ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)85 形勢逆転(ターン・ザ・テーブルズ)

 

 

 

 

 

 ツナとダフネによって、反アポロン派の団員を味方につけることに成功した。

 

「数は圧倒的にこっちが上!! 分断して確実に仕留めて!!」

 

 ダフネは指揮棒のような細長い短剣、フェンサー・ローリイットを前方に掲げ指揮を執る。

 

「き、貴様ら!! アポロン様の寵愛を受けながら裏切るのか!?」

 

「この恩知らず共が!!」

 

「うるせぇえええ!!」

 

「こっちはてめぇらをぶっ飛ばしてたくて仕方ないんだよ!!」

 

 敵に寝返った反アポロン派の団員たちに罵声を浴びせるアポロン派の団員たち。しかし今までの怒りを爆発させた反アポロン派の団員たちの猛攻にはなす術もなく、次々と倒されていく。

 

「こ、この!!」

 

「【燃え尽きろ、外法の技】」

 

 アポロン派の1人が反アポロン派を倒そうと魔法を放つ為、詠唱を始める。それを見たヴェルフが同時に詠唱を始める。

 

「【ウィル・オ・ウィスプ】」

 

「がっ!?」

 

 するとアポロン派の団員の魔法が暴走し、爆発した。

 これはヴェルフの魔法、【ウィル・オ・ウィスプ】。その効果は魔法を発動が失敗した際に発生する魔力暴発(イグニス・ファトゥス)を意図的に発生させることができる、対魔力魔法(アンチ・マジック・ファイア)である。

 対象の魔法の威力が高ければ高い程、魔力暴発(イグニス・ファトゥス)の威力は上がる。しかも超短文詠唱である為使い勝手が良い上、魔道士や魔法を得意とするエルフには取ってこの魔法は驚異なのである。

 実質魔法を封じられたことを理解したアポロン派の団員たちはすぐに接近戦で対応するが、ただでさえ圧倒的な戦力差があるだけでなく指揮官がいなくなったこと、治療師(ヒーラー)がいなくなったことなど様々な要因が重なり、徐々に押されていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バベル30階

 

「そ、そんな馬鹿なぁぁあああああ!!」

 

 まさか自分の眷属が寝返ると思っていなかったのか、アポロンは両手に頭を置いて絶叫する。

 勝つ為とはいえ、ツナでも神を誘拐するのは流石に無理だった。そこで妥協案として幻覚を見せ、誘拐させたと思わせることにしたのだ。その為に【アポロン・ファミリア】がシュリーム要塞跡地に向かっている間、ツナは幻覚で鳥に変身し、アポロンの外見を記憶した。

 そして敢えて自分が幻覚が使えることをバラし、アポロンが幻覚だということを気づかせた上に【アポロン・ファミリア】の団員がほぼ本拠(ホーム)にいない事実を話すことで、アポロンが誘拐させられたと思わせることに成功したのである。

 

「裏切り展開きたー!!」

 

「あの人間(ヒューマン)面白ぇ!!」

 

「この展開は熱すぎる!!」

 

 戦争遊戯(ウォーゲーム)中に敵を意図的に裏切らせることは神々の知る限り、前例がなかった。未知が大好物な神々に取って、この展開は歓喜する以外の感情を抱く訳がなかった。

 

「なぜだ……なぜこんなことに……」

 

「君の勝手な愛を子供たちに押し付けたからに決まってるだろう」

 

「自業自得だな」

 

「同情の余地すらないわね」

 

「馬鹿だろお前」

 

 頭を抱えて狼狽するアポロンに対し、ヘスティア、タケミカヅチ、ヘファイストス、リボーンは呆れた表情を浮かべながら言った。

 

「ヒュアキントス!! なんとかしろ!!」

 

 もうアポロンの頼みの綱は【アポロン・ファミリア】唯一のLv.3であり、最高戦力であるヒュアキントスしかいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄昏の館

 

「なんかフィンみたい……」

 

「うん……私もそう思った……」

 

 反アポロン派の団員たちに向けた演説をするツナを見て、ティオナとアイズはフィンの面影を感じていた。

 

「フィン。あれはお前の入れ知恵だな」

 

「何のことだい?」

 

「とぼけるな。彼はあんなことを言うような男ではない」

 

 先程のツナの演説はフィンが一枚噛んでるとガレスは即座に理解する。フィンはとぼけるが、長い付き合いのガレスとリヴェリアを欺くことはできなかった。

 

「作戦自体やそれを成功させる為の方法は彼らが考えたものさ。僕はただ、人を焚き付けられるかもしれない言葉を教えただけに過ぎない。それに彼らが勝ってくれれば、神アポロンによって無理やり入団させられた小人族(パルゥム)たちも救える」

 

「やれやれ……相変わらず隙のない奴よ」

 

 フィンの最終目的は小人族(パルゥム)の光となること。しかし【ロキ・ファミリア】の団長といえど、むやみに他派閥に干渉することはできない。そこでツナたちを利用し、間接的に小人族(パルゥム)を救おうと考えたのである。もっとも【ヘスティア・ファミリア】に勝って欲しいというのも本音ではあるのだが。

 

「それにしても、よくあんな一か八かの作戦を思いついたわね……」

 

「下らねぇ。あんな奴ら、とっとぶちのめせば済む話だろうが」

 

 ティオネは敵を裏切らせるという作戦を思いつき実行したことに驚いた。一方でベートはツナが力で全員黙らせれば確実なのにも関わらず、わざわざ回りくどいやり方をしたことに苛立ちを覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わり、シュリーム要塞跡地

 

「ふぅ……」

 

「幻覚……」

 

 ツナが作戦が成功したことを確信したと同時に、目の前にいたアポロンの姿が消えた。ダフネが本当に幻覚で全員を騙していたことに驚きを隠せないでいた。

 

「そっちも解放してやってくれ」

 

「はい」

 

 ツナがカサンドラを解放するように頼み、命はカサンドラを縛っていた縄を刀で斬った。カサンドラは解放され困惑しながら、ゆっくりと立ち上がった。

 

「それにしても、よくこんな作戦を実行しようと思ったわね……」

 

「俺たちが思いついたっていうより、ツナの提案なんだけどな……」

 

「まさか敵を裏切らせようなんて、自分では思いつきもしませんでしたが……」

 

「ですがそれくらいしないと勝てそうにないというのも事実でしたし……」

 

「仲間まで引いてるんじゃないの……本当によく思いついたわねあんた……」

 

「過去にある組織を裏切って俺の味方になった奴がいてな、その裏切りが敵に大打撃を与えたことがあった。それを元にこの作戦を思いついた」

 

 ツナは未来の戦いにおいて【ミルフィオーレファミリー】にいたメカニックだったスパナのことを思い出していた。

 スパナはツナの【XBURNER(イクスバーナー)】を見て、それを完成させたいという思いから【ミルフィオーレファミリー】を裏切った。まあ本人としては裏切ったというより、興味深いものを見つけ追及したいと思った方が正しいのだが。

 そしてスパナによって【XBURNER(イクスバーナー)】をフルパワーで撃つ為のサポートアイテムであるヘッドフォンとコンタクトが完成。これによって死茎隊、ジンジャーブレッド、幻騎士、トリカブト、白蘭と数々の敵を打ち倒して来た。たった1人の裏切りが敵に大打撃を与え、結果的に8兆ある平行世界(パラレルワールド)を救うことになったのである。

 

「勿論【アポロン・ファミリア】の団員たちの中にアポロンのことを良く思っていない団員がいることや、アポロンが微塵も負けると思っていなくて何でも要求を呑むって言っていなかったら無理だったがな。後は助っ人のお陰だ。あのエルフのお陰でアポロンへの忠誠心が高い団員たちを削り、逆に忠誠心のない団員たちを多く残すことができた」

 

 クロッゾの魔剣を持っていれば敵はそれに警戒し、選りすぐりの団員を向かわせる事になる。そこで敵戦力の中でもアポロン派の団員でかつ、一定以上の強さを持つ者をリューに倒してもらうことにした。少しでも反アポロン派の団員たちが裏切りやすくするために。

 リューが苦戦していたのは敵の人数の多さではない。アポロン派の団員を1人でも多く倒し、反アポロン派団員をできるだけ傷つけないようにする為意図して戦っていたからである。リューがわざとアポロンを貶す発言をしたのは、アポロン派の団員と反アポロン派の団員を分かりやすく見分ける為だ。

 

「だからって、あんな演説までする……?」

 

「俺だってやりたくてやった訳じゃない……フィンがキミが言えば作戦の成功する確率が上がるっていうからやっただけだ……」

 

「フィンって……まさか【勇者(ブレイバー)】!? あんた【勇者(ブレイバー)】と知り合いなの!?」

 

「まぁな」

 

「成る程ね……【勇者(ブレイバー)】が一枚噛んでるなら負けるの無理ないわ……」

 

 同じ指揮官である為、フィンの指揮の練度の高さをダフネは知っている。故にこうなってもあまり悔しいという感情は湧きようがなかった。

 

「いや、フィンは俺にさっきの言葉を言うようアドバイスしただけで、作戦自体に関して口出しはしていない。今こうして作戦が成功してるのは、全てリリのお陰だ」

 

「あの子が……?」

 

 ツナは今回の作戦を成功させた立役者であるリリの方に視線を向ける。ダフネはリリがそこまでの切れ者とは知らなかった為、驚いていた。

 

「俺の考えた作戦を成功させる為に死ぬ気で考えてくれた。負けたのはお前の指揮よりもリリの指揮の方が上だったからだ」

 

 今回の作戦を考えたのはツナだが、作戦を成功させるための方法は全てリリが考えたものだ。リリがいなければ、ツナの作戦は机上の空論でしかなかった。

 

「だがこれで証明されたな、リリ」

 

「え?」

 

「お前は言った。自分が加わったところで力にはなれないと。けどお前がいてくれたお陰で、こうして戦況は覆った。お前は【ヘスティア・ファミリア】に絶対必要な存在だ」

 

「綱吉様……」

 

 ツナの言葉を聞き、リリはようやく実感出来た。自分が必要とされる人材だということを。

 

「とはいってもまだ安心するのは早い。クラネルさんが敵の団長を倒さねば、この戦いは終わらない」

 

「そうだな」

 

 リューの言葉を聞いて、ツナはベルが戦っている塔の方を向いた。

 

(こっちは片付いた。後はお前だけだぞ、ベル)

 

 

 

 

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