日々の未来の青春譚 -メビウスアーカイブ-   作:逃げるレッド五号 5式

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13.【フトモモのユウカ/ノアの微笑】

 

 

 

―――“G事変(ゴメス・ショック)”終息から凡そ一週間と数日後

 

 

 

D.U.外郭区 中枢市街地

 連邦捜査部(シャーレ)部室(ビル)

  本棟地上区画 捜査部事務室

 

 

 

 独立連邦捜査部“S.C.H.A.L.E(シャーレ)”。

 先のD.U.外郭区の特殊災害の復興開始宣言とほぼ同時期に連邦生徒会・行政委員会より設立の発表がなされた、超法規的部活動。

 その拠点こと部室がここ、同区中枢市街地の真ん中にある。…部室と言うには些か広大すぎる敷地と建造物群を有しているが。

 

 そんな部活動…シャーレであるが、特異な立ち位置にある組織ということに加えて、今では耳にするのも珍しい“先生”なる肩書きを持つ外の世界の大人__純ヒューマノイドの青年__を代表(顧問)に据えた部活ということで、その知名度はG事変の熱りが冷め始めて以降、上昇の一途を辿っていた。

 

 学園都市の生徒達の、同部活並びに顧問への興味関心は一般市民と比べてなお高い傾向にあった。

 又、公式にシャーレ側も部として始動したと発表するのと同時に、キヴォトス全域に依頼・相談の募集を掛けたのも合わさって、市民…特に様々な自治区の生徒とシャーレの先生間で交流が加速。

 シャーレの先生、ヒビノ・ミライの熱心な対応は瞬く間に評判となり、信用と信頼を勝ち取りつつあった。

 

 しかしそんな注目部活たる連邦捜査部にも無視できない問題が表面化しつつあった。

 人手不足…即ち部員の確保問題である。

 

 シャーレの正式な所属生徒の数は現在ゼロ。

 この深刻なる人手不足問題の解決は急務だった。

 

 今後予想される依頼・相談の件数増加や事件の同時多発による業務のパンクを発端とする機能不全を回避するためにも、ミライはアロナの助言も取り入れ、有期契約部員(アルバイト)採用の他、正式部員の募集と紐付けた“仮入部制度”を打ち出した。

 

「――せ・ん・せ・い〜? このくっしゃくしゃの領収書に書いてある金額、なんですか?」

「あ、えっと…それはホビーショップで買った――」

「――ユウカちゃ〜ん。こっちにも未提出の領収書、ありましたよ〜」

「ノアちゃん!? いつの間に…!?」

 

 その()()()()()が、()()である。

 

 現在、シャーレ顧問のミライは仕事場である事務室の床に苦しげな表情で、嫌な冷や汗を流しつつ正座していた。

 ……“ミレニアムサイエンススクール”の制服を纏った二人の少女に見下ろされながら。

 

 特定の界隈に身を置く者たちにとっては、ある種の?()()()とも言えるシチュエーションなのかもしれないが、残念ながらミライはそれに当て嵌まる人物ではなかった。

 

「…………ミライ先生。私は何もプライベートでのショッピングが駄目だ、悪だなどとは言ってません。ただ……いくらご自身で稼がれた給料だからといってもコレは限度を超えてます!! それ、先生の食費やらの生活費も兼ねてるお金ですよね!?」

 

 雷落としたオカンと言われても遜色ない形相でミライを怒鳴りつけているのは、部室奪還作戦で即席分隊の一員として共に戦ったユウカであった。

 

「はい……その通りです…お給料とその他手当てから引き出したお金です……」

 

 シュン…とした顔で俯き、ユウカの質問に答える覇気の無いミライに更なる追い討ちが入る。

 

「ヒビノ先生? こちらの領収書のご説明もしていただけますか〜?」

 

 容赦なき追撃者はユウカと同じ“セミナー”所属であることを示す白いジャケットを纏った白髪ロングの少女である。

 彼女のフルネームは生塩(ウシオ)ノア。ミレニアムの二年生で、セミナー書記を務めている。

 ユウカとは親友であり、支えたり支えられたりの関係といったところか。

 

「う……そ、それは……」

 

 ユウカとノアは今日の“シャーレ当番”としてやってきた仮入部員だった。

 因みにだが、ノアはシャーレに訪れたのは今回が初。ノアがユウカに引っ付いてきた形である。

 恐らくは、親友がここまで世話を焼き、日常会話にまで何度も登場するようになった“先生”なる大人…ミライに少なく無い興味を持ったからなのだろう。

 

 基本、上記当番に選出された生徒は、先生(ミライ)の業務の補佐を任される。

 今回のユウカとノアが当番として受け持った仕事は彼の書類整理の手伝いであった………と、言ってもミライの超人スペックにより朝から始まった室内業務、特にデスクワークは昼前には全て終わり、残りは各種設備・機材の見回り点検ぐらいで、時間を持て余した。

 

「ちょっとノア、そのレシートも貸して」

 

「は〜い。どうぞユウカちゃん」

 

 そこで二人によってミライの身の回りの…作業机の整理整頓をしましょうとなり…このような状態になるに至る。

 諸々の事情は置いておき、端的に説明すると…ミライは後先顧みない金の使い方を生徒二名に叱責されていたのである。

 

「これはシャーレ支店のエンジェル24のレシートね……こっちのは“モモホビーズ”D.U.中央区本店の領収書…“超合金SOUL DX.KAITEN FX Mk-0”に、“空力浪漫 キヴォトスホーク1号”って――」

 

「あ、あの、ユウカちゃん……?」

 

 親友から受け取ったレシートと、元から手に持っていた領収書の内容を交互に見るユウカの顔が、ノリノリニコニコ顔のノアとは正反対に段々険しくなっていく。心なしかその両手がわなわなと震えているようにも見えた。

 

「――先生っ!一度にぽんぽん買いすぎです!!GUYSに在籍されてた時はどんな金銭管理をされてたんですかっ!?」

 

 室内に二度目の極大カミナリが落ちた。

 歴戦の戦士たるメビウス(ミライ)でもキュッと肩を窄めるほどの剣幕での大爆発、否、大々爆発であった。

 

 ユウカが先生と呼ぶこの目の前の天然青年は、一応成人している筈なのだ。

 自分らよりも社会通念というヤツを痛く理解し、カネの重さ尊さを深く深〜く学んでいる大人である筈なのだ…

 それなのに、何故なぜなんで?――と込み上げてきた末の怒りの大噴火だった。

 

「GUYSってほぼ怪獣用の“軍隊”なんですよね!?」

「正直、お話しを聞くまでは、ヒビノ先生が軍経験者だとは思いませんでした」

 

 ……更に付け加えるならば、彼は「規律にうるさい厳格組織」の筆頭たる軍隊に属していた元軍人である。

 

「ガ、GUYSにいた頃は、お給料とかは全部サコミズ隊長とミサキさんに管理してもらってて……月に決まった額のお金を……」

 

 戦々恐々。ミライ顧問は魔王の形相と化しているユウカ会計の問いにただただ正直に答えることしかできない。

 

「要するに、お小遣い制だったと」

 

 ははあ、なるほど…とノア書記が要約し相槌を打つ。

 

 ―――ミライの故郷、光の国にも“ウラー”なる星系標準通貨が現存しているし、交流の盛んな近隣銀河の他星文明の幾つかにもそれぞれ独自の貨幣は流通していたので、彼にも貨幣・資本に対する理解と知識はあったが…

 

 半永久的かつ無尽蔵に供給できる光子資源…プラズマスパークエネルギーを獲得してからと言うもの、エネルギー資源が貨幣の立ち位置へ丸々置き換わったことで、カネの必要性が欠如したウルトラ族の貨幣経済は衰退し、その一部は自然経済…物々交換へまさかの先祖返りを果たして久しく…メビウス地球赴任時代の時点で、件のウラーはやや希少性のある記念通貨程度の立ち位置に成り下がっていた。

 

「うん。そうなるね…あ、いや、そうなりマス…ハイ」

 

 ……結論から言うと、地球赴任(来訪)当初のミライは、地球文明で扱われている各種貨幣の…「カネを使う」と言う()()が著しく欠落していたのだ。

 それは、サコミズ隊長とミサキ女史のGUYS JAPAN首脳部二名から懇切丁寧に地球の惑星的、国家的常識等を教えられた上で、なおであった。

 

 これに関しては無理からぬことであったようにも思えなくはない。百聞は一見に如かず。事柄を一度見聞きして、見様見真似で一発成功が出来るならば誰も苦労はしない。

 それは宇宙でも上位に入る優秀な頭脳の持ち主であるウルトラ族のミライも例外ではなかったというだけなのだ。

 

「ヒビノ先生は、好きなモノを見つけたら条件反射で購入に走ってしまう傾向にあるようですね♪」

 

 ……だが問題はもっと別にあった。

 それは極度の「浪費癖」である。

 気になったモノは手に取り確かめ、取り敢えずカゴに入れる…ミライはこのタイプだった。

 

 地球滞在期の後半には、やや改善の傾向が見られたのだが…数万年ぶりにもなる久々の体験により、その()()が復活してしまっていたのだ。

 又、それに加え、先に触れた“食”も絡んでくるので、金銭の消費スピードは地球滞在時と同等か、それ以上であった。

 

「その通りだね…あ、いや、デス」

 

「……先生はもっと大人としての自覚を持って、消費は計画的にですね――」

 

 ユウカの言葉はそこで止まった。目の前で正座しているミライがあまりにも物悲しい顔をしていたからだ。

 

 常日頃より凡ゆる事象を数学に置き換え解釈しようと息巻いているユウカだが、その性格は本人が聞けば声を荒げて否定しようとする可能性はあるものの…感情に揺り動かされる文系型であると言える。

 …極々一部のミレニアム生より“冷酷な算術使い”などと呼ばれ恐れられている彼女とて、自分がそれなりの感情を向けている相手にここまで萎縮されれば流石に揺らいでしまう。

 

(……今回は、ここまでしておこう…。やむを得ない…そう、これはやむを得ない合理的判断なのよ早瀬ユウカ。これは、決して…決して先生に苦手意識を抱かれることを恐れての、感情的な妥協とかなんかじゃ…)

 

 これ以上怒鳴り散らして、くどくど注意叱責をしても双方に益はない。なんなら時間の無駄である。この状況自体、あまり本意ではなかった。

 感じる必要の無い罪悪感すら芽生えつつある。

 

 ――聞くこと聞いて別の話題に移ろう。

 

 そう一人で思い立った__半分自身にそれの正当性を言い聞かせた__ユウカが、大きめの溜め息を吐いてから顔の表情を緩めた。

 

「………まあ良いです。今回のは目を瞑ってあげます。…今後はちゃんとお財布の中身と、口座の残高と相談してから節度あるお買い物をしてください。いいですね、ミライ先生?」

 

 すっかり大人しくなってしまった目の前の大人に、ユウカが手を差し伸べ、彼に立ち上がるよう求めた。

 

「じ、G.I.G!」

 

 正座の姿勢を正し、背筋を伸ばして起立すると「了解」の意を唱えるミライ。

 

「た・だ・し、次にまた無計画かつ短期間の大量消費なんてしたら、ミレニアムに連行して一日みっちり資産運用に関する講習を受けてもらいますからね!」

 

 そこにユウカが、ずいっと顔を近づけ再発防止の念押しをした。

 

「う、うん。分かった」

 

 ミライはそれに首をブンブンと縦に振って頷いた。

 

 彼女の口からは脅し文句のようなモノが飛び出てきたわけだが、その根底にはミライが金銭トラブル等に巻き込まれないかの心配をしている親心のようなものがある。

 それをノアがユウカの一歩斜め後ろで微笑ましく見ていた。

 

「ふふふ…ヒビノ先生は、ロボットとか航空機がお好きなんですか?」

 

 そんなノアが机の上に飾られた飛行機械模型…キヴォトスホーク1号を優しく手に取って眺める。

 件の模型は、キヴォトスの人気特撮作品にて皆勤賞を取っている、どんな怪物――モモフレン獣でも立ち所にやっつけてしまう架空の最強戦闘機。

 

 ……その特徴的な直線基調のフォルムとダブルデルタ翼、如何にも「分離も合体もできます」と示すデザイン、そしてその愛称も相まって、フェニックスネスト地下格納庫に飾られた写真に収まっていた…大型戦闘攻撃機、“ TDH UH001 ウルトラホーク1号”を思い起こさせた。

 

「えっと、特に思い入れが強いのは………戦闘機かな。何度も助けられたんだ…本当に、何度も…」

 

 そう話すミライの目は、どこか遠くを…蒼空の彼方をぼんやりと…ではなく、たしかに真っ直ぐ見据えていた。

 

 彼の瞳の中の、キヴォトスとは違う…何処までも広がる青い空には、雄々しく舞う“不死鳥の炎”を纏った魂の翼が映っている。

 

 ――“第二次怪獣頻出期”という世界規模の危機到来により地球人類の生存圏は再び脅かされることとなった。

 その危機を予見し、打破すべく作り上げられたのが――

 

 人々が空に希望を求め託した、魔を払う剣にして盾。

 文明技術の粋を集め創り出した、鋼鉄の巨鳥。

 星の世界の力が刻み込まれた、夢の超兵器。

 

 ()()はいつも、地球の平和のために戦う()と共に在った。

 

「―――戦術戦闘攻撃機、“ガンフェニックス”のことですね?」

 

――ヴン…!

 

 彼の発言にアタリをつけたユウカが手元のタブレットを何度か弄り、名前の挙がったGUYSマシン…ガンフェニックスの回転ホログラムを出力させ、部屋の中空に大きく投影する。

 

「たしか…ヒビノ先生がいた世界における、当時最高峰の傑作戦闘機だと、聞き及んでます。私はオデュッセイアの空母艦載機――〈F-14〉や〈AV-8B〉を自治区間親善航空ショーと言った交流イベントなどで何度か目にしたことがありますが、やはりこうして見ていると…運用理念や技術体系などの違いもあってでしょうが、近しい点もあれば掛け離れている点もチラホラと見受けられますね」

 

 ホログラムと手元の模型を交互に見遣りながら、ノアが著名なキヴォトスのジェット式有人固定翼機を引き合いに出して率直な感想を述べる。

 

「……“俺たちの翼”。色んな人たちの想いを乗せて飛翔する、絆の象徴だったんだ」

 

 ――統合打撃戦闘機ガンフェニックス。

 

 当時のM78地球基準で理論上の第7世代型…メテオール搭載空宙両用軍用機に分類される、主力攻撃戦闘機“ガンウィンガー”及び多目的重戦闘機“ガンローダー”がドッキングすることで成るCREW GUYSが誇った極めて強力な戦術級の可変合体戦闘機だ。

 

 ミライは、幾度もこの鉄鳥と、それを駆る仲間達に窮地を救われた。

 この翼との出会いが無ければ、彼は今ここにいなかったと断言してもいいだろう。それほど彼にとってかけがえのない、思い入れの強いモノである。

 彼の心の空には今でもその不死鳥の翼が羽ばたいているのだ。あの姿を思い出す度、前へと踏み出す活力と勇気を貰っている。

 

「……きっと僕は、ヒトが何かを想って力を合わせて一生懸命作ったモノが好きなんだ。誰かの、血の滲むような努力から生まれた結晶は、どれも眩しくて、何よりも尊く見えるから」

 

「ミライ先生って、たまに詩人みたいなコト仰いますよね」

「私は素敵なものの見方だと思いますよ♪」

 

 二人の言葉を受けてミライが気恥ずかしそうにはにかんだ。

 

「――――あっ…そうだそうだ、忘れてた! 二人とも、ちょっと待ってて!」

 

 そこで何かを思い出したミライが、事務室の奥…給湯室へタッタッタッと小走りで消えていった。

 彼のとった突然の行動にポカンとするユウカとノア。

 二人が頭に「?」を浮かべていると、白く小さな紙の箱を持った笑顔のミライが給湯室からすぐ戻ってきた。

 

「ちょっと早めのオヤツの時間ということで…()()、皆んなで食べよう!」

 

 そう言ってミライは箱の上面を開けて彼女達にその中身を見せる。

 

「……! あの茶店『蛇』が出してる数量限定のプレミアムケーキセットじゃないですか!?」

「まあ…!ヒビノ先生、本当に私たちが頂いてもよろしいのですか?」

 

 中には食欲唆る色とりどりのケーキがずっしりと詰められていた。

 そしてそれらがゲヘナで有名な喫茶ブランドのケーキであることに気づいて二人は二度驚くこととなった。

 ミレニアムでも茶店『蛇』の名前は広まっているらしい。

 

「うん。実はこのケーキ、トリニティのハスミちゃんから貰ったものなんだ」

 

 ケーキの贈り主はユウカも知っている人物からだった。

 シャーレ奪還作戦時、正義実現委員会のNo.2たる彼女の卓越した狙撃能力は正に八面六臂の活躍であった、と誰もが口を揃えて言うだろう。

 特に、自身含む他分隊員とミライの支援があったとは言え、碌な対戦車装備も皆無な状況で装甲目標(クルセイダー)撃破を成し遂げたことは今でも鮮明に記憶に残っている。

 

「羽川さんからの…? えっと…それって私たちが食べて大丈夫なんです? このケーキ、羽川さんがミライ先生に食べてほしくて渡したんじゃ…?」

 

 しかしユウカが待ったを掛けた。

 目の前のケーキボックスに対する、一つの仮説が脳裏に浮かんだからである。

 仮にこれが、ハスミのミライ個人に対する土産の品だとしたら、部外者だろう自分とノアが食べる資格は無いのでは、と。

 

 それをミライが笑顔のまま首を横に振って否定する。

 

「いいや、その心配は要らないんじゃないかな。ハスミちゃんからは『()()()()()()()()で召し上がってください』って言われててね。ほら、仮入部とは言えユウカちゃんもノアちゃんも、シャーレの一員なのは変わりないし。ね?」

 

「そういうことでしたら、お言葉に甘えて……あら?ユウカちゃん?」

 

 急にもじもじし出したユウカに気づいたノアが彼女に声を掛ける。

 

「えっと…私は、その……今の時期に甘味は…」

 

「もしかしてユウカちゃん、ケーキは嫌いだった…?」

 

 再びしゅん…とした顔になるミライ。

 その様子を見たユウカが慌てて誤解を正す。

 

「いえ、断じてそういうわけではなくって…! 寧ろ好物の一つで……ただ……」

 

「ただ…?」

 

 逆に今度はミライが頭上に疑問符を浮かべていると、ノアはユウカが躊躇する理由が思い当たったようで、ポンと手を叩いて口を開いた。

 

「あ……ユウカちゃん、もしかして…春先の身体検査でコユキちゃんに数値を改竄(イタズラ)された件…気にしてますか?」

「あっ!ばっ!? の、ノア!それは言わないで!」

 

「その身体検査…で、何があったの?」

 

 “春先”、“コユキちゃん”、“身体検査”、で…“イタズラ”。

 事情を露ほど知らないミライは二人のやりとりとその内容に首を傾げるばかりである。

 顔を真っ赤に染め慌てて口を塞ぎにかかってくるユウカを捌きながらノアがそれにすらすら答える。

 

私たち(セミナー)の後輩…コユキちゃんは所謂、悪戯っ子と言いますか、問題児に当て嵌まる子なんです」

 

 でも根は本当に良い子なんですよ? と、そうノアがミライに誤解されないよう付け加える。

 彼女が困ったような笑みを溢していることからも、そのコユキなる後輩を何かと気に掛けているのが感じられた。

 

「それで。簡潔に、コユキちゃんが何をしたのかと言いますと、検査で測定されたユウカちゃんの体重データの数値改竄です」

 

「かいざん」

 

 子供の口からはあまり出る事の無いだろうワード。

 噛み砕くように、或いは意味を再確認するように、ゆっくりとその単語を一文字ずつミライは発した。

 

「はい、改竄です。体重数値を三桁――100キロに」

 

 あっけらかんとノアは答える。

 

「あぁ……それは…………」

 

 体重をいきなり100kg超過で不正に記録されるなど、たまったものではないだろう。

 それに加えて、何処から広まったのか「足が石像並みに太い」だの、「太ももから“ヌッ”と音がする」だのという意味の分からない噂さえ出回ったらしい。

 こうまでなってしまうと、噂の渦中にある本人であれば余程天然か鈍感でない限りコンプレックスを抱くのは当然と言える。

 

 彼女達の母校、ミレニアムサイエンススクールはキヴォトスの中で最も技術の発展が進んでいる学園自治区だ。

 一部の校外秘のものを除き、一生徒の成績表から次期の学年別実力テスト問題に至るまで、凡ゆる情報がデータ化され校内の専用サーバー群にて厳重に管理されている。

 

「……どんな暗号やセキュリティも、紙切れ同然ってことだね」

 

 この手の電子的セキュリティは恐らく外側からの攻撃を想定している。

 だが今回のユウカの件は管理者側…それも高い電子技術を持つコユキにより内側から崩された。

 如何に強固かつ厳重なセキュリティを施していても内部不正が行われればそれらも形無しだ。

 

「はい。それ加えて処理速度は量子コンピュータに匹敵するかと」

 

 量子コンピュータと人力でタメを張れる…そんなとんでもない生徒の情報がノアの口からさらりと飛び出した。

 

「りょ、量子コン……」

 

「ん〜♪ やっぱり限定品なだけあって、とっても美味しいです」

 

 ミライは目をまん丸にして驚きを露わにし絶句しているが、当のノアは一足先に限定ケーキの一つ…クリームたっぷりのモンブランケーキを美味しそうに頬張り始めていた。

 

「……と、言うわけで、今のユウカちゃんは身体面…特に体重と紐付けられるものに対して極度の忌避感を抱いてしまっているんです」

 

「そ、そうだったんだね…」

 

 綺麗に一個目のケーキを食べ終えたノアがそう締め括った。

 因みにこの間、ユウカは「言わないでって言ったのに…ノアのイカソウメン…」などとボソボソ言いながら、真っ赤な頬を目一杯膨らませて拗ねていた。

 

「―――でも、やっぱりお菓子を控えることに繋げちゃうのは違うんじゃないかなって僕は思うよ」

 

「そう…でしょうか…?」

 

「うん。改竄の件も含めて、その噂は根も葉もないものだし。これまでの話を聞いた限りだと、ユウカちゃんの日頃の業務で消費されるカロリーもそれなりに多いと思うから問題ないと思う。……それに、ここはシャーレだからね。僕らしかいないから変に遠慮する必要は無いよ。だからほら、三人で食べよう?」

 

 ユウカちゃんは、寧ろ細い。ミライはそう思っていた。

 又、彼女が特に気にしてるだろう大腿部(フトモモ)に関しては、同世代の平均よりもやや大きいのかもしれないが、目測では極めて健康的な水準に収まっている……とも勝手に考えていた。

 見聞きした者によってはセクハラチックな思考などと思われなくも無いが、彼にそんな下心は皆無だと記しておこう。

 

「うぅ…でもぉ〜!」

 

「このままだとノアちゃんに全部食べられちゃうよ!」

 

「うふふ♪ ぜーんぶ食べちゃいますよぉ〜?」

 

 ミライらウルトラ族からすると、そういった身体的特徴は全て「“個性”である」という認識になっている。

 地球人及びキヴォトス人と、M78星雲人とでは醜美の価値判断に少し違いが介在しているのだ。

 

 ただし、語弊の無いよう補足させてもらうが、これはミライ含むM78星雲人が恐ろしく鈍感…なのではなく、そうした情報が不足しがちだからだったりする。

 無論、先方から「これ、ウチらのとこでは〇〇って意味になるんすよ」などと然るべき説明を受ければ、しっかり理解はできるし配慮も行なう…という訳だ。

 

 ………ただまあ…一昔前のミライだったなら――

 

―――へ〜、太ももが太いんだね。……で、それの何が問題なの? それと、体重が増えるのは悪いことなのかい?

 

 一連の会話の中で、上記通りの返しをし…ユウカの逆鱗に触れて太腿による容赦ないチョークスリーパーを食らい――

 

―――僕は何かユウカちゃんに失礼なことを言ってしまったのかな…

 

 ――と、ナチュラルに凹んでいたに違いない。

 

 ただ幸運なこと(?)に、ミライは“女子高生”とは如何なる生き物であるのかを、地球滞在期間中に同期のGUYS女性隊員らや総監代行から直に教わっていた、そして交流の経験もあったので、日本人男性的デリカシーは獲得済みだった。

 そのため上のようなM78星雲仕込みのトンデモ発言は回避されたのである。

 

 尚、リュウかジョージが言っていたかもしれない話__()()()()「太腿は太ければ太いほど鍛え甲斐があるんだぜ」__を一瞬思い出してしまったのは彼だけの秘密だ。

 

「ぅぅ……分かりましたよ! ケーキ、いただきます。いただいちゃいます!!」

 

「その言葉を待ってたよ! はい、どーぞ!」

 

 結局、甘味を摂ることを選択したユウカに、ミライが満面の笑みと一緒に苺をふんだんに使ったショートケーキが盛られた皿を、待ってましたとばかりに差し出した。

 それをユウカがサッと受け取り、すぐにフォークで切り分けたケーキのカケラを口へと運んだ。

 

「―――――美味しい…です」

 

 その言葉を皮切りにして、ユウカの持つフォークの動きは加速し、瞬く間にペロリと皿の上のケーキを平らげた。

 そこからすぐに、綺麗になった白皿をミライへ突き刺す勢いでおっつけた。

 

「ん。もう一つ、ください」

 

 おかわりの所望である。

 喜んで、とミライは次にケースからチョコシフォンケーキを取り出しユウカの皿に乗せた。

 それをまた物凄いスピードで切り分けて食べていくユウカを見て、彼はただただ微笑みその食べっぷりを見守る。

 そして、その様子をノアが微笑を添えて静かに観察する――と言う朗らかな空間が出来上がっていた。

 

『―――本日午前11時頃、D.U.外郭区にて進行していた怪獣ゴメスの遺骸除去工事の全工程が終了したと、七神リン連邦生徒会長代行とゴスペル総合建設の黒部代表より共同発表がありました。これの詳細はCM明けのVTRで――』

 

 事務室内に仮設していた小型スマートテレビ。

 ミライが説教される手前から点けっ放しだったソレからは、本日の学園都市情勢を伝えるニュースが流れていた。

 

「あら、ゴメスの撤去、着手から一日で終わったんですね。これで外郭区の復興も進むんじゃないでしょうか」

 

 ミライはノアの意見に頷き、美味しそうにケーキを頬張るユウカを見ながら、自身も甘味を堪能するのだった。

 

 

 

 こうして、世話焼きな会計と怒らせるちょっぴり怖そうな書記と団欒し、シャーレの何気ない一日がまた過ぎていく。

 

 

 

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――――――――――

――――――――――

 

 

 

 おまけ【ねないこだれだ】

 

 

 

――時は、ゴスペル総建・連邦生徒会

 第一回協議開催日深夜に遡る――

 

 

 

D.U.外郭地区 南部外縁市街地

 “G事変(ゴメス・ショック)”被災閉鎖区域

  及び 連邦生徒会復興支援重点指定地域

   某廃棄商業ビル

 

 

 

 先のD.U.外郭区特殊災害にて、最も被害の大きかったのは巨獣ゴメス、巨人メビウスという巨大存在同士が交戦した外郭区南部の中規模市街だ。

 ひび割れた道路と寸断されたライフライン、薙ぎ倒された高層建築物群……当時の生々しい爪痕が手付かずのままで遺っており、連邦生徒会とヴァルキューレによる「帰宅困難地域」制定と、物理的な立ち入り禁止制限処置の実施の影響もあってか、市民の姿が消え失せた廃墟と化している。

 

 G事変終息から凡そ一週間が経つ今日の深夜。

 件の廃墟の中心には、白骨化したゴメスが未だ鎮座していた……と言っても、その白く伽藍堂な巨体はすっかり福音(ゴスペル)印の養成シートと作業用の仮設足場、そして複数の超大型無人建機によってぐるりと囲われ、その全貌を見ることは叶わなくなっているのだが。

 

「………いました、二時の方向。建設ビルの中層部にゲヘナの諜報員(“情報部”)。数は2。狙撃銃の他、観測機材も見えます。ウワサ通りの超少数精鋭ですね」

「こっちが見つけたんだ、向こうもこちらを捕捉してるだろう。恐らく彼女達の任務も()()()()()だ。……引き金から指を外せ、手は出すな。刺激する必要は無い」

「――了解」

 

 そんな巨獣の遺骸の周辺には完全な破壊を免れた建造物が多数、不恰好な大杭、或いは墓標のように聳え立っている。

 

 その中の一つが、原型をなんとか留めているそこそこの建端を持つ一棟の廃ビルである。

 亀裂の著しい同建造物地上8階、ゴメス侵攻の余波によって()()()()()()()()フロアに、ヴァルキューレ警察学校生3名がひっそりと陣取っていた。

 

「それほどゲヘナも()()()()を警戒してる証拠なんじゃないんすか?」

「本官も同意見です。トリニティ生徒会(“ティーパーティー”)直轄の“情報局”、アカフユの“学園安全保障委員会(SSC)”に、ミレニアムの“C&C”アシスタントまでいるっぽいですし」

「――やはり尾刃(オガタ)局長が仰っていた通りになったな…」

 

 冷徹な班長、物静かな狙撃手、ヤンキー調の観測手からなる、学生グループ的な構成だった。

 

 彼女達の所属は“公安局”。

 超巨大学園都市の各所で発生する重大事件への対処介入やそれらの事前防止、危険団体・人物の情報収集から摘発まで行なう、影のエリート集団である。

 現在は、“狂犬”の二つ名を持つ超実力派の三年生局長によって束ねられており、士気旺盛な熟練警官が多数在籍している。

 

「……下の動きはどうだ?」

「んー、やっぱ熱源探知(サーマル)で見た感じだと、ここから出ていくゴスペルの無人ダンプの荷台、ぜーんぶ中身空っぽっすよ。開閉天板付きのを引っ張り出してるあたり、隠匿も徹底してるっすね〜」

「――()()は?」

「はい。目標…()()()()に特筆すべき変化無し、です。相変わらず地上で不恰好な黄色いヘルメット被って呑気に現場監督やってます」

 

 この公安局の少女達が上層部から受けた任務………それは、ゴスペル総建の最高責任者にあたる人物の動向監視である。

 

「黒部メフィラス…今期の公式登録外界人第一号。初めて確認されたのはD.U.シラトリ区。

 同日中には市民権と戸籍の申請を行ない、特段トラブル無く後日受諾され…その二週間後には、たった一人で株式会社ゴスペル総合建設を起業。

 そこから更に一ヶ月後には同社を都市上場企業へと昇格させ、業績は今も右肩上がりを維持…その異常な株の伸びから不正介入、不正操作の疑いアリ。保有資産もクロ寄りのグレーなものが複数…」

 

 黒部メフィラスの動向を、ヴァルキューレ公安局は以前より注視していた。

 事前情報の収集が難しいキヴォトス外出身の人間…即ち外界人であったことに加え、出処の掴めない洗浄済み資金や工作機械等が彼の周りで少なくない数出回っていたからだ。

 この()()が発覚するまでは、誤差やミスの範囲内と思われていたソレらだったが、何十何百と積み重なっていった結果、その不自然な()()が鼻の利く公安局長の目に留まるに至った。

 

「――そしてキヴォトス渡来以前の外界での活動記録並びに情報は皆無、と。前期第一号(ヘビクラ)今期第二号(ヒビノ)とかの兄さん方よりも、なんていうか…得体の知れなさのレベルが違うオッサンっすよね」

 

 しかしながら、これまでのところ黒部・ゴスペル側は表立った不審な行為などを一切見せていない。

 むしろ学園都市の模範企業として表彰されるほどには仕事に実直であり、彼自身、ガードが固く、暗躍の尻尾を出すような甘い真似もしなかった。

 それ故、公安局は上手く立ち回られず捜査は進まず、糾弾するのに必要な不正或いは不法に関する証拠を確保することに難航していた。

 

「元々マークはしていた。今日でその化けの皮を剥いでやる」

 

 だが本日、公安局にとって千載一遇のチャンスとも呼べる機会が降って湧いた。

 それがこの、ゴスペル総建による__連邦生徒会から全面委託された__ゴメスの遺骸撤去作業である。

 ヴァルキューレは連邦生徒会・防衛室の下部組織にあたる。その気になれば主人たる連邦生徒会の内部であれ()を何時何処にでも置けるのだ。

 

「空のダンプカーの移動は、やはり作業時間のアリバイ工作…でしょうか?」

 

 ゴスペルが連邦生徒会から任されたのは上記の通り、区内に残置されているゴメス遺骸の撤去だ。

 現在、彼女らの眼下で行なわれているのは、ゴスペルの建築用無人機械群による()()()()

 ドーザーが押し、ショベルが掬い、クレーンが持ち上げ、ダンプが運ぶ。その()()()()が繰り返されているのみ。

 

「…アレらは外部へのパフォーマンス…陽動だろう。本命は恐らく、ガイコツ(ゴメス)を覆うあの天幕の中だ」

「じゃあ、遂にあそこへ潜入すか?」

「待ってください。監視ドローンの巡回ルートのパターンが取れず不規則です。それに、あの養成シート内の構造は未把握…本部からのバックアップ無しでこれ以上積極的に動こうと言うのには、賛同しかねます」

 

 ゴスペルは、この作業の裏でも何かやっている。

 公安局生徒三人は少なくともそう確信していた。

 

「悩みどころっすね……」

 

 問題は、決定的証拠をどう掴むか…であったが―――

 

「――班長、C&Cがいるビル内から発砲炎(マズルフラッシュ)を複数回確認。遭遇戦が発生した模様。銃声は無し、お互いサプ付きっぽいっす」

「何?」

 

 ―――その矢先に異変が起こった。

 

「連中の交戦相手は? 分かるか?」

「いえ、暗視装置(ナイトビジョン)、サーマルの両方で確認できません。余程性能の良いステルス装備とか纏ってるんでしょうか……あっ」

 

 動きがあったのは、10時方向の崩落ビル内に潜んでいると確認していたミレニアム…C&Cアシスタントの部隊。

 彼女らも安易に逆探知…捕捉されるようなヘマはしない練度を有している筈、なのだが……

 

「……どうした?」

 

 詰まった物静かなの方の部下に班長が双眼鏡を覗きながら続きを促す。

 

「し、C&Cアシタントと思しき生徒四名が、ダウン。全員床に突っ伏しました。交戦相手に制圧された可能性大…!」

「馬鹿な」

 

 C&Cアシスタントの生徒らは、コールサインを与えられている同部エージェントほどではないが、各種技術の習熟と戦闘訓練をそれなりに受けている。加えて、彼女たちの扱う装備は全てミレニアムのハイテク技術が詰まった最新鋭。

 部員単体の質だけで言えば万魔殿の親衛隊やティーパーティーの近衛兵に勝るとも劣らない。

 ……そんな彼女達が一分も経たずに沈黙した。奇襲を受けたのかもしれないが、それでも呆気なさすぎる。そう思った。

 

―――バンッ! バン!バン!

 

「っ!――次はゲヘナ情報部から!?」

 

 公安局の三人が呆気に取られていると、今度は二時の方角で異変が起こった。先ほどまでこちらと同様に息を潜めていた他校(ゲヘナ)の諜報部隊が発砲したのだ。

 そして銃声からして、恐らくサイドアームの銃器を使用した。つまり近距離での突発的な遭遇戦が発生したと考えられる。

 

(ここに集まっている学園勢力は、目的が同じハズ。このタイミングで各勢力に襲撃を仕掛ける動機がある組織は―――)

 

 班長の顔が一気に険しくなる。

 

「―――ゴスペルだ…!」

 

 先手を打たれた。

 そう思った時には、既に遅かった。

 

「ご明察。流石はヴァルキューレ公安局。噂に違わぬ『一挙三反(いっきょさんはん)』の優秀な人材を集めているようですね」

 

「「「――!?」」」

 

 刹那――三名の背に、これまで経験したことの無い悪寒が走る。

 今、この瞬間まで、存在していなかった__まるでたった今そこに現出した__人型の気配、そして第三者の声を背後から感じ取った少女達は咄嗟に前へ飛び退き、瞬時にそれに対して各々の銃口を向けた。

 

「おっと……驚かせてしまったことについては謝罪致しますが、どうかそんなに警戒(興奮)なさらないでください。私は貴女方と矛を交える意思は無い。ただ…少し話をしたいのです。可能ならば、その物騒な実弾銃を収めてはくださいませんか?」

 

 目を見開く彼女達の前には、武器を向けられているとは思えぬほど落ち着き払った様子の…黒スーツの男が両手を後ろに回して立っていた。

 男が浮かべている苦笑が妙に気持ち悪く感じた。

 

「黒部…!?」

「嘘、さっきまで地上にいたのに!」

「この人どっから上がってきたんです? 正規ルートにはブービー仕掛けてきたし、登攀できそうなとこは片っ端から潰したじゃないすか!? 動きが速すぎるっすよ!」

 

 部下達の肩は震えている。いきなり本丸が単独でここに現れたのだ、その反応は必然だったと言える。

 

「ゲヘナにミレニアム、トリニティ…その他の都市上位学園の諜報部隊に動きを悟らせず逆探・捕捉し、あまつさえほぼ同時に且つ瞬時に無力化するとは。ドローンやオートマタの動きじゃない。大層腕の良い傭兵と装備を揃えたと見た。何人雇った?」

 

 自身だけは恐怖に呑まれまいと現場班長たる彼女は、声の震えを抑え殺し、目の前の不審人物へ問う。

 

「傭兵、ですか?」

 

「何を惚けている。このような芸当、各校の特記戦力でさえやるとなれば手こずるぞ」

 

 問われた黒部はと言えば、心当たりが微塵も無いようで、やや困った顔をしながら首を傾げ顎に手を当て思案し始めた。

 

 この状況下でそんな態度を取れるのか…否、それほど余裕があるのか、と班長が苛立ちから舌打ちする。

 一見、黒部が無防備を晒しているように見えるが、それなりの手札をまだ残していると考えた方がいい。

 こちらは一度背後への接近を許している。迂闊には動けなかった。

 

「……ふむ。成る程。やっと掴めてきました。失礼、どうやら貴女方は少し()()をしているようだ」

 

「…?」

 

 ヴァルキューレの三人の脳裏に疑問符が過ぎる。

 

「事象に対する認識に齟齬、或いは差がある…と言えば良いのでしょうか。結論から申し上げますと、弊社、そして私個人、傭兵との契約は現在一つも締結していません」

 

「それじゃあ素性も知れぬ非正規の戦闘員か? ゲヘナ方面の暗黒街(ブラックマーケット)からでも引き抜いてきたんだろう」

 

 こちらが感知し得ない戦力確保の手法は絞られる。

 残る推測の択を班長は挙げてみせた。

 だがしかし、【安全第一】と記された黄色のヘルメットを手元で遊ばせながら、黒部の口は残念そうに“へ”の字に歪んだ。

 

「……いえ、それも残念ながら違います。先の対応はすべて単独で、私がやりました」

 

 それは敢えて例えるなら、授業中に居眠りしていた生徒に質問を投げたもののその生徒が一向に答えられず、付き合いきれん埒が開かぬと呆れて回答を教える教師のような答え方、であった。

 

「―――は?」

 

「この退避地域に侵入した各校の斥候の無力化は、全て私が行なった…と言えば理解してくださいますか」

 

 余裕の佇まいと柔和なビジネススマイルを崩さない黒部から放たれた言葉は正しく爆弾だった。

 それを彼女達は「何を戯言を」と片付けたかった…が、状況証拠的に全て事実だろう。

 こちらの索敵を潜り抜け、しかも難なく背後を取り単身で接触を図ってきた得体の知れない人物である。

 

「…さて。先ほども申し上げた通り、私が望むのは戦闘ではなく対話です」

 

 一同はかの男が見せる余裕さと底知れなさから生じるプレッシャーを感じとっており、押し黙るほかない。

 だが、アクションを起こさねば………全滅する。そんな気がするのだ。

 向こうの持ち掛けてきている()()には賛同できない。

 

 そう考えまず動いたのは狙撃役の局員だった。彼女の空いた左手が、口を回し始めた黒部に悟られぬよう肩の秘匿無線機に伸びた―――

 

「ああ、一点お伝えすることを失念しておりました。貴女方が扱っている凡ゆる通信システムは、既に私が掌握しています」

 

「えっ」

 

―――ところで硬直した。

 その彼女の反応は、申し訳なさそうな苦笑を浮かべた例の黒い男が、防諜性においてはミレニアムに次ぐ我が校(ヴァルキューレ)の機密通信網を抑えたという事実を述べたから…ではない。

 

「本部やバックアップの部隊との相互連絡は恐らく取れないかと……」

 

 それが、いつの間にか背後に回ってこちらの左腕を掴んでいたからだ。

 

 いつ、なにを、どうやって? タネも仕掛けも分からない。

 ……百鬼夜行自治区には“忍者(シノビ)”と呼ばれる非科学的技術を扱う隠密工作機関が存在すると聞いたことがある。

 まさか、それらの類いか!?――と、湧いてくる疑問の答えを探り当てる時間は無いようである。

 

「少々手荒になってしまったが……許していただきたい。これも私の知り得ない外部との交信手段があることを危惧しての行動です。僅かな動きであれ、注意を払わなければならない。『油断大敵』…私が胸に刻んでいる言葉です」

 

 子供と大人、女と男の差か、その掴まれた左腕はいくら足掻こうとビクともしない。

 そうだ、空間に縫い付けられたように()()()()()()()()のだ。

 

―――こんなのおかしい。私たちは、警官だぞ!?

 

 そう心中で班長の少女は叫んだ。

 その通り。彼女達はヴァルキューレ警察官である。逮捕術を含む複数種の武術と近代的戦闘訓練の手解きを受け、そして並の女子高生や一般的キヴォトス人男性よりもフィジカルにて優れている現場側にあたる警察の者たちだ。本来なら成人男性程度、涼しい顔で軽く投げ飛ばせる。

 又、どのように動けば拘束から逃れ易いか、相手の力が弱まるかなども熟知しているし、それを実行するにあたって必要である機敏な判断力も当然ながら備えている。

 しかもこの場にいる彼女達は実力で言えば、何度も記したようにヴァルキューレ内でも上位、精鋭の部類に入るわけで、対処は容易ではなくとも可能な筈だった。

 

「このっ、放せっ」

 

 だが蓋を開けてみればそれは叶っていない。まるで元々、男の足裏とビルの床が一体であるかのようにその場から動かせない。更に言えば、件の男の顔色どころか身じろぎ一つ変化が無い。

 獣人の血が通っている自身が無力であると悟ったスナイパーのポーカーフェイスが歪み、焦燥の青で染まる。

 

「しかし、この腕力…外見的特徴からは判別できませんでしたが、もしや獣人族のハーフ、若しくはクウォーターの方ですか? 実に興味深い…」

 

「ひっ」

 

 こちらの心内を知る事なく笑顔で平然と質問を投げ掛けてくる男に彼女は本能的に恐怖した。

 

「てめぇッ!そっから今すぐ離れやがれっ!」

 

 同僚の危機だと次に動いたのは直上的なスポッター。彼女が握るは薄紫の母校塗装を剥がした鈍色の“M1911(コルト・ガバメント)”系自動拳銃。

 

―――バンバンバンバンッ!

 

 その引き金にかかった指は躊躇なく引かれ、男の脳天目掛けて、燻し銀の銃口から45口径弾が極めて正確に速射された。

 

「制圧ッ!」――ブンッ!

 

 又、それに呼応する形で、ワンテンポ遅れて班長が腰に下げていた伸縮性電磁警棒(スタンバトン)を引き抜き展開。部下の放った弾丸の()()を待たずに、そのまま横振りで掛け声を上げると同時に叩きつけに入った。

 狙いは背面への回避不可、防御不可の一撃。

 片手で、ではあるものの、それは()()()()()()()()()()()()が繰り出すフルスイングに変わりない。

 相手に待っているのは、骨折必至の打撃と、皮膚のみならず神経をも焼き焦がす電撃だ。

 

―――ガギィッ!!

 

「……え…は……?」

 

 ――が、しかし。

 繰り出した渾身の打撃は黒スーツの男に後ろへ回された片手で、更にはノールックで受け止められていた。

 ……加えて男の手に握られている警棒、ガッチリ掴んでいるその接触部には100万ボルト超の高圧電流が巡っている。キヴォトスの常人なら白目を剥いてひっくり返るほどの電撃を継続して受けている筈だ。

 

 されども男は物悲しげな顔をして立つのみ。信じられないことに、打撃電撃両方の効き目は皆無だった。

 

「は、はは…何すか、それ…」

 

 そして驚くべき事象はまだあった。

 部下が先に放っていた数発の弾丸が、男の眼前の()()()()()()()()()のである。

 

「……それが貴女方の回答ですか。何とも残念な結果だ。結局、他の方々と同じ選択をする…ならば仕方ない、誠に遺憾ではありますが――」

 

 もとより、()()なることを想定していた__なんなら半分狙っていたまである__彼の動きは早かった。

 

「――これより実力行使による無力化を実施します。ご容赦を」

 

 警棒と狙撃手の腕を掴んでいた両手をパッと離し、驚愕の飽和で絶句し立ち尽くす少女達の前へ片方の掌を淀みない手つきで突き出す。

 瞬間彼の手から三度、紫閃が疾りフロア一面を同じ回数分、照らした。そこからぴたりと戦闘音は止んだ。

 

「……武装の放棄をお願いします」

 

「「「はい…」」」

 

 光が収まると、虚ろな瞳になった少女達は黒部へ向けていた武装を全て下ろし、素直に彼の指示に従って解除し始めた。

 ……より正しく描写するなら、握力を緩めて床にするりと落としただけである。

 

「半ばダメ元でしたが、上手くいったようですね。成る程、キヴォトスに於いても一定以上の精神的負荷を掛ければ、そこそこの個体相手でも精神干渉による一時支配のハードルが下がる、と。これは良い勉強になった」

 

 武器を捨て心ここに在らずにボーっと立っている少女達を放って独り言を呟く黒部の口端は、満足そうに曲がっていた。

 

「さて、聞きたい事は山ほどありますが、時間は有限。手短に聞いていきます」

 

 行儀良く横一列に並ぶ少女達の前に立ち、いくつかの質問を投げる。

 

「貴女方がいま所持している通信手段は?」

「秘匿携帯無線に、公用・私用のスマートフォンが一台ずつのみ……」

 

「今回の我々(ゴスペル)に対する動向調査を立案、主導したのは誰ですか? 警察(ヴァルキューレ)本部、防衛室との繋がりは?」

「全体指揮は尾刃局長……本案件は、公安局単独での対応…本部、防衛室は関知していない……」

 

「ふむ、バックアップ部隊の所在と規模は?」

「退避区域東部外縁に、移動指揮所(MOP)が1…緊急時増援として、選抜急襲ユニットも待機……」

「彼女達が介入する起因となる事象は?」

「現場との10分おきの定時連絡(やりとり)の途絶、或いは区域内での大規模戦闘の発生の際……」

 

「今次工事に関する報告は?」

「それは、まだ行なっていない……」

 

 一種の精神操作を受けた彼女らは黒部が欲する情報を容易く淡々と吐いていく。

 

「ご教示いただきありがとうございました。あとは、そうですね――」

 

―――ザッ…ザザ

 

 最後の一言を言い掛けたその時、彼の懐のトランシーバーからノイズが溢れた。

 虚空を力無く見つめる少女達に、失礼…と一つ断りを入れて端末を握った。

 

「……はい、黒部です」

 

『――あー、こちら警備第5小隊のもんです。黒部代表、お疲れさんです』

 

 相手は、遺骸撤去作業が行われる退避区域への侵入者、妨害者対策の立哨として駆り出された、ヴァルキューレ中央本部の警備局…それの一部隊の現場指揮官だった。

 

「お疲れ様です。何用でしょうか?」

 

『えっとですね、さっき退避区域の中から銃声が何度か聞こえたもんでですね? 何かありました?」

 

 通話先の第5小隊指揮官が言っているのは、各校諜報機関を無力化する際に発生した戦闘のことだろう。

 

 ――退避区域内の警備は、ゴスペル側が全て担当すると連邦生徒会・ヴァルキューレとの昼間の協議にて決定済みである。

 そこでは、作業に従事する自律無人重機との接触事故発生の懸念を理由に、ゴスペルが関係校生徒の立ち入りの縛りも組み込んでいた。

 故に、現場にいる警備局の生徒達は、区域内で何があったか見聞きしていない。

 

「ああ…どうやら外郭区を根城にしていたヘルメット団の残党が侵入したようでして。彼女らが弊社の警備ドローンとバッタリ会ってしまい…戦闘になったようです」

 

 面倒事は少ない方が良い。

 黒部は他勢力からの干渉を受けた場合の()()()()()()()()を事前事後の両方で複数用意していた。

 

『あー、そうだったんですね。……実は、もうそっちに分隊いくつか送っちゃったところなんですけど。どーしますかね?』

 

「幸いなことに、全員追い払うことが出来ましたので、隊の方々は呼び戻してもらって結構ですよ。彼女達の侵入経路も洗い出したので、経路の封鎖に併せて、そちらへの情報の共有を致します」

 

『そうしてくれると助かります。んじゃ分隊は元の地点での警戒監視の任に戻しますね。ヘルメット団侵入の件は、私の方から他小隊に伝えとくんで』

 

「承知しました。それでは、引き続き警備をよろしくお願い致します」

 

 やりとりを終えトランシーバーを懐へ仕舞った黒部は、その視線を棒立ちしている公安の三人へ向ける。

 

「………と、言う事で。引き続き貴女方には、先ほどまでのように我々の監視をしてもらいたい。ただし…直近の私との接触・会話に関する記憶は消すこと、そして上の方々へ上げる報告は全て『異常ナシ』、でお願いしますね」

 

「「「はい…わかりました………」」」

 

 いつものビジネススマイルに戻った黒部への返事をした彼女達は、フロアの床に散らばる自分達の装備を拾い、虚な表情のまま何事も無かったかのように、監視の所定位置へ戻り……形だけの、監視体制の再構築を行なった。

 

「解体スケジュールは、予定通りの進捗。七神代行への経過報告に修正の要は…無しですね」

 

 その様子を視界の隅で確認しながら、黒部は虚空から引っ張り出してきたタブレット端末を点ける。

 

「残る工程もあと僅か。安全第一、無事故で締めるとしましょう!」

 

 ………そして、夜明けが近づいてきた頃には、外郭区に聳え立っていた巨獣の亡骸は跡形もなくサッパリ消えていたのだ。

 

 又、外郭区退避区域内へ諜報機関を仕向けた学園の尽くは、「成果なし」と言う結果のみを握るに終わった。

 

 

 

 このようにして、ゴメスの白骨遺骸撤去と言うD.U.外郭区における一大復興事業は、現場での()()()()()()()が多少あったものの、たった半日で成されたのだった。

 

 

 





 あと
 がき

 皆様、わっぴ〜!(気さくな挨拶)
 どうも…丸太並みの太ももを持つ男、投稿者(逃げるレッド)です。痩せろ。
 お久しぶりです…前回からまた期間を大きく開けてしまい申し訳ありませんでした。春先突入後は多忙な時期も終わって投稿頻度も回復していくと思いますので、引き続きよろしくお願い致します。

 また、本作のお気に入り数が、500を突破していました…!
 ヘッヘッヘッ、ウルトラカンシャ…チキュウトキヴォトスノドクシャノショクン、ホントウニアリガトウ。コレカラモショウジンシテイクヨ…ヘッヘッヘッ…ウレシイ_:(´ཀ`」 ∠):

 気を抜くとすぐミライ先生を懐古厨にしてしまうという。
 個人的にユウカのフトモモチョークスリーパー食らって「わ"ー!?ユウカちゃんゴメンナサーイ!!」って喚いちゃうミライ先生も見たかった。

 
 
※毎度お馴染みピックアップ解説コーナー
 (独自設定独自解釈共にもりもり)

◯ミレニアムサイエンススクール
 現代キヴォトスを代表する科学立学園。なんと株式まで運用している。
 数十年前に開校した新参学園でありながら、上記の特性のおかげで、現在の“三大学園”の一角を担うまでの勢力となった。
 自治区内に学園都市トップレベルの科学研究機関の施設や工場等を多く抱えており、キヴォトスにおける「最新鋭」や「最先端」の名を欲しいがままにしている。
 技術分野のヘンタイリケジョの巣窟でもある。

 ミレニアムガクエーン!!

◯モモホビーズ
 以前にも軽く説明した学園都市のトップ企業集団“モモグループ”の傘下にある玩具専門企業。
 他社製品だけでなく、自社のブランドキャラクター…モモフレンズを中心にした幼児向け、ファン向けグッズも多く販売している。
 複数の外界との交易も行なっているようで、外の世界由来のオモチャやゲーム、マンガ等も取り扱っている。

◯ 超合金SOUL(ソウル)
 キヴォトスのロボットというロボットの金型製玩具を手掛ける職人気質のサブカル系ブランド企業。
 当企業の営業部が「カッコええ!燃えるわっ!!」と感じたロボットを何処かで見つければ、その所有者、作成者或いは本人がどのような個人であれ団体であれ、すぐに商品化交渉を行ない、とんでもない速さで開発・生産へ移ることで有名。

 又、著名なキヴォトス市民の可動式フィギュアシリーズ“C.H.G.(チョーゴーキン)キャラアーツ”なるものまで出している。
 因みに一方的に商品化された著名人の一人である、某カイザーPMC理事は双発型ステルス重戦闘機に可変する機能が付いている。スター⚪︎クリーム(迫真)
 
 このようなスタイルであるが故、人気どころからマイナーどころまでキヴォトス中の凡ゆるロボットというロボットを網羅しており、幅広い年齢層のロボット族、獣人族男性市民から厚い支持を受けている。
 今一番売れ行きが良いのは、特級学生テロリスト集団“無限回転寿司戦隊カイテンジャー”の保有する合体変形人型機動ロボット“カイテンロボ”シリーズ。

◯空力浪漫
 キヴォトス有人・無人航空機の大手模型メーカー。
 フィクション、ノンフィクション問わず、様々な機体を取り揃えており、「()()に浮いてるから」と言う理由で宇宙戦艦等の艦船模型にもジワジワ手を伸ばし始めている。
 自社独自の規格で製造された特注組み立て部品はどれも精密で、模型の完成時のクオリティが高いことで人気。

 最近発売された新模型はゲヘナの万魔殿所有の軍用飛行船。なお一番人気は劇場巨大特撮作品『ペロロジラ』シリーズに登場する実力組織「キヴォトス防衛団」の対モモフレン獣用万能戦闘機“キヴォトスホーク”ファミリー。

◯ミサキ・ユキ
 原作『ウルトラマンメビウス』でGUYS JAPAN(極東・日本)方面支部総監の代行を務めたGUYS上層部所属の女性。すんごいクールビューティのエリート。
 アリウスの某生徒と一部名前が被っているが、血縁関係はない(鋼の意志)。
 本来の日本支部総監であるサコミズが、ディノゾール事変後に再結成された新生GUYS JAPAN実働部隊の隊長として最前線に赴くようになったため、上記の総監代行を任された。
 余談だが、総監たるサコミズのことは「一番信頼できる人」と言っていたらしい。

 部下想いで責任感が強いながらも、年相応の茶目っ気も持つ頼れる皆んなのお姉さんという印象の人。
 対エンペラ最終決戦後、サコミズが総監へ復帰した後は総監秘書へと立場を変え、GUYS JAPANを支え続けた。

 ユッキーさんがキヴォトスで女先生やったらアリス、コユキ、ゲーム開発部あたりとめっちゃ仲良くなりそうだなぁ……そして多分ユウカ・ノアとは四六時中一緒にいる。多分リオはこの人の影響受けてとかで同じ髪型…ショートヘアとかにしてそう。
 ホンマにごめんやけどもテッペイさんよりミレニアム適性が高い気がしてきた。なお熱血教師のアイハラ先生はモモイにゲームのプレイヤー名を「硫酸」にされて青筋浮かべて拳骨するのでプレミアム殿堂入りです。
 ミサキ代行なら、あと他だとアビドス対策委員会とか、RABBIT・FOX小隊、スクワッドあたりとも相性良さそう。……ゲマトリアからの人気もヤバいと思う(小並感)

マダム「この泥棒猫…!」

◯第二次怪獣頻出期
 M78スペース地球の西暦2000年代頃…メビウスの地球来訪前後より、惑星内外からの怪獣・異星人出現及び襲来が頻発した時期を指す。
 又、第二次が終息までに掛かった期間が数年ほどであったのに対して、“第一次”は凡そ二十数年にも渡って続き、復興期にも大小の混乱が各地で発生したと言う。

 M78スペースとかネオフロンティアスペース、あとシンウルの日本って、近代以降の国史教科書すごい分厚くなってそう。頑張れ高校生。

◯ティーパーティー情報局
 トリニティ総合学園の生徒会組織ティーパーティーの指揮下にある諜報部門。“秘密情報部(MI6)”を彷彿とさせる組織で、極めて優秀な情報収集能力を有する。
 ――が…しかし、生徒会主要三派閥の人員がそれぞれを牽制し合う、又は出し抜くように動いており、内部でも過度な監視の目が絶えておらず、一枚岩では無いのが現状である。
 故にティーパーティーの歴代代表らが思い描いた最良の統合的運用は果たされていない。

◯レッドウィンター連邦学園安全保障委員会
 赤冬連邦の諜報系委員会。学生版KGB(カーゲーベー)
 学園内外の安保関連情報を収集及び精査し、それに基づき活動計画を立てて動く。
 同学園事務局(生徒会)直轄の下部組織にあたる。
 当安保委の会長は現事務局長が兼任中。……なお実権は秘書室長が握っているとかなんとか。

◯C&C アシスタント
 “奉仕(メイド)部”という表向きの顔を持つ、ミレニアム生徒会“セミナー”直属の実力組織…の活動補助員(サポーター)たちを指す。
 極めて高い戦闘技術、類稀なる作戦遂行能力からコールナンバーを与えられている実働部員(エージェント)をあらゆる面で陰から支援しており、その活動内容は非合法なモノも含めて多岐に渡る。

※カリン先輩のメモロビに登場したモブC&C部員から勝手に妄想した産物です。立ち絵はよ。



 おまけが本編一話分ってなんなのだよ。
 黒部さんはこれで取り敢えずアビドス編までは登場が落ち着くということで…

 おおい!!なんかミレニアムに白髪碧眼の美少女ミライ先生出たんだけどぉ!?(赤の同名他人)
 めちゃんこお迎えしたいんですが、何処のガチャ回せばGETできますか???
 お前もその実装待機列の仲間に入れてやるってんだよぅ!!(ヤザンの兄貴)

 ウルトラマンアーク、完結しちゃいましたね…また一つロスが増えてしまった。
 あと別件ですが、ジークアクスはいいぞ…とだけ。

 ……次のお話はまたもやD.U.でのお話になります。
 また、今回の後書きより次回予告を独立させました。
 ※本作、次回予告コーナーはガイア・マックス・メビウスから多大なる影響を受けています。


 
_______
 
 次回
 予告

「アカレンガ港…の、警備依頼?」

 とある日、ミライがリンから頼まれたのは、キヴォトス有数の巨大港たるD.U.アカレンガ港の警備への期限付き__ “オデュッセイア海洋高等学校”の掃海艦隊がD.U.近海に聴音センサーブイをはじめとする音響探知システムの敷設を終えるまでの__の協力要請。

 怪獣案件だと言われた彼は二つ返事で連邦生徒会からの公式依頼を受諾。件の港へと向かう。

「ほ…本官はっ、ヴァルキューレ本部、生活安全局所属の中務(ナカツカサ)キリノと申します! ヒビノ先生、よっ、よろしくお願い致しますッ!」

 現場へと赴くミライの横には、本案件におけるヴァルキューレ並びに防衛室との連絡要員として仮入部員となった生徒――キリノの姿もあった。

「あのゴメスとか言う奴が出てきてからよぉ……ぱったりゴールドマグロが網に掛らんくなっちまった」
「ここらの漁師はゴールドマグロで生計立ててんだから、かなり参ってるってワケさ。……やっぱこれって天変地異ってやつなんかねぇ」
「“わだつみ様”がお怒りになられておるんだろうかって、漁師のじいちゃん達は皆んな揃って口にしてらぁ」

 アカレンガ港周辺地域の巡回警備を行なう傍ら、住民に対する聞き込み調査も並行して進めていく。
 地元民から得た証言には一貫して“海の異変”と“土着信仰の神”の話と結びつきがあった。

「――で、今日が依頼期間の最後の日になったわけだけども」

 しかし、危惧していた怪獣襲来は起こらない。
 
 このまま何事も無く終われば……と言う考えは甘かった。

『―――え、()()っ!? “モモホビーズ”の貨物船が、撃沈されたのですか!?!?』

 最終日早朝、電話番の寝ぼけ眼なキリノがアカレンガ湾沖合より受けた報告は、間違いなく凶報であった。
 
 

 次回、メビウスアーカイブ
 【海辺の怪 -港湾警備依頼-】

 ポンコツ美少女警官キリノちゃんが、
 キミのドタマ(ハート)()ち抜くぞ!

 お楽しみに。

 

本作において、皆さんが丁度いいボリュームと感じる一話毎の文字数は?

  • 5,000字未満
  • 5,000〜10,000字
  • 10,000字前後
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