ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
カサンドラを気絶させ
「「はぁ……はぁ……」」
一方、渡り廊下ではヴェルフとダフネが戦っていた。2人の周囲には【アポロン・ファミリア】の団員たちが倒れており、立っているのはダフネとヴェルフだけだった。
お互いにLv.2ということもあり実力は拮抗し、お互い肩で息をしていた。
「やるな……」
「あんたこそ……」
敵同士でありながらヴェルフとダフネはお互いに相手の実力を認めていた。そして互いに隙を伺っていた。
「見つけたわよ!! あんたがウチの格好した偽物ね!! もう許さないんだから!!」
「は……!?」
ダフネの背後から自分の声が聞こえ、慌てて振り返った。するとダフネの視界に入ったのは自分と全く同じ姿と声をした者。ダフネは衝撃のあまり思考が停止してしまう。
「隙だらけだぜ」
「しまっ……がっ!?」
だがその一瞬の隙が仇となり、ヴェルフは背後からダフネに大剣を振り下ろす。大剣の表面がダフネの頭部に直撃しダフネは気絶する。
「勝ったには勝ったが……なんだかな……」
ヴェルフは目の前にいるダフネが幻覚で変身したツナであることは理解していた。
勝たなければいけない戦いとはいえ、ダフネの注意がツナに向いている間に不意打ちをするのはヴェルフに取って、あまり気持ちの良いものではなかった。
「
そして指揮官であるダフネが落ちたということは、最良の選択をできる存在がいなくなるということ。
これらが意味することは、必然的に敵の戦力の低下は避けられないということである。
次の瞬間、凄まじい轟音と地響きが鳴り響き、天井から砂利がパラパラと落ちてくる。
「どうやらベルが奇襲に成功したみたいだな」
「いよいよ敵の団長と戦うのか」
「ぼやぼやしてる暇はない。俺たちも例の作戦を実行に移すぞ」
「上手くいくといいがな……なんたって俺たちがどうするかじゃなくて、
「悪いな。こんな一か八かの作戦に付き合わせて」
「謝んなよ。聞いた時こそ驚いたが、俺だってやるって決めたんだ。最後まで付き合うぜ」
「ありがとう。準備の方を頼んだ」
「任せとけ」
時はほんの少し前に戻る。ヒュアキントスのいる玉座へと向かったベルは。
「ふぅ……」
階段の途中で止まり脱力していた。そして右手が白く光輝き、鐘のような音が鳴り響いている。
これはミノタウロスとの戦いの中で、英雄になりたいという願望が芽生えたことで発現したベルのスキル、【
発動条件は英雄を思い浮かべること。想いの丈が一定以上になると【
どんな窮地をも覆す可能性を持ち、不可能を可能にする逆転の力。馬鹿みたいに英雄に憧れる子供が手に入れた、英雄になるためのスキルであり、圧倒的な力の不条理すらも打ち砕くその一撃を、ヘスティアは英雄の一撃と称している。
「1分……」
【
「【ファイアボルト】」
ベルが呟くと雷のような形状をした炎が天井に向かって放たれた。魔法は天井を次々に貫き、そのまま塔の天辺まで貫いた。
玉座の間
「い、一体何が……!?」
玉座にて足を組み、ふんぞり返っていたヒュアキントスだったが、突如として床が破壊され大爆発が起こる。気づいた時にはヒュアキントスは瓦礫に埋もれていた。
「ぜ、全滅だと……!?」
そして瓦礫から這い出たヒュアキントスは武器を構えると同時に周囲を見渡す。しかし玉座の間にいた団員たちの姿が誰1人として見当たらず、自分以外の団員が全滅したということを理解さぜるを得なかった。
突如として発生した大爆発によって大量の煙が発生する中、ヒュアキントスは前方に気配を感じた。
「き、貴様は……!?」
煙の中で現れたのは味方ではなくベルであった。一体どうやってこのような大爆発を発生させたのかまではわからないが、ヒュアキントスはこの事態がベルの仕業だということをすぐに察し、即座に波のようにうねった形の剣を構える。
この剣は
「まさかこの私が相手にすることになるとは……!!」
こちらの団員数は100名以上。対してベルたちは6人。戦力差は圧倒的。本来なら自分が出る幕などないと思っていた。しかし格下と思っていた相手にここまで攻めこまれ、プライドをズタズタにされたヒュアキントスはベルを殺さんとする勢いで睨みつけ、
「勝負だ」
ベルの魔法によって生じた煙が晴れる。そしてベルはヘスティアナイフとヴェルフから新たにもらった牛若丸弐式を構える。
因縁であるヒュアキントスとの戦いが今、始まろうとしていた。
一方、命は。
「はぁ……はぁ……」
「しぶとい奴め……」
「だが奴はもう手負いだ!!」
「たたみかけろ!!」
重圧魔法によって敵を足止めをしていた命だったが、魔法を維持する気力が無くなり、敵を抑えきることができなくなりつつあった。やむを得ず命は刀で応戦することにしたが相手の人数が多すぎる為、命の体力はピークに達していた。
「待ちなさい!!」
「ダフネ!?」
絶対絶命の命であったが、とある人物がそれに制止をかけた。まさか味方による制止だとは思ってもみなかった為、団員たちは動揺を隠せない。
「何のつもりだ!? なぜ止める!!」
「緊急事態よ!! 敵のエルフにウチらの団員50人がやられそうになってる!! 今すぐ向かいなさい!!」
「な、何だと!? そんな馬鹿な……!?」
「迷ってる時間なんてないわよ!! すでにベル・クラネルがヒュアキントスの元に辿り着いてる!! このままあのエルフに合流されればウチらが負けるわよ!!」
「な、何!?」
「な、ならヒュアキントスの加勢に行くべきだろ!!」
【アポロン・ファミリア】の敗北条件は団長であるヒュアキントスが倒されること。ならヒュアキントスを加勢し、即座にベルを倒すことが先決だと団員達は考えた。
「相手はLv.2よ!! 単純に考えてLv.3のヒュアキントスがやられる訳がないでしょ!! 第一ここで加勢したら、後でヒュアキントスに何をされるかわかったもんじゃないわ!!」
「っ!?」
ヒュアキントスよりもLvが低い自分たちが彼に加勢するということは、ヒュアキントスは自分よりLvの低いベル1人相手に手も足も出ないと思われていると感じるだろう。そうなればヒュアキントスのプライドを刺激することになる。
ヒュアキントスはプライドが非常に高く、1度でも自分やアポロンに対して無礼を働くようなら例え仲間であろうとも容赦しないということをよく知っている団員たちはダフネの言い分に反論出来ない。
「こいつはウチがやるから早く行って!! 手遅れになる前に!! こいつを片付けたらウチも行くから!!」
「わ、わかった!!」
かと言ってここであのエルフの突破を許してもヒュアキントスによる制裁が待っているのは目に見えている。団員たちは慌てて指示通りに動きその場を離れる。 団員が完全にいなくなった後、ダフネは命の元へ駆け寄る。
「大丈夫か? 命?」
「た、助かりました、沢田殿……」
命は目の前にいるダフネが本人でなく幻覚で変装しているツナだと気づき、ツナにお礼を言う。
「これを使え、何本かくすねておいた」
「助かります……」
ツナはあらかじめ城から奪っておいた
「綱吉様!! 命様!!」
するとルアンの姿に変身したリリが2人の元までやって来た。
「戦況は!?」
「ベルが団長の元へに辿り着いた。敵の
「いよいよですか……」
「行きましょう」
読んだ人もいるでしょうがカサンドラの予知夢の内容一部変えさせてもらいました。真に申し訳ございませんでした。
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