日々の未来の青春譚 -メビウスアーカイブ- 作:逃げるレッド五号 5式
ファイヤーウインダム
―――時はコンテナ船撃沈の報が発されるやや前に遡る
D.U.アカレンガ区
ヴァルキューレ海警巡視船 “ばんどう”
海警局アカレンガ管区が有する最大艦船“ばんどう”は、ヘリ運用能力を持つ〈らぱらた型多機能巡視船〉の姉妹艦…次女にあたる二番艦として就役したフネだ。
この“ばんどう”を含む、らぱらた型は年々凶悪化の一途を辿っている海上犯罪集団――海賊へ対抗すべくヴァルキューレが建造した新鋭の大型武装巡視船である。
「―――前方に船影確認。コンテナ船です」
潮風香る美しい大海を堂々と突き進むその白き船体の勇姿は、何の因果か日本国海上保安庁の〈れいめい型〉のそれと瓜二つだが、
「――同船の識別完了。船名は“ピーターⅢ世”、モモグループ系列企業籍の登録貨物船ですね。積荷はホビー系…玩具の類い、と。
交通室の船舶スケジュールによれば、今日から二日間、荷下ろしのためアカレンガ港へ入港・停泊し、その後は船体修繕のためアカレンガ北部のヨコハマ工廠へ回航予定とあります」
「シージャックとかはされてなさそ?」
「そー……ですね。〈
甲板の各構造物には追加の装甲板を貼り、その裏側には更に土嚢が積まれている。両舷各所には自動擲弾銃座が追加設置されており、本船の主武装である船首艦尾に計二基搭載の70口径40mm機関砲に至っては単装から連装仕様に置き換わっている。
そこらの海戦系ヘルメット団が扱う武装クルーザー数隻程度であれば容易く撃沈可能な装備であった。
「天候は極めて晴朗、波は大変穏やかなり。――平和だねぇ」
「緩み過ぎです船長」
「ごめんごめん」
現在、“ばんどう”はアカレンガ港と繋がっている各シーレーンの巡回監視の任に就いていた。
登録の為されている公船・私船の情報チェックと不審船に対する即時の海上臨検並びに拿捕撃沈…これは日課とも呼べる任務であり、トラブルと言える出来事は多くとも一日に一回二回ある程度である。
「……で、管本が言ってた、未確認怪獣の件は? 続報とかは無し?」
「そうですね。オデュッセイアが例の海溝付近に情報収集艦をいくつか置いてるようですが、特段動きは無いらしく。深海で引き篭もってるんじゃないの?……と港の、分校勤務の向こうの子らは笑ってました」
アカレンガの行政管理海域は他D.U.行政区や学園自治区領海と比べ、ちょくちょく同海域航路を__ 海賊等に対する姿勢が一貫して「
「そっか。ソナー網は敷かれ済みだし、便りが無いのは良い知らせ〜とも言うから、それぐらいの――」
―――ズズゥウウーーーーーン……!!!
そんな穏やかな海の静寂が、突然の轟音によって破られた。
「何なの今の! 近くで海底火山の噴火でもした!?」
「電探音探、状況報せっ! 船外カメラと見張り員の方は!何か見えるか!」
腹を突き上げられる錯覚を覚えるような重音を耳にして、驚きの声を上げている三年生船長の代わりに、二年生の副長が先の現象について関係部署の生徒たちへ吠える勢いで問い質す。
『――こちら左舷甲板!前方のコンテナ船周辺に水柱が沢山立ってます!!魚雷の爆ぜ方じゃないです!!』
『潜水艇か何かが接触でもしたんですかね!?』
『バカ!双眼鏡から目を離すな! ……とにかく、海面の様子が慌ただしくて何がなんだか分かりません!!』
「“ピーターⅢ世”が襲撃されてるってこと!?」
状況を飲み込み始めた船長が副長へ質問を振るが、索敵要員の子らによる
『――そ、ソナーに感あり! 座標はっ、コンテナ船“ピーターⅢ世”の直下並びに周辺!反応の数は計測不能、増大中!!なにこれ、数分前まで何も――』
『―――こんな
『対水上レーダーでも反応多数確認っ!この
「まさか…」
それら報告を聞いた副長が、顔を青くしながらも艦橋窓から
「――――――っ!!?」
そこで彼女は見た。
船体を
―――アレは何だ。水底へ引き摺り込む気か、あの排水量のフネを……!?
海中に潜む何者かに身動きを封じられ、航行ままならぬコンテナ船からは金属が軋む嫌な異音が響いている。船乗りならば誰もが耳を塞ぎたくなるほどの、聞きたくない音だ。
…助けなければ。既に通信係が同船からの
『――報告!“ピーターⅢ世”は既に操舵不能状態にあり、同船では乗組員に射出救命艇への乗り込みを指示したとのこと!こちらに艇の即時回収を求めています!!』
「船長、どうしますか!」
副長がブリッジ中央の船長席に座る少女に請うた。
「あの船の人達を助けられるのは、“
船長は既に衝撃から立ち直っている。
そこにいるのは、数十人の船員を束ねる最高学年の海警局員だ。
「―――行こう。まず通信科は管本にこの現状を伝えて!船外カメラで状況は逐一送信! 射撃関係は副長に一任します。
それと“
艦内スピーカー全てに繋がるマイクを持ち、船の行く末を決める命令を下した。
「―――これより我が船は、モモグループ籍コンテナ船“ピーターⅢ世”乗組員の救助を行なう!総員戦闘配置! 機関、最大速度っ!! コンテナ船への接近による未確認生物との接触が予想される!各員は不測の事態に備え!!」
『――っ!! “ピーターⅢ世”、沈降を開始した模様!!』
『同船より救命艇の射出を確認!数は揃ってます!』
「艦尾クレーン動かせ。収容準備! 後部ヘリ甲板作業員は防護火器を装備せよ!収容完了後は速やかに当海域を離脱する!」
“ばんどう”乗組員は皆、臆することはなかった。経験なき危機的状況下に於いても…船内各所で其々の役目を果たさんと動き続けていた。
『海上並びに海中の未確認反応群を、α集団と識別・呼称します! ――同集団より、複数反応が分離!救命艇群に……いえ、艇を無視し本船に真っ直ぐ向かってきます!』
「
「――分派した反応群をβ集団とし、最優先攻撃目標に指定する。艦首・艦尾連装機関砲並びに両舷多砲身機関砲、安全装置解除っ!射撃目標割り当て開始っ!」
何故なら、彼女達は「K.S.P.D Coast Guard」のジャケットに袖を通す海上警察官と言う海原の番人であり、目の前に助けを求める人々がいたからである。
『目標割り当て完了! 射撃用意良し!!』
“ばんどう”の各武装が対水上レーダーと連動し、それらの切先を海面から青い背鰭のみ出して向かってくる海魔の群れへ指向させた。
「撃ち方…始めッ!!」
―――ダダンッ!!
連装機関砲の咆哮を合図にして、ヴァルキューレ海警局創設以来の――否、キヴォトス初となる対怪獣水上戦……その序戦が勃発した。
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――
D.U.アカレンガ区
アカレンガ港敷地西部境界道
ヴァルキューレ臨時検問前
「―――だあーかあーらあー!! 緊急時通行許可証を携行されていない方々は、こっから先に通せないんですってば!」
防衛室長のカヤがこの五日間、ヴァルキューレのアカレンガ支部及び隣接区支部の上位幹部生徒ら相手に、綿密な指導と議論と根回しを行なった結果、アカレンガ区全域の交通統制は極めて迅速に――公船襲撃の報から30分も経たぬ間にすべて為すことが叶った。
現在、同区支部の交通局、警備局、生活安全局の警邏車両と警官隊は、アカレンガ港に繋がる凡ゆる交通網を掌握し、展開後は各所に検問を仮設。緊急車両用の通行路を確保した。
これは、未確認海棲怪獣の迎撃が滞りなく進むよう、無関係な部外車両並びに市民の港湾部への立ち入りを阻むための配置でもあった。
「黙れえ!! 貴様らに我々の作戦行動を止める権限はなぁい!なんだ、天下のカイザーコープに楯突くつもりかあっ!?」
そんな仮設検問担当のヴァルキューレ生らに声を荒げて押し問答をしているのは、気狂いとも思えるほど煌びやかな軍装とそれに劣らぬ
自身の乗車である〈
「楯突くも何も、有事の規則に従ってるまでですって!」
その、如何にも権力者といった風貌であるロボット族は、
本来であれば、ロボット兵士用の
そのような人物が何故、斯様な装いをし、職務を忠実に全うしている眼前の警官少女たち相手に怒鳴り散らかしているのか?
「貴ィ様らには私の後ろに続くこの
彼は先述の通り文民であるが、カイザー本社より特別待遇として“少佐”の軍事階級を与えられていた。
そんな彼が乗る指揮車の後ろに連なっている部隊とは、カイザーグループの軍事企業――“カイザーPMC”の機甲・歩兵混成一個大隊相当になるアカレンガ救援戦闘団。
同戦闘団を構成しているのは、アビドス高校自治区方面“第113前線基地”所属の主力地上部隊である。
彼はこれの指揮官…即ち戦闘団の団長であった。
カイザー本社は、ここ一週間弱の連邦生徒会・ヴァルキューレ・オデュッセイアの三校間で交わされた通信を自社諜報網を駆使し、内容を傍受していた。
「防衛室と我々ヴァルキューレが動いてるんです! 今、貴方達に勝手をされれば現地に要らぬ混乱が生じます!」
海棲怪獣の情報を基にして、アカレンガ港周辺地域に点在しているカイザー系列組織所有の敷地・施設に、手すきのPMCベース113より
今回の怪獣事案で功績をおさめることで、アカレンガ港での発言権と影響力の独占及び、“
連邦生徒会並びにアカレンガ行政区から未認可である港湾敷地内への兵力動員も、それで
「我々をそんじょそこらの有象無象と混同するなぁ! 先のゴメス有事の際、貴様ら都市学園勢力は無力であったろうに!我々がその代わりを務めてやろうと言っているのが何故分からんっ!?」
「っ!!」
カイザー戦闘団長のあまりの言い草に、検問所責任者のヴァルキューレ生は拳を握り、ギリッ…と歯を食いしばって耐えた。
奮闘した同僚たちを侮辱されたのは心底悔しかった。
だが、ここで激発してこのクソ生意気なちょび髭を車両から引き摺り出して鉛玉をぶち込むか、警棒でしばき倒すかをしても、事態は変わらないと理解していたが故、耐えることができた。
戦闘団長…少佐よりもこのヴァルキューレ生は幾分か
「り…
「――そのような悠長さではイカンのだ大尉ィ!我が団はアカレンガ港に取り残されているグループ社員並びに社有財産を守るべく動いていることを忘れるな!」
一連の流れを見ていた、カイザー指揮通信車に同乗していた__“大尉”階級章付きの__若いPMC兵士が間に入ろうとしたが、それでも
「っハ! いえ、しかし臨時隊長殿――」
「――大尉ィ、その敗北主義者的姿勢がこの都市のガキどもに舐められる主因なのだと何度も言っておろうが!
それと
“いえだがしかし”を私は好かん!私がやると言ったら私がやるのだ…無用な口出しをするな!」
「それでも、彼女たちの主張の通り、上からも通行権は――」
「――二度も同じコトを私に言わせるな大尉ィ! 大尉、貴官ら113基地の人員は皆臆病者なのか!?精鋭が聞いて呆れるわ! 今は有事だぞ、通行権は事後承認の形とすればよろしい!このままでは埒が明かん!」
そう言うと臨時隊長殿…少佐は上部のキューポラを開け放ってそこから半身を出し、指揮車の真後ろに控えていた〈
「おい、そこの…双砲戦車!」
『――こちらタイガー1。いかがなさいましたか、臨時少佐』
「貴官らもか…ええい、
『っハ!…しかし…』
タイガー1車長は己の
「お待ちください、
彼が言い淀み、大尉が待ったの声を上げたのも無理はない。
戦車兵は、戦車にしかない唯一無二の火力と装甲と機動力を駆使して
……タイガー1の車長は
「案ずるな大尉。なあに、向こうが勝手に避ける。何をしているか、タイガー1、前進せよ!これは戦闘団長命令であるっ!」
――正気か、コイツは?
その指示は最早蛮行の催促となんら変わりなかった。
彼ら兵士にも
……が、戦闘団の中にはアカレンガ港に知人を持つ者が若干名おり、ここで足踏みし続けることも彼らは嫌っていた。
『―――…………タイガー1了解。前進します。タイガー全車、ワレに続け』
短くも長い数秒の憂慮の末、タイガー1車長は前進を決意。少佐からの命令を履行するべく操縦手と後ろに続く戦車隊に追従指示を出した。
―――キュラキュラキュラキュラ
「!! 止まれえ!止まれーッ!!」
「うわっ、マジで行く気だぞ!」
「くそ!誘導員を全員下がらせろ!」
「カイザーめ、ふざけんなっ!!」
「よせっ銃を出すな、難癖付けられてワタシらが蜂の巣にされるぞ!?」
それを止めようと誘導灯を握ったヴァルキューレの生徒たちが動くが、装甲戦闘車両を正面から妨害…押し返すような装備を彼女らは与えられていない。
結局、ヴァルキューレの警官隊は、その横暴な行為に道路安全帯から
「ハッハッハッ!そうだ、それで良い! 前進、前進せよ! なんだ、貴官ら113基地の人員もやれば出来るではないか!」
外の様子を愉快そうに眺める少佐の横に座る大尉に、後部スペースに搭乗していた指揮通信要員兼二人の護衛役の下士官らが耳打ちしてきた。
「……大尉」
「いい、気にするな。臨時隊長殿が少佐を拝命されたのはつい先日、我が隊に着任なされたのも同じく先日前だ。連日の多忙さから荒んでしまわれるのも無理はない」
「ですが…!」
「気にするなと言った。……アレは出世の実績作りのためだけに本社から出向してきた、実戦経験など持たぬ温室育ちの木端役人だ。
…先の検問の件は今次作戦が終了し次第、俺が直接理事に報告する。一兵卒から役員にのし上がったあの方のことだ、アレにも妥当な処分を下してくれるさ」
又、この制止を振り切って行われたカイザーPMC部隊による検問強行突破の報をヴァルキューレから受けた不知火防衛室長はサンクトゥムタワーの執務室で人知れず静かにキレた。
――カイザー戦闘団、アカレンガ港沿岸への前進再開。
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―――同刻
D.U.アカレンガ区
オデュッセイア海護部 第32哨戒艦隊旗艦
ミサイル重巡洋艦“わらび”
アカレンガ沖無人哨戒網敷設を担当したオデュッセイア海護部の第717掃海隊と、それの護衛艦隊として随伴した第32哨戒艦隊、そして新入部員の実践教育の為にひっついてきた第107練習艦隊からなる三艦隊__重巡1、駆逐2、掃海母艦1、掃海艇1、練習駆逐2の__計7隻は、つい先ほどまでは、母校所有基地への帰投航路に就いていた。
「――守るも攻むるも
しかし、アカレンガ沖東部海域でのコンテナ船襲撃の報を受け、最も最寄りの即応可能な水上部隊であったことからヴァルキューレ巡視船の活動を支援…否、未確認海棲怪獣との戦闘に参加するべく全艦Uターン。
「浮べるその城海原のぉ〜 学府の四方を守るべし〜♪」
最大戦速で戦闘海域目指し東進している道中であった。
「真鉄のその
現在、同海上部隊は、戦闘能力・航行能力の面に於いて優れる第32哨戒艦隊…その旗艦となっている巡洋艦“わらび”を三艦隊の暫定的総旗艦とし航行中である。
「艦隊司令。部室統幕からの新たな直電、来ました」
「ん……読んでいいよ」
…余談であるが、オデュッセイアはキヴォトス各地の沿岸、或いは近海に度々出現する外界からの漂着艦・漂流艦を自校所有艦船として引き取る、または買い取ることがままある。
ミサイル重巡としてオデュッセイアが
「『32、107、717の各艦隊を、アカレンガ事案に対処する統合任務艦隊――“
アカレンガ港防衛のため、
灰色の鉄船内には、濃紺のデジタル海洋迷彩塗装の戦闘制服を着込んだ女子高生達が乗っている。
「げっ、ソレ私が司令官じゃん…。はあ…たった7隻、それも半数は補助艦艇の戦闘艦隊とはねぇ。……まあ、了解としか言えないか。掃海隊の子らが頑張って敷いた哨戒網無視して現れてくれたし、その通行違反代金は頂戴させてもらわないとね。――あ、時間は掛かると思うけどさ、流石に増援は来るんだよね?」
部下に声を掛けられるまで『軍艦
「はい、キヴォトス大陸南東海で訓練を行なっていた第2機動打撃艦隊を向かわせるそうです」
「おおー。それはそれは、頼もしいことこの上ないね。他に報告は?」
「海統会を通じて防衛室と例の
「資料とかはもうある?――お、ありがと」
艦長と共に控えていた副長が提供資料をまとめたファイルを司令生徒へ手渡した。
資料には、現在交戦中だろうヴァルキューレ海警船から送られてきたと思われる、海棲怪獣を捉えた静止画像が複数同梱されていた。
その中身を開いて司令は読み進めていく。
「コレがゲ号標的……正式名称ゲスラ、か。こやつの群れが今回の相手ねぇ。目ん玉ギョロギョロじゃん。焦点定まってなさそうな間抜けな顔が何と言うか…」
―――海獣ゲスラ。
両生爬虫類型の魚食性水棲怪獣の一種である。
性格は温厚だが、過度な刺激を受けると途端に凶暴化する。鈍重な陸での四足歩行とは打って変わって航行能力は非常に高く軽快で、水中での航行速度は最高でマッハ2に迫る。
生息域は自然豊かな大陸型惑星や海洋型惑星の水辺から深海までと幅広く、餌を求めて地上へ上陸することもあり、その度に周辺の自然環境と生物資源を荒らしていくため、著名通称の“海獣”と並ぶ“食害怪獣”と言う不名誉な蔑称を授かるに至っており、文明惑星では害獣として駆除されるのが殆どである。
その体内には、自身と同サイズの怪獣を一瞬で全身麻痺に追い込むほど強力な固有神経毒を生成・貯蓄している。
他には、同じく外敵対策で高濃度汚水を蓄える水袋を備えており、襲撃者に対してはこれを高圧水鉄砲の要領で口から吐き出して撃退する。
先の猛毒と汚水を体内に有していることもあって、他生物がゲスラ種を積極的に狩ることは少なく、それが個体数の安定化に繋がってしまっている。
要は、嫌に生命力があって尚且つ数が増え易い迷惑な大型生物なのであった。
「……これ読んでると、どこまで知ってるんだって感じだよね、連邦が囲ってる“シャーレの先生”とか言う外から来た大人ってのはさ。宇宙軍とかにでも入ってたのかな」
ゲスラの確度の高い推定基礎スペックと生態情報を取り敢えず頭に入れた艦隊司令官。
その顔には大変苦々しい表情が張り付いていた。
シャーレ顧問…ミライに対する言も、
「噂では、外界の軍隊に在籍していた経験があるとか無いとか。……兎に角。話を戻しますが、この神経毒――“ショッキング・ベノム”とか言うのは要警戒です。資料の記述通りなら、返り血を浴びるだけでも危ないかと………接近戦はなるべく避けたいですね」
「それを言ったら体内の汚水もでしょう。しかもそれを高圧放水砲やウォーターカッターよろしく胃液とミックスで吐き出してくるとなれば……射程が気になります。艦砲クラスであればかなり厄介ですよ。大小問わず、全ての個体がコレを使える前提で詰めていくべきです」
“わらび”艦長と副長は司令にそれぞれ抱えていたゲスラを相手取る際の懸念事項を詳細に挙げた。
海に浮かぶフネには逃げ場が無い。それに加え、彼女らの操る現代戦闘艦は、大破レベルの攻撃を極短時間で一挙に受けることを考えての防御設計はされていない。
又、どの艦にも海賊による移乗攻撃を想定して、いくらかの
一度接近され攻撃を許せばお終いであるが故に出た懸念だった。
相手は群れでやってくる。こちらは一撃を食らえばタダでは済まない。ならばどうするか。どうするのが最適か。
「お二人と概ね同じ意見だよ、私も。毒に塗れるのもゲロビを撒き散らされるのも御免被りたい。……脳死戦法はあんまし好きじゃないんだけど――」
――三者協議の結果、接近を許さず片っ端から潰していく、と言うシンプルでありながら難しい択を採るということで纏まったのだった。
「――はあ…こっちがここまで頭こねくり回してる時に、部室の背広組連中は、今頃“338艦隊事件”の再精査にでも躍起になってるのかな」
ここでまたまた余談となるが――338艦隊事件とは、過去にオデュッセイア海護部隷下にあった旧第338演習艦隊に起こった海上遭難事故を指す。
死者行方不明者はゼロであったものの、重軽傷者が50名以上にものぼった悲劇的な重大事故だった。
「まさか、25年も前の海難事件が――」
当時は艦艇の航行能力や各種通信技術、索敵用具の乏しさと、各艦クルーの未熟さ、そして海難現場となった海域が台風による暴風雨の影響で荒れに荒れていたこともあって、当時の状況には不明な点が多く、同学園内で怪談半分、防災意識半分に今日まで語り継がれてきた。
「――
………この事件についてのこれ以上の詳細は、またの機会に記させてもらうとする。
「サァ、そこはなんとも…自分たちでは判断しかねるコトです」
「もしかすると、ウラガ海溝へのN2即時使用を推した派閥――“雷撃屋”の機嫌取りにでも奔走してるのやもしれません」
「あぁ、それはあり得るかも――」
『――
“わらび”索敵要員が、件の巡視船とゲスラの群れだろう存在を探知した旨を伝える。
「来ちゃったかぁ。――艦隊陣形を警戒陣から梯形陣に。艦隊総員、第一種戦闘配置。対潜及び対水上戦闘よーい」
「艦隊陣形、梯形陣へ移行。艦隊総員、第一種戦闘配置! 対潜及び対水上戦闘よーい!」
―――ジリリリリリリリリ!!
けたたましいベルの音とともに、各艦のクルーが戦闘態勢に入る。
「えっと、マイクマイク……あった!」
それを見届けつつ、司令官は制帽の上から鉄帽を被り、座席備え付けの艦内マイクを探す。
本格的な戦闘突入の前に、艦隊に対する訓示をするためだ。……戦闘準備の発令と順番が前後したのはご愛嬌である。
「えー、艦隊司令より統合任務艦隊総員に告ぐ。動きながらで良いから聴いてほしい。
まず717掃海隊へ。ベテランの貴女方に頼みたいのは、前へ出過ぎないこと。掃海隊が滅多に経験しない海戦に参加できるからってウキウキ興奮しないで…とだけお伝えしておく。
次に、準備期間も含めれば凡そ一週間弱、弱音を吐かず我々についてきてくれた107練習艦隊の一年生水兵諸君。日頃の訓練通りにやってほしい。慌てることはないぞ。面倒なコトはキミたちの教官である先輩方がやってくれるだろうから。
そして最後に32艦隊の皆んなへ。特に言うこと無し。強いて言うなら、私も乗るこの“わらび”の全クルーにだけ。“わらび”クルーのお嬢様方、お願いだから“わらび”のイージスシステムがお釈迦になるぐらいの無理はしないでほしい。
……アレを修理できるのは
艦隊司令の言葉を神妙に聴いていただろう各艦からドッ! とクルーたちの笑い声が弾けた。
「さて、笑いもそこそこに。……今みたく全員で笑って帰れるよう頑張ろう。諸君らの奮戦に期待する。以上!」
戦闘用意を告げられた環境下で場違いな話と反応だったが、これこそ
「ヴァルキューレ巡視船に通信繋げて……うん、いいかな。―――あーあー。こちらはオデュッセイア海護部・アカレンガ統合任務艦隊旗艦、ミサイル重巡“わらび”である。ヴァルキューレ巡視船、可能であれば応答願う。繰り返す、こちらは――」
『―――こ――は、――海―警局、アカ――ガ管区所属、巡視船“ばんどう”です――どうぞ――!』
若干ノイズと砲声混じりであるが、“わらび”は海警船からの返信を拾うことに成功した。
「応えてくれたね。――貴船の状況を教示されたし」
『――現在、本船は怪獣に撃沈された
『わああっ!右舷底部破損、浸水はっせええええ!!』
『撃っても数が減らない…何匹いるんだコイツらは!?』
『――お聴きのような――状況下にありますッ!』
任務艦隊司令官の顔からは、先ほどまでの、のほほんとした表情は消え、海兵のそれになっていた。
「巡視船“ばんどう”へ。よく持ち堪えてくれた。これより我が艦隊は貴船の当海域離脱を妨げるゲ号標的群を引き剥がしに掛かる。
――各艦、攻撃目標の重複に注意せよ。誤射は厳禁。射撃準備でき次第、各個判断で撃ち方はじめ!」
「勇気ある彼女らを、死力を以って援護せよ」
――後に“アカレンガ沖海戦”と銘打たれる今次水上戦に、この瞬間から…オデュッセイア・アカレンガ統合任務艦隊が参戦した。
『―――“わらび”イージスシステムとの相互データリンク確立。いけます』
『
『左舷魚雷管、全門斉射!』
ゲスラの群れに対するオデュッセイアの一番槍を担うは、32艦隊所属のミサイル駆逐艦二隻。“わらび”と同じく、外界サルベージ艦である両艦は、「
『――僚艦“とりかぶと”、同“べにてんぐ”、砲雷撃戦に突入!』
〈むらさめ型汎用護衛艦〉の魂を宿す二艦は、全周同時探知、同時識別、同時攻撃を可能とする地球・西側諸国最高の艦隊防衛システムの支援を受けて、単装速射砲、対潜・対艦誘導弾、対潜短距離魚雷からなる全力射撃を敢行。
「主砲、誘導弾、撃ちぃ方ぁはじめ」
「主砲、誘導弾、撃ちぃ方ぁはじめッ!」
『――本艦も遅れを取るな!目標、敵前衛集団Cのゲ-4からゲ-9!
『練習駆逐“えくれあ”、“まかろん”、対潜
それに一拍遅れる形で、艦隊旗艦“わらび”と、独連邦海軍〈
海面から突出しているけばけばしい青緑の額や背鰭が爆ぜていき、周囲の海面を赤黒く染める。
オデュッセイア艦隊による初動攻撃は大型に満たぬゲスラ小型個体群に対して効果は絶大だった。
単純にミサイルや砲弾、魚雷の威力がそれらの耐久力を大きく上回っていたためである。
耐久力が最も低い個体…2〜3m級に至っては、直撃と同時にミンチと化して海原に飛び散り次々と絶命していった。
こうして、巡視船“ばんどう”周辺のみに絞っての火力集中投射は、数でこちらを圧倒していたゲ号標的群第一波を退け、同船をオデュッセイア艦隊の外周に取り込む事に成功した。
……が、しかし。彼女たちが順調だったのはそこまで。
10m以上の体躯を持った、通常兵器に対する一定の防御力を備える中型・準大型個体群の戦線浮上から旗色が悪くなり始める。
これら個体を相手するにあたって、確殺に必要な各種弾数が小型のそれと比べて倍以上に増えた。それは撃破までに掛かる時間の増大も意味している。
そうした個体群__沈没したコンテナ船になおも取り付いていたグループや海底洞窟からの増援組__が合流し、第二波として突撃してきた結果、艦隊による対処が追いつかなくなっていったのは当然の帰結だったわけで――
『――掃海艇“つるべ”中破! 艦首部に取りつかれてます!!』
『
――オデュッセイアの面々は、有視界戦闘の距離までゲスラ群接近を許すに至る。
まず、ゲスラを捌き切れなかった補助艦艇が被害を受けた。
自衛火器程度の兵装しかない掃海艇にとっては、どのサイズのゲスラであれ荷重だった。
『掃海母艦“はかり”、“つるべ”のカバーに入るようです!』
『――やむを得ん、随伴の練習艦を前に出させろ。司令も言っていただろ、掃海隊に無理をさせるな!またやられるぞ!』
次に艦隊を襲うのは、ゲスラの繰り出す生物にあるまじき
『“えくれあ”、右舷に被弾!火災発生! 例の水鉄砲です!!』
『違う、ありゃもうレーザーだ!』
………ゲスラの各種能力はスペック表で見たものよりも、実物の方がずっと凶悪で厄介なモノだった。
しかも、その状態でレーザービームも斯くやな
『―――“べにてんぐ”前甲板VLS、弾薬欠乏!』
『魚雷再装填中! 残りはこれ含めて二回分です!』
『敵第二波後衛、来ます!』
『これだけ撃ちまくってまだ足りないのかよ!?』
『後部CIWS、給弾アラート出てるぞ!』
悪い状況というのは、とことん重なるものらしい。
初戦から景気の良い全力射撃をバカスカ繰り返したことも祟ったのかもしれなかった。
――弾薬が底をつく艦艇が現れる。
「―――これは、まずいな…」
続々と“わらび”
戦況はオデュッセイア劣勢に傾きつつある。嫌な流れだ。
『―――あっ!? 下にアホみたいにデカいのがいるぞーー!!大きい、そこらのヤツらよりも……30m、いや40はある!! コイツ、どっから―――!?』
――戦況に暗雲が垂れ込み出した中、ゲスラの魔の手が再び、海警巡視船“ばんどう”に……否、艦隊全体に伸びた。
目の良い“ばんどう”甲板見張り員が、海中の異変に声を張り上げたが時既に遅かった。
―――ザッパァアーーン!!
ゲエエエエエエエエエエッ!!!
ゲスラは、彼女たち
「これが、“怪獣”……っ!!」
艦隊司令は水飛沫を上げながら自身の眼前にも現れた巨大海獣を、
艦隊直下の水温躍層に潜り込み、ソナーからの探知を掻い潜った別働隊とも言える大ゲスラの一団が、各艦至近へ一気に浮上してきたのだ。海中からの完全な奇襲だった。
回避運動も取れぬ鉄船たちへ次々ゲスラが無遠慮にのし掛かり、それらの艦上にある諸構造物を手当たり次第薙ぎ払い叩き潰し破壊していく。場所によっては装甲を腕による打撃で破られ、艦内浸水を引き起こした。
「――“ばんどう”は――!!」
最悪だったのは船体の耐久性が軍艦と比べ劣るフネである
同船は準大型ゲスラ一体の
『ヴァルキューレ巡視船“ばんどう”、大破轟沈!!』
「駄目か――っ」
ただ、不幸中の幸いだったのは、危機を悟った船長による総員離船の発令がゲスラの船体ダイブより早く為されていたと言うこと。
これによって重要区画担当の局員たちは取り残されずに済み、コンテナ船乗員含む全員が高速救命艇に乗り込んで脱出することが出来た。
―――水底への誘いの手は、残るオデュッセイア艦艇にも等しく及ぶ。
ゲエエエッ!!!――ボォアアッ!!
―――ズズゥウウーーーーーン!
「――ぐぅぅっ…! 真海司令、我が“わらび”もここまでのようです…!」
「
「……そうだね、コレは言いたくない言葉だったけど―――“わらび”総員へ告ぐ!総員退艦!生命の維持を最優先に行動せよ!!」
40m級複数体に絡まれたオデュッセイア・アカレンガ統合任務艦隊旗艦――重巡“わらび”、同乗の艦隊司令生徒の判断で総員退艦を発令。
要であったイージス艦がやられると、他艦艇もそれの後を追うように、操舵不能、艦首全損、弾薬庫誘爆など、戦闘行動続行が不可能なレベルの損害を被り、各艦で総員退艦の指示が相次ぎ……A-JTFは事実上壊滅した。
こうして“わらび”含む各オデュッセイア艦艇クルーは脱出後、“ばんどう”船員らと同様、ゲスラに囲まれた海に放り込まれたわけだが……
そのゲスラの群れは不思議なことに自身らに攻撃を仕掛けてきた
……これより数時間の間、艦船クルーはアカレンガ沖中央海域を漂流し、最終的には救援として駆けつけたヴァルキューレのアカレンガ管区船艇と遠洋漁船団に救助されることとなる。
―――オデュッセイア海護部艦隊、ゲ号標的群撃滅に失敗。
大多数のゲスラ残存個体、アカレンガ港へ迫る。
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_________
――ヴァルキューレ巡視船撃沈、オデュッセイア三艦隊との通信途絶から凡そ10分
【推奨BGM】機動戦士Zガンダム『
D.U.アカレンガ港 水域区画
オデュッセイア
艦艇泊地隣接臨海寮
―――ウゥゥ~~~~~~ッ!!
アカレンガ湾周辺を担当する哨戒ドローンによってゲスラ西進を察知した
連邦生徒会防衛室・ヴァルキューレ警察・オデュッセイア海軍に対して有事対応要請を正式に発信した。
又、同職員は港湾における全業務の緊急停止と港湾関係者・来港市民への避難誘導の対応に追われていた。
『――繰り返す! 分校の全艦艇乗組員は、直ちに緊急出航にかかれ! 分校守備隊は、防衛陣地への配置急げ!!』
アカレンガ港の一角、水域区画に各種施設を置くオデュッセイア分校も、慌ただしく動いている最中であった。
「発令が遅いっての!」
「例の
「沖で32艦隊の“わらび”がやられたらしい! 麾下の艦も全滅だ!」
「ハッタリだろ、型落ち品でもイージス艦はイージス艦だ。軍艦がそう簡単にやられるかよ!」
「その隊の司令は三年の真海先輩だろ!? あの人でダメなら私らじゃ太刀打ちできないって!」
「白兵戦なんてやったことないよぉ〜!」
泊地隣接の学生寮からは、休暇を潰され怒り心頭気味の非番生徒たちが制服を着ながら飛び出していく。夜勤明けなのだろうか…下着の上にジャケットを羽織っただけ、という格好の生徒も見受けられた。
彼女たちの一部…分校守備隊の子らが目指すはミサイルシステムが配された防御陣地。
突貫の防御陣地が設けられた校庭前グラウンドには、4台の〈
「おい!12式はなんで動いてないんだっ!?」
しかしながらそのどれもが、操縦手はおろか観測・射撃要員さえ乗っておらず何故か非稼働状態であり、海鳥たちの羽休めの足場と化していた。
「えっと、点検中だったので――」
「――クソッタレ!とことんが間が悪いな!もう敵は湾に来る手前だってのに……!」
一年整備士からのしどろもどろな返答に、分校校舎から走ってきたミサイル射撃中隊の隊長が、コンクリの地面を蹴りながら悪態を吐く。
苛立ちを露わにしつつ、射撃中隊長が再度整備士に問いただす。
「発射機のシステム再起動にはどれくらいかかる!」
オデュッセイアが所有する12式地対艦誘導弾は日本国陸上自衛隊の保有・運用する同名の純正品と比べ、ミサイルに纏わる諸機器は学生向けに簡易的となっており、弾体に関しては大型化による火力向上の反動で推力と誘導性をある程度犠牲にしている。そのため、その有効射程はオリジナルの半減どころか三分の一程度にまで縮小していた。
先日のカヤが口にしていたように、オデュッセイアの12式に“沿岸防衛用”、“短距離”と銘打たれているのは、一長一短の廉価品だからだった。
「っは! ええと、諸々すっ飛ばしていいのなら、6…いえ5分で出来ます!」
「長い!3分でやってみせろ!」
「は、はいっ!!」
従って、このミサイルシステムが使用される出番と言うのは、射程や用途の事情によって限りなく短く少ない。
これが使われる状況というのは、海に面するオデュッセイアにとっての重要地点が危機に晒された時である。
ここぞ!…と言う場面で使えなかった場合、無用の長物と蔑まれるだけでなく、重要地の喪失と自身並びに友軍の全滅に繋がる結果を生む。
それだけは防がねばならない。射撃中隊長は整備士生徒らに檄を飛ばして稼働を急がせた。
「索敵車、海はどうだ!」
『対水上レーダーに複数感あり!
「探知地点は!」
『湾最外縁部です!間も無く一波が離岸堤に到達するかと! 数は最低でも50!後続も含めれば、三桁に届くかもしれません!!』
レーダー車の報告を受け、双眼鏡で沖の方を確認する射撃中隊長。その頬には嫌な汗が伝っていた。
……アカレンガ湾の外縁、消波ブロックで覆われた人工離岸と沖の様子は、校庭グラウンドからもよく見える。
そして、沖より迫る多数の…謎の白波も。
「あれは、どうにかできるのか…?」
そう呟かずにはいられなかった。
しかし、整備士たちから「全車、起動完了」の報告を聞き、彼女はその疑念を振り払って即射撃開始を指示。
号令の下、胴長の12式地対艦誘導弾が白煙と共に、海からの刺客目掛けて飛翔した。
「――タグボードの曳航無しでミサイル艇を湾へ出すってんですか!?」
「だからそう言ってるだろ、やるしかない。タグのおっちゃん達は逃げちまったんだから!」
運動場で対艦ミサイル中隊がようやく射撃を開始した頃。艦艇泊地では、アカレンガ分遣艦隊…ミサイル艇2隻を今から湾内へ曳航補助無しで出すか出さぬかで右往左往の最中であった。
「ここに停めといて浮き砲台にした方がマシでは?!」
「たかが機関砲一門とミサイル二本で何ができる! 機動力が死んじまったら、高速艇はただの的になるんだぞ!広い湾に出して走り回らせた方がいい!」
「……時間が足りませんよっ」
「ドローンと水上格納庫の無人
――ブオオンッ! キキィイイイッ!!
その時、泊地埠頭に一台のミニパトが猛スピードでやってきた。
「なんだ、ヴァルキューレのパトカーじゃないか?」
「海警じゃない…中央区のナンバーだ。たしか、生活安全局のやつですよアレ」
「なんでタカマガハラの生安がこんな大事な時にウチの分校に来んだよ」
ミニパトは昨今のアニメでも見ない__車体後部が浮き上がるほどの__中々な急停車をすると、その車内より白髪のヴァルキューレ生と連邦生徒会のロングコートを着た栗毛頭の青年が降りてこちらへ走り寄ってきた。
港湾管理センター庁舎から飛び出してきたキリノとミライである。
「ヴァルキューレ本部生安局二年、中務と申します。現在は連邦捜査部出向…仮入部員でもあります。そしてこちらは――」
「――僕はその連邦捜査部顧問のヒビノ・ミライ。僕らは連邦生徒会統括室からの依頼で、港湾警備に就いていたんだ。キミたちはオデュッセイアの生徒だね? 状況は聞いてる」
二人の名乗りに、オデュッセイア分校生もまた名乗りを返す。
「オデュッセイア分校アカレンガ分遣艦隊、指揮官兼〈1号型ミサイル艇〉“よたか”艇長の水里だ。
連邦捜査部……アンタが噂の“シャーレの先生”か。なるほど、ゲ号標的の情報源はそっちだったな。
情報提供は感謝している……が、ここはオデュッセイアの治外法権地だぞ、連邦所属のアンタらが何故ここに…? 上から聞いてないのか。我々は連邦生徒会とは別の…独自の作戦行動を取ると」
突き返す物言いの彼女に、ミライは動じずここへ来た要件を簡潔に伝える。
「ゲスラの群れの共同撃破…キミたちもそれに加わってほしいんだ」
オデュッセイアはキヴォトス随一の
現キヴォトス三大校に総合力で劣るものの、その実力と影響力は例の三校と同格。
彼女達の力も合わされば、この難事だってきっと……ミライはそう思い直接ここにやってきた。
「……ヴァルキューレに防衛室、そしてシャーレ…全部連邦の内輪組じゃないか。もう一度言うが、我々は我々の作戦行動を――」
「――本来であれば、これは大人が対処しなくちゃならないコトだ。けれど、今は僕だけじゃ…僕らだけじゃ力不足なんだ……!
……僕も、アカレンガを守りたい! ここに訪れて、この港の人々が、とても暖かくて優しい人達だって知った!こんな暖かさを持つ人達が暮らす土地を、守りたいんだ!!」
港の外から来た何も知らぬ余所者…と一蹴できない弁が彼の口から飛び出した。
その言葉の節々には、不甲斐なさと、暑苦しさと、焦燥感が滲んでいた。
「…………」
未だ、Eアラートのサイレンが港に鳴り響いている。
「だからっ!お願いします!! 貴女方の力を、貸してください!!」
「お願いしますッ!!」
果たして、大人と言うにはまだまだ若く、されど子供と言うには些か大人びすぎているこの青年の言葉と誠意は………
「…………分かったよ、降参だ。アンタ…いや、ヒビノ先生、あたしらもその想いは同じだよ。……海護魂に通ずるそのアツさに報いたい。その持ち掛け話、乗ってやる――!」
……たしかに、海原の防人の彼女達に届いていた。
「〜〜ッ!! ありがとう!!」
今度は嘆願ではなく感謝の念から頭を下げるミライとキリノ。
「あたしらの頑固さもあってだが、時間を食い過ぎた。これ以上の浪費は惜しい。シャーレとの安保協定はこの場で臨時且つ略式…そしてあたしの独断で締結させてもらう。―――分校の部隊をどう動かせばいいかだけ教えてくれ」
水里はガシガシと側頭部を掻きながら、彼に指示を請うた。
「オデュッセイアの皆んなには――」
その時、ミライの手にあるシッテムの箱に着信通知が届く。相手はカヤ防衛室長だった。通話に出ると彼女の小さなホログラムが画面上に映った。
「こちらミライ」
『――ミライ先生、不知火です。群れの最先が湾内に入りました。哨戒ドローンが対応中です。
また、迎撃部隊展開の進捗ですが、間も無く
ゲスラの
怪獣との戦闘に於いても、空からの遊撃と陽動があるだけでも陸上部隊の生存率は上がるのだから。
「二個中隊の方は?」
『…現在シーポートICを降り、港内市街地入りを果たした所ですが、道中の主要道が避難中の市民で溢れており、立ち往生してしまっています。沿岸現着には今暫く掛かると見て良いでしょう。
なお、ヴァルキューレの港湾警備隊の各隊は装甲車で沿岸部へ既に進出済みです。先生の言い付け通り、一部はオデュッセイアの分校へ回していますが、先生は今どちらに?』
「オデュッセイア分校にいるよ。彼女たちも、ゲスラ迎撃に協力してくれる」
ミライの口から出た「オデュッセイアの協力取り付け成功」。
ホログラム投影のカヤの顔が驚き一色に染まった。そこには、石頭連中相手にマジでやりやがりましたよこの先生…という若干の引きも混じっていたが。
『ほ、本当に彼女達と話を付けたんですね……いえ、それなら寧ろプラスなので良いのですが…。次はどうされるのですか』
「オデュッセイアの部隊にもシッテムの箱によるデータリンクを施すよ。これさえやれば、何処の戦況もリアルタイムで把握できるからね。
それから、水域区画で逃げ遅れた人達がいないかを直接確認しつつ、上陸する個体を撃破して回る。全体の迎撃指揮は、シッテムと無線接続してるインカムゴーグルで行なうから心配しないで」
『会長の遺産にそのような機能まで……。取り敢えず分かりました。
……先に報告したカイザーの私設軍が港街へ突入しました。彼らの動きは予測不能です。ご注意ください。
引き続きこちらで新たな情報等を入手しましたらすぐにお伝えします。ご武運を、先生』
カヤとのホログラム通話を終了しミライは水里らオデュッセイア分校生に向き直る。
通話内容を聞いていた彼女が口を開く。
「……こちらがやるべきことは解った。ヒビノ先生は、まだ他に行かないといけない所があるんだろう。ここは任せて、早く行ってくれ」
「ありがとう水里ちゃん。皆んなで守ろう、アカレンガを」
ああ、とそれに短く水里が旧海軍式敬礼と併せて応え、ミライとキリノに背を向けて自身のフネ…“よたか”に続くタラップへと駆け出した。
「……僕らも急ごう、キリノちゃん」
「はい――!」
彼女の後ろ姿を半ばで見届け、ミライはキリノとミニパトに乗り込んだ。
――湾出入り口…外縁防波堤上では、既に幾本かの黒煙が昇り始めていた。
_______________
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―――同刻
D.U.アカレンガ港 水域区画
アカレンガ漁村
漁業組合船着場
「装甲車をこっちに! 壁にすんだよ!!」
警備局の常駐警備車が船着場のコンクリ式人工岸に急かされながら配されていく。
海から来る敵の動きを鈍らせる防壁のかさ増しであった。
怪獣上陸予想地の一つとされた同港漁村にも、ゲスラの港湾接近が確実となった時点で、港湾管理センターより避難指示が発令されていた。
「――ここに住まわれている皆さんのお気持ちは痛いほど良く分かります。ですが、ここはぐっと堪えていただいて…」
「嫌じゃ!ワシらはこの村から離れん、離れんぞぉ!!」
「オレたちの船はオレたちが守るんだ!」
「悪いがヴァルキューレの嬢ちゃん達、止めんでくれや!」
「何が怪獣や、このモリで一突きにして塩焼きにしてやらあ!!」
大多数の漁港民はEアラートに脅される形で内陸側に手荷物をまとめて避難していた――が、一部獣人住民は避難を頑なに拒否。この地を防衛するべく展開したヴァルキューレ・アカレンガ支部警備局――アカレンガ港湾交番の港湾警備隊が彼らの説得に苦慮していた。
「第二小隊長、漁師のおじ様方の説得に難儀してるぞ」
「貧乏くじ引かされたな。あれはもう動かないと思うね、同情する」
―――ドドォオオン!!
刹那、漁村から近い多重防波堤の近傍で大きな爆発と水柱が連続で発生した。
オデュッセイア地対艦ミサイルの着弾である。
「うおっ、さっきより近いな…」
「間も無く会敵かね…?」
村至近での戦闘による地揺れに、漁民たちはどよめいた。
彼らを少し下がらせながら警察学生たちは防波堤を睨む。
「
「防衛室の増援が来るまで持ち堪えるしかない」
そういって警備隊の上級生らは鉄兜のバイザーを降ろした。
「…今日ほどキヴォトス防衛団が実在してほしいと思ったことないかも」
「なにそれ」
「ペロロジラ観たことないの?
上のように喋りながらも、埠頭にて乱れず即応待機中の警備隊員ら。
「――私らは即席の対戦車兵って具合か」
「こんなことなら税関の警備員やっときゃよかった…」
フル装備の彼女達の細腕には、JKの背丈に不釣り合いな携行火砲が抱かれていた。
「こんなんで倒せるのか?」
「持たされてるんだからもう信じるっきゃないでしょ」
“
地球に於いては北欧スウェーデン生まれの多目的無反動砲。彼女らが担いでいるのは、防衛室の火器倉庫で長らく埃をかぶっていた保管備品である。
――港湾
そうミライとの対策会議で話していたカヤだったが、前線に立つだろうヴァルキューレの生徒達への支援を惜しんではいなかったのだ。
『――こちらアカレンガ交番指揮所、残念ながらドローンとオデュッセイアのミサイルによる流入阻止は失敗に終わった。 間も無く水域区画に海棲怪獣ゲスラの群れが到達する!沿岸部配置の各警備中隊は戦闘に備えろ!!』
アカレンガ港におけるヴァルキューレの前線指揮所からの無線を受け、港湾警備隊の局員達は表情を引き締め、岸に火砲を構え海獣―――ゲスラを待ち受ける。
「来るぞ――!!」
―――ザザァアンッ!!
――――ゲェエエエエアッ!!
気味の悪い咆哮を上げて、小型及び準中型主力のゲスラ先遣隊が湾より漁村埠頭に上陸を果たした。
「無反動砲…撃て!」
そんな
現代の主力戦車が纏う複合装甲さえ容易く破るソレは、ゲスラの生体弾力装甲にも効力を発揮した。
分厚い特殊皮膚に直撃した弾頭が、戦車に直撃した際と同様にメタルジェットを生成・突入させ、海獣の内部構造を容赦無く穿った。
―――ゲエエェェ……!
腹にいくつもの風穴を空けたゲスラたちは、瞳を白く濁して大きく仰け反りながら背後の海へと倒れこみ、水飛沫を上げながらゴボゴボと海中に力無く沈んでいく。
「やった、やったよ!!」
「5体も撃破した!」
「気を抜くな、また来るぞ!再装填急げ!」
ゲスラ撃破に沸く局員らに次へ備えろと怒鳴る現場指揮官。
その心持ちは正しかった。ゲスラ先遣隊に射撃したグスタフ要員らが弾薬装填を整える前に今度は20mの……準大型に迫る個体が数体、湾内から姿を現した。
―――ゲェエエエエッ!
「二小隊、構え!――撃てえ!!」
「四小隊、ぶちかませ!」
再度のグスタフ斉射。
しかし準中型の時のように上手くいかなかった。中型ゲスラはそれぞれ、両腕を犠牲にし自身を守ったのだ。
腕をやられ怒り狂う彼らは、一目散に埠頭の警備隊…小さき敵対者の群れへ迫る。
「退避ぃ! 全員退避ーーーっ!!」
漁村配置の港湾警備隊は一個中隊――四個小隊である。
一度の斉射毎に二個小隊使った彼女達は、今使える有効な火器は無い。即ち無防備だった。
それ故退避命令を出したのだが、ゲスラの歩行速度の方が断然速い。追いつかれ踏み潰される…そう思ったときだった。
「―――その場に伏せてッ!!」
「「「!!」」」
男性の大声が響いたと同時に、港湾警備隊と漁港村民の頭上を幾本もの
その光条がゲスラの頭部に達した途端、明色の爆発が生じた。
煙幕が晴れると、そこには頭部を丸々失ったゲスラの死体が並んでいたが、間髪入れずに繰り出された二度目の連射光撃を受けた衝撃でそれらは転倒。すべてが海中に没した。
「た、助かったぁ」
「今のは……?」
「レーザー光線?ミレニアムの新兵器か?」
「いや、あの人の格好、連邦生徒会の…」
「もう片方はウチの生徒だぞ」
光線が飛んできた方向…そこには見慣れぬ光学拳銃を構える白い制服の青年と、同じようにリボルバーを構えた白髪の警察学生が立っていた。
「おい、もしかしなくともあの兄チャンか! 役人の兄チャンとお巡りの嬢ちゃんじゃねえか!?」
その二人が見知った顔だと知った、残留漁民の一人…アライグマの若手マグロ漁師が青年に駆け寄る。
他の漁民もまた彼と同様に青年…ミライの下にやって来た。
「新川さん、それに漁村の皆さん、早くここから避難してください!」
「直に群れの本隊がここを含む水域区画各所に上陸します!危険ですから避難をっ!」
「だ、だがよお! オレたちの家を、船を、あのトカゲモドキどもに滅茶苦茶にされたかねえんだ!
なあ…頼むよ兄チャンと嬢ちゃん、分かっちゃくれねえか!? オレらも――」
自分らにも戦わせてほしい…そう懇願する新川らの言葉は途中で切れた。
湾から三度目のゲスラ出現である。しかも今度は準大型個体…35〜40m級が3体。最早
「で、デケぇ、またデカいわだつみ様が来ちまった!」
「だから違うと言っておろうが! ヤツらはわだつみ様じゃない!よく見てみぃ、頭に
村民たちの声は置いておくとして、埠頭の警備隊が一斉に動き出す。
先の戦闘の反省を活かし、多方向からの同時射撃に出るつもりのようだった。
「っ!! ゲスラの攻撃が来るッ!地面に伏せて!!」
だが、3体のゲスラはそれよりも先に仕掛ける。漁村への二足での進行を一時止め、海上で口部を大きく開いた。
するとその口内から収束された鈍色の水…汚水が途轍もない高圧を伴って吐き出された。その飛散速度は、亜音速。
狙いを定めていない乱雑なハイドロカッターの照射は、漁村人工岸のコンクリを抉り、余りある衝撃波で多数の警備局員たちを軽く吹き飛ばした。
至近に食らった何人かはうずくまったまま動けないでいた。……その子らの装備は、一部シュウシュウと音を立てながら溶解している。ハイドロカッターには、強酸性の胃酸が混ざっていた。
「……くっ、キリノちゃんは大丈夫かい?」
「は、はい。なんとか……!」
生命の神秘と言うべきか…いまだに原理の全ては解明されていないものの、殆どの怪獣は成長に伴う巨大化に比例するかのように、その防御値と耐久値を上昇させていく。
…あのサイズにまでなれば、
こちらを制圧できたと判断したのか、進攻を再開させたゲスラ3体をミライは一瞥し、コートの特注内ポケットからシッテムの箱を取り出してアロナを呼びつけた。
「――アロナちゃん、
『はい!どの子も元気一杯、やる気満々ですよ!!』
――ゴァアッ!
――クエエッ!
――グルルッ!
――キイイイッ!
――ブモーッ!
タブレット画面では、クッションサイズの愛くるしい姿となった――リムテッドアバター化したマケット怪獣たちがアピールするかの如く、アロナの周りを跳ね回っていた。
「……ウインダムの力を借りる」
…大ゲスラ撃破には、それらと真正面から殴り合える同格の存在が必要だ。
――ミライの切り札はアロナと“
『合点承知です!これよりウインダムのマケットカプセルへ最新の各種データを無線転送します!』
――クワッ!
“マケットカプセル”。
CREW GUYSが有した主力戦術級メテオール兵器。
かのカプセルには、日本防衛の一翼を担った頼もしい
「キリノちゃん!」
「は、はいっ!? なんでしょうか!!」
「すべての無線帯に呼び掛けてほしい! これより、『湾内に
ミライはこの戦場にマケット怪獣第二号…ウインダムの投入を決意した。
キリノに対する説明には、ミライなりの「キヴォトス市民の対怪獣感情」への配慮があった。
現在、キヴォトスにおける“怪獣”の評価は、前例と呼べる怪獣出現が公的記録上では、先のゴメスと現在進行形のゲスラ以外に無いというのも手伝ってか、「相容れない絶対的な敵性生物」が大半である。
「ろ、ロボットを、
「詳しいことは後で全部話すから、とにかく無線に何度も呼び掛けて!
ウインダムへの誤射だけは防ぎたい!今は目の前のゲスラたちだ!」
マケット
「わ、分かりました! 至急、関係各所へ伝達します!」
今の学園都市に、友軍・友好怪獣や非敵性中立怪獣といった枠組みを理解できる人間が何人いようか。
故に、ミライはウインダム本人から不服申し立てをされることを覚悟の上で、マケット怪獣使用の土台を即興で作り上げた。
「――行こう、ウインダム」
そう言いミライはシッテムの箱によって最適化処理を終えたウインダムのカプセルを懐から取り出し、メモリーディスプレイ・カートリッジ側面のソケットに装填する。
『――
「頼むぞ!」バッ!
ミライはメモリーディスプレイを湾の中空へ構えトリガーを引く。
『――“
それが為されると同時に、カプセルソケット部から閃光が迸り、湾の海上には、白緑に光る硝子玉…或いは水泡の如き粒子――分子ミストの竜巻が吹き荒れた。
……その緑の旋風からは、3体のゲスラの行き手を阻むように
アカレンガの入り江に堂々立つその戦士は、頭頂部の赤いトサカと左手装備の赤き腕装火砲“ファイヤーアーム”、そして鳥類の嘴を思わせる口部が特徴的な、白銀の二脚ロボット怪獣。
斯くして、ファイヤーウインダムは超巨大学園都市キヴォトスにて初の実体化を果たした。
―――クァアアアッ!!
ウインダムの視覚センサーは、突如現れたこちらを目にして呆け固まる3体の準大型ゲスラを捉えていた。
先に仕掛けるのはウインダムか、それともゲスラか。
………ミライは漁港を背にして立つウインダムを見て、下のような呟きを溢した。
「あのウインダムは、
別にウインダムの実力を疑ってるわけではない。
彼の疑問は、彼自身が握っているメモリーディスプレイの画面上に映る、ウインダムの活動制限時間を示すカウントダウンにあった。
「――
そんなミライの疑問を他所に、ウインダムは前進を開始。
ゲスラ群との交戦に入った。
―――アカレンガ防衛戦は、間も無く佳境を迎える。
あと
がき
皆様、わっぴ〜!(気さくな挨拶)
好きな水棲怪獣はパワードペスター、好きな歴代ウインダムは外伝漫画『STORY0』な
今回も詰め込みすぎの大長編にしてしまいました。
自分の次回予告で開示する範囲の調整ミスが原因であります。次回よりなるべく改善できればなと思います。
本作の「事後承認だ!」第一号はなんとカイザーの木端役人になってしまった…なんで?
申し訳ないんですけど、投稿者は悪い大人の勢力筆頭であるカイザーも好きです…某61式の如き連装砲をくくり付けた戦車とか持ってる組織を活躍させずして何がミリタリー×青春RPGの二次ssか!――といった具合に書いてたという。
というか、大人の軍隊が弱いワケないのよ、普通。キヴォトスとかいう世界が変に魔境なだけで。……ぶっちゃけるとキリノちゃんとミライ先生のやりとりとか書いてた時と同じぐらい筆が乗ってました。
コンテナ船の名前の由来は元祖『ウルトラQ』に登場しました、“深海怪獣ピーター”だったりします。船名のせいで共食いみたいになっちった…
また、本作のお気に入り数が、600を突破しました…!
ヘッヘッヘッ、ホンマニウルトラカンシャダヨ…ドクシャノショクン。アリガトウ。メビウスノアユミヲ…コンゴモドウカ、アタタカイメデミマモッテホシイ…ヘッヘッヘッ…
※毎度お馴染みピックアップ解説コーナー
(独自設定独自解釈共にもりもり。今回も長いです)
◯カイザーPMC
原作『ブルーアーカイブ』に登場する、カイザーグループ最大の暴力
傭兵稼業がメインの民間軍事会社であるが、カイザーの私兵組織という色の方が強い。
巨大グループに属する企業なだけあって、社員と資金は潤沢であり後述のような基地と兵力をキヴォトスの各地に置いている。
◯第113前線基地
“アビドス高校”学園自治区、アビドス砂漠内のカイザー所有地に建設されたカイザーPMC陸空統合基地。同社所有の基地の中でもかなりの規模のモノ。
敷地内には地上管制塔、兵舎、格納庫、砂上演習場、油田など…を有する。
同基地は陸軍混成一個連隊と空軍一個飛行団と言う__廃校手前の自治区相手には不釣り合いな__過剰とも言える戦力を抱えている。
◯カイザーPMC 大尉
本作“独自設定”タグの産物であるカイザー側のオリジナル準ネームド(本名不詳)キャラ。役職はジェネラルより数個下の“コマンダー”。上述の第113基地…アビドス方面隊の連隊隷下にある
心根は何処ぞのEDF軍曹にそっくりな青年ロボット族。人望に厚く、それでいて所属基地の上層部からの評価も高い、現場叩き上げの傑物。
頭部デザインは一つ目タイプの兵士とほぼ同じで全面バイザーだが、切長の目が二対…四つ表示されている。驚いたりすると一般のロボット市民よろしくまん丸お目々表示になる。
直近の作品で一番近い顔面イメージとしては、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』に登場した〈軽キャノン〉。
因みに、髭は付いてますが臨時少佐殿のデザインはデカルトタイプじゃないです。そっちはご想像にお任せします。
???「PMCは仲間を見捨てない!本当だな!」
◯海獣 ゲスラ
キングゲスラ
魚類と爬虫類の特徴を半々にくっつけた見た目の、カカオ好きな水棲怪獣。M78スペース地球に出現した個体は、既存のトカゲ種が東京湾の富栄養化した汚染水によって変異した地球産怪獣となっている。
猛毒を隠し持つ立派な背鰭が、レーダーやらソナーやら三半規管やらの役割を持っているらしく、これを引き千切られると大きく弱体化する。
……無限に広がる宇宙に浮かぶ数多の海洋惑星には怪獣種としてのゲスラ――惑星原種も存在している。そのため『ウルトラマン』に登場した個体は、「ゲスラに成った」と言うよりかは「本来のゲスラに近い存在に成った」であるかもしれないとも考えられる。そういった他惑星原種や原作個体は水産物を食い荒らす害獣…暴食怪獣としても認識されている。
キングゲスラと呼ばれる上位個体が存在する。
こちらも通常個体のように、後述する作品で侵略生体兵器として登場した人工改良種…と後発作品『ウルトラマンX』や『ウルトラマンZ』で登場した天然種の二通りある。本作キヴォトスのキングゲスラは出身は不明なれど後者。
メビウスは映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』にて、シリーズ第一号となるキング個体と交戦経験あり。やや苦戦したものの、
主な攻撃手段は、捨て身の体当たり“ヘビーアタック”、背鰭等から分泌される猛毒“ショッキングベノム”、強力な胃酸と取り込んだ水分を高圧放水よろしく口から収束して吐き出す“
“メビウス”で“アカレンガ”と言ったら…この怪獣かなと。いろいろ考察を巡らせてくださっていた方々、申し訳ありません。よろしければ考察怪獣を感想欄等で教えてくださいませ。
原典『ウルトラマン』には
???「――弱点は、背鰭だっ!」
◯マケット怪獣 ファイヤーウインダム
GUYSが実用化した戦術級メテオール兵器――マケット怪獣第二号ウインダム…の強化発展型。
ウインダムは、第一号のミクラスと同じく、過去地球に出現し人類側に味方した怪獣の一体であるとして、マケット怪獣に選ばれた経緯を持つ。
“ファイヤー”形態はGUYS JAPANで「ウインダムの火力増強プラン」が発起し、それが採択された結果誕生した。
二足歩行型のロボット怪獣故、どのような環境の戦線に投入しても一定以上の戦果を期待できる汎用性、そして頭部ランプから発射する高威力光線“レーザーショット”とファイヤー形態の追加装備である火砲腕装“ファイヤーアーム”の超火力が強みである。
本来であれば、ファイヤーウインダムの実体化にはウインダムカプセルと、火砲腕装の追加データを付与する“エレメントカプセル”があって初めて実現する筈なのだが、ミライの所持していたマケットカプセルは
又、上述の通りメテオールの解析が進んだ時間軸の代物なためか使用可能時間もまた大きく変わっており、1分から3分に拡張されている。恐らく、他マケットカプセルも同様の改良品であると思われる。
ワンダバダバタバダ……
◯オデュッセイア海護部のあれこれ
→新入部員である一年生たちは、まず半年から一年の間、教官役の二年生や三年生が十数名搭乗している練習艦に詰め込まれ、船乗りとしての各種教育を受け、その後はランダムで何処かの艦艇か
他艦艇や、艦内外の別部署への転属転科願いは半年に一回できる。
部の伝統で「
→同部では、規模と保有戦力において戦略・戦術級である真打艦隊には一桁番号を、護衛艦隊や火力支援艦隊…総軍の中核戦力にあたる艦隊には二桁番号、練習・演習艦隊や補給輸送等の後方支援系艦隊には三桁番号が割り振られている。
なお、二桁・三桁艦隊の殆どが縁起の良い、或いは語呂の良い番号を好む傾向にあるので、使われていない艦隊番号…欠番がかなり多い。
→艦名は艦長に命名権があるが、艦によってはクルー全員で決めるところもあったり、何かの宴会等のノリと勢いでそのまま命名書類を提出してしまうところもあるので、所謂「若さゆえの過ち」で名前を貰うフネが後を絶っていない。
艦名の七割は動植物や食べ物、流行り物の名前で占められている。例として“わらび”の場合は、無口な同艦現副長がわらび餅が大好物だった故にそうなった。可愛い。
艦名の変更や引き継ぎは年単位で申請可。
→オデュッセイア生の子がエセ『軍艦マーチ』を歌えるのは、キヴォトスにどっかの地球から流れ着いてきた旧大日本帝国海軍の
又、オデュッセイアには学園発展に携わった
◯第32哨戒艦隊
赤煉瓦分遣艦隊
元ネタ・参考キャラ無し。
何処かでまた会うかもしれませんが、ぶっちゃけ覚えず忘れてもらっても良い子たちです。
本編では苗字付きモブキャラの場合、余程のことが無い限りはフリガナ振らないのでよろしくお願いします。
なんで急に出ちゃったのかと言いますと、名前出さんと変な描写とかやりとりになるところが多いからです。……同じような役職だったり立場の子が多かったからもあります(自業自得)
モビルスーツ戦…トイレで格闘してる時のBGMとしても伝わるのおかしいって。
ゲスラの個体サイズ差や群れで行動するという描写は半分シリーズ遵守で半分独自解釈です。
――と言うのも、ニンテンドーDSでリリースされました某
……突然だけれども、卑しか四天王ことカヨコ・カズサ・ミサキ・キキョウはアイハラ先生の暑苦しい言動に毎回「熱血バカ……」ってジト目で溢してるとこが似合うと思うんだ…
ア…アツコとチヒロとミカとルミも追加で…
お気に入り、評価、感想、しおり、ここすき、誤字報告――いつも励みになっております。
改めて、これからも本作をよろしくお願いします。
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次回
予告
混迷を極めるアカレンガ港での水際迎撃戦。
次々と姿を現す大型ゲスラ相手に、ウインダムは奮闘するが…そこに彼らの長と第三の敵が乱入する!
ミライーーメビウスは、少女たちと共にアカレンガの街を守り抜くことが出来るのか?
次回、メビウスアーカイブ
【海辺の怪 -決着!アカレンガ総力戦-】
お楽しみに。
本作において、皆さんが丁度いいボリュームと感じる一話毎の文字数は?
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5,000字未満
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5,000〜10,000字
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10,000字前後
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10,000〜15,000字
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20,000字程度
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30,000字ぐらいまでなら…
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それ以上でもOK