアであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 豊穣の女主人にて食事を終えたツナ。結局、リューとの会話をすることなく店を去ることになった。

 

「全然、話せなかったな……」

 

 あれからリューと話そうとしたツナであったが、リューは自分を避けていた為、話すことができなかったのである。

 他に用事もないのでツナは本拠(ホーム)に戻って留守番することを決める。

 

「沢田綱吉だな」

 

「え?」

 

 するとツナの耳に自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。ツナは声のする方を向くと、全身に黒いローブを纏った謎の人物が路地裏にいた。

 

(あの時の!? でも仮面がない!! もしかしてあいつの仲間!?)

 

 全身ローブの人物を見たツナは、18階層の仮面の人物を彷彿(ほうふつ)させた為、全身ローブの人物を警戒する。

 

「いきなり怪しい奴が現れて警戒するのも無理はないが、落ち着いてくれ。私はウラノスの使いだ」

 

「ウラノス様の?」

 

「私の名はフェルズ。ウラノスの命で君を連れて来るよう言われて来た。君のことは全てウラノスのことから聞いている。君が異世界から来たことも」

 

(じゃあ本当にこの人……)

 

 自分が異世界から来たことを知る者はヘスティアとベルとウラノスだけ。故にフェルズが本当にフェルズの使いであるのだとツナは理解し警戒を解いた。

 

「急で悪いんだがついて来てもらいたい。ウラノスは君と話がしたいそうだ」

 

「わかった」

 

「ついて来てくれ」

 

「え? ギルドはあっちだよ」

 

「別の入り口がある。それに神ならまだしも、人間である君が何度もギルドからウラノスのいる祭壇に行けば不審がられる。それに私の存在を知られるのは不味いんだ。だから私のことは他者には他言しないでくれ」

 

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ツナはフェルズの案内の元、ウラノスの祭壇に続く入り口へと向かって行く。

 

「こんな入り口があったんだ」

 

 ツナとフェルズは地下に続く入り口に入ると、細くて暗い道を歩いていた。

 

「この抜け道の存在を知っている者はほとんどいない。ましてや使用した者となれば片手の指でこと足りる」

 

「それって秘密にしてるってことだよね? 俺が本当に入って良かったの?」

 

「私と君の正体を明かさない為にはこの道を使うしかない。これが最善の選択さ」

 

 ツナはフェルズは会話をしながらウラノスの元へと向かって行く。

 

「着いたぞ」

 

 フェルズがそう言うと初めてウラノスの元に訪れた時の祭壇へと辿り着いた。

 

「ご苦労だったフェルズ。そして急な召集にも関わらず、出向いてくれたことを感謝する沢田綱吉」

 

「あの……話って何ですかウラノス様?」

 

「経過報告だ。異世界に帰る為の手がかりについてのな」

 

「何かわかったんですか?」

 

「いや。私とフェルズで調べてはみたが手がかりすら掴めていないというのが現状だ」

 

「そうですか……」

 

「ジョットの時も私とフェルズで必死に調べたが、どうやって向こうの世界に帰ったかはわからなかった。正直、手がかりを掴むのは難しいだろう」

 

「え!? フェルズも知ってるんですか!?」

 

 ウラノスだけでなくフェルズもジョットのことを知っているとは思わなかった為、ツナは驚きを隠せないでいた。

 

「じゃあフェルズも神様? それともエルフ?」

 

 この世界で何百年も生きられるのは神とエルフのみ。故にツナはフェルズが神かエルフなのではないかと推測する。

 

「違うな……私は人間。いや元人間と言ったところか」

 

 だがフェルズはツナの言葉を否定し、フードを両手で掴み素顔を晒した。

 

「ひぃ!?」

 

 フェルズの素顔を見た瞬間、ツナは悲鳴を上げて、腰を抜かした。なぜならツナの視界には肉も皮もなく、骨だけの顔面が映っていたのだから。

 

「フェルズはかつて魔法大国で永遠の命を発現させる、賢者の石を生成したただ1人の賢者なのだ」

 

「それって不老不死ってこと……?」

 

「まぁね。だが全身の肉と皮は腐り落ち、今では怪物(モンスター)よりも醜い存在になった。腹の餓えや喉の渇きも感じることのできない。それに肉体を失ったことでステイタスの更新もできない。この姿は不老不死を求めた者の末路。因果応報というやつさ」

 

「そうなんだ……」

 

「あまり驚いてないな……私が言うのも何だが普通の人間であればもっと驚いておかしくないはずなんだが……」

 

「いや……俺の世界にフェルズと同じような人間がいるっていうか……」

 

「マジか……」

 

 世界が違えどまさか自分以外にも不老不老と呼べる存在がいるという事実にフェルズは口調が変わる程の衝撃受けていた。

 ツナの言うフェルズのような人間とは虹の代理戦争にて戦ったバミューダ・フォン・ヴェッケンシュタインである。

 バミューダは法で裁けない者たちを裁く組織、【復讐者(ヴィンディチェ)】のリーダーであり、【虹の赤ん坊(アルコバレーノ)】だった男である。

 バミューダは世界の秩序を護る為に捧げられた【虹の赤ん坊(アルコバレーノ)】の1人であった。だが世代交代の際におしゃぶりに込められた炎を抜かれて死ぬはずだったのだが、夜の炎という第8属性の炎を産み出し、おしゃぶりに炎を灯すことで延命。そこから自分を赤ん坊の姿に変えたチェッカーフェイスを殺す為だけに、何百年も生き続けたのである。

 

(そう考えるとバミューダって……)

 

 バミューダは何百年も生き続けてもなお肉体が完全に腐り落ちていないどころか、自分と同じくチェッカーフェイスを憎しみを抱き骨のある者を夜の炎で救済して、何百年も生き続けさせた。ツナはバミューダがフェルズの上位互換とも呼べる存在であると同時にバミューダの凄さを改めて理解する。

 

「ジョットには私も世話になった。だからウラノスと同じくジョットの子孫である君に会えたことに運命を感じているよ。だから君が元の世界に帰れる方法について調査を惜しまないつもりだ。つもりなんだが……」

 

「何かあったの?」

 

「実はこのオラリオに暗躍している組織がいる。その動向を探らなければない状況にあるんだ。そして君はすでにその組織の陰謀に巻き込まれている。君が【ロキ・ファミリア】と行った59階層に遠征にてね」

 

「な、何でそのことを!?」

 

「59階層の様子を見る為に仲介人を通じて【剣姫】にアイテムを渡し様子を見ていたのさ。まさか君がいるなんて思いもしなかったがな」

 

「い、いや!! あれはその!!」

 

「落ち着いてくれ。君に罰を与えるつもりはない。そうだろうウラノス?」

 

「ああ。むしろ礼を言わせてほしい」

 

「え!?」

 

 Lv.1で59階層に行ったのにも関わらず罰どころか、逆に感謝の言葉を述べられるという状況にツナは困惑を隠せないでいた。

 

「お前が59階層に行かなければ【ロキ・ファミリア】を失い、オラリオは崩壊の一途を辿っていたかもしれないからだ」

 

「崩壊って……どういうことですか……!?」

 

「結論から言おう。お前が戦ったあの精霊。あれは人為的に産み出されたものだ」

 

「あれが……!?」

 

 あのおぞましい存在が人為的に産み出されたものだと知って、ツナは戦慄していた。

 

「精霊だけではない。腐食液を放つ芋虫型の怪物(モンスター)や食人花の怪物(モンスター)も人為的に産み出されている」

 

「もしかして【闇派閥(イヴィルス)】ですか?」

 

「知っていたか」

 

「はい。それと俺【闇派閥(イヴィルス)】かもしれない人と戦いました。仮面を被ってて、フェルズみたいに全身をローブで隠している奴なんですけど」

 

「その人物が敵にいることは知っているが……まさか接触していようとはな」

 

 ウラノスはツナの言葉を聞いてツナが【闇派閥(イヴィルス)】に狙われてしまう立場にあるということを理解する。

 

「沢田綱吉。今回の遠征は自分の意思で行ったのか?」

 

「はい。フィンに力を貸してくれないかって頼まれて」

 

「そうか。自分自身の意思で決めたというなら私は何も言うつもりはないし、止めるつもりもない。ただお前にはお前の帰りを待っている者たちがいる。そのことだけは決して忘れるな」

 

「はい」

 

「話が長くなってしまったな。フェルズ。例の物を」

 

「ああ」

 

 するとフェルズはツナに近づくと、懐から掌に収まる程度の大きさの水晶を取り出して見せる。

 

「何これ?」

 

「これは眼晶(オクルス)。これがあれば離れた位置でも同じ眼晶(オクルス)を持っている者同士で連絡を取り合うことができる。何かあったらこれを使ってウラノスが連絡する。逆に君がウラノスに連絡したいことあった時にも使ってくれ」

 

「ありがとう」

 

 

 

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