ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)98 約束(プロメッサ)

 

 

 

 

 

 テリーの蛮行を暴き、無事逮捕したツナたち。テリーに拐われた女性たちは【ガネーシャ・ファミリア】によって解放され、保護された。

 

「それでリュ……じゃなくてえっと……」

 

 (ハイパー)死ぬ気モードを解除し、通常の状態に戻ったツナはリューの名前を呼ぼうとしたとするも憲兵であるシャクティがいる手前、偽名であるマクシミリアンの名で呼ぼうとしたが偽名をド忘れしてしまっていた。

 

「……普通に呼んでくれて問題ないですよ、沢田さん。シャクティは私のことを知っていますから」

 

「えっ、そうなの?」

 

「ああ、私とリオンは暗黒期に共に戦った戦友だ。本来であれば逮捕すべき立場ではあるが、リオンのお陰でオラリオに平和が訪れた。だから逮捕する気はない」

 

「そうなんだ……」

 

「しかし、まさかお前がリオンの正体を知っていたとはな」

 

「それはツナさんがリューにとって、特別な人だからですよ」

 

「シ、シル!? 余計なことを言わないで下さい!!」

 

「特別?」

 

「リオン……お前……」

 

 ツナはシルの言う特別の意味がわからず疑問符を浮かべるが、シャクティはその意味を理解すると同時に衝撃を受けていた。

 

「ところでずっと気になっていたんだけど、何で男装してたの?」

 

「ここに入る為の招待状はシルの知人から譲り受けたものだったのですが……その知人が夫婦だったので、私が男装して入ることになったんです」

 

「本当はツナさんと一緒に行く予定だったんですよ? でも本拠(ホーム)に行ってもツナさんがいなかったので、私が代わりに行くことにしたんです」

 

「よ、余計なことを言わないで下さいシル!!」

 

 暴露して欲しくない情報をシルがバラした事でリューは顔を赤くし、大きく動揺する。

 

「えっ? 俺を誘おうとしてたの?」

 

「わ、私は交友関係が広くありませんし……沢田さんなら私より強いので、何かあっても問題ないと思ったのですが……」

 

「でも結果的にシルと来て正解だよ。俺にポーカーの才能はないし」

 

 今回、テリーはシルにポーカーで負けた苛立ちから本性を露にし、逮捕することに成功した。実力行使でならともかく、ポーカーの才能がないツナでは足手まといになるのは火を見るよりも明らかだった。

 

「それで……これから俺はどうしたらいい? 何か手伝うこととかある?」

 

「いや大丈夫だ、後のことは我々がやる。だからもう帰っても問題はない。報酬については後日、私が本拠(ホーム)に持って行く」

 

「わかった。じゃあ俺帰るね」

 

「あ、あの!! 沢田さん!!」

 

「えっ? 何?」

 

 もう自分がいる必要性がないと判断したツナはそのままカジノを後にしようとしたが、それをリューが制止した。

 

「し、実は最近、酒場の内庭で朝稽古をしているのですが……」

 

「それがどうしたの?」

 

「実は稽古に丁度いい相手がいなくて……だから沢田さんに相手を頼みたいんです……私1人では物足りなさを感じていて……勿論、無理にとは言いませんが……」

 

「アーニャたちも誘って稽古したんですけど、リューがやり過ぎちゃったせいで誰も相手してくれなくなっちゃったんです」

 

「一体、何したの!?」

 

「私は加減というものができなくて……どうしてもやり過ぎてしまうんです……」

 

 シルの言っていることは本当らしく、リューは申し訳なさそうな表情をしながら言った。

 

(そういえば、ルノアが言ってたっけ……)

 

 アーニャたちが戦えると知り少し驚いたツナだったが、過去にルノアが店で暴れる冒険者たちをぶん殴ってとっちめていると言っていた事を思い出した。

 仮にも恩恵(ファルナ)を受けている冒険者相手にそんな真似できるということは、アーニャたちもまた恩恵(ファルナ)を得ているのだとツナは納得する。

 

「お願いですツナさん、アーニャたちを酷い目に遭わされたくなかったらリューと稽古してあげて下さい!」

 

「それ、お願いじゃなくて脅迫じゃん!!」

 

 シルが両手を握って瞳を潤ませながらお願いという名の脅迫をしてきた為、ツナがツッコミを入れる。

 

「うーん……まぁ稽古くらいなら……」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「うん、いいよ」

 

 正直、稽古に関して気が乗らないツナだったが、リューには戦争遊戯(ウォーゲーム)で手伝ってもらった恩がある為、稽古をすることを了承した。

 

「じゃあ明日、酒場に行くよ。じゃあね」

 

 リューと稽古の約束をしたツナは部屋を出て竈の館へと帰って行った。

 

「……まさか私の前で他派閥との稽古の約束をするとは」

 

「ち、違いますシャクティ!! これは、その……!!」

 

 本来、他派閥との過干渉が禁じられているのにも関わらず、治安を護る憲兵の前で稽古の約束してしまうというとんでもないやらかしを起こした事にリューは慌てて弁明しようとするも、動揺から言葉がきちんと出なかった。

 

「まぁいい……お前たちのお陰でテリーを逮捕することができたんだ。今のは聞かなかったことにしよう」

 

「す、すみませんシャクティ……」

 

「それよりも驚いたな。まさかお前が異性に特別な感情を抱くとはな」

 

「なっ、何を言い出すんですかシャクティ!?」

 

「そうなんですよ、リューってばツナさんのことに夢中で仕方がないみたいで。さっき偶然ツナさんがシャクティさんと一緒に歩いているのを見て、シャクティさんがツナさんと付き合ってるんじゃないかって勘違いしちゃって。動揺し過ぎて正気に戻るまで大変だったんですから」

 

「ああああああああ!!」

 

 シルに自分の痴態を暴露され、リューは顔を真っ赤にして悶絶する。そしてそんなリューを見てシャクティは笑いを堪えられなかった。

 

「変わったなリオン……だが私は嬉しいよ。きっとアリーゼたちも……アーディも今のお前を見て、喜んでいると思うぞ」

 

「シャクティ……」

 

 しんみりとした表情を浮かべたシャクティを見て、リューもまたしんみりとしてしまう。

 アーディとはシャクティの妹であるアーディ・ヴァルマのことだ。明るく心優しい女の子だったが、7年前の暗黒期の最中にその命を落とした。彼女はシャクティと同じ【ガネーシャ・ファミリア】に所属していたが、リューにとって大切な友人の1人でもあった。

 

「私は仕事に戻る。テリー逮捕に協力してくれたこと、感謝する」

 

 リューたちに礼を言い、シャクティは事件の後処理の為部屋を出て行った。

 

「……私たちも帰りましょうか」

 

「うん」

 

 無事にアンナを助けるという目的を果たすことができた以上、もうここにいる理由はない。2人も酒場に戻ることにした。

 

こうしてグラン・カジノにおける事件は幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

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