ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
ウラノスからオラリオの滞在許可を得られたツナはギルドを後にする。
「ふぅ……よかったぁ……追放されなくてぇ……」
(本当にさっきとは別人だな……)
現在、ツナとヘスティアはギルドから教会に戻る道中であった。
オラリオから追放されるかもしれないという重圧から解放されたツナは安堵していた。ヘスティアはツナのあまりの変貌に違和感を覚えていた。
「なぁ綱吉君……君はその……多重人格なのかい……?」
「ち、違います!! そ、そう思われるかもしれませんけど……」
ヘスティアに多重人格ではないかという疑いがかかって全力で否定する。だが自覚があるのかツナは語気が弱くなってしまっていた。
「うーん。やっぱりなんか違和感を感じるなー。もういっそのことさっきの口調で喋ってくれよ」
「え……いや……流石に神様相手に……」
「別に全員が全員、神を様付けしてる訳でもないし敬語じゃないんだぜ。まぁ僕としてはベル君みたい敬愛して欲しいけど、そこを強制つもりもないし。むしろ君の場合、敬語じゃなくて普通に接してくれた方がいい。なんか調子が狂うんだ。だからフランクに話してくれ」
「わ、わかり……わかった。ヘスティア」
神相手に敬語が恐れ多いツナであったが、ヘスティア自身がそれを望んでいるので、敬語を止めてフランクに接することにした。
「それにしても君の世界じゃあ
「いや……そういう訳じゃないんで……ないんだけど……」
「……」
ツナは言いづらそうな顔をしながら答えた。ツナの表情を見てヘスティアは何かあるのだと知って何も言うことはしなかった。
「なぁ綱吉君。ちょっと寄り道していいかい? 話したいことがあるんだ」
「え? いいけど……」
急に寄り道したいと言い出したことにツナは疑問を感じながらも、ヘスティアの要求に応じる。
ツナはヘスティアの案内の元やって来たのは誰もいない噴水広場であった。
2人は噴水の近くにあるベンチに座る。
「それで……話って何?」
「恥を承知で君にお願いしたいことがあるんだ。勿論、嫌なら断ってくれて構わない」
「?」
とても言いにくそうな表情をしているヘスティアを見てツナは疑問符を浮かべる。
「君に冒険者になって欲しいと思ってる」
「え!? 俺が!?」
「うん。君の力でベル君の力になって欲しいんだ」
「どういうこと?」
「ベル君には憧れの人物がいて、ベル君はその人に追い付きたくて頑張ってるんだ。でも僕の【ファミリア】は人員がいない。だからベル君は無茶をすることが多いんだ。僕はそれが心配で心配でたまらないんだ」
「一緒に戦ってくれる人がいないの?」
「厳密に言えば1人じゃないんだ。だがその子は別の【ファミリア】でベル君のサポーター……まぁ後方支援担当だから戦闘員じゃないんだ。だから同じ前線で戦える子がいないんだ。だから君の力を見た時に綱吉君ならベル君の力になってくれるんじゃないかって思ったんだ」
「成る程……」
「君の事情を知りながら、こんなことを頼むのは恥だと思ってるし神として失格だと思ってる!! それでもお願いだ!! どうかベル君の力になってくれないかい!?」
ヘスティアはベンチから立ち上がるとツナに頭を下げてお願いする。
「いいよ」
「へっ……!?」
ヘスティアのお願いに対してツナは即答で了承した。こんなにも簡単に了承してくれると思っていなかったヘスティアは唖然としてしまっていた。
「は、話を聞いてたのかい!?
「そりゃ全部が全部わかってないけど……俺の力が役に立てるならいいと思って……それに……」
「それに?」
「いや……何でもないです……」
ヘスティアに何か言おうとしたツナであったが、言うことを止めた。
(気を遣わせるのは悪いよな……)
『
『ま、まぁ……ウチは貧乏【ファミリア】だし……』
ツナはヘスティアの言葉を思い出していた。ヘスティアの【ファミリア】は貧乏ファミリア、そして冒険者は上手くいけば富を得られることを。
ツナは強いが戦闘を好まないし力によって利益を得る気は全くない。しかしヘスティアは裕福でもないのにも関わらず、見ず知らずの自分を助けてくれた。自分が冒険者になればヘスティアたちの生活が今よりも楽をさせてあげられるかもしれない。それが一番の恩返しになるのではないかと考えたのである。
このことを言えばヘスティアは気にしなくてもいいと言うことは明白。故にツナは本音を隠した。
「とにかく冒険者になってみるよ。どうしても無理だと思ったら流石に止めるけど」
「そ、そうかい? 君がいいなら何も言わないけど……」
何か隠しているのはわかったが、冒険者になるというのは嘘ではないとわかった為、これ以上何も言うことはしなかった。
ツナが冒険者になるということが決めると教会に戻って行く。
「ただいまー。今、帰ったぜベル君ー」
「あ。神様!! 綱吉さん!! どうだったんですか!?」
「バッチリだよ! 綱吉君のオラリオの滞在許可は得られたぜ!」
「よ、よかったぁ……」
ベルの問いに対してヘスティアは満面の笑みでVサインをしながら答えた。ツナがオラリオから追放されるずに済んだと知ってベルは安堵する。
「それと綱吉君は冒険者に興味があるそうだ」
「ええ!? どういうことですか!?」
「言葉通りだぜ。一応、ウラノスが綱吉君を冒険者として登録しておいたんだ。だからベル君。先輩として色々と教えてあげるんだぜ」
「え!? ちょっと待って下さい!! 綱吉さんには帰りを待つ人がいるんですよ!!」
「確かにそうだ。だがこれは綱吉君の意志だ。それを反対する権利は誰にもない」
「で、でも……綱吉さんはそれでいいんですか!?」
「まぁこれも経験っていうか……やってみないとわからないし……」
「そういうことだ。まぁ一度経験してダメなら僕の所でバイトしてもらう予定だ。とりあえず上層に行って様子を見ればいい。それなら大丈夫だろ?」
「わ、わかりました……」
ツナが冒険者になることに反対したベルであったが、ヘスティアの説得によって妥協することにした。
「ごめんな……僕が頼んでおいて……」
「わかってる。心配かけたくなかったんだよね」
「ありがとう……」
自分が冒険者の道を勧めておいて、ツナが自分自身の意志で冒険者になりたいと言ってしまったことをヘスティアは小声で謝罪した。
敢えていつも通り話すことでベルに自分の思いを悟らせないようにしたことを理解しておりヘスティアのことを責めることはなかった。
「さて。これで
ヘスティアがそう言うとツナは上着を脱いで上半身裸になるとソファーにうつ伏せの状態になる。そんなツナの上に両膝をツナの背中に側につくような体勢となる。
「じっとしててくれ。すぐに終わる」
そう言うとヘスティアは針を取り出すと、針を自分の右手の人差し指に軽く刺した。するとヘスティアの人差し指から少量の血が出て、ヘスティアの血はそのままツナの背中へと落ちていく。
するとツナの背中の上に【
「今、【
そう言うとヘスティアはツナの背中に書かれている【
(こ、これは……!?)
そこに書かれた文字を見てヘスティアは驚きのあまり凝視していた。
「ゴホン。書き終わったからもういいよ」
咳払いするとヘスティアはツナの上からどいて、ツナはソファーから起き上がって脱いだ上着を着直す。
「ここに書かれているのはステイタス。君の能力が書かれていると思ってくれ。まぁ君は
ヘスティアはそう言うと用紙に書かれた
沢田綱吉
Lv.1
力:Ⅰ0
耐久:Ⅰ0
器用:Ⅰ0
敏捷:Ⅰ0
魔力:Ⅰ0
《魔法》
【】
《スキル》
「というのが今の君のステイタスだ。【
(やっぱゲームみたい……)
ヘスティアはツナの現在ステイタスの内訳と能力や魔法の発現方法を説明する。ヘスティアの説明を聞いてツナはRPGのレベルアップ方法と同じだと感じていた。
「色々あったがこれで君は僕の【ファミリア】の一員だ。今から歓迎会をやりたいとこだが今日はもう遅い。明日に備えて今日はもう休もうじゃないか」
ツナもベルはすでに疲れてヘトヘトであった為、ヘスティアは消灯し眠ることを提案する。
ヘスティアの言葉を聞いてツナとベルはソファーに横にて就寝の準備をし、ヘスティアは別室にある自分の部屋にて就寝の準備をするのだった。
ヘスティアの部屋。
「はぁ……まさかなぁ……」
ヘスティアはベッドに横になりながらツナの背中に書かれていたステイタスのことを思い出していた。
沢田綱吉
Lv.1
力:Ⅰ0
耐久:Ⅰ0
器用:Ⅰ0
敏捷:Ⅰ0
魔力:Ⅰ0
《魔法》
【】
《スキル》
【
・早熟する
・戦う度に強くなる
・相手が強ければ強いほど効果向上
「
実はヘスティア。ツナにスキルが解放されていることを知りながら敢えて用紙に書かず黙っていたのである。
ツナの持っているスキルは強過ぎる上に希少価値の高いスキル。このスキルの存在が知られればツナの力を利用しようとする者が現れる可能性が十二分にあったのでヘスティアは秘密にしたのである。
(それに
4/17 加筆及び一部、内容を変更しました。
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