ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)95 最大賭博場(グラン・カジノ)

 

 

 

 

 

 ツナは【ガネーシャ・ファミリア】と共にオラリオ随一の賭博場である、エルドラド・リゾートへとやって来ていた。

 

「ここがオラリオ最大の賭博場……」

 

 ツナの視界には賭博区域(カジノ・エリア)の中でも一番存在感が強い黄金の建物が視界に映っている。

そして周囲にはいかにも高価な服を身に纏った者ばかりが闊歩していた。ツナは正直場違いな自分がいてもいいのかと感じてしまう。

 

「初めて来る場所で緊張するのも無理もないが、あまり挙動不審だと怪しまれるぞ」

 

「ご、ごめん……」

 

 現在ツナとシャクティは潜入捜査の為、表向き客としてエルドラド・リゾートにやって来ている。そのためツナは黒の高級スーツを身に纏い、特定を避けるため黒の帽子と眼鏡を、一方でシャクティは青い高級ドレスを身に纏った上で赤い髪のカツラを被っている。

 ちなみに二人以外にも【ガネーシャ・ファミリア】の団員達が潜入しており、彼らは警備に当たっている。

 このエルドラド・リゾートに入れるのは莫大な資金を持つ者や貴族などの特別な地位に位置する者。そして賭博区域(カジノ・エリア)にある他の賭博場(カジノ)で一定以上のお金を落とした者、招待状を持つ者しか入れない。

 そのため本来なら入る資格はないが【ガネーシャ・ファミリア】のコネを使いなんとか招待状を手に入れ、ツナとシャクティはエルドラド・リゾートへ潜入することに成功したのである。

 

「それより良かったの? シャクティは団長なんだよね?」

 

「問題ない。私がいなくなって何もできない程、【ガネーシャ・ファミリア】はヤワではない」

 

 ツナは団長であるシャクティに潜入捜査の方に専念して何かあった際困るのではないかと考えたが、シャクティは団員たちを強く信頼しているのか全く動じることもなく、淡々と答えた。

 

「第一、警備についている私が途中で急にいなくなればそれこそ不審がられる。それなら始めからいないことにして侵入する方が得策だ」

 

 シャクティはギルドから強制任務(ミッション)が入ったことをあらかじめ賭博場(カジノ)へ伝えている。

 強制任務(ミッション)とはギルドから直接出される、言わば断ることのできない依頼(クエスト)。それが入ったとなれば警備に来れない言い訳としては充分だ。

 それに【ガネーシャ・ファミリア】は信頼がある上、Lv.5を11人と第一級冒険者をオラリオでもっとも多く抱えており、その戦力は【ロキ・ファミリア】や【フレイヤ・ファミリア】にも匹敵する。そのためシャクティがいなくとも警備に支障はない。それを知っているからこそ賭博場(カジノ)側も特に疑問視せず、何か言ってくることもなかったのだ。

 

「おぉ、また勝った!! 今日はついていますなギルド長殿!!」

 

「がっはっはっはっは!! 何、日頃の行いを見て幸運の女神が祝福してくれているのでしょう!! 私は日夜、オラリオの為に身を粉にしていますからな!!」

 

 そんな中、賭けに勝ったのか1人の太ったエルフの客が大きな笑い声を上げる。

 

「ロイマンめ。また来ていたのか……」

 

「知り合い?」

 

「ロイマン・マルディール。ギルドの最高責任者だ」

 

「え!? あの人が!?」

 

「ああ。有能であるしオラリオの為に尽力はしているが……権力と金に溺れ、あのように肥え太った体になった。同胞からギルドの豚とまで呼ばれている奴だ」

 

 シャクティはロイマンと違い人間(ヒューマン)ではあるが、それでもロイマンに対して良い印象を持っていない様子だった。

 

「とりあえず仲間と合流するぞ」

 

「うん」

 

 シャクティが小声でそう言うと、ツナ達は警備をしながら情報収集をしている【ガネーシャ・ファミリア】の団員の元に向かう。

 

「あれって……」

 

 そんなツナとシャクティの存在に気づく者がいた。それはドレス姿に身を纏ったシルであった。

 

「どうしましたシr……シレーネ」

 

「もしかしてツナさんじゃない?」

 

「なっ!?」

 

 そのシルの隣にはどういう訳か男装をしているリューがいた。そしてツナがここにいると聞き、リューは顔を赤くしながら動揺する。

 

「シャ、シャクティ……!?」

 

 そしてシルの視線の先を見ると、確かにリューの視界にツナとシャクティが歩いている姿が見える。

 リューはシャクティとは友人であり、暗黒期においてオラリオの治安を取り戻さんと戦った戦友でもある。そしてシャクティはリューが闇派閥(イヴィリス)【疾風】であるということも知っている数少ない存在だ。

 一体なぜリューとシルの2人がエルドラド・リゾートにいるかというと、テリーによって捕らわれたアンナという女性を助ける為にやって来たためだ。

 事の発端は豊穣の女主人にやって来たアンナの両親の会話であった。何でもギャンブル好きのアンナの父、ヒューイはあろうことか娘であるアンナを担保にしてしまう。本人自体はアンナを担保にするつもりは全くなかったのだが、相手側が脅しをかけ不可抗力だったとヒューイは主張。しかしヒューイのギャンブル好きが招いた事態でもある為、アンナの母親であるカレンは怒りが込み上げると同時に酷く嘆き悲しんだ。

 そのことを知ったリューはアスフィの力を借り、アンナの居場所を突き止めカジノへ乗り込むことを決意。しかし【ガネーシャ・ファミリア】の目があることもあり、侵入するのは不可能かに思われたが……リューとアスフィの会話を偶然聞いていたシルが独自のコネでエルドラド・リゾートの招待状を入手。2人は変装し夫婦に成り済まし、アンナを救うべくやって来たのである。

 

「ハハハ……よ、良かったです……シャクティ……いい人が見つかったんですね……」

 

「リュー!?」

 

 シャクティが運命の人と結ばれたと勘違いし口では祝福するリューだったが、あまりにショックが大き過ぎたのか両目と口から大量の血を流していた。

 

「まだ付き合ってるとは限らないから!! だからしっかりして!!」

 

「あ……結婚式のスピーチですか……私なんかでよければ是非……」

 

「なんか勝手な妄想が始まってる!?」

 

「こ、子供が生まれたんですか……少ないですが私から出産祝いを……」

 

「お願いだから戻って来てリュー!! ショックなのはわかるけどここに来た目的を思い出して!!」

 

「……はっ!! そうでした!!」

 

 勝手な妄想によりどんどん精神的ダメージを受けていくリューに、シルはなんとか現実に引き戻すことに成功した。

 

「アンナさんを助けなくては」

 

「そこにアンナさんはいないよ!?」

 

 アンナを助ける目的は思い出したリューだったが、なぜかいきなり壁に向かって歩き出し、壁にぶつかっても尚構わず歩き続ける奇行を取り出したため、シルは突っ込まざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、仲間に接触することに成功したツナとシャクティはというと。

 

「あの部屋の中の情報はわかったか?」

 

「申し訳ありません。テリーに関する怪しい情報は掴めませんでした。ですが、協力者を見つけることはできました」

 

「何だと?」

 

 そう言うと人間(ヒューマン)の団員の男性が視線を横に移す。そこには猫人(キャットピープル)の男性スタッフとエルフの女性スタッフがいた。

 

「どうやら今は休憩中みたいで……テリーに対して不満をこぼしていたのを耳にしたので、我々の事情を話し協力してもらえないかと打診したところ、快諾してくれました」

 

「でかしたぞ」

 

 これで関係者に成り済まし、潜入する段取りが出来たと確信したシャクティは協力者の元にツナと共に向かって行く。

 

「お前たちか。【ガネーシャ・ファミリア】に協力してくれるというのは」

 

「あ、あなたは……?」

 

「だ、誰……?」

 

「私はシャクティ・ヴァルマ。テリーの不正を暴く為に変装して潜入している」

 

「シャクティ・ヴァルマって……!?」

 

「【象神の杖(アンクーシャ)】!?」

 

 変装していた為、2人は彼女がシャクティだとはわからなかったが、正体を明かした事で驚きの声を上げる。

 

「あれ? あなた、この前の戦争遊戯(ウォーゲーム)に出てた人……」

 

「ど、どうも……」

 

「な、何で【象神の杖(アンクーシャ)】と……?」

 

「彼は協力者だ。それよりも我々に協力してくれるという話は本当か?」

 

「はい……あの経営者(オーナー)、人使い荒いし……正直嫌いなので、捕まってくれた方が嬉しいっていうか……」

 

「私のこと、いやらしい目で見てくるし……なんか周りにいる女性も暗い表情してて可哀想っていうか……」

 

「そうか……」

 

 シャクティは2人の口振りから本心から協力してくれると知り、それと同時に2人に同情していた。

 詳しい情報を聞く為、4人は人気のない裏口に移動。部屋の中の情報やスタッフたちの立ち振舞いなどの情報を教えてもらった。

 

「よし沢田綱吉。とりあえず幻覚を頼む」

 

「わかった」

 

 シャクティに促され、ツナは(ハイパー)死ぬ気モードになると目の前にいる猫人(キャットピープル)の男に変身。さらにシャクティに霧の炎を纏わせ、シャクティの姿をエルフの女性の姿に変化させる。

 

「どうだ?」

 

「お、俺にそっくり……」

 

「す、凄い……」

 

 実際に戦争遊戯(ウォーゲーム)を見ていたものの、いざ間近で見ると想像以上に凄い力であった為、2人は圧倒されていた。

 

「これで潜入できるな」

 

「ああ、行こう」

 

 

 

 

 

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