ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
【アポロン・ファミリア】によってベルが襲われているという情報を聞いたツナは、【ロキ・ファミリア】の
「はぁ……はぁ……」
一刻も早くベルの元へ向かわんと、ツナは街中を走っていた。
「音が消えた……?」
先程まで爆発音が聞こえていたが突然としてそれが消えた。ツナはそのことを違和感を覚えるも、ベルの安否を確認する為にペースを落とさず、ベルを必死に探す。
「いた!!」
街中を走り回ること10分。ツナはようやくベルの姿を捉えた。ベルの側には神妙な面持ちのヘスティアとヴェルフの姿がいた。
「綱吉君!!」
「【アポロン・ファミリア】が襲って来たって本当!?」
「ああ……こっちは大丈夫だ……問題を先送りにしただけ、だけどね。それよりも別の問題が発生したんだ」
「どういうこと?」
「詳しい話は場所を移してから説明するよ」
ツナたちは【ヘスティア・ファミリア】と友好な関係にある【ミアハ・ファミリア】の
一方でヴェルフはやることがあると言って自分の【ファミリア】である【ヘファイストス・ファミリア】の元へと戻って行った。
「こんな時にあれだが紹介するよ綱吉君。僕の友神のミアハだ」
「ミアハだ。よろしく頼む」
ヘスティアの前には青い神の優男をツナに紹介した。
この神の名はミアハ。【ミアハ・ファミリア】の主神である。ミアハは医学を司る神であり、見た目通り人柄が良く人々から慕われている。ただ商品であるポーションをタダで配ってしまうという、お人好しが過ぎる一面がある。
「こっちはこの【ファミリア】の団長のナァーザ君だ」
「よろしく……」
今度は茶髪のショートヘアーの
彼女の名はナァーザ・エリスイス。【ミアハ・ファミリア】の団長であり、唯一の団員でもある。ナァーザは元々は【
薬師としての腕があるため、今は薬師として働いているが、自身のせいで【ファミリア】が落ちぶれてしまったことを気にしており、借金を返す為に日々、頑張っている。しかしミアハが無料で配ってしまうせいで【ファミリア】の借金が減らない状況にある。
さらにナァーザはミアハに好意を抱いている。だがミアハが鈍感で自分の気持ちに気づいてくれない上に、無自覚に他の女性を
「沢田綱吉です。気軽にツナって呼んで下さい」
「そうか。狭い【ファミリア】だが自分の
「ありがとうございます」
初対面であるにも関わらず自分のことを邪険に扱わず優しく迎えてくれるミアハにツナはお礼の言葉を述べる。
「それで一体、何があったの?」
「……」
ベルはツナが【ファミリア】を後にしてからの出来事を話す。
ツナが出て行った後、【アポロン・ファミリア】はベルを手に入れる為にペナルティ覚悟で多勢に無勢でベルたちを強襲。リリやヴェルフ、【ミアハ・ファミリア】や【タケミカヅチ・ファミリア】が【アポロン・ファミリア】と戦ってくれたが、それでも【アポロン・ファミリア】の数と戦略に圧倒され、このままではベルを奪われることを危惧したヘスティアはベルを連れて、【アポロン・ファミリア】の
「でも
「ああ。勝つのは非常に難しいだろう。でもアポロンはが
「俺も出るよ。
「ダメだよ綱吉君!!
「神様の言う通りだよ!! そんなことをしたら……」
ベルから事の顛末を聞いたツナは
「勝ちたい……」
「「え?」」
「力で無理やり仲間を奪おうとする奴らに負けたくない……【アポロン・ファミリア】だけには負けたくない!!」
「「っ!?」」
だがツナの決意は揺らぐことはなかった。いつも大人しいツナがここまで強く意思を主張することはなかった為、ベルとヘスティアは驚きを隠せないでいた。
「よく言ったぞツナ。部下を見捨てるようなボスは【ボンゴレ】にはいらねぇんだ」
「え……ガハッ!?」
「ツナ!?」
「綱吉君!?」
突如、謎の声が【ファミリア】内に聞こえる。それとほぼ同時にツナが何者かに吹き飛ばされる。突然の出来事にツナとヘスティアは驚きを隠せないでいた。
「よう。久しぶりだなダメツナ」
「リ、リボーン!?」
なんと現れたのは元の世界にいるはずのリボーンであった。ツナはリボーンがオラリオにいることに衝撃を隠せないでいた。
「あ、赤ちゃんが喋っている……」
「しかも普通に立ってるぞ……」
「き、奇妙だな……」
「何の種族……?」
当たり前のように2本足で立って、普通に喋る赤ん坊の存在にベル、ヘスティア、ミアハ、ナァーザは衝撃を隠せないでいた。
(ってちょっと待て!! 確かリボーンという名前は綱吉君の世界の人物の名前のはず!!)
(まさかこの子、ツナの世界の仲間!?)
喋る赤ん坊という奇妙な存在に驚くあまり忘れていたが、ヘスティアとベルがツナに初めて会った際にリボーンの名を口にしていたことを思い出した。そして同時に理解する。リボーンがツナの世界の人間であるということを。
「リボーン!? お前何でここに!?」
「んなもん決まってるだろ。お前を
「え……!?」
(それって……)
(まさか……)
リボーンの言葉を聞いてツナ、ヘスティア、ベルは理解する。リボーンが自分の意思で、何かしらの方法を使ってこの世界に来たということを。
「お前がベルとヘスティアか?」
「な、何で僕たちの名前を……!?」
「なーに。お前らの所にツナがいるって聞いたからな。それに今は【アポロン・ファミリア】と【ヘスティア・ファミリア】がベルを巡って
「そこまで知っていたのかい」
「それで? 勝算はあんのか?」
「ルール次第だね。どんなルールでもはっきり言って僕らが勝てる可能性は低い。仮にベル君と相手の団長の一騎討ちだとしてもね。先程、ベル君が戦ったが手も足も出なかった」
「なら俺がベルを鍛えてやろうか」
「え!?」
「き、君がかい!?」
(ま、不味い……)
まさかリボーンがこんなことを言ってくるとは思ってもみなかった為、ベルとヘスティアは驚きを隠せないでいた。一方でツナだけは顔を真っ青にしていた。
「ツナが世話になったらしいからな。その礼だ。それでどうする? やるか?」
「え、えっと……」
「ベル!! 絶対に止めた方がいいよ!! 絶対に後悔するから!!」
「お前には聞いてねぇ」
「グフッ!?」
ベルの選択肢を与えているのにも関わらず、ツナが邪魔してきた為、リボーンはツナを蹴り飛ばした。
「ツナを強くしたのはこの俺だ」
「え!?」
「俺がお前の修行をつければお前は今よりも確実に強くなれる。勿論、お前の覚悟次第だがな」
「僕の覚悟……?」
「ツナに今から【アポロン・ファミリア】を襲わせれば確実に【アポロン・ファミリア】を壊滅させることはできる。そうなればお前の身は安泰だ。それでいいなら別に何も言うつもりはねぇ。ただしそんな奴に修行をつける気はねぇ。だが自分の確実な安全を放り投げて、それでもなお勝ちてぇと思うなら、俺がお前に修行をつけてやる。どうする?」
「……」
リボーンはベルの覚悟を試すために敢えて、飴と鞭を与える。ベルは黙ったまま俯いて考え込む。
「やります」
「いい返事だ。よく言ったぞベル」
(あ……ヤバい……)
ベルの返答を聞いたリボーンはもの凄く嬉しそうな笑みを浮かべる。そんなリボーンを見てツナは嫌な予感がしていた。
「そんじゃ今から修行に行くぞ」
「今からですか!?」
「ああ。とっとと準備しろ」
「わ、わかりました……」
「つー訳だ。こいつをオラリオから連れて出る。いいか?」
「それはいいけど……オラリオの外に行くつもりかい?」
ベルが自分の意思で決めた以上、ヘスティアは口を挟むことはせずリボーンの頼みを了承する。
「ああ。ここで鍛えることもできるが、あらゆる環境で鍛える方が成長しやすいからな。それとオラリオの外について詳しく書かれた地図はあるか?」
「それならこちらで用意しよう。ナァーザ」
「はい。ミアハ様」
オラリオの外の地図が欲しいということを聞き、ミアハはナァーザに地図を用意するよう頼む。ナァーザは【ファミリア】の奥へ移動し地図を取りに行く。
「それとベル。防具を脱げ」
「え?」
「あっても意味がねぇ。武器だけ用意しろ」
「は、はい……」
リボーンの言いたいことが全くわからなかったが、ベルは防具を外した。元々はダンジョンに行く予定であった為、防具を装備していたのである。
「地図。持って来た」
「サンキュー」
地図を持って来たナァーザはリボーンに地図を渡した。リボーンは受け取り地図に目を通した。
「成る程な。だいたいわかった」
「その歳で
「さっき覚えた」
「え……?」
まだ幼いのにも関わらずリボーンが
「
「これから神々の話し合いで決める。なんとか僕がベル君の修行する時間を稼ぐ」
「どのくらい稼げる?」
「1週間」
「そんだけあれば充分だ。ツナ」
「こ、これって……!?」
リボーンはツナに何かを投げ飛ばした。ツナはリボーンが投げ飛ばした物をキャッチし、それを見て驚愕していた。なぜならそれはスマホだったからである。
「
「う、うん……」
「行くぞベル。時間が惜しいからな」
「は、はい!!」
「ベル君。こっちのことは任せて存分修行に集中してくるんだ」
「はい!! 行ってきます!!」
そう言うとベルはリボーンと共に【ミアハ・ファミリア】を後にして、オラリオの外へと向かった。
「ごめんヘスティア……先に謝っておくね……」
「謝る? 何をだい?」
「ベルのこと……も、もしかしたら
「ベ、ベル君が死ぬ!? ど、どういうことだい!?」
「リボーンの修行はあまりにも厳し過ぎて……俺、何度も死にかけてるから……あいつ女の子には優しいけど男相手には一切、容赦がないから……」
「……」
ツナの言っていることが本当だということを理解したヘスティアは何も言えなくなるのだった。