ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
ヴェルフと命、二人との修行を終えたツナはオラリオへと戻る。
「やり過ぎちゃったかな……」
街中を歩きながら今日の修行を振り返るツナ。ヴェルフと命の覚悟に答える為、ツナは全力ではないもののできる限り本気で戦った。一応晴の炎の力で怪我の治療はしたが、それでも2人のことが心配であった。
「浮かない顔をしているね」
「え?」
ツナが俯きながら歩いていると、前方から誰かがツナの名を呼んだ。
「フィン?」
視線を上げるとツナの前方にフィンがいた。
「やぁ。
「うん。だから修行をしてるよ」
「その口ぶりからするに、君は表立って戦う気はないみたいだね」
フィンはツナがいれば修行しなくとも1人で【アポロン・ファミリア】に勝てることを理解している。彼の言葉からツナが表立って戦う気がないことを察した。
「作戦は考えているのかい?」
「うん。正直、一か八かの作戦だけど」
「良かったら聞かせてくれないかい?」
「え?」
「僕も君たちには勝って欲しいと思っていてね。なんせミノタウロスと戦うベル・クラネルと精霊を倒した君の技を見てから僕は君たちのファンになってしまったからね。だから協力させて欲しいんだ」
「え!? いいの!?」
「参加することは禁止されても、協力することは禁止されていないからね。それとも僕じゃ不満かな?」
「そ、そんなことないよ!!」
遠征の際、フィンの指揮を間近で見ていたツナは彼の指揮の凄さを身を持って知っている。フィンが相談に乗ってくれるのは願ってもない話であった。
ツナとフィンは
「成程ね……確かに一か八かの賭けだが、成功すれば戦況を変えることができそうだ」
フィンはツナの作戦を聞いても動揺することなく、冷静を保っていた。
「この作戦を考えたのは君かい?」
「作戦を考えたのは俺だけど、それを成功させる為の方法はリリが考えたんだ」
「彼女か……」
「それで、どうかなこの作戦?」
「いや、作戦に関しては僕から言えることは何もないよ。あるとすれば後は演出かな?」
「演出?」
「ああ。時がきたらこう言うんだ」
そう言うとフィンはツナにある言葉を伝えた。その言葉を聞いて、ツナは少し照れる。
「そ、それ本当に言うの……?」
「どうせ一か八かの作戦なんだ。やるだけの価値はあると僕は思うよ」
「というか俺がやるの?」
「君が一番適任さ。それに深層の修羅場に比べればこれくらいどうって事ないだろ?」
「それはそうだけど……」
「やるやらないは僕が決めることじゃない。僕はただアドバイスをしたに過ぎない。後は君次第さ」
フィンに相談に乗って貰った後、ツナは喫茶店を後にする。
「あ。ツナー」
「ルノア」
豊穣の女主人が見えてくると店の入り口にいたルノアが手を振りながら呼んでくる。
「丁度良かった。リューがあんたに用があるって」
「リューが?」
「ちょっと呼んで来るから待ってて」
「う、うん……」
そう言うとルノアはリューを呼びに店内へと入って行く。
「ったく!! 本当に世話が焼けるわねあんたは!!」
「は、離しなさいルノア!!」
「あんたが言い出したことでしょうが!! 逃げんじゃないわよ!!」
(な、何これ……!?)
ルノアが無理やりリューの服を引っ張り、店の入り口に引きずり出そうとする。リューは両足に力を入れて引っ張られまいとするが、ルノアのパワーに勝つことはできず、リューは抵抗むなしく店の前に連れて来られた。
この奇妙な光景にツナはどういう反応をすればいいのかわからず、困惑していた。
「ほら!! とっとと行った!!」
するとルノアはリューの背中を両手で突き飛ばし、リューはそのままツナの前に押し出される。
「わ、私に近付くな!!」
「グフッ!?」
ツナの前に突き出されたリューはツナを突き飛ばす。いきなり突き飛ばされたツナはおもいっきり頭を強打する。
「あんたは何やってんの!!」
「ルノアが突き飛ばしたからです!! ふ、不可効力だ!!」
以前と同じくツナに攻撃したリューにルノアはツッコミを入れる。リューは顔を赤らめ、自身が悪くないことを主張する。
「いっってぇ!!」
(本当にこの子はどうなってんのよ……)
そしてLv.4の攻撃を受けてもなお大事に至らないツナの頑丈さにルノアは驚きを隠せずにいた。
「も、もしかして用って……これのこと……!?」
「だ、断じて違う!! わ、私はただ……その……!?」
リューは顔を赤くしながら太ももをすり合わせ、モジモジし始めた。
「じ、実はあなたたちの
「え!? リューが!?」
「は、はい……!!」
「で、でも……リューは都市外の冒険者じゃないよね?」
「アストレア様は現在、都市外にいらっしゃるので違反にはなりません……」
「あ、そっか。でも正体がバレちゃうんじゃ……」
「そこは神ヘルメスがバレないようにしてくれるそうです……」
「ヘルメス様が?」
「何でも今回の
「本当!?」
Lv.4であるリューが協力してくれると知り、ツナは作戦の成功率が上がることに喜ぶ。
「よ、用はそれだけです……で、では!!」
「ではじゃないわよ!!」
一刻も早く店の中に戻ろうとしたリューであったが、ルノアに首根っこを掴まれ動きを封じられた。
「ツナに渡したい物があるんでしょうが!!」
「渡したい物?」
「ほら。リュー」
ルノアに急かされたリューは右ポケットに手を入れる。そしてポケットの中から何かを取り出した。
「こ、これって……?」
「お、御守りです……」
リューが出したのは御守りであった。しかし御守りというにはあまりにもボロボロであり、所々から綿が飛び出している。
「あ、あなたには恩がありますから……!!
「もしかして、俺に?」
「は、はい……!!」
リューはツナから視線を反らして、顔を更に真っ赤にしながら御守りを見せる。
「リューってば不器用でさ。これでも今まで作った中でもまともな方なんだよ」
「ル、ルノア!! 余計なことを言わないで下さい!!」
「だから受け取ってあげて?
「ル、ルノアァァ……!!」
ウィンクしながらそう言うルノアにリューは恥ずかしさから情けない声を上げる。
「本当にもらっていいの?」
「も、もらってくれるんですか……!?」
「うん。特に遠慮する必要もないし」
ツナは右手をリューに伸ばし、それに対しリューは御守りを渡す為右手を差し出す。
「「あっ」」
するとリューの御守りの結び目がほどけ、御守りが落ちる。2人は慌てて地面に落ちる前に御守りをキャッチしようと手を伸ばした。
(や、やばい……!!)
ルノアの視界には映っていた。地面に落ちる前にツナが御守りをキャッチしたが、それと同時にツナの手がリューの手に触れたところが。
エルフは本来認めた相手以外の者との接触を許さない種族。当然そのことを知っているルノアはまたリューがツナを殴り飛ばす光景がイメージとして見えた。
そのはずだった。
「「え……!?」」
リューの手は確かにツナの手に触れた。にも関わらず、リューは拒絶反応を示さなかった。そのことに気付いたツナとリューは驚きを隠せず、その場で固まってしまった。
「あ、ごめん!!」
「い、いえ!!」
驚きのあまり互いの手が触れ合ったままになっていることに気づいた2人は、慌てて手を離す。
「な、なんか大丈夫な感じ……?」
「そ、そのようですね……」
「そ、そっか……と、とにかく御守りありがとう。また
気まずい雰囲気になり、ツナは御守りのお礼だけ言って走り去って行った。
(まさか沢田さんが大丈夫な人だったとは……)
リューはツナに触れた手を見つめながら、ツナが触れても問題ない人物であったことを知った。
「良かったじゃんリュー。触れられるなら問題なく付き合えるね」
「なっ!?」
ルノアがニヤニヤしながら耳元で囁くと、リューは顔と耳を真っ赤にしながら動揺する。
(はっ!!)
動揺しているリューだったが自身の背後から視線を感じ、我に返った。リューが恐る恐る振り返るとそこにはニヤニヤしているアーニャとクロエ、ニコニコしているシルの姿があった。
「あのリューがねぇ~」
「これは面白いことになったのニャ~」
(さ、最悪だ……!!)
ニヤニヤしながら言うクロエとアーニャを見てリューは最悪の気分になった。
「私は嬉しいよ。リューも運命の人に巡り会えたんだから」
「ち、違うシル!! 私は決して彼のことを……!!」
「結婚式には呼んでね」
「誤解だぁああああああああああ!!」
やっぱりリューが一番好きです。そんな思いで書いた74話でした。
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