ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
ウラノスとの話を終えたツナは
「ただいま!!」
「お帰りって……な、何かあったの?」
教会にて留守番していたツナ。すると神の宴から帰って来たヘスティアとベルが帰って来る。しかしヘスティアはあからさまに不機嫌な様子であった為、ツナはおそるおそる何があったのかと尋ねる。
「君の言う通りだったよ綱吉君。昨日の酒場の1件は偶然じゃなくてアポロンによって仕組まれた罠だったんだ。全てはベル君を手に入れる為のね」
「ど、どういうこと!?」
「自分たちの団員が重症を負わされたと、勝手な言いがかりをつけてその代償にベル君を寄越せと言ってきたんだ。勿論、断ったけどそしたらアポロンの奴、
「
「その通りだよ。勿論、その申し出も断った。けどアポロンはこのくらいで諦めたりなんて絶対にしない。あいつのことは天界にいた頃から知ってるがとにかく執念深いんだ。きっとベル君を手に入れる為にまた何かしてくる」
「何でそこまでしてベルを……?」
「ベル君がわずか1ヵ月でLv.2になるという偉業を成したからだろうね」
(そうだった……)
ツナはフィンが言っていたことを思い出す。優作な人材を手に入れる為なら手段を選ばない【ファミリア】がいるということを。
「といってもすぐに何かしてくることはないだろう。だからといって何の対策を打たない訳にはいかない。悪いんだが綱吉君。常にベル君と行動するようにしてくれないかい?」
「わかった。いいよ」
「ごめん。ツナ……」
ヘスティアの頼みを了承するツナ。自分の為にツナの行動を制限させることになってしまった為、ベルは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「あ。でも明日は……」
「そうだった。君は【
「何のことですか?」
昨日の酒場の喧嘩騒動があった為、ベルだけはツナとヘスティアが何の話をしているのかわからないでいた。
「フィンに遠征の報酬の受け渡しと、話したいことがあるって言うので呼ばれてるんだ」
「そうなんだ……」
「なら明日は綱吉君がいない間は僕がベル君といるようにするよ。綱吉君は用事が終わり次第、僕たちと合流してくれ」
「わかった」
次の日。朝。
「やぁ。待っていたよ」
ツナは遠征の報酬の受け取りと、例の仮面の人物の件についての話をする為に【ロキ・ファミリア】の本拠ホームにやって来ていた。
現在、ツナがいるのは執務室。目の前にはフィン、その両サイドにはガレスとリヴェリアが並んでいた。
「招待が遅れてしまってすまない。遠征が終わってからこっちも色々とあってね。報酬を渡すだけならすぐにできたんだが、こうしてゆっくりと話し合う時間がなくてね」
フィンは招待するまで1週間以上掛かってしまった事情を話すと同時に謝罪の言葉を述べた。
「それで本題の仮面の人物についての話なんだが。あの仮面の人物は【
「やっぱり……」
「知っていたのかい?」
「いや……フィンから【
リューから聞いたと言えばリューの存在が知られてしまう為、ツナは自分で気づいたということにして誤魔化した。
「そして仮面の人物のマントと仮面を調べてみたが、オラリオ内で作られている物ではなかった。おそらく【
「ナイフに関しても調べてはみたが、普通に市販で売られているような物じゃった。正直、誰でも手に入る。何なら奪って手に入れた可能性もある。やはり特定は難しいのう」
仮面の人物と戦ったあの日。ツナは仮面の人物の仮面とマントとナイフを【ロキ・ファミリア】に渡して調査させることで仮面の人物の正体に迫ろうとした。しかしリヴェリアとガレスの口から仮面の人物の正体が明らかになることはなかった。
「でも本当に【
リューの存在を知らないということをより印象付ける為にツナはさらに保険をかける。
「残党がいたんだ。そしてまた奴らはこのオラリオを地獄絵図に変えようとしている可能性が高い」
「僕たちは奴らの計画を阻止する為に奴らを追っているんだ。だが奴らに関しての情報はほとんど掴めていない状態だ。だから仮面の人物と戦った君の情報が欲しいんだ」
「それはいいんだけど……そもそも俺だってよくわかっていないっていうか……」
「些細なことでもいいんだ。君が奴と戦った時に感じたことを素直に話してくれたらいい」
「う~ん……炎の魔剣を持ってて、腕に鉄のグローブを装備してて。グローブを片方だけ壊したんだけど、その時に白い肌が見えて……」
「魔剣に白い肌か……」
魔剣は高額であるが金さえあれば誰でも購入は可能であり、誰かから略奪することもできる。白い肌は多くの種族が該当する為、以上の情報から仮面の人物の正体を暴くことはできなかった。
「後は……不気味で凄い悲しみと憎しみと絶望感を感じたかな……」
「あの仮面の人物からかい?」
「うん。ありとあらゆる負の感情が凝縮されたっていうか……」
そう言うツナの脳裏に【
「私は不気味だという事以外、何も感じなかったが……」
「彼は相手の心を見透かすことに長けている。だから僕たちには感じられなかった何かを感じていても何も不思議じゃない。だが憎しみといった感情は敵の正体を暴く手がかりとなる」
実際にツナと戦ったことのあるフィンはツナが言っていることが嘘ではないということを理解していた。
「後はいつの間にか消えたっていうことくらいかな」
「前にも消えたと言っていたがどうして逃げたではなく、消えたと思ったんだい?」
「あいつを空中に蹴り飛ばした後に炎を当てたんだけど、煙が晴れたら仮面とマントだけ残ってたから。空中を移動できる方法があるなら最初から使ってると思ったし」
「そうなるとあれも逃げたのではないのか」
「かもしれないね」
「え? 何のこと?」
突如、リヴェリアとフィンの言っていることがわからずツナは疑問符を浮かべる。
「実は59階層に向かう途中に奴が現れておったんじゃ」
「え? いつ?」
ガレスから仮面の人物が今回の遠征で現れていたこと知るツナであったが、思い返しても仮面の人物を見た記憶がなかった為、困惑してしまっていた。
「見ていないのも無理もない。奴はワシらが58階層にいた時。フィンたちと分断された時に現れたんじゃからのう」
「あの時……」
「奴は僕たちの前に現れたんだが、リヴェリアが魔法を放った際の一瞬の隙に仮面とマントだけを残して逃げたんだ」
「それって……」
フィンから分断されていた時の状況を知って、自分が仮面の人物と戦っていた時の状況と同じだということを理解する。
「やっぱり空間移動できる能力でも持っているのかな?」
「空間移動?」
「うん。攻撃が当たった後煙に包まれている間に、一瞬で別の場所に体だけ移動したんだと思ったんけど……後は実体のある幻覚を作れるとか」
「確かにそれなら辻褄が合うが……」
「よくそんなことが思いつくのう……」
「ああ……君は本当に僕たちの予想を越えるね……」
「そ、そうかな……ハハハ……」
あまりにも予想外過ぎる発想であった為、リヴェリア、ガレス、フィンは若干、引いてしまっていた。自分の知り合いに空間移動や実体のある幻覚を作れる人間がいるなど言える訳もなくツナは笑って誤魔化した
「参考になったよ。君の証言を元に僕らは調査を続けてみるよ」
「何か俺に協力できる事とかある?」
「君に調査に協力してもらえれば頼もしいというのが本音だが、君にばかり頼ってばかりではダメだ。それにいくら強くても戦いが嫌いな君を何度も戦わせる訳にいかない。僕らの心配よりも自分とその周囲の心配をした方がいい」
「え?」
「君は【
「わかった」
「すまない。僕が遠征に誘ったばかりに君と君の周囲の人間を巻き込むことになってしまったことを」
「ううん。遠征に行くことを決めたのは俺だから。フィンのせいじゃないよ」
「ありがとう」
ツナと周囲の人間を巻き込む原因を作ったのにも関わらず自分を責めないくれるツナに、フィンは感謝しかなかった。
その時だった
「騒がしいな」
「何の騒ぎだ?」
外の方から派手な爆発音が聞こえてくる。ガレスとリヴェリアは何の騒ぎか気になり、窓から外を覗く。
「どうやらどこぞの【ファミリア】同士の抗争のようじゃのう」
「抗争!? 街中で!?」
「オラリオでは珍しい話ではない。我々もかの【フレイヤ・ファミリア】とは何度も抗争を起こしているしな」
「う、嘘でしょ……」
民間人のいる街中で抗争を起きること、抗争が起きていても微塵も動揺していないガレスとリヴェリアにツナは驚きを隠せないでいた。
「団長!!」
「フィン!! 大変だよ!!」
「騒々しいぞティオネ、ティオナ」
すると部屋の扉が強引に開けられ慌てた様子にティオネとティオナが入って来る。大きな声で部屋に入って来る2人に対してリヴェリアは落ち着くように注意をする。
「アルゴノゥト君が【アポロン・ファミリア】に襲われてるって!!」
「ええ!?」
「ツナ!? 何でここにいるの!?」
「今の話は本当なの!?」
「本当よ!! 早く行かないと不味いわよ!! 【アポロン・ファミリア】の奴らはこれまでもペナルティ覚悟で他の【ファミリア】の奴を奪ってきてるから!!」
「わかった!! ごめんフィン!! 報酬はまた後で受け取るから!!」
ティオネの言葉を聞いてツナは部屋を飛び出し、ベルを助けに向かって行くのであった。
一方、その頃。ウラノスの祭壇
「馬鹿な……!?」
「どうしたウラノス?」
いつものように祭壇に座っていたウラノスであったが、目を見開いて驚きの表情を浮かべる。滅多に感情が揺らぐことのないウラノスが驚きの表情を浮かべた為、フェルズは何か重大な出来事が起きたのだということを察する。
「侵入者だ」
「侵入者!? この地下祭壇にか!?」
「ああ。間違いない……」
このオラリオが創設されてから数千年。ウラノスたちのいる地下祭壇に面会に来る者はいても、侵入者が入ることなど1度たりともなかった。故にウラノスとフェルズは衝撃を隠せないでいた。
すると地下祭壇に足音が響き渡り、足音が徐々に近づいて来る。フェルズはウラノスを護るように、立ち塞がり戦闘体勢に入る。
そしてついに地下祭壇に侵入して来た者が姿を現した。
「よう。お前がウラノスか?」