ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
ツナ、命、リリの三人は作戦の準備をしているヴェルフと合流する為、城の内部へと向かう。
その一方で【アポロン・ファミリア】の団員50名と戦っているリューの方では。
「たった1人になんてザマだ……」
「これではアポロン様に示しがつかん……」
すでにかなりの人数がリューによって倒されて、団員たちは自分たちの力不足を感じざるを得なかった。
(流石にきつい……これ以上は限界だ……)
多少疲弊しているが傷の1つも負っておらず、まだ余力はある。にも関わらずリューはどういう訳か追い詰められている様子であった。
その時だった
「いたぞ!!」
「ちょっと待て!! おかしいぞ!!」
ダフネの命令でこの場にやって来た団員たちはすぐに違和感を感じる。確かにかなりの被害が出てはいるものの、ダフネの言っていたこととは全く違う光景が目の前に広がっていたからだ。
「どういうことだ!? お前ら全滅しかけたんじゃないのか!?」
「そういうお前らこそ!! 何でここに!?」
「ダフネに言われて来たんだ!! お前らがそこのエルフのせいで全滅しかけたって!! それでベル・クラネルがヒュアキントスのいる玉座に辿り着いてるから、そのエルフとの合流を防ぐ為すぐに向かえってな!!」
「何だと!? 何でそっちに向かわないんだ!?」
「いや待て!! それよりも何で俺たちが全滅しかけたという話になっている!!」
「まさかダフネが裏切ったのか!?」
(情報が錯綜している……どうやら相手の指揮官を倒し、沢田さんがこの戦場の主導権を手に入れたようですね)
情報が錯綜し困惑する団長たちを見て、リューは今この戦場の状況がどうなっているのかを即座に理解し、地を蹴って城壁の上まで飛ぶ。そしてそこから城の中へと向かって行く。
「し、しまった!!」
「追えええーーー!!」
ツナの行動により、ほとんどの戦力が現在外にいる。当然それにより城の中の戦力がほぼいない。もしリュー程の強さを持つ者がヒュアキントスの元に辿り着いた場合、ほぼ間違いなくこの勝負に負けるだろう。団員たちはリューを追う為、城の入り口に慌てて向かい始める。
「し、視界が!?」
「な、何でこんな時に!?」
城の入り口が見えると同時に煙幕が発生し、団員たちの視界が遮られる。突然の煙幕に団員たちは困惑するが何もすることができず、腕で目元を覆うので精一杯だった。
しかし少しすると土煙が晴れ、再び視界がクリアになる。
「ア、アポロン様ぁ!?」
「なぜアポロン様がここにいるんだ!?」
視界が晴れると同時に団員たちが驚愕の光景がその視界に入る。そこにはツナたち【ヘスティア・ファミリア】と縄で縛られ動けなくさせられてるダフネとカサンドラ。そして口元も縄で縛られ喋れなくなり、涙目になっている
「う、嘘でしょ……」
「あ、ありえない……」
アポロンの両隣にいるダフネとカサンドラも、彼がここにいることに衝撃を隠せなかった。
「動くな、こいつらに危害を加えられたくなかったらな」
「き、貴様らぁあああああああ!!」
「よくもアポロン様を!!」
「この外道が!!」
ツナがそう言うとアポロンの首元に手刀を突きつける。それを見た団員たちは瞬く間に激怒し、ツナたちに罵声を浴びせた。
「外道? 笑わせるな。先に手を出したのは俺たちとはいえ、喧嘩に仕掛けたのはそっちだ。それに戦いを仕掛けるということは当然、憎しみも生まれる。今アポロンがこうなっているのはアポロンを始めとするお前たちがベルを手に入れる為に強引な手を使ったからだ。それにお前たちは100人以上に対し、俺たちは6人。戦力差は歴然だ。普通にやっても絶対に勝てない。ならばたとえ外道と呼ばれようと、俺は仲間を護る為に戦う。神を
「ゆ、許さんぞ!! 殺してやる!!」
「よ、よせ!!」
怒りが頂点に達したことで、頭に血が昇り冷静さを失った団員がツナを殺しにかかろうとするが、他の団員が慌てて止めに入る。
「それにしても滑稽だったな。まんまと俺たちの策にハマり、踊らせれるお前たちを見るのはな」
「「「「「「っ!?」」」」」」
そう言うツナの体が藍色の炎に包まれる。炎が晴れると、ツナはダフネに変身していた。それを見て団員たちは驚愕する。
「俺が幻覚で変身して潜入してたのにも関わらず、全く誰も気づかないんだからな」
再びツナの体が霧の炎に包まれ、元の姿へと戻る。
ツナの変身を見せられた団員たちはその時理解した。命の元にいた団員たちをリューのいる戦場に向かわせたのはダフネではなく、ツナであるということを。
「馬鹿め!! 調子に乗って全部喋りおって!! そのアポロン様は幻覚で作った偽物だろ!!」
団員の1人が目の前にいるアポロンがツナが幻覚で作った偽物だと気づき、薄笑いを浮かべる。
「そ、そうか!!」
「つまりタダのハッタリか!!」
「情けない奴め!! どうやら苦肉の策だったようだな!!」
目の前にいるアポロンが幻覚だとわかり、団員たちは形成逆転を確信しうすら笑いを浮かべる。
「……こんなのがオラリオの中堅【ファミリア】とはな。どうやら何もわかっていないようだな。幻覚を使えることをバラせばこちらが不利になることぐらい、子供にだってわかる。何故わざわざ幻覚を使えることを喋ったと思う? それはこいつが本物のアポロンだからだ」
「負け惜しみを。そんなのに騙されるとでも?」
「本当に何もわかっていないようだな。流石は自分より弱い者にしか相手にしない、小心者で器の小さいアポロンの眷属なだけのことはある。主神と同じで、めでたい頭の持ち主のばかりのようだ」
「貴様!! この状況でアポロン様を愚弄するか!! 追い詰められているのはお前たちの方なんだぞ!!」
「ならお前たちにわかるように説明してやる」
この状況でもなお強気の態度を崩さないツナに対して、団員は怒鳴り散らす。そんな団員を見てツナは呆れた表情を浮かべた。
「お前たちは一体いつからここにいる?」
「「「「「っ!?」」」」」
ツナが問いかけると、先程まで喚いていた団員たち全員が凍り付いたかのように動かなくなる。
「お前たちがここに来たのは
「き、貴様ぁああああああ!!」
ツナの言葉によって目の前にいるアポロンが幻覚ではなく本物だと確信し、団員達は再び激昂する。
「何をそんなに動揺しているんだ? 俺の言い分には証拠は何もない、まさか俺の言葉を信じるのか?」
そしてここでさらにツナは団員たちに追い討ちをかける。だが団員たちは怒りに耐え、殺意を込めた視線でツナを睨みつけることしかできなかった。
何故なら仮に目の前にいるアポロンが本物であるにも関わらず、彼に攻撃し天界送りにしてしまった場合
「おかしいな? アポロンが捕まったというのに怒っているのは一部の奴らだけで、他の奴らは気にしてないように見えるが……もしかして、アポロンがいなくなることを望んでいるのか?」
ツナの言葉を聞いた途端、怒り狂っていた者たちを除く団員全員が何も反論することなく俯き、暗い表情を浮かべる。
「どうやら事実のようだな……お前たちがアポロンによって無理やり【アポロン・ファミリア】に入団させられたという話は」
ツナはこの
それによってわかったのは、アポロンは今回のみならず過去にも
「ならほとんどの団員は【アポロン・ファミリア】にいたくないと思ってる訳だな」
(ま、まさか……!?)
ツナはこの発言を聞きダフネは全てを察する。アポロンを盾にし自分たちの動きを封じることが目的ではないということに。
「俺たちは【アポロン・ファミリア】に勝ちたい。そしてお前たちは【アポロン・ファミリア】にいたくないと思っている。俺たちの利害は一致してると思わないか?」
ツナのその言葉に、暗い表情を浮かべたいた団員たちが目を見開いた。
「今回の
「き、貴様!! 黙っていれば抜け抜けと!!」
「アポロン様に寵愛を受けること以上の幸せなどあろうはずがない!!」
「貴様の価値観を押し付けるな!!」
「価値観を押し付けているのはお前たちの方だ。それと言葉の使い方には気をつけろ、こいつがどうなっていいのか?」
手刀をアポロンに近づける。その首元に指先が触れると、再びアポロン派の団員たちはツナを睨みつけながら黙る。
ツナの言い分に反アポロン派の団員たちは心が揺れ動きつつあったが、ヒュアキントスを相手にすることが怖いのか、勇気を振り絞れずにいた。
(やはり、これを言うしかないのか……)
ヒュアキントスを恐れていることを察したツナは息を吐き、覚悟を決める。
「お前たちに勇気を問おう!!」
ツナは大きく息を吸い、反アポロン派の団員に向かって叫んだ。
「その目には何が見えている? アポロンに支配され続ける未来か? それともアポロンの支配から脱却する未来か?」
ツナが反アポロン派の団員たちに発破をかける。ツナの言葉が団員たちの心に刺さる。
「戦う以外の選択肢なんてないはずだ。自由になるには戦うしかない。自分の運命は自分で切り開くしかない」
毅然とした態度で発破をかけ続けるツナの言葉に、反アポロン派の団員たちは拳を強く握り締めていた。
「ベルはLv.1でミノタウロスを倒した。何も知らない冒険者たちはズルをして【ランクアップ】したと言っているようだが、それは違う。俺はベルがミノタウロスを倒す瞬間を見ていた。ベルは格上のミノタウロス相手に真向勝負を挑み、勝利した。そして今回もヒュアキントスに勝利すると俺は信じている」
Lv.1でミノタウロスとの戦いに勝利し、最速で【ランクアップ】したことはオラリオ中で話題となっている。なら今回もそれが実現できるのなら、自分たちは自由になれるかもしれないと、反アポロン派の団員たちは期待してしまう。
「だがベルに頼ってばかりでは勝てない、お前たちの力が必要なんだ。だから俺たちに力を貸してくれ。頼む!!」
ツナは深々と頭を下げ、協力して欲しいということを彼らに伝える。
「それともアポロンに心を支配され、戦う気力すら失ったというなら話は別だが」
頭を上げるとツナは反アポロン派の団員たちを焚き付ける為にわざと煽った。
「……戦うわ」
ツナの言葉を聞き、戦うことを決意した者がいた。ダフネであった。
「お願い、この縄をほどいて。私はあんたたちと戦う」
ダフネは真剣な眼差しでツナに訴える。ダフネが戦うことを決意したことで、反アポロン派の団員たちは驚きを隠せない。
「お前の覚悟、しかと受け取った」
ツナが超直感によってダフネの覚悟が本物であるということを見透かし、リリの方に視線を移す。それを察し、リリがダフネの縄をナイフで切った。自由となったダフネはゆっくりと立ち上がった。
「ダフネ!! 裏切るのか!!」
「こんな奴らの口車に乗せられやがって!!」
「うるさい!! もうあんたたちの言葉を聞くのはうんざりなのよ!!」
アポロン派の団員たちはダフネに罵声を浴びせるが、ダフネは物怖じせず叫んだ。
「あんたたちもいい加減、覚悟を決めなさい!! こんなチャンス2度とない!! こんなお人好し連中、2度と現れないわよ!!」
今度はダフネが反アポロン派の団員たちに発破をかける。
「【アポロン・ファミリア】に入ってから不自由はなかったし恩もあった!! でもそれ以上に恨んでた!! 私たちを無理やり【アポロン・ファミリア】に入れたアポロンを!!」
「ダフネちゃん……」
ダフネが今まで心の底に溜まっていた思いを爆発させる。そんなダフネを見てカサンドラは昔を思い出していた。
ダフネとカサンドラはかつてアポロンの魔の手から逃れようと逃げ続けていた。だがアポロンはどこまでも二人を追い、追い詰められた2人はアポロンの軍門に下ることになった。
「逃げた先に自由なんてない!! 待ってても誰も助けてなんてくれない!! こいつの言う通り、戦わなきゃ本当に自由なんて手に入らない!! だから戦いなさい!!」
喉がはち切れんばかりの声でダフネは叫ぶ。そしてダフネの言葉を聞いて反アポロン派たちの目つきが変わる。
「俺も戦うぞダフネ!!」
「もうあの変態神の元にいるなんて私もうんざりだわ!!」
「自由を手に入れるんだ!!」
反アポロン派たちが武器を掲げ、次々に声を上げる。そして反アポロン派たちはアポロン派の団員たちに立ち向かい始めた。