ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

86 / 160
標的(ターゲット)86 未完の新人(ベル・クラネル)vs太陽の光寵童(ヒュアキントス ・クリオ)

 

 

 

 

 

 

 時はベルがヒュアキントスの元に辿り着いた頃に遡る。

 

「勝負だ」

 

「勝負だと? ここまで辿り着いたのは流石に予想外だったが……貴様がこの私に負けるということは変わりはない。一瞬で捻り潰してくれる」

 

 ヒュアキントスは自分への屈辱を晴らさんと、ベルの元へと向かって行く。そして波状剣(フランベルジュ)を水平にし、ベルに刺突を放った。

 

「なっ!?」

 

 だがヒュアキントスの放った片手平突きはベルに届くことはなかった。なぜならベルがその場から一歩も動くことなく、波状剣(フランベルジュ)の表面にヘスティア・ナイフを突き刺していたのだから。

 ベルは波状剣(フランベルジュ)が自身に届く前に下からヘスティア・ナイフを突き上げ、波状剣(フランベルジュ)を貫通させる事で波状剣(フランベルジュ)の動きを止めたのである。

 するとヘスティア・ナイフが貫通した場所から先が砕け、刀身が半分になる。

 

「ゴハッ!!」

 

 波状剣(フランベルジュ)を壊されると微塵も思っていなかった為、ヒュアキントスに隙が生まれた。ベルはその隙を見逃さず、ヒュアキントスの腹部に左足による前蹴りを放った。ベルの前蹴りはヒュアキントスの腹部に直撃し、ヒュアキントスの体はくの字に曲がりそのまま後方へ吹き飛んだ。

 

(ダメージを軽減された……!)

 

 しかしベルは手応えが薄いことに気づく。ヒュアキントスがその場から咄嗟に飛び引くことでダメージを軽減したのだと察した。

 

(こ、この私があんな奴に……!?)

 

 格下だと思っていた相手に一撃を喰らわされ、ヒュアキントスは腹部を押さえながらベルを睨みつけた。

 すると今度はベルがヒュアキントスの元に真正面からやって来る。

 

「一撃入れたくらいで調子に乗るな!!

 

「ごっ……!?」

 

 常に冷静沈着なヒュアキントスが声を荒らげる。ヒュアキントスはベルにお返しと言わんばかりに、真正面から右足による前蹴りを放った。ヒュアキントスの前蹴りはベルの腹部に直撃した。ベルは吹き飛ばされ、そのまま瓦礫の中に埋もれた。

 が

 

世界最速保持者(レコードホルダー)と呼ばれようがお前はLv.2で私はLv.3。勝てる道理など……なっ!?」

 

 勝利を確信したヒュアキントス。しかしヒュアキントスの視界には瓦礫を蹴り飛ばし、普通に立ち上がるベルの姿が映り、驚愕する。

 

「ちょ、調子に乗るな!!」

 

 そしてここからベルはヒュアキントスに何度も殴り飛ばされ、再び立ち向かうを繰り返し続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バベル30階

 

「いいぞ!! いいぞヒュアキントス!!」

 

「ベル君……」

 

 ベルを圧倒するヒュアキントスにアポロンは歓喜し、一方でヒュアキントスにやられるベルを見てヘスティアは目を背けたくなったが、それでも自身の眷属が必死に戦っている姿を見守り続けていた。

 

「これは……」

 

「ダメなのか……」

 

 ヘルメスとアスフィはいくら最速記録保持者(レコードホルダー)という偉業を成したベルでも、Lvが上のヒュアキントスには勝てないのだと感じ、暗い表情を浮かべていた。

 他の神々も一方的にやられるベルを見て、やはりレベル差に挑むというのは無謀だったのだと思っていた。

 

「何だ、唯一のLv.3っていうからどんなもんかと思ったが、大したことねぇじゃねぇか」

 

 だがそんな中でもリボーンだけはつまらなそうな表情を浮かべながら、そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュリーム古城跡地

 

「はぁ……はぁ……」

 

 怒涛の攻撃でベルを追い詰めるヒュアキントス。しかしヒュアキントスは疲れを見せ始めていた。

 

(なぜだ!? なぜ倒れないんだ!?)

 

 もう10回以上も殴り飛ばしているはずなのに、ベルは当たり前のように立ち上がり続ける。攻撃を食らわせ続け、圧倒的にこっちが有利であるはず。なのに、ヒュアキントスは追い詰められている感覚に陥っていた。

 

(リボーンさんの修行のお陰だ……)

 

 過去に2回、ヒュアキントスと戦ったベルだったが、その時はヒュアキントスの攻撃を1発喰らっただけでに致命傷相当のダメージを受けていた。しかしリボーンの修行によって何度も死にかけ、痛めつけられたベルの体はとてつもなく頑丈になっていた。

 リボーンが修行の際に鎧を外すように言ったのは、生身のベルを痛めつけ強靭な体を作る為でもあったのだ。

 

「あんまり痛くない……」

 

「つ、強がりを言うな!!」

 

 無意識に呟くベル。あれだけの攻撃を浴びせてなお、ほとんど効いていないなんてありえない。そう思ったヒュアキントスは再び、怒涛の攻撃を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バベルの30階。

 

「な、何をやっているんだヒュアキントス!!」

 

 いつまで経ってもベルが全く戦闘不能にならず、逆に攻撃を浴びせているヒュアキントスの方が追い詰められているという奇妙な光景に、アポロンは動揺を隠せない。

 

「リボーン君……これってやっぱり……?」

 

「ああ、あいつの攻撃がほとんど効いてねえんだ。俺の修行で耐久が上がったお陰でな」

 

「だ、だよねー……」

 

 リボーンの修行が終わった後、ヘスティアはステイタスの更新を終えた際、何故か耐久に関しては他のステイタスに比べて、凄まじい伸び方をしているのを見ていたのだ。

 

「ま、俺の攻撃で何度も死にかけさせてやったんだ。あの程度の攻撃くらい、耐えられて当然だ」

 

「本当に君はベル君に何をしたんだい!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュリーム古城跡地

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

 

 何十発も攻撃を浴びせ続けたヒュアキントスだったが、さらに疲弊をを重ね攻撃を中断。一方でベルはまだまだ余裕そうな様子だった。

 

(な、なんたるザマだ……)

 

 あれだけベルを攻撃を浴びせても倒しきれない上に、逆にこちらの方が体力を消耗しているなど、ヒュアキントスからすれば恥でしかなかった。

 

(でもこのままじゃダメだ……)

 

 攻撃を受け続け、そのパターンを理解し始めたと言っても、現状今だにヒュアキントスに反撃ができていない為、このままでは負けはしないが勝てもしないことをベルは察する。

 するとベルはナイフを地面に落とし、装備していたブーツを脱ぎ靴下だけの状態になる。そして履いてたブーツを片方ずつヒュアキントスに投げ飛ばした。

 

「何を……なっ!?」

 

 ここで何故かベルがブーツを脱いだことに違和感を覚えたヒュアキントスであったが、すぐにそれを理解する。なぜならブーツが地面に落ちたその瞬間、ブーツが重々しい音を響かせながら地面にほんの少しだけ亀裂が入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バベル30階。神々もブーツが床にめり込む瞬間を目の当たりにして、ドン引きしていた。

 

「リ、リボーン君……? あれは……?」

 

「ん? 片方が10kgあるブーツだぞ。それがどうかしたか?」

 

「どうかしたかじゃない!! 何でそんなものをベル君が履いているんだ!?」

 

「修行の為に決まってんだろ」

 

「時と場合を考えてくれ!!」

 

 敵の最高戦力と戦っているこの時に、そんな不利になるような物を履かせていたリボーンに対し、ヘスティアはツッコミを入れる。

 そしてリボーンとヘスティアのそのやり取りを聞いて、神々は開いた口が塞がらない状況になっている。

 

「にしても、あの程度の奴相手にブーツを脱ぎやがって……やっぱり修行が足りなかったみてえだな。時間さえあれば死んだ方がマシだと思うぐらい痛めつけてやったんだが」

 

「僕にはもう君が人の皮を被った悪魔にしか見えないよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄昏の館

 

「え……!?」

 

「アルゴノゥト君のブーツが……」

 

「相手の方がLv.は上なのに……」

 

 ブーツがめり込んだ瞬間を見て、アイズ、ティオナ、ティオネもまたドン引きしていた。

 

「それも驚きだが……」

 

「あれだけ攻撃を受けても大して効いていない」

 

「明らかに打たれ強くなっている」

 

 格上なはずのヒュアキントスの怒涛の攻撃を受けているにも関わらず、ケロっとしていることに彼女達は一番驚いていた。

 

(どうなってやがる……確かあの兎野郎は酒場の時あの変態野郎に手も足も出ていなかったはず……一体この短期間で何がしやがった……?)

 

 ベルが最初にヒュアキントスにやられた時、実はベートもその現場にいた。しかしそこから大した日数が経過していないにも関わらず、ここまでベルが急成長したことに対し違和感を覚えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュリーム古城跡地

 

「こ、こいつ……!?」

 

 ベルはナイフを拾うと何度か軽くジャンプし、自分の体が一気に軽くなったことを実感する。そして今までベルが本気で戦っていないと知ったヒュアキントスには屈辱しかなく、その顔を大きく歪ませていた。

 

「ふざけるのも大概にしろ!!」

 

 怒りを露にしたヒュアキントスは、ベルに折られた際捨てた波状剣(フランベルジュ)の持ち手の先端をベルに向かっておもいっきり蹴り飛ばす。

 

「なっ!?」

 

 しかしベルは時計回りに回転しヘスティア・ナイフのナイフの表面で波状剣(フランベルジュ)を跳ね返す。ヒュアキントスは咄嗟に上半身を反らし躱した。

 

「このっ……ゴハッ!?」

 

 ベルが跳ね返した波状剣(フランベルジュ)を躱した後、追撃に対応するため即座に上半身を起こした。だが上半身を起こした瞬間と同時にベルが目の前に現れ、そのまま左ストレートがヒュアキントスの額に直撃する。

 

「貴様!!」

 

 すぐさまヒュアキントスはベルの顔面に向かって左足によるハイキックを放った。

 

「がぁああ!!」

 

 だがベルはしゃがんでハイキックを躱すと右アッパーをヒュアキントスのふくらはぎに直撃させる。更に、牛若丸弐式の持ち手の先端がヒュアキントスの左足のふくらはぎに入る。

 

「ゴホッ!?」

 

 そこからヒュアキントスの懐に入ると、みぞおちに左腕の肘鉄を喰らわせた。

 

「ガハッ!?」

 

 追撃は止まらず、ベルは地を蹴ってバク宙しその右足がヒュアキントスの顎に直撃。ベルサマーソルトを喰らったヒュアキントスの顔が大きく仰け反る。

 

(こ、こいつ……!? 足を使えなくさせただけでなく、人体急所を次々と……!?)

 

 左足のふくらはぎにダメージを与えることで機動力を奪った上に、額、みぞおち、顎といった人間の人体急所をここまで的確に打ち抜いたきたことにヒュアキントスは驚愕する。

 

(勝たなきゃいけないんだ……絶対に!!)

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。