ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)67 解決(ソリューション)

 

 

 

 

 

 全ての元凶であるザニスを撃破したツナ。ツナの右ストレートを喰らって空中から地面へと叩きつけられたザニスは、顔が腫れ上がり地面に大の字の状態になって気絶していた。

 そしてザニスを倒したツナは空中からゆっくりと、リリの元へ降りて行く。

 

「つ、綱吉様……?」

 

 味方であるとわかってはいるものの、ツナが今まで見たことがない程に激昂していた為、リリは恐る恐るツナの名を口にした。

 

「待たせてすまない……」

 

 だがツナは辛そうな顔をしながら助けることが遅くなったことを謝ると、しゃがみ込んでリリの両手の掌の傷を晴の炎で治療していく。

 

「よく脱出できたな。捕らわれてるって聞いていたんだが」

 

「チャンドラ様という方が助けてくれたんです。ザニス様のことが嫌いだから見逃してやると言って、牢獄の鍵をリリに渡してくれたんです」

 

「そうか……」

 

 【ソーマ・ファミリア】はろくでもない奴ばかりと思っていたが、ちゃんとした人間もいるのだと知って少しだけ安堵する。

 

「それより申し訳ございません……リリのせいで皆様にご迷惑を……」

 

「ヘスティアからお前の過去を聞いた。【ファミリア】を脱退する為に盗みを働いていたこともな」

 

「え……!?」

 

「確かに盗みは罪だ。だが盗みを働いたのは、お前のせいじゃなくて主神や団員たち、悪質な冒険者たちのせいだ。お前は悪くない」

 

「綱吉様……」

 

「今、【ヘスティア・ファミリア】は【アポロン・ファミリア】と戦争遊戯(ウォーゲーム)をやることになった。敵はそれに勝ってベルを手に入れようとしている」

 

「それは本当ですか!?」

 

 連れ去られてからリリはずっと牢獄に捕らわれていたため、都市中で話題になっている戦争遊戯(ウォーゲーム)のことを知らなかった。故にツナの言葉に驚きを隠せないでいた。

 

「ああ。勝つ為にはお前の力がいる。だから俺たちに力を貸してくれ」

 

「リリが加わったところでお力になれるはずもありません……」

 

「そうでもないさ。前に18階層に避難しようと提案したのはお前だと聞いてる。お前がベルたちの命を救ったんだ。お前のその発想は今回の戦いに役に立つはずだ」

 

「ですが……綱吉様がいれば問題ないはずです」

 

 ツナの圧倒的な力があれば自分がいなくとも【アポロン・ファミリア】に勝てるということを理解していた。

 

「それじゃ駄目なんだ」

 

「どうしてですか?」

 

「今回の戦争遊戯(ウォーゲーム)のきっかけは【アポロン・ファミリア】がベルを欲したことが原因だ。ベルは今、【アポロン・ファミリア】に勝つ為に修行している。だからベルが勝たないと意味がない。仮に俺が戦うと言ってもおそらくベルは引かない」

 

 ツナは思い出す。ミノタウロスとの戦いでアイズに助けてもらうこともできたはずなのに、自分自身の力で戦ったことを。

 

「それに俺はこの戦争遊戯(ウォーゲーム)が終わったらオラリオを去る」

 

「え!?」

 

 ツナは知っていた。リボーンがオラリオがやって来たということは、オラリオと元の世界を行き来できる方法を確立したのだということを。そしてこの世界と別れなければならない時がきたのだと。

 

「俺がオラリオを去った後、お前たちは俺の力なしでこれから先に起こるであろう戦いを乗り越えなきゃいけない。俺の力で戦争遊戯(ウォーゲーム)を勝ってもお前たちの為にならない。だから自分たちの力で成し遂げなければいけないんだ」

 

「しかし……リリは改宗(コンバージョン)したくてもソーマ様が耳を貸してくれる訳がありません……」

 

「そこは僕に任せてくれ」

 

 するとナァーザに抱えられたヘスティアがバルコニーに上がってくる。

 

「神である僕であればソーマも少しは耳を貸すかもしれないからね」

 

「ヘスティア……」

 

「ヘスティア様……」

 

「それにしても派手にやってくれたねぇ綱吉君。君がまさかここまでやるとは思ってもみなかったよ」

 

「す、すまない……」

 

 ヘスティアはナァーザから降りるとツナにそう言い放った。ヘスティアの言い分にツナは反論できなかった為、ツナは申し訳なさそうな表情をしながら謝ることしかできなかった。

 

「まぁいいさ。君がいなければサポーター君は助けられなかっただろうしね。サポーター君のことは僕が上手くやっておくから君は下で待っているんだ」

 

「わかった」

 

「行こうサポーター君」

 

「はい」

 

 そう言うとヘスティアとリリは主神であるソーマの元に、ツナとナァーザはバルコニーから下へと降りた。

 

「おいおい……何がどうなったらこんなことになるんだ……」

 

 すると地下からチャンドラが荒らされた地面を見て驚愕しながらやって来た。ツナはチャンドラを見て警戒し、戦闘体勢に入った。

 

「待て待て!! 俺は戦う気はねぇよ!! 戦いがどうなったか気になって見にきただけだ!!」

 

 戦闘体勢に入るツナ見てチャンドラは両手を上げて、戦う意思はないという姿勢を見せた。

 

「それよりザニスを倒したのはお前か?」

 

「だったらどうした」

 

「礼を言おうと思ってな。俺はあいつが嫌いだったからな」

 

「そうか。お前がリリを牢獄から逃がしたチャンドラって奴か」

 

 この男がチャンドラだということを理解したツナは警戒を解いた。

 

「俺は最高の酒があると聞いてこの【ファミリア】に入った。だがこいつが私物化したせいで満足に飲めなくなった。しかもこいつは裏で神酒を横流して金を儲けてやがったしな」

 

「じゃあ……」

 

「ああ。牢獄に入れるに充分な理由だ。もうこいつが【ファミリア】を私物化することできない」

 

「そうか。だったら2度とこうならないよう【ファミリア】の環境を改善してくれ。神酒が欲しいという欲求を咎めるつもりはないが、他人を不幸にしてまで神酒を手に入れようとするのは許容できない」

 

「わかった」

 

「その代わりと言ってはなんだが今回のことはギルドには報告しない。それと俺が壊した物の弁償は俺がする」

 

「前者はいいが、後者に関しては拒否する」

 

「何だと?」

 

「弁償に関してはザニスが不正に得た金で直す。その方がこいつへの罰にもなるしな」

 

「いいのか?」

 

「ああ。あんたのお陰でせっかく神酒の魅了から解放されて変わるチャンスを得たんだ。これくらいはさせてくれ。それにいい加減、主神とも向き合わないといけないしな」

 

「わかった。それと最後の頼みだ。俺の存在を秘密にしてくれないか?」

 

「それくらいなら構わないが……何だってまたそんなことを?」

 

「俺は自分の力のことを知られたくないんだ。だから頼む」

 

「わ、わかった……」

 

 詳しい事情はわからなかったが、チャンドラはツナの要求を呑んだ。

 その後、チャンドラは団員たちは引き連れて今回の抗争の後処理を始めた。

 

「終わったな」

 

「終わったなじゃねぇよ!!」

 

 一息ついたツナであったが、ここで今まで黙っていたヴェルフがツッコミを入れる。

 

「何とんでもない大穴を開けてんだよ!! こっちまで度肝抜かれたじゃねぇか!! というかやるならやるって言えよ!!」

 

「す、すまない……い、一応、加減はしたんだが……」

 

「う、嘘だろ……!?」

 

 敵はおろか味方までも度肝を抜くような大穴を開けたのにも関わらず、あれで加減していたと知ってヴェルフたちは衝撃を隠せないでいた。他の者たちは開いた口が塞がらない状態になっていた。

 

リボーン(あの子)が君なら【アポロン・ファミリア】を1人で壊滅させられるって言ってた……冗談だと思ってたけど本当だったんだね……」

 

「というか俺たちほとんど何もしてないんだが……」

 

「というよりも足手まといだったよね……」

 

「沢田殿がいれば万事解決だったのでは……?」

 

 ツナ破格の強さであった為、ナァーザ、桜花、千草、命は自分たちはいらなかったのではないかと思ってしまった。

 

「正直に言うと俺は自分の力を知られたくない。自分の力を使わずに助けられるならそれにこしたことはない。けど……目の前で大切な仲間を失ったら死んでも死にきれねぇ。そう思ったから力を使うことにした」

 

「「っ!?」」

 

 ツナの言葉がヴェルフと命の心に刺さった。そして2人は同時に何かを決意した。

 

「感謝します沢田殿」

 

「ありがとなツナ」

 

「?」

 

 命とヴェルフからお礼の言葉を述べられるが、何のことかわからず疑問符を浮かべる。

 

 

 その後、ヘスティアの力とリリがソーマに誠意を見せたことによりリリの【ソーマ・ファミリア】脱退が認められた。この1件以降【ソーマ・ファミリア】の体制は見直され、【ソーマ・ファミリア】はいい方向へと変わっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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