日々の未来の青春譚 -メビウスアーカイブ-   作:逃げるレッド五号 5式

12 / 26
Vol2.シャーレの始動
10.【闇の店主(マスター) -前編-】


 

 

 

ゲヘナ学園自治区

 本校舎直轄市街地 郊外

  喫茶店 “茶店『(ヘビ)』”

 

 

 

 ゲヘナ学園は“キヴォトス三大校”に数えられ、広大な支配地域を抱える学園都市でも有数の超マンモス校である。又、所属生徒の大半が“悪魔族”で占められていることでも有名な学校でもある。

 

 ―――茶店『蛇』。

 凡そ一ヶ月ほど前、同学園自治区の中心部に存在する本校舎直轄市街地郊外にオープンした、ある大人の男性が一人で切り盛りしている新興喫茶店である。

 

 本校舎直轄市街地…とは、文字通りゲヘナ学園の校舎が所在している地域にある、生徒会組織“万魔殿”並びに治安維持組織“風紀委員会”の影響力が特に強い中央街を指す。

 ゲヘナの学問、軍事、経済の中心と言える場所であるが故に、上記の風紀委員会による取り締まりや万魔殿お抱えの装甲(戦車)師団による武力鎮圧の力の入れようが凄まじく、「自由と混沌」を校風とする破天荒なゲヘナの自治区の中においてもかなりマシな治安を誇っている地域だ。

 

 しかし、市街地外縁…学園校舎から離れている郊外地域はその限りではない。雑破に言えば、()()()()()()

 良くも悪くも、ゲヘナ行政(学園)側の治安維持活動は市街地中央に集中しているので、監視の目を掻い潜ってその圏外にて悪事を働く輩が多い。

 この現状を風紀委員会や万魔殿も良しとしてはいないが、コレが黙認されている最大の理由として、現風紀委員長単騎での制圧力と機動力がずば抜けているため…と言うのがまず挙げられる。

 風紀委員長本人の労力や負担を度外視した暴論になるが、彼女一人いれば自治区領内にて発生する大抵の荒事はごく短時間でどうにかなってしまうからだ。因みにこれはゲヘナ生徒の間では常識となっている。

 

 彼女と因縁浅からぬ(をよく知る)万魔殿議長(生徒会長)羽沼(ハヌマ)マコト曰く、「つまらん。ヤツを現場(戦場)に出したら一方的に勝つに決まっている」とのことなので、当代風紀委員長の特記戦力ぶりがよく分かるだろう。

 

 事実、彼女はゲヘナ学園の随一の実力者として自治区の外部からも認識されており、キヴォトスのスケバンや所確幸(ニート)ら御用達の匿名ネット掲示板等で行われる「各学園の最強現役生徒」議論ではゲヘナ代表として頻繁にその名が挙がっているほどだ。

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

 そんな不安定地域に堂々と構えている件の喫茶店…茶店『蛇』だが、ゲヘナ生徒たちの様々な善意やら思惑やら陰謀やらが重なりに重なった結果…これまで一度も襲撃や嫌がらせの類いを受けること無く、開店から今日に至るまで皆勤営業が続いていた。

 

「ガス栓、蛇口、電気ヨシ」

 

 ―――ヘビクラ・ショウタ。

 

 同店の()()()な店主かつ唯一の従業員であり…ゲヘナ自治区内で現在最も名を知られている“大人”でもある。

 あんまり本人は大っぴらにしないが、最近世間で話題になりつつあるシャーレの先生と同じく、外界人…即ちキヴォトスの外出身のニンゲンだ。

 

 ……彼がキヴォトスにやって来たのは、“G事変”発生日より凡そ3ヶ月ほど前に遡る。とある世界の地球・日本で就活中__国家公務員(幹部軍人)を辞めた直後__であった彼は、気がつけばキヴォトス・ゲヘナ学園自治区の、それも直轄市街地郊外の路地裏スラムにほぼ着の身着のままでつっ立っていたのだ。

 

 最初こそ混乱の渦中に叩きこまれ途方に暮れかけたヘビクラであったが、即座に思考を切り替え「まぁたブルトンの仕業かぁ?」などとボヤきながら、幸いにも現地住民と一発で言葉が通じたこともあって人の往来が活発な市街地中央へと移動し積極的な情報収集を開始。

 

 結果。一部の常識を除いて、21世紀地球・極東圏国家群…特に()()()()()()()()()()()文化、言語、社会制度が根付いていると分かり、驚きこそしたがすぐに順応していった。

 

 現状把握を終えた彼がまず着手したのは、この世界で生きていくための生活資金と身分証の確保であった。

 衣食住は金さえあればなんとかなるという考えの元から弾き出された優先順位だった。

 なおたった数日でコレらの問題はすんなり解決した。

 

 前者は持ち前の戦闘技術とキヴォトス転移時に所持していた宇宙刀剣(“蛇心剣”)及び自動拳銃(“SFP-9”)を手に指名手配者(賞金首)を次々確保することでクリア。

 後者はゲヘナを含む複数の学園自治区境界に跨がる広域暗黒街…ブラックマーケットに訪れた際、()()()()()で偽造身分証の作成を依頼し、学園都市市民権の取得も難なく実現したことでクリア。

 

 そこからは貯蓄した軍資金で愛着が湧きつつあったゲヘナ中央市街地郊外に残っていた賃貸物件を一括支払いで即契約。ある程度の準備期間を経てから、安定した資金調達並びに情報収集、そして住民との友好関係構築をする場として、本喫茶店を開業した……というのが現在に至るまでの大まかな経緯だ。

 

 賞金稼ぎの活動や街への外出時に知り合った多くの大人子供が店に通ってくれていること、また彼ら彼女らの口コミによって新規の客もかなりの頻度で訪れることもあって、客足は上々。

 ………結論から言うと、ヘビクラは何やかんやありつつもキヴォトスに馴染んでいた。

 

「さて、と。諸々の用意はできたが……」

 

―――7時。

 茶店『蛇』の営業開始時刻は8時。普段はこの時間帯は開店準備の諸作業に費やされる。

 

 …だがこの日は普段(いつも)と違った。

 

「…そろそろか」

 

 ヘビクラは脚を組んでカウンター席に座り、店内の壁面に掛けられた、針をチクタク動かす古き良きアナログ時計を見てそう呟いた。

 まだ開店時間ではないが、何者かがこの時間に来訪する予定らしい。

 

―――バァン! ガランガラーン!!

 

 突然、店の戸口がド派手に開けられた。開け方があまりに乱暴だったためにドアベル君の音色が荒ぶる。

 されどヘビクラは動じていない。これが待っていた来客()()が来た合図だと、何度も経験しているからだ。

 

「マスター!来たわよっ!」

陸八魔(リクハチマ)、頼むから戸は静かに開けてくれ…せっかく新調したドアベルが壊れちまう」

「(ふふん…今日も華麗な登場がキマったわ!)」ドヤァ

「おーい、聞いてるかリクハチ〜?」

 

 溜め息を吐くヘビクラの視線の先には玄関口で仁王立ちしている、マスターから「陸八魔」及び「リクハチ」と呼ばれた赤髪ロングの少女が自信に満ち溢れた表情で堂々立っていた。

 お行儀良く着こなしているゲヘナ制服の上に小紫のファーフード付きロングコートを羽織り、片手で半自動狙撃銃(SR)“ワインレッド・アドマイアー”を軽々扱う彼女こそ、陸八魔(リクハチマ)アル。

 ゲヘナ学園の二年生でありながら半企業部活“便利屋68”の社長も務め、「真のアウトロー」を目指している大変健気な悪魔族の女子高生である。

 

 彼女の背後には人影がまだ三人分あった。

 

「やっほー! ショーちゃん元気ぃ〜?」

浅黄(アサギ)ぃそのあだ名だけはやめろ。なんか背中がむず痒くなる」

「えぇ〜? “ヘビちゃん”よりもこっちの呼び方のが断然良いって!」

「面識はほぼ無いが、知り合いの知り合いに似た名前のがいるんだよ…」

 

 小悪魔めいた笑みを浮かべながらアルの後ろからひょっこり顔を出したのは、浅黄(アサギ)ムツキ。アルの幼馴染で同級生(二年生)の小柄な白髪サイドテール女子だ。

 その見かけによらず、愛銃である高火力機関銃(MG)“トラックオアトリック”と中身不明の過積載ボストンバックを涼しい顔で持ち歩くパワーの持ち主でもある。

 ちなみに便利屋68での役職(肩書き)は室長である。

 ムツキはヘビクラの()()には、クフフと笑って手をひらひら振り返すだけだった。呼称の是正が為されるのはまだまだ先のようだ。

 

「おはよ店長。ちょっと時間過ぎちゃってごめんね。社長が今日の予定ど忘れしてた」

「朝からワリぃな鬼方(オニカタ)。時間の方は気にしてねぇよ。俺、もう軍人じゃないし」

「そう言ってくれると助かるよ」

 

 おう、俺も時間キッチリ人間じゃないしなぁ〜、と呟くヘビクラを見てクスリと笑う、黒いフードパーカーのクール系白髪ポニテ少女は、鬼方(オニカタ)カヨコ。

 便利屋68の課長を拝命している。又、同部活のブレーキ役にして参謀役であり、唯一の三年生で常識(苦労)人だ。

 

「お、おはようございます…店長さん。あの…お預かりしていたこの子、お返しします。今回も、とっても良い子でした」

 

 オドオドびくびくしながらも、両手で()()()()()の植木鉢をしっかり抱えて真っ直ぐヘビクラの下まで歩いていき、植木鉢を彼に手渡して紫色の頭を撫でてもらっているのは、一年生の伊草(イグサ)ハルカ。小柄な体で背負うゴツいシャッガンが気になる子だ。

 ひどく引っ込み思案でネガティブ思考の自罰的(卑屈)な平社員である。しかし、便利屋68の身内…特に社長であるアルに向けている尊敬の念は天をも衝くぐらいのモノを持っている、ある種芯が太い子とも言える。

 

「コイツの世話してくれてありがとな伊草(イグサ)。毎度助かってる。ほれ、全員カウンターに座れ。依頼してた新メニューの味見をしてもらおうじゃないか」

 

 ………また、この小柄な小動物めいた容姿と弱気な印象に反して、便利屋随一の()()()()()()()であり、身内と敵対した、或いはしようとする者へのスイッチが入った時の容赦の無さは常軌を逸している。一度敵と見做した存在には病的かつ徹底的なまでの物理的排除を実行しようとする過激さと盲目さが目立つ少女だ。

 へビクラもハルカのその危うい一面を初めて見た際は、あまりの豹変ぶりにいつもの笑みが引き攣ったほどである。

 

「ええ。――それじゃあ皆んな、気持ちを切り替えなさい。依頼に取り掛かるわよ!」

 

 不敵で妖艶な笑みを浮かべながらアルが真ん中のカウンター席に腰を下ろすと、便利屋の他三人もそれに続き彼女の両側の席に座った。

 

「アル様ぁ…今日もお綺麗です素敵です、一生ついて行きますぅっ!!」

「くふふ、アルちゃんカッコイイ〜! でも依頼内容はただの試食会だし、お料理できるまで私たちは待ってることしかできないけどね〜!」

「…店長、ホントにいいの? 試食させてもらうだけじゃなくて、報酬としてあんな額のお金までこっちに払うなんてさ」

「ちょっ、カヨコ!何言ってるの!?」

 

 無償で与えられるモノが多すぎることにカヨコは思うところがあったらしく、申し訳なさそうに…それでいて訝しげに、長テーブルの端に置いた__ハルカから受け取った__盆栽を眺めるヘビクラへ聞いた。

 彼の真意を()()()確かめる目的もあったのかもしれない。

 

「あー、それはまぁアレだ。ほら、俺はキヴォトスの外から来た人間だろ?」

 

 一同は互いの顔を見合わせながらも揃って頷く。

 便利屋68のメンバーはヘビクラがキヴォトス入りした最初期から…少なくとも2ヶ月前から交流している。

 彼の事情は大まかにだが全員把握済みなのだ。

 

「いくら俺が美味いもん作ってるとしてもだ、もしも…そうもしもの話だが……その新しく出す美味いもんがキヴォトス(こっち)じゃ打って変わって激物ダークマターでした〜だったら二重の意味でマズイだろ? お前らにとってはタダ飯にありつけて資金もゲット…ぐらいの感覚だろうが、俺からしたらこれは毒味…命を懸けての臨床試験みたいなことしてもらってるって思ってんだ」

 

 な、報酬内容としては妥当だろ? ――とカヨコを丸め込みに掛かるヘビクラ。

 

「そ、そうよカヨコ課長。これは真っ当な対価なの。それに、マスターも渡すって言ってくれてるんだし、貰えるものは貰わないと失礼…よ?」

 

 ……とそれに便乗しもっともらしいことを言うアル。彼女の声はやや震えていた。

 虚勢である。ムツキとカヨコ、ヘビクラにはバレている。ただハルカだけはアルに純粋な尊敬(シイタケ)の眼差しを向けていた。

 

「そうそう。言っちまえば、今回の報酬金は危険手当てみたいなもんだ。そっちは成分不詳の料理Xを文字通り身体を張って試食するんだから、報酬というか手当てはきっちり受け取ってもらわないと俺の方が困るってワケ」

 

「でも――」

 

 ――なんともまあ、体のいい建前(言い訳)だろうか。ハッキリ言って滅茶苦茶だ。

 それなら今まで出された新メニューも誰かがその度に“毒味”をしてきたのだろうか? 答えは否だろう。被験者は今回のアウトロー四人衆を除けば絶対にゼロの筈だ。

 

 キヴォトスは近世地球の徳川日本(江戸幕府)のような理想的且つ閉鎖的な循環型社会を形成してはいない。市場や生活圏で出回る代物の全部が全部、学園都市固有のもので占められていないのだ。

 ()()()外側の世界より流れてきた、或いは外界へ渡り戻ってきたキヴォトス人が持ち帰ってきた所謂「輸入品」、又それを独自発展させたモノ…「リスペクト品」も多々存在している。

 キヴォトスにとって有害で危険なモノはとっくの昔に分別されていることは現代キヴォトスでは聞くのも恥ずかしい常識の常識となっている。

 

 つまり、外の世界由来のモノがキヴォトスで普通に溢れかえっているということだ。

 百鬼夜行自治区に“名古屋めし”のグループに属するグルメが定着しているのも、これに当て嵌まる例の一つだと言えるだろう。

 

 加えて、彼が店で取り扱う食材はどれもゲヘナや百鬼夜行、トリニティ、その他農業系学園の自治区で栽培・肥育されたものを正規かつ真っ当なルートから仕入れている。

 キヴォトスで採れる既知の食材と食材がキヴォトス人の預かり知らないゲテモノにジョグレス進化することなど、万一、億が一にも有り得ないのだ。店主の言い分は通らない。

 

 ……彼女たち便利屋68はここが開店してから、昼食夕食を摂りに足繁く通っている常連だ。故に彼の出す料理は全て旨いし、安全で、値段も破格でその上良心的なのも知っている。

 懐事情が切迫する時期にはかなり世話になってもいたため全幅に近い信頼も寄せていた。

 

 一体この店の何処に臨床試験が必要な劇物が在ると言うのだろうか。

 やはり、こんなのでお金は受け取れない、受け取っちゃ駄目な気がする……そうカヨコが言おうとした直前に、察したヘビクラが真顔でそれを手で制する。

 神妙な顔つきの彼の手には収納ラックから取り出した調味料の一つ、黒胡椒の(ペッパー・)ミルが握られていた。

 

「――いーのいーの、サッと受け取ってサッと懐に隠しとけ。な?」

 

「………うん。なら、そういうことにしとく」

 

 結果的に、カヨコは無理に食い下がることはせずヘビクラに折れた。彼の心遣いを甘んじて受けることにしたのだ。

 店主はその様子を見て満足そうにニッと笑い、報酬の振込に関する話を始めた。

 

「ああ。そうしとけそうしとけ。子どもは変な遠慮なんかするな。………報酬金はそっちが指定した、鬼方の個人口座へ正午頃に自動で振り込まれるように調整は済んでる。あとで確認してみてくれ。何かあったら店の電話に直接掛けてきてもらってもいい」

 

「分かった」

「ええ」

「りょうか〜い」

「は、はいっ!」

 

「さてと……メシ作り終えるまでざっと15分から20分ぐらいかかる。スマホ弄っててもいいし、駄弁ってくれててもいい。店のテレビつけて好きなチャンネルに切り替えても良いぞ」

 

 そう言いながら、店主は調理の下拵えに取り掛かった。

 自由にしてろと言われた便利屋68。彼女達が選んだのは、作業中の店主も巻き込んでのトークであった。

 

「ねえねえショーちゃん。私たち知り合ってから結構経つよね?」

 

「……ん? まあそうだな。ざっと二ヶ月と半分ぐらいか」

 

 ムツキに尋ねられ、予定がビッシリ書き込まれた厨房のカレンダーを一瞥しながら答えるヘビクラ。

 そんなやりとりをしてる合間にも、ニンジン、玉ねぎ、マッシュルーム…まな板の上に置かれた野菜・山菜たちが彼の卓越した包丁捌きによって小さく角切りにされていく。既に解凍されていた鶏肉もまた同じように一口サイズにスライスされていった。

 

「ムツキちゃん聞きたいなぁ〜。キヴォトスの外にいた頃のショーちゃんのこと。この前なんか、『前は軍隊に入ってた。以上!』だけだったじゃん?」

 

「ああ? 俺の過去なんて碌なモンじゃないぞ?」

 

 カヨコとハルカは口を開いていないが、二人もムツキの聞くキヴォトス来訪以前のヘビクラについて興味が無いわけではないようだった。

 

「そこをなんとか…! アルちゃんもずっと気になってるらしいんだよ〜ショーちゃんのハードボイルドでアウトローな話」

「ちょっ、ムツキ!そこで私の名前は出さなくていいじゃない!?」

「えー?だってホントのことだよね?」

「うぐ……」

 

「………ハードボイルドでアウトローな話って…はあ…しょうがねえなぁ。あとで変な噂が広まるのもアレだし……何が聞きたい?可能な限りで答えてやる」

 

「やったー! ショーちゃん太っ腹〜!」

 

 顔を真っ赤にして無言の強制冷却状態へ突入したアルを尻目に、油を敷き火を通した中華鍋サイズのフライパンへ刻んだ具材を順次投入する。溜め息混じりながらも、その手つきに迷いは無い。

 

「えっとね〜、キヴォトスに来る直前までは軍人さんだったって言ってたけど、どんな部隊にいたのかな〜って」

 

「……有人タイプの50m級人型機動兵器(ロボット)――俺たちは“特空機”って呼んでた……のを運用する部隊にいた。そこでの俺の役割は専ら書類との睨めっこや作戦立案、司令室からの戦闘指揮だった」

 

 懐古に浸った表情を浮かべて天井を仰ぐヘビクラ。

 

「ロマンある花形部隊じゃ〜ん」

 

「まあな〜」

 

 ムツキに笑顔を返すヘビクラ。

 

 しかし彼の調理の手は止まらない。ノールックでフライパンにライスとケチャップをスローしていき、均等に混ぜるために中華屋の炒飯よろしく()()()を繰り返す。

 その動きを見てムツキは「おお〜!」と大袈裟に拍手しつつ感嘆し、逆に隣のアルはと言えば、恍惚としているようにも映る店主の顔面(ツラ)にただ見惚れていた。

 ハルカは調理の工程と彼の華麗な手捌きに夢中である。恐らく料理が完成するまでは誰が声を掛けても反応しないだろう。

 

 ここでカヨコが再び口を開いた。

 

「しれっと言ったけど…店長、佐官レベルの人だったんだ。…まあでも納得かも。会った時から一般人じゃないなとは感じてたし。銃の扱いとか熟練のそれだったから」

 

 ムツキもアルも同意の頷きを見せる。

 特にアルはまるで自分のことのように得意げに頷いていた。「もちろん?私は最初っから分かってたけれどね!」みたいなやつだ。

 

「そーなの。俺、結構偉かったんだぜ?」

 

「……トックウキ…50mってかなり大きいよね。なんなら先日D.U.に出た()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だし。店長が指揮してた部隊が相手してたのは、やっぱりヒトが作った同じサイズのロボット?」

 

 超大型ロボットと言ったらSF作品の中やミレニアムぐらいでしか話を聞かない。

 四人はヘビクラがこちらに背を向けていたので気づかなかったが、彼はカヨコが口にした複数のフレーズに目を細める反応を示していた。

 

 いいオレンジ色になったチキンライスを中華お玉を器用に扱って四枚の皿によそいながらヘビクラは答える。

 

「……いんや、相手は人類文明に仇なす歩く天災……怪獣だった。特空機はソイツらをぶん殴るために建造されたんだよ」

 

「「「!!」」」

 

「俺のいたトコ…ニッポンは怪獣災害が他の国と比べても群を抜いて多くてなぁ。“怪獣大国”なんても揶揄されたぐらいだ。ヤツらには通常兵器の効果は今ひとつときたもんだから毎度毎度嫌でも総力戦になる。非常事態宣言なんて週一感覚だぞ? こんなこと続けてたら経済はガタガタ、国なんかすぐに疲弊する―――そこである優秀な日本(ヒノモト)のお偉いさんは考えた。『巨大なヤツには巨大なヤツをぶつけりゃいいじゃねえか!』ってな。そこから生まれたのが“対怪獣特殊空挺機甲”…さっき話した特空機、夢のスーパーロボットってコトだ」

 

 ヘビクラのいたと言う外の世界の話を聞き、カヨコが珍しく目を見開いた。

 

「――驚いた。いや本当に。店長の住んでた世界にも怪獣がいたなんて……」

 

「まさかキヴォトスにも怪獣が出るなんてな。ここはそういうのとは無縁な土地だと思ってたんだが…」

 

 はーい、とムツキがまた質問する。

 

「ちなみに軍隊に入る前はショーちゃん何してたの?」

 

「ん?――ちょっとお屋敷の召使い(執事)やってた♡」

 

「――ゔふっ!!」

「ムツキ!?」

「大丈夫?ハンカチ貸そうか?」

 

 唐突なる闇のカミングアウト。

 ムツキにとってそれは二重の意味でツボかつ不意打ちであった。白目を剥いて心配するアルに背中をさすられている彼女は、テーブルに俯いたまま、プルプル震えている。

 “闇の執事”のインパクト、恐るべし。

 

 前職と前々職の温度差(ギャップ)…に加えて、いい歳こいた野郎(おとこ)による「♡」マーク付きの返答はムツキにとってあまりに予想外なものだったに違いない。

 カヨコから差し出されたハンカチを受け取りながら彼女は呼吸を整えた。

 それを見届けたヘビクラが身の上話…というより元所属組織のあれこれの話を再開した。

 ここは地球じゃない。守秘義務もラッキョウも無いので好き勝手喋れるのである。……もっとも、ヘビクラは既に件の防衛軍を辞めているし、元々()()()()()()()ので、それ以前の話だったが。

 

「……まあ、怪獣と同サイズのロボットの建造とそれを運用する部隊の創設しようなんてのは軍にとって、ノウハウも何もかもがゼロの、初の試みだった。当然、上の連中には懐疑的、否定的な意見を持つ奴だっていたさ。想像できるかもしれないが、歩けて戦えるでっけー鉄の塊を作るのに掛かる時間や予算、資材、人的リソースのコストは正に莫大。俺の上長だった人から聞いた話だが……『新概念兵器の開拓なんて悠長なこと言ってんじゃねえぞタコ』ってオブラートにも包まず言ってきたのもいたぐらいらしい。実績のある既存部隊の強化と、それらの延長線にある対怪獣技術・戦術ドクトリンの研究に費やした方が遥かに有意義だともな」

 

「「「うわぁ…」」」

 

 試験部隊として認可されてからは、それはそれで大変で、空母打撃群を一つ二つ新しく作る方が早いし安上がりなんても言われたし、苦労して確保できた予算も資材も雀の涙ほどなんてしょっちゅうだったなぁ…とウンウン頷きながらヘビクラが染み染み語る。

 

 チキンライスに視線を注いでいるハルカを除く便利屋三名は彼の背後から漂う疲れた社会人オーラのようなものが見えた気がした。

 

「それは…大変だったね……」

「マスターから滲み出てる神秘のオーラみたいなやつ…あれもハードボイルドなアウトローに近づけば会得できるもの…なのかしら?」

「あはは、アルちゃんあれは多分違うと思うな〜」

 

 隠せなかった闇のオーラ。

 中間管理職(おとな)は辛いのである。

 

 銃火器がなくてはならない日用品の一つであり、個性を主張するためのファッションともなっているとは言え、従軍経験の無いキヴォトスの可憐な(?)女子高生である彼女たちからしたら、聞いている内容の半分ほどが最早何のこっちゃの状態になっているが、彼の振る舞いや話し方、雰囲気的に「かなり大変な思いをしてきたんだなぁ」と察し、労いの言葉を掛けたりするぐらいには同情していた。

 

 それはそれとして、店主はしれっと作り終えていた四人前のオムレツをチキンライスの上に乗っけていく。

 

「―――で、そっからなんやかんやあって試験部隊から格上げされて実戦に耐えうる正規部隊としてスタートして…またなんやかんやあって転職活動してたら………ゲヘナにいたのよ、いつの間にか」

 

「うん。やっぱり店長がキヴォトスに来たあたりの話、何度聞いてもよく分からない」

 

「大丈夫だ鬼方。俺自身あんまり分かってない。心当たりがいくつか、ないワケじゃないが………うん駄目だ。やっぱりわっかんね」

 

 相変わらずヘビクラの手元の動きは止まっていない。

 開かれたオムレツの上に、カマンベールチーズを乗せ、ガスバーナーで火炙りにしている。

 

「………てか、もろ愚痴みたいな自分語りになっちまったな…すまん」

 

 まんま呑兵衛のダル絡みだったわ、と気恥ずかしそうに後頭部を掻きながら謝るヘビクラに対する便利屋少女らの眼差しは温かった。

 

「いいんだよ〜? 話振ったのはコッチだったし」

「私たちの知らない店長の話が聞けたから、気にしてない。寧ろ満足してる」

「そうよマスター! マスターから聞く話に不要な内容なんて皆無!その全てがハードボイルドなアウトローを目指す私たちにとって糧となるものなんだから!! ねえ、ハルカもそう思うわよね!」

 

「へぇ? あ、はい。私も美味しそうだと思ってましたアル様」

 

 チキンライスがオムに包まれ、更にその上に乗せられたカマンベールチーズが“清渓川(チョンゲチョン)”を彷彿とさせる雄大な白亜の大河を皿の上に形成する瞬間を片時も目を離さずに見ていたハルカ。

 話を振られたら、こうなるのは必然だった。

 

「「「…………」」」

 

「あっ、あのっ! わた…私、何かやらかしてしまいましたか…!? ……こ、ここは自害して贖罪の機会とさせてくだ―――」

 

 そう言うとハルカは背中にスリングで引っ提げていた己の半身よりも長い散弾銃(SG)__愛銃“ブローアウェイ”__を両手で持ち、自身の口に銃口を咥え込もうとした所で、ヘビクラがカウンター越しに銃身を掴んでグイッと彼女からやや強引に引き離した。

 

「―――違う違う。やめろ伊草、落ち着け。お前は何もやらかしてない。……そんなことしてもそこの三人は喜ばないぞ?」

 

「あう…す、すみません…ご迷惑をお掛けしました……」

 

 叱責…というよりも、説得に近い穏やかな口調と表情で店主がハルカの目を見ながら言い聞かせた。

 それで彼女も正気に戻ったのか、皆への謝罪を挟み没収された愛銃をヘビクラから返してもらうと、席にちょこんと座り直した。

 

「――さて…………お待たせ致しました、お嬢様方。こちらが、本日の目玉である“ふわとろオムチーライス”でございます。どうぞ…召し上がれ」

 

 わざとらしい咳払いを一つ、加えて仰々しい口上と闇の営業スマイルとをセットに、ヘビクラがゴトッ と四人の前に人数分置いたのは、芳醇な香りを漂わせる乳白色のオムライスが乗った大皿だった。

 

 眼前に出されたチーズオムライスに、便利屋四人は感嘆の声を上げる。

 さあ、ここから依頼開始だ。

 各々が思いおもいに「いただきます」と言い予め並べられていた銀のスプーンを手に取って試食に取り掛かった。

 スプーンで湯気立つオムとチーズとチキンライスを掬い、四人は口にパクリと含んだ。

 

 

 

 ――――瞬間、便利屋一同に電流疾る。

 

 

 

「「「おいしい……!!」」」

 

 全員が一口目であまりの美味しさに目を輝かせた。

 

 アルは旨さが全身を駆け巡り、口元を手で覆い白目を剥いて硬直。

 ムツキは「ん〜♪」と上機嫌に身悶え。

 カヨコは恍惚とした顔に一瞬なりかけるもクールフェイスに戻り黙々と食事を再開。

 ハルカは料理は逃げるものだと思ってるかのように何度もスプーンでライスを掬っては頬張り、木の実を口中に貯めるリスのようになっていた。

 

「……おかわりもいいぞ」

 

 四人それぞれの好反応を見れたことに店主はご満悦なようだ。

 どんどん体積を減らしていく皿の上のオムライス。これが朝食だと感じさせないほどの食べっぷりだった。

 

 

 

「「「ご馳走様でした」」」

 

 そこから三十分もしない間に、綺麗な白皿が四枚カウンターテーブルに並んだ。全員完食である。

 

「どうだった? ウチの新メニュー」

 

「――アウトローの勘が告げているわ……このオムライスは、間違いなくバカ売れメニューになる、って!!」

「ムツキちゃんもアルちゃんと同意見かな〜。滅茶苦茶おいしかったもん。ショーちゃんもまだまだやるじゃーん?」

「うん。これは社長も言ってるように流行ると思うよ。とっても美味しかった」

「店長さん、このような美味しい料理を振る舞ってくださりありがとうございます…っ!今日のご厚意は一生忘れません!」

 

 新メニュー“ふわとろオムチーライス”は大好評。

 四人揃ってレギュラーメニューへの格上げにゴーサインを出した。

 

 そうか〜と店主がそれを聞いて頷きながら、彼女達にサービスのデザート…“山海経高級中学校”自治区から仕入れている杏仁豆腐のカップをテーブルに並べていった。そして最後に柑橘系果実の橙色のソースをたっぷりとかける。

 この柑橘ソース杏仁も、オムライスと同様に便利屋四人にぺろりと平らげられてしまった。

 

「デザートの杏仁までいただいてしまったけれど……これで、今日の依頼は完遂ってことでいいかしら、マスター?」

 

 いち早く杏仁豆腐を完食し、口元を拭き終えたアルが席から立ちヘビクラに尋ねる。

 

「ああ。早朝からの危険依頼、受けてくれて感謝する。……次来たらコレ、使いな」

 

 厨房から出てきたヘビクラは退店の支度をする彼女達に「会計25%OFF♡」と書かれた闇の手作り割引券を握らせた。

 

「――ええ!また四人で来るわ。今後も、便利屋68をご贔屓にね!…………えっと、その…マスター?」

 

 それに元気よく返事をしたアルだったが、退店の直前…出入り口のドアノブに手を掛けたところでヘビクラの方へと振り向いた。しどろもどろ気味に、だ。

 

「ん?どした」

 

「……あー。ショーちゃん、()()だよ。()()。 最後にやったげてよ!」

 

 アルのおかしな様子から()()なるものを求めてることを察したムツキ。

 どうやらそれはヘビクラに頼む必要があるものらしい。

 

「ああ〜?()()かぁ? ヤだよ、めんどくせえ」

 

 店長も店長でムツキの言わんとしてることが分かったらしく、顔を顰めた。彼からすると()()なるものはあまり気乗りしないモノであるとのこと。

 

「おねが〜い」

 

「……………はあ…」

 

 結局、彼はムツキの懇願とアルのうるうるとした瞳からの訴えを無視できなかった。キヴォトスに来てから、彼は更に丸くなったのではなかろうか?

 闇のスイッチが点いたヘビクラが前髪をサッと掻き上げ()()をするべく、ニヒルな笑みを浮かべながら口を開く。

 

「――――便利屋を名乗ってるお前らに一つ教えてやる。――『見える(視える)ものだけ信じるな』」

 

 かつて、眩しく暑苦しい部下への稽古にて放った言葉である。

 

 これを聞いたアルは――――

 

「く〜〜〜っ!! 聞いたムツキ、カヨコ、ハルカ!? マスターの今日の格言!ビビッとキタわ!! 最っ高っに、ハードボイルドでアウトローじゃないのお!!」

 

 ――――感激で打ち震えていた。さもありなん。

 

 師匠とも言える茶店の店主に礼を言い、この感動を胸に抱きながら確かな足取りで彼女は朝日が昇ったゲヘナの街へと、何故か苦笑している部下らと共に繰り出すのだった。

 今日も、自身の掲げる理想に…キヴォトス最高のハードボイルドなアウトローへ少しでも近づくために………

 

 

 

 

 

 

―――9時。

 便利屋68(常連①)を見送った後、暫くの間来客は無かった。

 テーブルの拭き掃除と食器洗いをこなしながら、今日は悪くないスタートを切れたな、とヘビクラは一人思う。

 安らぎの時間だった。

 

 ……だが、()()はここからである。

 この喫茶が戦場(?)となるのはこの時間帯からなのだ。

 じゃじゃ馬もジャジャ馬な、一筋縄ではいかない一癖二癖もある子供達が何人も訪ねてくる。

 

 

 

 噂をすればなんとやら。そうこうしてる内に、本日二番目の()()()がやって来た。

 

――ガランガラーン!

 

「――たぁのもぉ〜。……ふむふむ、内装もなかなか洒落てるねぇ。良い店じゃあないか〜」

 

「いらっしゃい。何名様で?」

 

「四人だよ〜。フッ……伝説はここから…始まる……!!」

 

 

 

 ●アンウェルカム・ジャグリング―――!!

 ―――来たのは誰だ?

 

 闇の店主(マスター)のドタバタなる一日はまだまだ続く………

 

 

 





 あと
 がき

 皆様、わっぴ〜!(気さくな挨拶)
 山海経のカグヤさんがブッ刺さった投稿者(逃げるレッド)です。思想強めの黒ボブ調ハミデヤン族か……ふーん、どタイプだが???
 
 ……いやぁ『ガンダムブレイカー4』、オモロイですね…ナンバリングシリーズをやってきた亡霊の身としてはもう大満足。
 アセンと塗装とポージングだけで時間が溶けていく…
 因みに投稿者は宇宙世紀系(特にセンチネル・CCA・F91)でアセン統一してます。たまーに陸八魔ノーベルガンダムとか、真ゲッター1を作ってたり…
※2024/09/08 GB4、ストーリー全クリできました!

 闇の店長、相変わらずジャグジャクしてた。
 ガヨゴォオオオオオオオオ!!(オンドゥル)
 ヘビクラ隊長、ゲヘナだったらカヨコ・ヒナ・セナ・ハルナあたりとのコンビがめちゃ似合うと思うんすよね。アコちゃんは……分からん。

 性懲りも無くまた変なアンケ出しちゃいました。
 ベリアロクは本編のアビドスあたりで出すか出さないかはリア友と審議中です。導入のストーリーどないすっぺなって言うのが本音だったり。
 否決した場合はSP枠のIF一発ネタ回として出す可能性も微レ存……?
 分かる…分かるっすよ先生方……あの三人なら誰が魔剣持ってもおもろいもん。

 
※毎度お馴染みピックアップ解説コーナー
 (独自設定独自解釈共にもりもり)
 例によって今回も長めです。過去最長なので、飛ばしたい方は飛ばしてもらっても大丈夫です。

◯ジャグラスジャグラー/ヘビクラ・ショウタ
 
キヴォトス学名:ゲヘナジャグジャグヤミノヘビ

 “闇の仕草”でお馴染み、『ウルトラマンオーブ』で初登場した闇(と光の狭間)の人。宇宙全体でも稀に見ない波乱の人生を駆け抜けてきている闇堕ち経験者な純ヒューマノイドのイケメン。
 JJ。トゲトゲ星人。宇宙林業者。タイチョー。
 
 “殲滅機甲獣(デストルドス)”との最終決戦…『ウルトラマンZ』本編終了直後、財布と愛刀“蛇心剣”に自衛用拳銃、某“命の樹”盆栽とリクルートスーツの標準装備でキヴォトス召喚された。
 本作のミライ先生と同じ時空出身かは今のところ不明。
 
 後天的に会得した“魔人”の力で、“闇”属性のエネルギーを操る術に長けている。“蛇心流”…我流剣術や格闘技の心得もある生粋の武人でありながら、目標達成のためなら冷徹な判断も躊躇なく下せる現実主義の知略に優れた戦士でもあった。魔人形態時の戦闘能力は目を見張るものがある。
 元はクレナイ・ガイ(ウルトラマンオーブ)と同じ「光の陣営」に所属していた。又、“光”に選ばれた彼の相棒(バディ)兼指南役でもあったが、とある事件を機に衝突し敵対するまで関係が冷え込んだ。なおオーブ本編終了後の時系列では和解するまでに至っており、関係は完全とまではいかないが修復され、可も無く不可も無い状態に落ち着いている。
 彼が使う日本姓は半分Z世界の地球社会に溶け込むためのモノだったが、キヴォトスでも相変わらず使い続けているらしい。もう半分の理由は………

 余談になるが――
 
・宇宙平和維持機構(ボランティア)
 ↓
・闇堕ちヴィラン
 ↓
・上流階級者の世話係
 ↓
地球防衛軍(GAF)日本支部 独立戦闘部隊
 “対怪獣特殊空挺機甲隊(ストレイジ)”隊長 三等特佐

――と、かなり奇特な経歴を持つ御人であったりする。
 基本的にキヴォトスの子供達のことは苗字呼び。
 ゲヘナ生の傍若無人っぷりに毎日振り回されており、胃と毛根にダメージを蓄積させている。
 最近のマイブームはアルのおもしれー話を聞くこと。なんかナツカワ・ハルキのこと思い出してる。
 
???「お侍様(光の戦士)の戦い方じゃない…」
JJ「誉はカノンで死にました」

◯茶店『蛇』(補足)
 ゲヘナでいま最もトレンディな喫茶店。店周辺と店内は同自治区生徒会組織によって不可侵非戦闘領域…“聖域”なるものに指定されている。
 時間帯によってモーニング、ランチ、ディナーと注文できるメニューが変わる。看板メニュー“夜明けの珈琲(サンライズ・コーヒー)”だけは時間帯の制限無くいつでも頼むことができる。
 上記でも少し触れてるように、ゲヘナ生徒たちはこの店へ危害を加えることをタブーとしている。これを破るとネームド非ネームド関係無く怒れる常連たちによる熾烈な…そりゃあもうすごい報復を受けることになる。食後のプリンも恐らく毟り取られるか没収される。可哀想。

 なんか最近他校自治区からもお客さんが来るようになってきて店長がニヨニヨしてるらしい。闇の微笑み(スマイル)

◯茶店『蛇』のドアベル君
「前任者は(度重なる1D100の強度検証で)破壊されました。私は新品(新型)です」

◯自動拳銃 SFP-9
 地球の地域国家・ドイツ連邦で開発された9mm口径の実弾ハンドガン。我々の史実世界では日本の陸上自衛隊や警察で2020年頃に調達が確認されている。
 Z世界地球では防衛軍日本支部(GAF-J)の正式採用拳銃だったため、ヘビクラ隊長は所持し(パクっ)ていた。

 投稿者は拳銃だとグロック大好き。よく現代系FPSゲームでお世話なってます。

◯ゲヘナ学園・風紀委員会
 ゲヘナ学園自治区全域の治安維持を担当する警察的組織。ヴァルキューレ警察学校・ゲヘナ支部署とは捜査協力等の協定を設けており、合同訓練などで交流を重ねている。
 同学園の委員会・部活動・クラブの中でも他の追随を許さぬトップクラスの人員数を誇り、平時には展開能力に優れる200名規模の一個機械化中隊でパトロール等の通常任務にあたり、非常呼集時には600名規模の三個機械化中隊(一個機械化大隊)が即座に編成され、増援として迅速に作戦地域へ投入される。
 軍隊式訓練によって鍛え上げられた高度な練度、旺盛な士気、豊富なマンパワーを活かした人海戦術を駆使して日々ゲヘナの秩序維持に尽力している。装備は後述の生徒会組織“万魔殿”と同じく独国(ドイツ)系のものが採用されており、一説では有事の際に万魔殿との物資相互供給を含む十全な協力体制を迅速に構築するため、数世代前に装備統一運動が為された結果なのだとか。
 又、件の万魔殿側から幾分か行政権を委譲されており、治安維持組織とは思えないほどその業務は多岐に渡っている。これが当代風紀委員長がシナシナになっている原因の五割である。残り半分は昼夜問わない出動と執務による就寝時間の減少によるストレス。

 茶店『蛇』の隠れ常連を多数輩出している優秀な委員会でもある。

◯ゲヘナ学園・万魔殿
 独自の戦力(私兵)を有する同学園の生徒会(行政府)。別名「イブキを愛でる会」。
 攻守に優れる旧ドイツ国防陸軍系の強力な装甲戦闘車両で固めた装甲師団を主力とする陸戦部隊と、精鋭の選抜武装親衛隊を保有する。又、空軍…と定義できる規模とまでとはいかないが、飛行船(エアシップ)回転翼機(ヘリコプター)多用途無人機(マルチロール・ドローン)をそれなりの数配備している。
 風紀委員会との(平時の)関係は険悪劣悪であり、時々校舎内外で銃撃等の小競り合いが発生するほど。
 
 仮想敵校は“トリニティ総合学園”。要マークしている同校部隊は“ティーパーティー”隷下の近衛戦闘団「パラソル」。
 上記のオリジナル日傘部隊は本編が対策委員会編まで進んだら例の話で登場させて解説もします。
 ゲヘナ・トリニティ両校にも強化パッチは必要だと思ってね…

 茶店『蛇』の隠れ常連を多数輩出している優秀な委員会その2。

◯ゲヘナ学園・便利屋68
 とある同学園生徒四名が立ち上げた「金を貰えばなんでもする」アウトローな部活(企業)。“一日一惡”がモットー。
 所謂“万屋(よろずや)”。
 例のBGMと白目剥きがお家芸になっている社長だが、なんとゲヘナにあるまじき人情家かつ人格者。どうなってんだ。なお社員も社員で個性派揃いな模様。
 闇の店主(マスター)曰く「おもしれーやつら。特に社長が♡」。
 
 ()()()()ゲヘナ自治区内でもトップの強さ。
 バランス型の「少数精鋭」を地でいくスタイルで、遊撃、待ち伏せ、強襲…正攻法から絡め手まで凡ゆる戦法に精通しており、大規模集団(風紀委員会)相手にさえ膝をつかせる実力を有する。
 弱点は予算と社長の善玉精神(良心)
 
 本作世界線では事務所を茶店『蛇』の上階に置いているので正史原作における出身自治区外への事務所移転イベントそのものが無くなっている。
 これもベリアル陛下のご加護かもしれない。

 茶店『蛇』の常連グループその1。

清渓川(チョンゲチョン)
 地球・大韓民国にある清らかな聖地的河川。
 非常に凶暴な人食いピラニアや殺人ズワイガニ、猛毒グッピー、福音レギオンエビ、人里に降りてきた黒豹などが生息する無法地帯と化しており、心の穢れた人間が入水するとたちまち水底まで引き摺りこまれ、原型を留めぬほどに身体中を貪られ裁かれるらしい。
 “叡智”と不退転の覚悟を持つテコンドー有段者は入水しても生還が可能とされている。

 ―――実際には首都ソウルの著名な観光地の中心を流れる浅めの、ごく一般的な河川である。
 EXジャンボタニシとか巨大ホワイト・アリゲーターなんてのもいない。いてたまるか。

【偉大なる統括Pの築く千年王国に、冒険心を失った臆病者は不要なのだ…。哀しき哉、今日も清渓川は赤く染まるだろう――】

◯山海経高級中学校
 地球・東アジア地域に座する中華圏国家群に酷似した伝統的文化・思想等を色濃く持つ学園自治区。
 当学園の大半の生徒らはチャイナドレス(チーパオ)風の制服を着用している。え口いぞ中国すごいぞ中国。
 
 観光業が盛んであり、飲食業と結びついて自治区内の雰囲気は快活。
 だがその一方で、学園トップやその下部構成員らの中には“伝統”、“歴史”を重んずる閉鎖的・保守的思想の者が多く、自治区外部から“変化”を持ち込んでくる存在へは実力行使での排除も厭わない過激派も一定数存在している。
 この歪さの解消には暫くの時間を要するだろう。

◯ ヘビクラの眩しく暑苦しい元部下
 ―――押忍ッ!!
???「このペンギン野郎ーっ!!」


 
 高校時代、特撮復帰のキッカケになったのがウルトラマンZだったので、ヘビクラ隊長とハルキ・ゼットさんがめっちゃ好きです。
 ヘビクラ隊長もシャーレの先生候補だったけれど、この人ゲヘナに入り浸るイメージしか湧かなかったので…

 なんか、気づいたら便利屋とのやりとりだけで一話分なっちゃったので前後編に分けてお送りすることになりました。長さによってはもしかしたら次回が中編へ変更になるかもしれない…

 

 次回、【闇の店主(マスター) -後編-】
 お楽しみに。

 

ベリアロク、持たせるなら誰?

  • シロコ
  • アル
  • あはは…(ダークファウスト)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。