ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)71 第3段階(サード・ステップ)

 

 

 

 

 

 

 時は過ぎて修行2日目。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「よくやったなベル。修行の第2段階クリアだ」

 

 ベルはついに崖を登り切ることに成功した。リボーンは崖を登り切り、うつ伏せの状態で倒れているベルに対して労いの言葉を述べた。

 

「よし、次は修行の第3段階だ。ここからさらに修行は厳しくなるぞ」

 

(こ、今度は何をさせられるんだろう……)

 

 まだ修行は2つしかやっていないがそれでも過酷過ぎた為、ベルの体は肉体的にも精神力にもかなり疲弊している。そこからさらに過酷な修行を始めると知って、果たして体が持つのか不安でしかなかった。

 

「今まで以上に気を引き締めろよベル。次の修行は気を抜くとマジで死ぬからな」

 

「死……!?」

 

 リボーンの脅しにベルは顔を真っ青にし、全身に悪寒が走った。

 

「第3段階は俺とのスパーリングだ」

 

「スパーリングって……リボーンさんと戦うってことですか?」

 

「その通りだぞ。ここから先の修行は俺が徹底的にお前を鍛えてやる。あらゆる環境でな」

 

 リボーンは嬉しそうな笑みを浮かべながら、腕をボキボキと鳴らす。

 

「この修行では死ぬ気弾は使わねぇ。自分の実力だけで俺と戦え」

 

 そう言うとリボーンはずっと預かっていたナイフと服をベルの目の前に落とした。

 

「そいつに着替えてとっとと構えろ」

 

「は、はい……」

 

 リボーンに言われた通り服に着替え、右手にヘスティア・ナイフ、左手に牛若丸を持って戦闘体勢に入った。

 

「いつでもいいぞ。どこからでもかかってこい」

 

(す、隙がない……)

 

 リボーンは特に戦闘の構えを取っていない。にも関わらず一切の隙のなさをベルは感じ取る。そしてどうやって攻めようかと思考を巡らせるも、いい案は浮かばない。

 

「来ねぇならこっちから行くぞ」

 

「え……グフッ!?」

 

 するとリボーンの姿が一瞬にして消え、ベルの腹部に右ストレートが叩き込まれた。ベルは膝から崩れ落ちて両手で腹部を押さえる。

 

「相手の隙がないの見切ってどう攻めるか考えるかまではいいが、隙を伺い過ぎるあまりお前自身が隙だらけだ」

 

(お、重い……つ、強すぎる……!?)

 

 恩恵(ファルナ)を受けていないリボーンがまさかここまでの力を持つとは微塵も思ってもいなかったベルは衝撃を隠せないでいた。

 

「それと何か勘違いしてねぇか? 俺がお前の鎧を外させたのは死ぬ気弾のせいで壊れるからじゃねぇぞ。俺の攻撃で簡単に破壊できるからだ」

 

 リボーンがベルに鎧を外させた本当の理由を話すが、当のベルはリボーンの話を聞くどころではなく、なんとか立ち上がるのがやっとであった。

 

「言い忘れたが俺はツナとスパーリングをやって負けたことはねぇぞ。1度もな」

 

「なっ……!?」

 

恩恵(ファルナ)をもらった今のツナがどんだけ強くなったかまでは知らねぇが、それでも俺は恩恵(ファルナ)無しであいつに勝つ自信がある」

 

 確たる証拠はどこにもない。ただリボーンは自身の力が今のツナよりも劣っていないことを確信していた。

 

(ま。あれ(・・)を使えば話は別だがな)

 

 そう言うリボーンの脳裏には1年前の虹の代理戦争でバミューダと戦った時のツナの姿が浮かんでいた。

 

「もう1度言うぞ。死ぬ気でこい。じゃねぇとお前は戦闘遊戯(ウォーゲーム)が始まる前に死ぬぞ」

 

「っっ!?」

 

 リボーンがそう言うとベルに向かって殺気を放った。リボーンの殺気を受けたベルは全身に針で刺されるような痛みが走る。

 

(怖い!! あの黒いゴライアス(・・・・・・・)が可愛く見える程に……!?)

 

 ベルの脳裏には17階層に階層主として君臨するゴライアスと姿が異なるゴライアスの姿が浮かんでいた。

 そしてベルは痛みに耐えながらも、なんとか戦闘体勢に入った。

 

(隙が作れないなら作るしかない!! 殺すつもりでやらないとこっちが殺られる!!)

 

 リボーンの殺気が気圧されたベルだが、臆せば死ぬということを理解した。故に隙を伺うことを止めて、隙を作る為にリボーンの周囲を高速で駆けていく。あれから【ランクアップ】したこともあり、ベルのスピードは格段に速くなっていた。

 

(思っていた以上に速ぇな)

 

 ベルのスピードと隙を作り出そうとする為に自分の呼吸をズラそうとするベルの姿をその場から1歩も動くことはなく、眼球の動きだけでベルを追っていた。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

 リボーンの横からリボーンの足元へ向かって、雷の形の炎が放たれた。リボーンはその場から飛び引いてベルの炎を躱した。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

 ベルは宙にいるリボーンに向かって再び【ファイアボルト】を放った。リボーンは体を回転させ【ファイアボルト】を躱した。

 

(いねぇ……)

 

 リボーンがベルが魔法を放った地点の方を見たが、すでにベルの姿はどこにもなかった。

 

「はぁ!!」

 

 ベルは空中でリボーンが魔法を躱している間に背後に移動していた。そこから地面を蹴って宙にいるリボーンに向かっていく。

 

(だがまだまだだな)

 

 ベルが隙を作る為色々と画策している事をリボーンは理解したが、それでもリボーンはベルの気配を背後に感じており、ベルが虚を完全に突くことは叶わなかった。リボーンはさらに回転しベルに向かって回し蹴りを放った。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

「ッ!?」

 

 ベルはリボーンに接近する瞬間、地面に向かって【ファイアボルト】を撃ってさらに空中に移動する。これにはリボーンも予想外だったのか目を見開いた。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

 そこからさらに空中に向かって【ファイアボルト】を放ち、ベルは急降下。そこから空中にいるリボーンに向かって牛若丸による刺突を繰り出した。

 

「悪くねぇ」

 

(両足で!?)

 

 リボーンは空中で逆さまの状態になると、自分に迫る牛若丸に恐れることなくリボーンは両足による真剣白刃取りで受け止めた。

 

「残念だったな」

 

「くっ!!」

 

 自分の作戦が失敗し動揺したベルであったが、すぐにヘスティア・ナイフを薙ぎ払った。

 

「判断が遅かったな」

 

 ベルが動揺した一瞬の隙にリボーンは牛若丸から両足を離すと、牛若丸の先端を蹴って地面に着地するという離れ業を見せると同時にヘスティア・ナイフによる左薙を躱した。

 

「お返しだぞ」

 

「ガハッ!?」

 

 リボーンは地面を蹴り再び空中へと飛ぶとベルの顎に真空飛び膝蹴りを喰らわせた。魔法による方向転換をする間もなく、ベルの首は強制的に反らされた。

 

「まだ終わりじゃねぇぞ」

 

「グホッ!?」

 

 そこからリボーンはベルの顔面に右ストレートを放った。右ストレートを喰らったベルは殴り飛ばされ、そのまま修行で登っていた崖から地上に落下していく。

 

「落下してようが敵から目を反らすんじゃねぇぞ」

 

「ゴフッ……!?」

 

 リボーンは途中まで崖を走って降りると、崖を蹴って足場代わりにし空中から落下しているベルの腹部に向かって蹴りを喰らわせた。ベルは吐血しそのまま地面へと叩きつけられた。

 

「……」

 

 【ランクアップ】したとはいえども空中から地上に叩きつけられた事でベルは意識を失った。

 

「筋は悪くねぇがまだまだだな。って聞こえちゃいねぇか」

 

 地上に降り立ったリボーンはそう言うが、ベルが気絶していることに気づいて倒れているベルの元へと向かう。

 

「とっとと起きやがれベル」

 

「グホッ!!」

 

 ここで治療するのかと思いきや、リボーンは気絶してるベルに対して容赦なく蹴りを放った。リボーンの蹴りによってベルは強制的に目覚めさせられた。

 

「寝てる暇なんかねぇぞ。お前は対人戦の戦闘経験が圧倒的に足りねぇんだからな。さっさと立ちやがれ」

 

(お、鬼過ぎる……)

 

 こうして地獄の方がマシと思えるリボーンの修行は続いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 修行3日目

 

「おおおおおおおおお!!」

 

 現在、ベルは死ぬ気弾を撃たれて死ぬ気になったベルはカイオス砂漠という砂漠を死ぬ気で走っていた。ベルの走りによって砂嵐が発生していく。

 なぜ砂漠を走っているかというと、砂漠は日中は暑く、夜は寒い。故に修行に向いているとリボーンが判断したからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてさらに場所は変わる。

 

(あれから5年……国民に笑顔が戻った)

 

 ここは砂漠にある国。名をシャルザード王国。その城下町を褐色の肌の人間(ヒューマン)と褐色肌の筋骨隆々の男たちが歩いていた。

 

(フレイヤ。あなたは今どうしている?)

 

 この人間(ヒューマン)の名はアラム・ラザ・シャルザード。シャルザードの王国の王である。

 しかしそれは表向きの話であり、本当の名はアリィ。アリィは男だと言われているが実際は女性である。先代の王は子宝に恵まれず、アリィは王子として育てられた。

 5年前、シャルザード王国はワルサ王国という国が引き入れた【ラシャプ・ファミリア】の進行によって国は陥落し、王は処刑された。その戦いでアリィは奴隷商人に捕らえられた。だがアリィは自身に興味に抱いたフレイヤによって奴隷から解放され、【フレイヤ・ファミリア】の力を借りて【ラシャプ・ファミリア】を撃退することに成功。そこからアリィは王位に即き、目まぐるしい早さでシャルザード王国を復興させたのである。

 アリィは現在、城下町に自ら赴いてシャルザード王国の視察をしていた。

 

「どうかされましたかアラム王?」

 

「いや。あれだけ死にそうな顔をしていた国民に笑顔が戻って嬉しくてな」

 

「それもこれもアラム王のお陰です。あなたがいたからこそシャルザード王国は復興できた」

 

「私だけの力ではどうすることはできなかったさ。私を信じてくれた国民とボフマンたちファズール商会のお陰だ」

 

「もったいなきお言葉。感謝いたします」

 

 ボフマンと呼ばれた男はアリィの言葉を聞いて感謝の言葉を述べた。

 彼の名はボフマン・ファズール。元々は欲にまみれた卑しい奴隷商人であった。しかしとある出来事によってボフマンは筋肉が全てという境地に辿りついた。その後は奴隷商人から足を洗い、アリィを護る盾となりシャルザード王国の発展に尽力している。

 

「きゃぁああああああ!!」

 

「へ、変態だ!! 変態が猛スピードでやってくるぞ!!」

 

 突如、国民の悲鳴が聞こえる。そして同時に凄まじい轟音と共にパンツ一丁となったベルの姿がアリィたちの視界に映る。

 

「なななな、何だあれは!?」

 

「お前たちはアラム王を護れ!! 私は賊を止める!!」

 

「「はっ!!」」

 

 突如、パンツ一丁の男が現れて顔を真っ赤にしながら動揺する。だがボフマンは部下たちにアラム王を護るように指示し、死ぬ気となったベルに対し戦闘態勢を取る。

 

「何者かは知らぬがこのシャルザード王国での狼藉はこのボフマンが許さん!! 返り討ちにしてくれる!!」

 

「邪魔だ!!」

 

「ゴハッ!?」

 

 勇敢にも死ぬ気になったベルに挑むボフマンであったが、ベルの放ったアッパーカットによって上空に殴り飛ばされた。ベルはそのまま勢いを止めることなく突き進んで行った。

 一方で空中に殴り飛ばされたボフマンは、地面へと落下した。

 

「ボフマン!!」

 

「「ボフマン様!!」」

 

 落下したボフマンの元にアリィとボフマンの部下がボフマンの元へと駆け寄る。

 

「申し訳ございませんアラム王。あなたを護る盾でありながらこのような無様な姿を晒してしまい……」

 

「そんなことはいい!! それよりお前の方が!!」

 

 ボフマンは恩恵(ファルナ)を受けている上に【ランクアップ】も果たしている。故にベルの一撃を喰らっても意識を保っていられたのである。

 

「いえ私は問題ありません。ですが不肖このボフマン。さらなる高みを目指す為に。アラム王とこのシャルザード王国を護る為にもっと己を鍛え上げ、さらなる高みを目指さねばならないと気づかされました。そしてあの男を超える戦士となってみせます」

 

「そ、そうか……」

 

 負けてもなお、落ち込むどころかさらなる高みを目指そうという姿勢を見せるボフマンにアリィは若干、引いてしまっていた。

 

(それにしてもあれは一体、何だったんだ……?)

 

 

 




という訳でアリィとボフマンの登場でした。この2人はベルがオラリオに来る5年前の話、ファミリアクロニクルエピソードフレイヤに収録されています。興味がある方は見て下さい。



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