日々の未来の青春譚 -メビウスアーカイブ- 作:逃げるレッド五号 5式
――これは、キヴォトスの外側で“大人”たちが繰り広げている、無数で果てしなき激戦…その
ニア・ガイアスペース 太陽系 地球
極東地域 日本国
関東大首都圏 神奈川県上空
『―――遂に“
白雲漂う美しい青色の高空。
その鮮やかな極限空間で、本来存在し得ない筈のヒトの呟きが溢れ消えていく。
“Xデー”。破滅的重大事象が起こる…俗に言う「審判の日」、とされている。
…この世界に生きる人々にとって、不幸にもそれが
―――ゴォオオオオオオオーーーーッ!!
爆音を轟かせ、白線の軌跡を描き音をも超える速度で飛翔する
その数、十数。
『キーパー各、兵装の最終チェックを実施せよ』
それらのボディとウィングは、この母なる星の大空…或いは大洋に溶けこむかのような迷彩混じりのブルーに染められている。
『…通じるんでしょうか、こちらのやり方が……』
『何言ってる永山三尉。折角貰った3番が泣いてるぞ』
主翼に
…この世界において
航空防衛隊は、それの一組織…日ノ本の空を護る防人達だ。
『なあに。訓練通り、訓練通りにやりゃあいい』
この日本防衛隊は、「空海軍・ミサイル戦力の増強を一向に止めず強行な対外姿勢を押し通す中露朝に相応の抑止を掛けれる東亜の防壁的存在を自由主義陣営が欲したため」に創られたと巷では言われているが、実際の所は「光量子コンピュータ“クリシス”が算出した、近い将来に地球人類に
『初の実戦が
……防衛隊は発足以来、一度も実戦を経験していない。自衛隊からのある種の伝統とも言える、「戦死者ゼロ」の記録を今日に至るまで更新し続けていた戦闘処女の奇特な軍隊だ。
表向きの創設理由にもなった仮想敵国である中華人民共和国の人民解放軍やロシア連邦の極東方面軍との局地武力紛争等の発生も、先のクリシスによる確度の高い未来予測を受けて国家間の融和団結が急速に進み起こらず終いとなった。
だが、それが彼らを
その真価が今、試されようとしていた。
『分からんわけじゃない。俺たちの…いや世界の空軍の誰もが経験したこともない一大事だ。しかし、気負い過ぎもよろしくねえってことさ三尉』
青空を切り裂き進む彼ら空のサムライたちが駆るのは、「対艦番長」、「平成の零戦」、「ヴァイパー・ゼロ」といった非公式愛称を授かる第4.5世代ジェット戦闘機〈F-2〉――の強化発展機“スーパー改”。
航続距離・最高速度、搭載武装の増強に、格闘戦用補助翼の追加、構成素材の軽量化及び強靭化が施され…各国で配備構想が進んでいる第5世代戦闘機群にも引けを取らない力を秘めている戦闘機である。
…それは、
『大丈夫だキーパー3。俺たちは、
『…き、キーパー3、了解』
F-2スーパー改を操る彼らは、防衛出動の発令を受け百里基地からスクランブル発進した、同戦闘攻撃機を中核とする日本国航空防衛隊中部航空方面隊隷下、第7航空団所属の戦闘飛行部隊――第3飛行隊。
コールサインは「
『いよいよだ…空防魂を見せる時だぞ! もうお飾りの軍じゃないんだってな!』
『横田の在日米軍、
『
『地球に来たことを後悔させてやる』
同飛行隊には、東京都池袋区に大気圏外より落着した未確認大型物体__
宇宙__厳密に言えばワームホールから__飛来した地球外起源種を現時点で“敵性”と断じている事由は、既に池袋区で同生物の
これの前後に政府は先の防衛出動の他、関東全域に非常事態宣言並びに非常警戒態勢を発令している。
「―――種子島、上海、平昌、グアムのG.U.A.R.D.戦略ミサイル軍基地に
「赤道軌道上、G.U.A.R.D.
「横須賀、米“ニミッツⅡ”及び空護“あかぎ”、“かが”、緊急出航」
「東京入りした陸防富士教導団が第一次防衛ラインへ展開中。目標の侵攻速度並びに進路変わらず。15分後には先方の地上部隊と会敵の目算大」
「……! 池袋上空へ強行突入した
「音速の飛翔体を難なく捕捉し、即座に撃ち落とす…これがアルケミの言っていた
「……陸防の無人観測機に航空偵察の任を引き継がせる」
「海上防衛隊第2連合艦隊より報告。黄海洋上の
「飛ばせておけ!」
一方、地上…東京
侵攻ルートの更新、防衛戦力の配置と移動、被害状況の報告…既存の人類間戦争のノウハウなどは全くと言っていいほど通用しない。
これがこの世界の戦後日本が初めて経験した
―――閑話休題。
『―――スカイキーパー、こちら
よって諸規定に変更無し、航空攻撃は予定通り決行。繰り返す、予定通り決行。貴隊は直ちに第一次攻撃を開始せよ』
『キーパー
戻って空では更なる動きがあった。
……第3飛行隊へ遂に破滅招来体第一号“ヘキサ”――後に「
『キーパー1よりキーパー各、全兵装の展開を許可。また、火器管制AIに諸データ入力指示を開始せよ』
『『『了』』』
攻撃命令を実行すべく、第3飛行隊は攻撃隊形に移行する。
蒼の翼下に抱えるは
飛行隊が装備しているのはGPSを用いた座標誘導方式を採る「B型」のため、精密な対地攻撃をも実施できる。
更に、火器管制AIにそのコントロールを全て委ねれば、驚異的な命中率を叩き出せた。
…史実世界よりも科学技術の発展がめざましく、凡ゆるリソースを極秘裏にとは言え「地球防衛」に惜しみなく投入できたこの地球では、破滅招来体との直接対峙を想定し既存兵器の強化・拡張と新概念兵器の研究・開発の二択を同時並行かつ迅速に推し進めることを可能とした。
F-2スーパー改もそうだが、同機体パイロットの戦闘補助を担当する上記AIもまた、その膨大なる産物の中の一つであった。
『攻撃目標“ヘキサ”の座標入力、地上部隊への誘導支援要請完了。射撃用意ヨシ』
『各機、射撃開始。繰り返す、射撃開始。対艦誘導弾全弾発射』
『キーパー5、発射』
『キーパー8、発射!』
『キーパー3、発射っ』
斯くして航空部隊の大型対艦誘導弾による、高高度からの完全なアウトレンジ飽和攻撃が始まった。
音速の殺戮者が無数に解き放たれ、白線の軌跡が前方へみるみる伸びていく。宇宙から遣わされた破壊の悪魔を射殺さんと、弾体は瞬く間にパイロットらの目視圏外に消えていった。
…空を飛べず、こちらを捕捉はおろか視認さえできてないだろう怪獣――コッヴにとって、これはあまりに一方的過ぎる所業とも言えそうであった。
だが、次に彼らの耳に飛び込んできたのは、「命中」の報告ではなかった。
『………ラピスアイよりキーパーズ。貴隊が発射した対艦誘導弾は全て目標“ヘキサ”到達前に全弾中空で撃墜された模様』
戦域情報を統括する早期警戒管制機〈E-767〉――ラピスアイよりもたらされたのは、コッヴの「健在」。凶報であった。
件の宇宙前衛生物がとった予想外の防御行動によって、誘導弾は役割を全うすること無く、一つ残らず爆散したらしい。
『反応からして中間誘導に入る直前、例の黄色光弾で迎撃されたと考えられる。…信じられないことだが、現に“ヘキサ”は無き―――』ブツッ!
通信途中にも関わらず、ラピスアイが唐突に口を閉ざした。広域レーダーの後方を見遣れば、E-767由来の強力な信号が途絶えていた。
それが意味するのは…撃墜。
飛行隊はこの瞬間、電子の目と耳を一挙に奪われた。
『っ! ラピスアイとのデータリンク、共有停止…途絶した。撃墜の可能性大!』
第3飛行隊の間に動揺と緊張が走る。
強行偵察を実施した偵察戦闘機が撃ち落とされたことは彼らも把握していたが、あれはコッヴ側の有効射程…数kmも無い至近距離且つ超低空という条件だった故に起こった事象であると認識していたためだ。
『
『レーザーやビームのそれに等しい。射程も相応なんだろう…やりにくくなった』
『宇宙生物ってのは、何でもアリなのか!?』
ラピスアイは、後方空域にいたと言うだけでなく、飛行隊と同じく地上と高空を隔てる雲海の上を飛行していた。
ここから導き出される仮説は一つ。コッヴには超高高度をマッハで巡航する飛翔体を正確に捕捉し追跡する手段、或いは能力を有している。
…地球上にも、サメやコウモリ、クジラのように、レーダーやソナーと同様の働きをする器官等を備え扱う生物は多数いる。可能性はあった。
『まさか…俺たちより後方の
出現から現在までに、コッヴが指向性粒子光弾を発射可能であることが判明している。
これと仮定電探器官を連動・制御させることが出来たのならば…それは最早、「生きた歩くレーザー兵器」と言っていい。
それらを運用するのに最適化された知性或いは遺伝的能力が合わされば、優先攻撃目標の選定さえスムーズにできるだろう。
『こちらの目と耳を先に潰しにかかってきた…なんては思いたく――』
上記のことが事実なら、第3飛行隊を無視して先にラピスアイを撃墜したのにも納得がいく。
奴は自身の発する
――ビービービービービー!!
あるF-2のコクピット内で突然甲高い警告音が鳴り響いた。加えてパイロットが被るヘルメットのバイザーディスプレイ上にも危険を報せる表示が映し出される。
『ロックオン警報…!? なんだ、機体下部に微弱な――を照射されて――』
―――ドォオオオオオンッ!!!
次の瞬間には、F-2が強烈な閃光と共に引き裂かれた。護国の青い翼が原型を留めずバラバラになって下界へと堕ちていく。
回避運動やチャフ・フレアの射出を行なうよりも先、パイロットが反応する前に機体が中空で爆ぜたのだ。
『キーパー7が撃墜された! ――僅かに黄色い軌跡が見えて……下からです!“ヘキサ”が雲の下から狙ってるっ!!』
破滅尖兵…宇宙戦闘獣コッヴは、自身の対空警戒網に侵入した第3飛行隊を捕捉。既に迎撃目標として切り替え済みだった。
『予備照射だ!警報が出たらチャフとフレアをありったけばら撒きながら動き回れ!! そうすれば――!』
『――もしアレが熱源や電波で捉えるタイプじゃなかったら、予備を外されずにそのまま本照射に移行される!』
『そんだけ奴さんの目が良かったら、もう腹括るしかないだろうが!』
『とにかく、憶測でもやらないよりマシだッ!』
回避手段を模索している合間にも、光弾は飛行隊目掛けて正確無比に飛んでくる。
6番機が、9番機が、4番機が、続けて火だるまになっていった。
『キーパー3に照射警報!機体はいい、捨てて逃げろ三尉!』
『永山、ベイルだ!
『うわ―――』
『―――っ!! キーパー3、永山機被弾!!』
『丸ごと吹っ飛ばされやがった!畜生!』
今度は飛行隊の若年ホープたる3番機が無情にも破壊光弾の餌食となった。
『各機、回避機動を継続!そのまま本空域より離脱せよ!―――何も為せずの全滅では、散った彼らに顔向けできん…!!』
悪足掻きさえ許されず、なす術なく部下が落とされていく…国を、家族を護るため血の滲むような訓練をし、苦痛を超えた先にあるのが、このような結末だとは…到底許容できるものではなかった。
彼の意思を汲み取った残りのF-2もそれにピタリと追従する。雲海の下層へと蒼き鋼の鳥たちは突き進む。
『聞こえなかったのか!お前達は作戦空域から離脱しろ!』
キーパー1が無線で呼びかけるも、残存機から返ってくるのは「お供します」の一言のみ。
残った彼らも分かっているのだ。ここらの空域はとっくにコッヴの対空迎撃網の範囲内に収まっており、逃げを試みようとケツから撃たれるのがオチであると。
故に殴り込む方がマシだ、やられる前に脱出桿を引き上げれば良いだけだと、思っている。思ってしまっているのだ。常に隊の半数以上が一方的に撃ち落とされてしまっているのに。
『雲を抜ける…!』
そうこうしている内に飛行隊の面々は、雲海を突き破った。
『っ、アレが…“ヘキサ”――!!』
『なんてデカさだよ!』
『東京が…』
眼前に映るはアジア最大の
『…クソッ、捕まっ―――』
――ここでまたF-2が一機、予備照射を受け、その照射導線を真っ直ぐ辿って上昇してきた
『佐々木の仇だ!くたばれ、化け物めっ!!』
各F-2パイロットはディスプレイ越しにコッヴを視認するや否や、増設された主翼下ハードポイントに括り付けられていた残存兵装の短射程多目的誘導弾を選択し、網膜での目標指定を瞬時に行なってトリガーボタンを力強く押し込んだ。
残る四機のF-2スーパー改から一斉に放たれる必中の意志が込められた音速の矢。
――既に50kmを切った
防人たちの心の叫びを背に浴びて飛翔する誘導弾。
―――キィイイイイアアアアッ!!
地上のコッヴが動く。
大鎌状の両腕をピタリと合わせて上方…音速ミサイル群と飛行隊へと指向させた。
すると、身体各所にある大小の結晶体から、空へと幾本ものガイドビーコン染みた悍ましい黄色の細線が一斉に奔っていく。線の数は誘導弾とその
先ほどまでのものとは比較にならない、予備照射の束であった。
『野郎!同時にロックオンまでできんのかよ、隠してやがったな!!』
『来る―――』
『ぐあっ』
誘導弾、F-2に次々と頭部発光器官より本照射の光弾が連続して放たれる。苛烈極める対空砲火。
部下たちが凶弾に散る中、キーパー1は尋常ならざる反応速度と動作入力で機首を真上へと引き上げつつ、機体を横へ滑るように回転させる。背面避けの動きであった。
関東の空の守りを預かっていたトップガンの一人としての超人的技量と勘が、不可能と思われていた光弾回避を実現させた。
まだだ――迫り来る光弾を避け、機の前方に再び意識を向けた矢先。
(――何っ!?)
回避した筈の光弾が、唐突に爆ぜた。
光弾内部のエネルギーが破壊の波となって外…四方八方へと飛散する。
この
ここで、コクピットの自動脱出機構が、機体は飛行続行が不可能な損傷を被ったと自ら判定を下し作動。キーパー1は機外へ緊急射出される。彼の乗機だったスーパー改は、黒煙を撒き散らしながら何処かへと堕ちていき、その姿を
「………他の機は、皆はどうなった…!?」
射出座席のパラシュートが開き、彼は緩やかな自由降下に入った。
周囲…空を見渡すも、自分と同じ鋼の蒼翼はどこにも見当たらない。あるのは、複数の黒煙黒雲だけ。
眼下には、なおも侵攻を続ける戦闘獣の姿があった。航空部隊を悠々退けたコッヴは、嘲けるように今度は地上部隊の掃討を始めていた。
「…我々は間に合わなかったのか。誰も、誰にもヤツを止められんのか………」
――その時、大都心東京に一条の光柱が突き刺さる。
「………
空の中で失意に沈みかけていた第3飛行隊隊長はその目で確かに見た。
「光に、ヤツが…“ヘキサ”が、怯えている…」
――大地の力を宿した赤き光の塊が、大いなるヒト…巨人の形に変わってゆくのを。
「なんだ…あの光は」
――地球の守護者が、母なる大地に力強く降り立つ瞬間を。
斯くして、大地の化身たる紅き
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ミレニアムサイエンススクール 学園自治区
ミレニアム・スタディーエリア
本校舎高層ビル“ミレニアムタワー”前噴水広場
その校名にも含まれている「サイエンス」の通り、キヴォトス科学の「最新鋭」、「最先端」の多くを抱えている近年頭角を現してきた次世代の技術強豪校だ。
同学園は“千年難題”なる既存科学をもってしても解明できない問題群を解き倒すべく集まった科学者とそれらの所属する研究機関で構成される勢力が同盟を組んだことを発端として生まれた…とも言われている。
そのような出自のためか、自治区内の発展度合いだけで言えば、キヴォトストップの古参学園などを軽く突き放しており、これが三大学園の地位にミレニアムを押し上げた主因であると言っても過言ではない。
「待ち合わせ場所はここって話だった…よね? アロナちゃん」
そして、今手元の
研究開発機関のお堅いイメージとは裏腹に、学園のスタイルは外界・
『ええ。その筈ですが…』
ミライとアロナは待ち合わせ場所に指定された噴水広場で
……と、言うのも、“ヴェリタス”なる
生徒からのお誘いなど、余程の事が無い限り断らない彼は、嬉々としてミレニアムに赴いた。それは、以前の百鬼夜行…メトロン星人アンドーの件と違い、ある程度対象生徒の情報のウラが取れたから、と言うのも手伝っている。
因みにだが、この間に掛かった時間は僅か二日である。これが大人の行動力…とミライのキヴォトス赴任後何度目かも分からぬ感嘆を漏らすアロナ秘書なのであった。
「メールだと、お迎えを寄越してくれるみたいだっただけど…それっぽい子は見当たらないね」
彼が受け取った電子メールには、ご丁寧にも送信者本人…ヒマリのホログラム映像まで添えられていた。
それには長々しい自己紹介と、自分の後輩を一人迎えに出すという旨の説明が入っていたのだ。
だからこそ、ミライは彼女がメール文内で指定していた集合場所にやってきて、こうして迎えの人物を待っている…というコトなのである。
『ミライ先生が
「あはは…張り切り過ぎだと自分でも思うよ。はじめて行く所、それもユウカちゃんとノアちゃんの母校だってことだったから、どんな学校なんだろうって前日からワクワクしちゃってね…」
しかし、待ち合わせの時刻も間も無く…という時間になってきたが、それっぽい人物は一向に見当たらない。
ミライがそわそわし始めた頃に、待ち望んでいた
「あ、その白にオレンジが入った制服、もしかして貴方がシャーレのミライ先生?」
ヒマリちゃんからのお迎えかな?
そう思ったミライは後ろへ振り向き、向こうの問い掛けに答えようとした―――
「うん、僕がそのシャーレの、ヒビ……ノ、ミライ………」
―――が、最後まで言葉が続かなかった。
振り向いた先、目の前に立っていた桃髪のミレニアム生の格好が
端的に言うなれば、彼女の肌の露出度が常識破りの南国トロピカルであったためである。
夏の入りとはいえ…彼女の格好は信じられないことになんと
ここは地球・南米ブラジル連邦共和国ではなく、キヴォトス・ミレニアム学園自治区だ。決してスタディーエリア中央の噴水広場でリオ(※都市名。セミナー会長の個人名に非ず)のカーニバルが絶賛開催されてるわけではない。
「そっか。待たせてごめんね。私は
「――ちょ、ちょっと待って!エイミちゃんっ!?…で、合ってるんだよね?! その格好、どうしたの!?直前まで水泳の授業とかあったのかい!?」
何事も無いように自己紹介に移ろうとしている桃髪のミレニアム生――エイミ。
脳内が宇宙化猫状態に陥りかけていたものの、何とか気合いで脱したミライがそれにストップを掛け、何故斯様な場違いファッションになっているのか…彼女にその事情を尋ねた。
これは、共感性羞恥などでなく、地球と同じくキヴォトスでも「公共の場での過度な露出は
まさか、あの噴水で水浴びしてましたなんて事はないだろう。そうだったらとっくに彼も気づいていた。
ならば暑さでやられたのか…ともなったが、会話も成立しているし、本人の佇まいからしてそうでもないらしい。
「ううん。これは私の
「それは……
「ちょっとだよ」
「ちょっとなんだ…」
……エイミの話を聞くに特に問題は無いようである。いや、正しくは本人
彼女の格好が公共良俗に沿ったモノであるか、と問われたら閉口せざるを得ない。
「それなら良かった…てっきり熱中症か何かかと」
「変に心配させちゃったみたいだね」
それはさておき、熱中症などで体温調節機能に狂いが生じ重篤な状態になってしまっていたわけでないと分かってミライは取り敢えず一安心といった様子だった。
「……じゃあ、その
この弩級天然青年の何気ない発言にギョッとした反応を示したのは、エイミではなく、二人の周囲で行き来していたメカクレ系
流石に「そんなわけないでしょ!一緒にしないでっ!」などと声を荒げる子などはいなかったが、内心では喉が枯れるほどに否定の声をあげていたに違いない。
エイミが自ら望んでそのナイスボディを見せつけようとしてるワケではないのは重々承知であるが、正直な話…痴女に片足というか首の付け根まで突っ込んでいると指摘されても弁明のしようがない姿なのは事実そうである。
しかしながら、彼女たち一般生徒らが何らかのアクションを起こさず我関せずを決め込んでいるのには理由があった。
第三者に誤解されるのは癪だが、誤解を解く役は自分が担いたくない。
(……ここで反応したら和泉元のこと
(でも反応しなかったら、この
(だってしょうがないでしょ! あの子を校舎周辺でかなりの頻度で視界に収めてるんだもん!!)
(待って、唐突に性癖を暴露したとんでもない奴いなかった!?)
要は誰も関わり合いたくなかったのである。
“陰”の気を磨き上げた至高の者たちだけができる、アイコンタクトでの完全な意思疎通__最早念話の域に達している__をもってして、一般生徒らはお前がツッこめよ、いいやアナタが行ってきて、いやいや、それじゃあここで私が、どうぞどうぞ――と上の如く無駄に高度で特段必須でもない駆け引きをしていた。
(…これが証明におけるパラドックスちゃんですか)
(うるさいよ)
(どっちに転んでも詰みじゃん。もう気が狂う^〜)
………口を開けてもないのに某掲示板染みた会話を成立させてんじゃないぞという類いの指摘は野暮でしかない。
何度も記すがここはキヴォトス。外の世界のリアリティが少々通用しない時もあるのだ。
(このままだとあのシャーレの先生にミレニアムがやべーやつらが集まるやべー所だって勘違いされる…!)
(事実でしょ)
(ヘンタイリケジョの巣窟定期)
(和泉元ちゃんはベクトルが違うでしょーが!)
とは言え、彼女たちの言い分も分からないわけでもない。
こんなしょーもない話に入って不特定多数の面前で変に注目を浴びたくはないし、更に言えば時間の無駄でさえある。
…もっとも、彼女たちが声を上げれない根本的理由は、そのような根性や気概を持ち合わせていないからであるのだが。勉学研究に没頭するのみの愛すべきメカクレモヤシっ子たちにとって、それは難易度の高い行為であった。
また、和泉元エイミという一年生が周囲の変化に無頓着で尚且つ効率最優先の合理主義者であり、どのような
要するに、上のようなミレニアム生たちによる知られざる水面下での沈黙の死闘は、配慮・保身・理解・葛藤から引き起こされた複合的産物なのであった。
―――一般ミレニアム生たちのあれこれはさておき。
「さっきは途中になっちゃったけど、私がヒマリ部長が言ってた迎えだよ。部長のいるとこまで案内する」
「ありがとう。それじゃあお願いするよ」
ここからは歩きながら話そう、とエイミに言われる。確かにいつまでもここで駄弁ってはいられない。あくまでも今日の目的は彼女を迎えに寄越した生徒――ヒマリと会って話をすることだ。
何故か固まっている周囲のミレニアム生たちの間を「ごめんね、通るよ」などと一言断りながらすり抜け、ミライは案内役であるエイミの一歩斜め後ろをついていく。
「エイミちゃんも、ヒマリちゃんと同じヴェリタスに入ってるってことで良いんだよね」
ヒマリが後輩を迎えに寄越すと言っていたので、エイミもまた彼女が代表責任者を務めているヴェリタスに所属してるものとばかり思っていたミライが、上のように聞いた。
「ん? 入ってないけど。私、あんましパソコンとか弄るの得意じゃないし」
しかし、エイミから返ってきたのは彼の予想とは全く逆の返答であった。
驚きのあまり、目をまん丸にするシャーレ顧問。
「えっ? でも、ヒマリちゃんのこと
「うん。言ったよ?」
「…………?」
なおも状況を飲み込めず首を傾げる。
ここでエイミが手の平に拳をポンッと置き、ウンウンと頷きを繰り返して一人勝手に何かを納得していた。
当のミライはポカンとすることしかできない。
「あ、ごめん。まだミライ先生は聞かされてなかったんだね。部長は
エイミの説明でミライもまた事態を把握・納得できたようである。
「ああ、なるほど………じゃあつまり、今日僕はヴェリタスの部長としてのヒマリちゃんじゃなくて、もう一つの部活で部長を務めてるヒマリちゃんに会う…って感じになるのかな」
「おぉ〜、ほぼほぼそれで正解。詳しい話は部室ですると思うけど…ウチはヴェリタスよりも、なるべく公にしたくない部活だからさ、部長もメールでの言及を避けたんだと思う。……一応誤解されたくないから言うんだけれど、活動実態のない幽霊部活とか利権を貪る悪徳サークル…なんてものじゃないからね?」
「それは勿論分かってるよ」
その後は、ミレニアムって食堂学食の種類が三桁にもなるって本当なのかい?とか、その白い制服って長袖だけどミライ先生はこの季節暑くないの?などと、両者の間で交互に質問が繰り出されては、それに答える…という流れが、ヒマリの待つ部室棟の扉の前に辿り着くまで続くのだった。
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同学園自治区中央
ミレニアム・スタディーエリア
「――ここが、ヴェリタスとウチが共用で使ってる部室…第12生活棟。ミライ先生、ここ土足OKだから早く中に入って。ほら、エアコンが効いてて涼しいし」
ミレニアムタワーの両側を挟むように複数並んで建っているのは部室棟。正式名称を多目的研究生活棟という。
基本的には二つ三つの部活動が一緒に利用しているのだが、ミライがこれから入るのは(表向きには)ヴェリタスが単独で使っていることによって専用所有施設と化している12号棟である。
同研究生活棟の利用可能条件はただ一つ。それは、ミレニアム籍の部活動・クラブであること。
ミレニアム生のあらゆる活動・用途に使える自由な屋内空間を提供している…学生向け支援施設の一つなのだ。
「ここは…第2玄関、って言うの?」
「うん。生活棟は複数の部活で共同利用を考慮した造りになってるから、三つ四つぐらい出入り口があるの。ヴェリタスのエリアは第1玄関を通って、私たちのエリアは第2玄関を通って入るんだよ」
「へぇ〜」
「まあ一応、フロア間を繋いでる通路があるから、ヴェリタス側からも入れなくはないんだけど…今向こうは向こうで忙しそうだから」
生徒会組織“セミナー”に申請を提出し、同生徒会の会計担当によるいくつかの厳しい審査を通過すればミレニアムの在校生である限り自由に使用可能な場所であり、一年毎に行われる定期監査が大敵だが、どの棟にも一般家屋、集団寮にある間取りに加えてカスタム性に富む研究実験室やディベートルーム、休憩室、防災倉庫といったモノまで備えている。
しかも、
「部長はサーバールームで待ってるって。こっちだよ」
(内装を見てると何処となく…フェニックスネストを思い出すなぁ)
…一部では、この
ミレニアムはロボット族が経営する企業ほどではないものの、成果主義を推す合理的学園だ。成績は右肩下がりで、碌な活動もしていない集団に開放するぐらいなら、ミレニアムに益を生み出す優良集団にこそ使用権を割り当て直し、非生産的居住者に退去勧告を即日出すぐらいの効率的管理が為されているのである。
「着いたついた。ミライ先生、この扉の向こうがサーバールーム。いまロック開けるから待ってて」
部室棟内を進み、気づけば目的の場所…ヒマリが待つ部屋であるサーバールームの真ん前にまでやってきていた。
エイミが胸の谷間からセキュリティカードをサッと取り出し、それを金属製で簡素なデザインの自動開閉式扉に取り付けられている電子錠にかざした。
ピーっと間延びした認証音が鳴り、ドアロックが自動で解除される。天井の人感センサーが反応し、ドアが勝手に開いた。
「さあ入って入って」
「お、お邪魔しま〜す?」
開かれたドアの向こう側は、僅かな数の青白い光源のみで薄暗く、よく見てみれば大型コンピュータやモニターを筆頭とする様々な電子機器・設備で埋め尽くされているサイバーチックな空間が広がっていた。
「………お待ちしておりました。シャーレのヒビノ・ミライ先生。エイミから既に話をある程度聞いているかとは思いますが、改めまして……私が―――」
そして、そのサーバールームの中には、先進的造形の多機能車椅子に乗った三角耳の白髪少女がミライを待っていた。
彼女はその美しい
「―――ミレニアムに咲く一輪の可憐なる高嶺の花にして、学位“全知”を保持する学宝級のミレニアム生であり、超天才清楚系凄腕病弱美少女ハッカーの……明星ヒマリです。ふふっ、よろしくお願い致しますね?」
…自己肯定と自己主張が凄まじいほどに溢れた自己紹介を添えて。
これが、自称超天才美少女ハッカーのヒマリと連邦捜査部顧問ミライの強烈な初邂逅だった。
「ちょ、超てん…才……えっと……?」
「あー…先生、部長の無駄に長い
彼女の名乗りを何とか聞き取って応えようとして詰まっている一生懸命なミライにエイミが
「エイミッ!?」
対応策の中身を直聞きしたヒマリが信じられないような顔で後輩に聞き返した。
迫真の驚愕顔でエイミを見上げるヒマリだが、当のエイミはツーン…としており、どこ吹く風といった様子である。
「だってホントに長いだけじゃん。それに事実かどうかもあやしい部分がいくつか――」
「――事実しか言ってませんよ!? え、エイミ?もしかして怒ってます?……勝手に棟内の冷房を一律25℃に再設定したことが原因だったりします?なんかいつもと比べて少し私に冷たくないですか!?」
「私はいつもHOTだよ、部長。普通に平常運転」
「エイミぃ…」
助手からの返しにポロリと涙を流してシナシナになるヒマリ部長。
「…ごめんってば部長。冗談、半分冗談だから。そんなシナシナにならないで。お婆ちゃんみたいになってるよ。ハンカチ貸すから…」
「…待ってくださいエイミ。そのハンカチ、今どこから出しましたか?」
「それセクハラだよ部長」
「どういうことですか!?」
ぷりぷり怒ったり、しくしく落ち込んだり、後輩が取り出したハンカチの出所を訝しんだり、車椅子を横転させる勢いでまたまた驚いていたり…と、ミライを迎えた際の――先ほどまでの雰囲気からは想像がつかなかったが、意外に感情表現が豊かでユーモラスな子なんだな…と、ミライはエイミと漫才じみた息ぴったりの会話をするヒマリを見て思った。
余談だが、上記のヒマリ御大に対する第一印象に“知的な”が入っていないので、もしもミライの思考を凄腕美少女ハッカーが読めていたならば、彼に与えられる筈の“パープルお清楚ポイント”を幾分か減点していたことだろう。なお、当該ポイントは集めても特に何か意味を為すものではない。忘れてもらっていい情報だ。
「……と、申し訳ありません。ヒビノ先生をほったらかしにして長々駄弁ってしまい…」
「ううん、気にしないでヒマリちゃん。…二人はとっても仲が良いんだなって」
ミライを置いてけぼりにしてエイミと二人で暫く喋ってしまったことを詫びたが、彼は屈託の無い笑みを返し彼女達の親密さを褒め称えた。
これに満面の笑みで反応したのはヒマリ御大。待ってましたと口を開いた。
「ええ!そうなのです! 何て言ったって、このエイミは、天然ミネラルウォーターが如き清い心の持ち主である私の頼れる助手であり、世界一可愛い自慢の後輩なのですからッ!!」
この桃髪のビキニ少女が如何に優秀で、目に入れても痛くない部下であるかを熱弁する。彼女の話を興味深そうに頷いて聞き入るミライ。
それにあんまり良い顔をしていないのは話題の人物、エイミである。部屋の冷房は効きに効きまくってるはずだが、彼女の頬は朱色に染まっていた。
「ちょっと待って部長、それ恥ずかしい。やめて」
「ふふふ…事実、ですから。…さっきのお返しですよエイミ」
思わぬカウンターパンチを喰らったエイミ助手がヒマリ女史の肩にポカポカポスポス拳を入れる。「ちょ、ちょっと痛いですよエイミ、ちゃんと加減できてないですよエイミ」と嬉しさ半分痛さ半分の感情でその連続鉄拳を止めろとやんわり伝える。
ある程度満足したのか、エイミがポコポコ殴りの手を引っ込めた。
「…もう、そんなこと言ってないで、いい加減私たちが何者なのか、ミライ先生に説明しようよ。このままじゃいつまで経っても進まない」
「あら、私としたことが。すっかり失念していました。そうですね……それではそろそろ本題に移るとしましょう。
ヒビノ先生、私たちは、セミナー直属の特務機関“特異現象捜査部”です。部員は現在私とエイミの二人のみ…の超小勢チームですけどね」
「特異、現象…捜査部…」
「ええ。部活動という体ですが、いま言ったように実態は特務機関…分かりやすく言うなら“特捜チーム”、でしょうか?」
「…名前から何となく分かってるつもりだけど………この部の活動内容は?聞いてもいいかい?」
ミライの問いにヒマリは頷いた。
「勿論です。元よりそのつもりでした。まず、設立理由からになりますが―――」
―――特異現象捜査部とは。
ヒマリ曰く、セミナー会長…
同組織は
設立初期はリオ会長より部長就任を要請され、渋々これを受諾したヒマリのみが兼部する形で所属する…裏方トップ一人の何とも歪な体制だったようだが、今年の春に高等部へ進学してきたエイミを実働部員…エージェントとして迎え入れ、今の塩梅になったのだという。
活動内容のまとめとしては、ミレニアム及びキヴォトスに害を及ぼす未知の超常現象・存在をいち早く発見し、それを徹底的に調査、被害の未然防止或いは拡大抑止である。
実行部隊でありながら特異安保に関するシンクタンクの役割も担う二刀流機関と言えそうだ。
…唯一の弱点はシャーレと同じくマンパワーの著しい不足と思われる。いくら優等生エージェントと超天才美少女ハッカーという絶対的な“質”のタッグに加え、ドローンやオートマタを駆使したとしても、人員の不足問題は完全無視とまではいかないだろう。
ただ、ミレニアムは独自の治安維持組織“保安部”を有しているので、いざとなれば彼女達へ
だが実際問題、ゴメスやゲスラの件では彼女たちは表立って直接動くまでに至れていなかったとのことであるし、百鬼夜行に潜伏中のメトロン星人の察知も__技術的優位性などのディスアドバンテージもあってだが__出来ていないことからも人員不足の深刻性の現状はミライの上記所感以上であることも事実である。
……余談だが、同捜査部が何故社会的露出を避け秘匿されているのかについては、単純に何も知らない一般人からすれば活動内容が些かオカルトの側に突っ込みすぎているため、らしい。
それについては尤もで、今のキヴォトスは科学文明で成り立っており、現代社会に似つかわしくない…もっと言えば理念や活動を理解してもらえない組織だろうことは想像に難くなかった。
「―――そもそも、特異現象や異常存在自体はミレニアムが創立する前からキヴォトスで溢れていました。“神秘”エネルギーを多量内包する
そして話題は彼女達が定義する特異現象とは何かに移り、ミライは特異現象の実例についてヒマリからレクチャーを受けているところであった。
その話の中にあった“次元橋”についての補足的解説をエイミが始める。
「未だ仕組みの大半を解明できてないんだけど……キヴォトスは各地各所で外界と大なり小なり繋がっていて、繋がってる世界は一つや二つじゃない…コレは最近判明した事実。そして、その外界と繋がっている出入り口…次元接続橋は二種類存在するんだ。
片方は出現する座標も時間も完全ランダムの最悪観測すらできない小規模なモノ、もう片方は特定の座標に固定されていて、一定期間で開閉する大規模なモノ…って感じで、大規模な“橋”の殆どはキヴォトス大陸の近海…洋上に創られてる…って部長が言ってた。コレがキヴォトスで極端に海運が発達してる理由の一つだね。“橋”のおかげで
で、内陸部では散発的に小さな“橋”が、空中に短時間生成されて、何らかのオーパーツ…あとはごく稀に
なるほど、だからキヴォトスでも外界…地球・日本にあった週刊少年誌や郷土料理にスラング単語、兵器等をそれなりの頻度で見聞きするわけだとミライは納得したように頷く。外界からのヒトモノの流入は珍しいことであっても、有り得ないことではないのだ。
あまり彼が積極的にキヴォトスの内外の関係性について調べてこなかったからと言うのもあるが…キヴォトス市民との会話で「外の世界から来た人間なんです」「へえ、珍しいねぇ」のやりとりが普通に通じていたことも思い出す。これまであまりに自然すぎて意識してこなかったことだったが、今振り返ってみれば「外の世界があって、そこにもヒトがいる」と認識できていなければ成り立たないやりとりだった。
……それに関連して、以前訪れた百鬼夜行自治区のリクゼン市の田園風景やD.U.アカレンガ区港湾の赤煉瓦倉庫を思い浮かべ、キヴォトスに地球の面影を感じるのはもしかすると外界に出自を持つモノと知らずしらずの内に触れている影響なのかもしれないな、とヒマリ・エイミ両名から説明を聞きながらミライはそう思った。
「丁度今エイミが挙げてくれた類いの…キヴォトスの技術発展や経済利益を生み出す善性若しくは無害な特異現象は、私たちの優先捜査対象ではありません。
人々の
先ほども触れたように、私たちが真に探し求めているのはミレニアム…いえキヴォトス全体を揺るがすような悪性の超常現象群。世界の崩壊を招く極大危険事象です。直近の出来事で言えば、怪獣災害こそ正しくその一例ですね」
「まさか本当にキヴォトス
怪獣の驚異を語るエイミ。しかし、彼女の反応というか感想はどこか、怪獣が既知のものであったかのような淡々とした言い方で、ミライの予想と違うものだった。
不思議に感じたミライはそれを正直に尋ねた。
「ん?怪獣のデータ…? ミレニアムにも僕が持っているGUYSの…アーカイブドキュメントのようなものがあるのかい? キヴォトス史上初の観測個体はゴメスだよね?今のエイミちゃんの口ぶりだと、もっと前から存在を知ってたような感じだけど…」
これに対して、エイミの代わりにヒマリが口を開いた。
「そのことについてですが…ヒビノ先生。セミナーの、ユウカが提出したシャーレに関するレポートは一通り読んでます。――先生は、キヴォトスに連邦捜査部顧問として赴任する前は、外の世界・地球で対怪獣防衛組織…通称GUYSに在籍されていたのですよね?」
セミナー会計士ユウカが学園に提出したシャーレに関する報告書“ハヤセ・レポート”は、セミナーとその直轄にある各部活動にしか閲覧が許されていない機密文書である。
同書には、“
ヒマリはミレニアムの実質的な諜報機関であるヴェリタスの所属かつ、特異現象捜査部の責任者である故に上記レポートの内容を確認できる権限があった。
「そうだけれど…どうして?」
「質問に質問を重ねてしまい恐縮ですが…それでは、多次元宇宙論…マルチバースはご存知で?」
「…知ってるよ」
「……先生は、“
「えっ!?」
「或いは、“G.U.A.R.D.”ですとか、“ブラックバスター”に“UDF”、“TPC”などは?」
ヒマリの口から飛び出したのは、どれも異なる世界線に存在する地球…並行世界の防衛組織の名前であった。
そのいくつかには、ミライも聞き覚えがあった。しかし、キヴォトスが外の世界と繋がってると説明を受けたが…まさかこうもピンポイントなワードがヒマリから出てくるとは思ってもいなかったので、驚きの声が思わず漏れてしまった。
「ちょ、ちょっと待ってヒマリちゃん。質問の意図が読めないんだけど」
「申し訳ありません唐突かつ矢継ぎ早に。今挙げたのは、私たちが
「…確認って、どうしてヒマリちゃんがそれを……?」
「何故知ってるのか、何処でそれを入手したのか、何故ヒビノ先生に今打ち明けたのか、そうですね…どこからご説明したらいいか………」
ふうむ…と、顎に手を当てて思案するヒマリ。そこから数秒が経過したのち、彼女は答えを導き出した。
「……いっそもうエンジニア部のガレージへ、
並行世界の防衛組織に関する話は、どうやら異世界から流れてきたモノの
……話の流れからして、その漂流遺物なるものが彼女達の地球知識に関係してそうだ。
「漂流遺物…? それを僕に見せてくれるの?」
「ええ。簡単に言えば、キヴォトスの外…外界から流れ着いたオーパーツの総称です。先生はエイミの発言に引っ掛かりを覚えたのですよね? その疑問…私たちが外の世界の情報を持っていることに対する答えがガレージにあります。…ここに先生を招いてからすぐで申し訳ありませんが、詳しい話はそこでさせていただけないでしょうか?」
ヒマリの提案を拒むような理由も特別無かったので、ミライはエンジニア部管理の施設…地下多目的ガレージに行くことを了承した。
「僕は構わないよ。案内よろしくね。ヒマリちゃん、エイミちゃん」
「ふふ、この超天才車椅子美少女ヒロインにお任せを」
ドヤ顔を披露中のヒマリ。その真横に呆れの感情を含んだジト目のエイミが寄ってくる。
「……部長、結局エンジニア部の格納庫を見せに行くんだったら、最初から向こうにミライ先生を連れていってれば無駄な労力は……」
「コホン。…何事においても雰囲気作りは大事なのですよエイミ。照明照り付ける殺風景な格納庫よりも、薄暗いサーバールームに雰囲気儚げな天才美少女ハッカーが一人座して待っている方が、インパクト抜群、第一印象花丸満点に決まってます」
そうでしょう? と優秀な助手に同意を求める明星御大だったが、彼女が期待していた返事を和泉元後輩はしなかった。
エイミはただ一言、溜め息混じりにこう言った。
「…口上で全てが台無しになったけどね」
「エイミッ!?」
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同学園自治区中央
ミレニアム・スタディーエリア
エンジニア部部室棟付属多目的地下格納庫
ミレニアムが誇る、本来相反する“合理”と“浪漫”の道の両方を追い求め爆走する知的変態テクノロジー集団――エンジニア部。
“マイスター”の称号を持つ天才たちを抱える同部活は、日夜世のため人のため己のために機械製作に取り組んでいて、高性能かつ多機能なエンジニア部製の発明品は自治区内外問わず人気であり、それなりに高いシェアを持つ。
また、製作の他に修理・改造などにも手を出しており、自校含む技術系学園製の各種ハイテクインフラの管理・保守なども担っているので、学園貢献度及び影響力が高いグループとなっている。
「―――と言うわけでやってきましたここが、エンジニア部の地下ガレージとなります」
ここは、そんな同部の所有施設の一つである、部室棟地下に後付けされた特大
部員たちの
「わあ、すごく広い。こんなに大きい施設を地下に造るなんて…すごいなミレニアムは」
「お褒めの言葉をありがとう。ミレニアムの科学力はキヴォトス大陸一、なのさ」
「キミは…」
ハンガーのゲート前でミライら三人を迎えたのは、大人びた長身紫髪のクールビューティー。マイスターたちを率い束ねるエンジニア部の責任者にして、夢と希望と情熱を糧として動く生粋のロマンチスト・リケジョこと
事前に移動の道中にてヒマリから聞いていたが、彼女――ウタハはヒマリと同級…即ち三年生だ。二人は知古の間柄で、文字通り目と目を合わせればそれなりに互いの考えを推し量れるぐらいには関係は深く長いらしい。
…エイミ曰く、“奇人”の気もあるとのことだが、今のところそのような印象は微塵もない。
「やあやあ、はじめましてだねシャーレの先生。私がエンジニア部の部長を務めている
芝居掛かったお辞儀をし、彼に手を差し出すウタハ。
その手をインターバル無しでミライは握り返し挨拶を交わす。
「はじめましてウタハちゃん。こちらこそよろしく」
「今日はよく来てくれた。キミの活躍と評判は聞いてるよミライ先生。……その腰に提げてるのが、ユウカがレポートに書いてた光学拳銃かい?良ければあとで解析させてくれないかな? 非常に興味があるんだ。もし不満ならそれなりの対価も支払おう。それでもアレなら――」
やはり技術屋としての性なのか、彼女はレポートで読んだというミライ所持の携帯光線銃――トライガーショットに興味を示していた。
目をキラキラさせ、鼻息荒くトライガーを調べさせてほしいと熱烈頼み込んでくる好奇心旺盛な彼女と対面していると、ミライは旧友の一人…GUYS JAPAN実働部隊の
ウタハから彼と似たような熱意…情熱が滲み出てていると感じた故だろう。
医者志望の大学生という身分でありながら、GUYSへ正式入隊したテッペイ青年は、持ち前の地球科学と怪獣・異星人の知識でもってGUYS JAPANのみならず、ミライ――ウルトラマンメビウスをも支えた功労者だ。
彼の寡黙さと実直さ、そして取り組む物事に対する熱意と完遂を目指す精神には、見習うべきものがあると当時のミライは考えたものだ。
「―――おっと、すまない。いつもの癖でつい暴走気味になってしまった。今口走った諸々のことについては後で回答を聞かせてほしい。…さあ、私たちの秘密基地へ案内しよう」
そう言うウタハに通されたハンガーの天井を見上げれば、地上と地下とを隔てる、理論上は地底貫通弾の集中投下も難なく弾き返す堅牢な設計の多重垂直ハッチがあり――
数千〜数万t規模の大質量を地上まで軽々持ち上げられる超電導エレベーターシャフトを備える超鋼製床で足下は固められ――
超深海レベルの強力な圧力さえものともしない特殊合金製の壁面に囲まれていた。
この、全長100mを優に超える宇宙戦艦を数隻分丸々収容可能なサイズを持つ地下格納庫は、たしかに「秘密基地」と呼ぶにふさわしい場所だった。
「ウチの個性溢れるかわいい後輩たちを紹介したかったんだが、生憎今日は二人とも街へ出ていてね…エンジニア部の完全な紹介はまた後日、ということで容赦してほしい」
今、この場にいるのは、ミライとエイミとヒマリ、そしてウタハの四名である。
予定が合っていれば、ウタハの後輩達も同席し、交流もできたかもしれない。
「さて、ヒマリからのお願いは聞いている。こっちだ先生。キミに見せたいものはこの先にある」
そうして辿り着いたのは厳重な警備システムに囲まれたハンガー最奥の一区画。
そこには、
「ウチの自治区…廃墟地域からサルベージした、外界由来の
しかしながら、そのどれもが修繕途中の半壊或いは大破状態である。破損の具合から、すべて戦闘…凄まじい激戦の中で受けた損傷なのだとミライはすぐに悟った。
恐らくは、向こう側の戦闘の最中に次元の橋を渡ってきたモノらなのだろう。
「!!………これは――」
また、その中に自分が見知った翼があることに気づいたミライは、それへ駆け寄る。
彼は、己と共に飛んだ数多の鉄翼たちの勇姿を、片時も忘れたことは無い。
青き天球を彩る蒼き海、蒼き空を彷彿とさせる色合いと、日の丸印を携えたこの機体は―――
「――F-2支援戦闘機…!? どうやって空自の戦闘機がキヴォトスに…いや、これが“橋”を渡って流れてきた外界の…地球からの漂流遺物だっていうのか…」
ミライの目の前に座する航空力学式軍用機は、M78ワールド地球、日本国が擁する国防組織――自衛隊が運用していた重ジェット戦闘機…F-2だった。
打撃力に秀でた長射程対艦ミサイルを運用できた本機は、日本本土に空や海から低速で侵入してくる怪獣に対する邀撃戦において大いに活躍し、大変重宝された。
航空自衛隊との共同作戦に従事した経験のあるGUYS JAPAN、GUYS OCEANの人間で、この機体を知らぬ者はまずいないだろう。
…歩行要塞――“
「……それにコクピットの座席が丸々無くなってる…搭乗していたパイロットは脱出できたのか…? それとも――」
眼前の暫定F-2は、機体の半分ほどを喪失していた。損傷具合から、何らかの高熱源体との高速衝突・被弾を受けたものと考えられた。
十中八九、怪獣と交戦したのだこのF-2は。だからこそ、これを操っていた顔も知らぬパイロットの安否を彼は案じた。
「――その点は心配しなくて良いと思うよミライ先生。実は、機体に収められていた飛行記録データは破損が少なく、閲覧もできる極めて良好な保存状態にあったんだ。以前にデータの記録が途切れる直前までの動作履歴を汲み取って確認してみたんだが、どうやら何らかの攻撃を受けた直後、自動脱出機構が作動して機外へコクピットは排出されたようでね。
算出した射出座標はキヴォトスには当て嵌まらない値だった。だから恐らく、パイロットは向こう側の世界で生きている…と思う。この子は、きっと最期まで役目を果たしたんだよ」
傷だらけの蒼翼にウタハが労いの念を込めた目を向ける。
彼女はミレニアムの誰よりも機械に触れている時間が長いのだとヒマリから聞いていた。それ故、作ったモノ作られたモノに対する注ぐ愛情であったり払う敬意であったりは、それこそヒトに向けるものと同等以上。
伊達にエンジニア部の長をやってないと言うべきか、ウタハもまた、
「………パイロットの件はウタハちゃんの話で理解した。けれど、機体の方で気になることがまだあるんだ」
「ほう、それは?」
地球防衛の意思を同じくする同志たちが駆っていた戦闘機…それを文字通り間近で何度も目にしてきた彼だからこそ、その小さな差異に気づけたと言っていい。
当初は自身と同じ世界線から流れてきたのかもしれないと思っていたが、よく目を凝らして眼前にある傷だらけのF-2を見てみると、彼の記憶にある同機体とは違う点がいくつか見受けられのだ。
機動性の向上を期待して追加されたと思しき、〈SAAB39 グリペン〉や〈EF-2000 タイフーン〉、〈Su-47 ベルクート〉などを思い起こさせる
【
(……J.A.D.T…聞いたことのない組織名だ。綴りや漢字表記からして、日本の組織であるとは思うけれど……)
エンジニア部のハンガーにあるこれが、これらが、彼女達が得た外の世界の情報源か…とミライは結論付ける。
だが、目の前のF-2の詳細が気になる。もう少し突ついてみようかとミライは自分が感じた純粋な疑問を二人の部長に投げかけた。
「僕が知ってるものと少し形状…細部が違う気がして…ヒマリちゃん、ウタハちゃん、このF-2は一体……?」
「やはりお気づきになられましたか。ええ、より細かく言うなれば、これは“スーパー改”。先生の仰る支援戦闘機の、強化発展版…
「ふむ、その反応からして、先生はこの子の
ヒマリとウタハの言から、このF-2がやはり自分の知り得ないバリエーション機であると分かった。だが、やはり聞き覚えがない。
彼の知るF-2は、先に記したように、暗黒宇宙大皇帝による本格的地球侵攻に伴い勃発した日本本土決戦の序盤――歩行要塞軍団との総力戦で殆どの機を航空自衛隊は損失しており、このようなカスタム機が存在していた事実もなかった。
「
F-2スーパー改に意識の殆どを注いでいた彼が偶然向けた視線の先を辿ると、そこにはモノトーン調の塗装が施された、スーパー改や他の機、GUYSマシンとも毛色の違う技術体系で造り上げられたと思われる機体が在った。
ソレは、胴体両翼で合計三発の高出力ジェットエンジンを搭載し、開けば
(……たしかアレは、
…一昔前、
勿論、その中にはUDFやDASHの保有する対怪獣メカニックも載っていた。
故に現物を拝見したことは無いが、その機体は彼も見覚えがあった。
(
「……ミライ先生、もしかしてあの子――ダッシュバードにも興味が湧いたのかい?それとも何か心当たりが?」
ミライの視線が白銀の機体…推定ダッシュバード1号に向いたことを察したウタハがすかさず声を掛けた。
「え? あ、ああ、まあね。なんか不思議な形状をしているな〜って。……これはあくまでも僕なりの推測だけど、可変とかできちゃうのかな?」
ミライのその
「おお中々に鋭い。
…なお、彼らの前に在るシルバーグレーの機体は厳密に言うと〈
同機体は、技術実証試験機の名の通り、軍用は軍用でも戦闘用ではない非武装機であった。
(DASHの戦闘機があるってことは…やっぱり、J.A.D.Tっていう組織名が入ってるこのF-2も、また別の並行世界の地球から流れてきたモノ、なんだろう)
ミライのひとり勘違いの件は置いておき、この仮説が正しければ、キヴォトスは地球と…それも単一ではなく複数の異なる世界線と繋がっていることになる。
そうなれば奥に見える、残る他の2機も同様の可能性が濃厚だ。あの時のヒマリの質問の真意も何となく分かった気がする。
内心で驚きながらも平静を装いダッシュバードβとF-2スーパー改を見比べるように交互に見遣るミライ。
「……分かってることにつきましては、F-2とこの子、ダッシュバードに関してだけ言えば、型式型番、操縦系統に貼り付けられていた紙媒体マニュアルと電子データ…飛行記録、それと音声・映像の類い一式ぐらいですね」
「ヒマリちゃん、僕の考えが正しければ、ここのF-2って……」
「はい。ミライ先生のいた地球とはまた別の、異なる世界線の…パラレルワールドの地球で扱われた、同姿同名でありながら中身は全く違う別の機体、でしょうね。
そして、ここに保管されている外界兵器が、私たちミレニアムが掌握した並行世界の地球情報のソース元…となります」
「やっぱりそうだったんだね。だから怪獣や防衛チームのことを……他の機体に関する話を聞いても…?」
そこからウタハによる残る2機のレクチャーが始まった。
これにより、残る2機体がそれぞれ〈XIGファイターEX〉、〈ガッツシャドー〉なる特殊戦闘機で__ミライだけが知り得ることだが__ネオフロンティアスペース及びガイアスペースの地球(彼の把握し得る限りの歴史を歩んだかは定かではない)からキヴォトスに流れ着いてきた代物であると確定し、ここでようやくエイミやヒマリが怪獣の存在を初観測個体であるゴメス出現より前からある程度把握できていたのか、そして
「―――この、“
また、今の話に出ました人工知能PALにつきましては、本体側の構成データやプログラムの大部分が欠損しており、現在修復の目処は立っておりません。残念です。……ただ、一つ不思議なのはEXのパイロットが、PALの自動操縦へ切替を行なうと毎回機内カメラとマイクがミュート処理されていたことですかね…」
なお、上記情報に連なることとして、彼女たちが現在僅かでも情報を持っているウルトラマンは、“ティガ”、“ダイナ”、“ガイア”、“アグル”、そしてキヴォトスに現れた“メビウス”の五人のみだと分かった。
…試験機とはいえ、ダッシュバードを回収できていながら、彼女たちが“マックス”を知らないのは、先にヒマリが言ったように、同機搭載の操縦マニュアルと飛行記録、機体絡みの音声・映像データ
故に、ミレニアムが保有する__リオ秘匿分も含めた凡その予測値だが__並行地球それぞれの情報量は多いものから順に、ネオフロンティアスペース、ガイアスペース、M78スペース、マックススペースという結果となる。
マックススペースの情報蓄積量がM78スペースに劣っているのは、先述の理由とミライによる詳細な情報提供と
「―――ティガ、ダイナ、そして彼らの地球については
因みにだが、
…大変話がややこしく、それでいて長くなってしまうのでかなり割愛するが、ティガ・ダイナ・ガイアとは世界線や宇宙を超えて邂逅・共闘の経験が複数ある。アグルのみ直に面識は無いが、ガイアのバディであると言う話自体は聞いている。
「………全ての始まりは一年半前の出来事です。ミレニアム自治区内に所在する“廃墟”地域から、私たちは未知のマシン…現代とは断絶した超古代先史文明由来のものでも、今のキヴォトス科学の産物でもない、全く別の…ええそうです
「回収後はすぐにヒマリたちヴェリタスと特異現象捜査部、私たちエンジニア部、そしてリオでそれら地球産漂流兵器の本格的な解析と修復を進め、データの回収を可能な限り試みた。
結果、復元できたデータの一部からは、怪獣や異星人といった外界人類に敵対的な特異存在に関する予期してなかった情報まで出てきたわけだ」
「これを、私とリオは外の世界からの
「回収した兵器や怪獣が存在する世界と繋がってることが分かったからね。外の世界の人達が襲われていて、こちら側が襲われない保証はどこにも無いということで、話が分かる人間だけでも集まって
回収状態が比較的良かったこの子達のレストアも、その備えの一環だね。進捗はF-2やファイターEXを除けば、7割8割ほどってところだよ。同時並行でデータ上の怪獣のスペックから導き出した対怪獣用装備も少しずつだが開発と実験をしている最中だ」
ここまでの話の内容を頭の中でミライは整理し、一考してから頷くと、再び彼女たちに質問を投げた。
「この話を知っている子は、他にはどのくらい?」
「ゼロです。この並行外界世界に関する諸情報はユウカのシャーレレポート同様に外部への漏洩を防止する秘匿措置が科されており、現在これにアクセスできるのは私たち特捜部にヴェリタス、エンジニア部、そして生徒会長のリオだけとなります」
「……と、言うことは、今言ったヒマリちゃんたちの
「ええ。先ほどのウタハの説明にも出ましたが、話が分かる人間というのは存外少なく、大多数の一般市民の方々からすれば、こちらの話は有りもせず起きもしない都市の破滅に怯える狂人の戯言に思われかねませんでしたから…」
彼女たちもまた、地球の情報を機密にしているようである。
荒唐無稽な話なのは確かであるし、変に流布されても混乱が生じる内容だろう。良くない輩に都市伝説の類いと結び付けられたらどんな影響があるか分かったものではない。
ミレニアム上層部である彼女達が採った選択にミライは理解を示した。だが、それはそれとして、内部統制まわりの話でまだ気になることがある。
「……セミナーだと、そのリオちゃんって子しか知らないのかい? ユウカちゃんやノアちゃんには?」
自分も交流したことのあるセミナー所属生徒の二名の名を挙げた。ミライの受け取り方が正しければ、並行地球関係の話は、リオを除くセミナー生には開示されてないことになる。
「…………あの冷徹コミュ障トロッコ女はとことん不器用なのですよ」
…ヒマリはリオに思うところがあるようで、節々に棘というか毒の混じった言葉を溜め息と共にこれでもかと口から出した。
「礼節…米……モロッコ…何?」
先の自己紹介の時のように、無駄に長い肩書き_この場合は恐らく蔑称だが_が出てきたため…というよりも上手く聞き取れず、唐突にスポーンした“
「…ええと、つまりリオは、セミナーの後輩たちにはこの事を何も話してないんだ。内容が内容だし、危険な類いなのはそうだからね。なるべく
一人で何でも抱えて、実際何でもこなしてしまうのが彼女だからね、もう少し
それと交代するように、気持ちを整え直したヒマリが、深呼吸を一つ挟んでからまた話し始めた。
「……これまでの各方面での研究から分かっているのは、私たちが住むこの学園都市――キヴォトスは近年急速に“アンバランス・ゾーン”化が進んでいるという事実です」
沈痛な面持ちのヒマリの声色は、先ほどまでとは打って変わって重苦しいものだった。
ウタハとエイミも語り出した彼女と似たような表情でそれに頷いている。
「具体的には、各地の現実強度が低下・希薄になり特異現象が発生し易い土壌に変化しつつあるようなのです。根本的な原因は未だ不明であり、目下調査中ですが…」
結局のところ、彼女らはどこまで行ってもミレニアム生である。このキヴォトスにおける学園の
いくら他学園の自治区内で特異現象を検知できようと、当該学園が「うん」と頷かない限り、調査目的の公的来校は不可能だ。
実働部員であるエイミならば、秘密裏に自治区内へ侵入しての調査遂行自体は可能だろうが、もしもそれで活動が露呈しようものなら、厳しい批判と追及、軋轢の発生は避けられない。強情な学園なら、何らかの譲歩や対価を加えて求めてくるだろう。
それ故、他学区では治安組織や諜報組織から睨まれないよう顔色を窺いつつコッソリちょこちょこやるのが定石になっているらしい。しかし、その手法では調査の進行はスムーズにいかないのが現実である。
彼女たちは勿論それを理解しているし、活動の理想は最大効率での最速遂行なので、仕方のないことと割り切ってはいるものの、内心は歯痒さでいっぱいな筈なのは想像に難くなかった。
「…私たちは漂流遺物の解析と復元を通して、これまで言ってきたように、多くの外界の情報を得、出来得る限りそれら全ての記録に目を通してきました」
ヒマリが座っている多機能車椅子から、無数の青白いホログラム映像が中空に投影される。ホログラムで出力される映像は
「……中には、目を背けたくなるような、凄惨で理不尽で不条理なものも多々ありました。空想上の存在に過ぎなかった脅威が星を、文明を、人を壊していく光景…それがミレニアムで、キヴォトスで起こったらと想像した時、身体の震えが止まりませんでした」
雄叫びを上げる大怪獣、嘲笑う侵略異星人。無惨に爆散していく戦闘機、踏み潰される戦車、へし折られる軍艦、薙ぎ倒される建造物、怪光線を浴びて蒸発する市民たち。
目を覆いたくなる惨状がホログラム映像を埋め尽くしていた。
「……ですがそれでも、私は、私たちは…踏ん張りました。踏ん張れたのです。なぜなら、その記録の中には
キヴォトスは知性体の“死”が遠いところにある都市だ。“死”とは無縁に近い箱庭で育った彼女達にとって、外界…地球の血生臭い映像は相当な劇薬だったに違いない。
だが、彼女達は見るのをやめなかった。折れなかった。逃げずに恐怖と向き合ったのである。
「未曾有の絶対的脅威に立ち向かい、強い意志を持って困難へ抗い続ける人々の傍には、何処でも必ずと言っていいほど
彼女たちの心は強かった。
顔を上げ、凛とした表情でヒマリはホログラム式タッチパネルを操作し映像を瞬時に切り替え、
「―――“光の巨人”、ウルトラマン」
映し出されるのは、五人の巨人の勇姿。
四隅にティガ、ダイナ、ガイア、アグルを据え、そして中央に大きく映ったのは、偶然か必然か…ミライと同じ世界からキヴォトスに到来した救世主――ウルトラマンメビウス。
恐るべき怪獣や異星人と相対、激突し、勝利を収める巨人たちの姿は、どの世界であれ、心に光を宿している人々に明日への活力を与えてきた。
それはこれまでも、そしてこれからも変わらない。
「希望の光はある、ヒーローは実在する…その事実が、終わりの見えない“備え”を続ける私たちを大いに勇気づけてくれました。
ですが、私たち
彼女が次に口にするのは恐らく、今日ミライをミレニアムに呼んだ本命の用件だろう。
「ヒビノ先生。今から私が貴方に話すコトは、私とウタハ個人から貴方への
「…………それは…?」
「この場にいる私たちと、あとで紹介するヴェリタスのちーちゃん…副部長を、シャーレに仮入部させていただきたいのです。特殊災害に対する協力体制の本格構築のため足掛かりとして」
ヒマリからの提案…それ即ち、怪獣・異星人事案における協働関係の構築であった。
「……要するに、兼部するってこと?」
「ええその通りです。もちろん、仮入部する以上、先生のシャーレ業務の活動補佐もしますよ。それと、私たちが収集、保有する並行地球の各種情報の共有も可能な限りさせていただきます。…一番望ましいのは、情報の相互交換ですが、その決定は先生に委ねます」
「オデュッセイアみたく、シャーレと表立って安保協定まで結べればいいんだが、ウチはそこよりも色々と他校からの目がある。あくまでも個人による
「そんな、ウタハちゃん達が謝ることじゃないよ。皆んなの仮入部は特に拒否するような理由も無いから…こちらに仮入部届けを提出してくれれば今日中にでも承認するつもりだよ。こちら側の情報の提供については、まとめたものを後日ヒマリちゃん宛に送る…っていう形でいいかな?」
「助かります。先生の理解と協力に深く感謝を」
「改めて、これからよろしく頼むよ。先生」
こうして、ここまでの流れと釣り合わぬほど非常にあっさりと、ミレニアムのトップ生徒らのシャーレ仮入部が決まったのだった。
この依頼締結は、今後もキヴォトス内で発生することが予想される特殊災害にシャーレが赴く際に、ミライが彼女たちからの全面支援を受けられるようになったことを意味していた。
「………………ところで、つかぬことを聞きますがエイミ」
「ん? どしたの部長」
「あなた、どうして先ほどから一言も発さないのですか?」
「いや…私の出る幕が無さそうだったというか、話に入る余地が無さそうだったというか、私もまだまだだなって痛感したというか……部長とウタハ先輩の餅つきみたいな息ぴったしの阿吽の交互説明だったり、ミライ先生との外の世界の話であったり、私が出しゃばるような箇所が無かったからだよ。…もしかして二人とも台本とかカンペ用意してたりした?三年目にもなると神通力が使えるようになったりとかするの?」
「……これって褒められてる…んですよね、ウタハ?」
「半分ヤケクソ気味に聞こえるが気がしないでもないが……おおよそ賞賛3割、妬き3割、拗ね3割、ヒマリ1割の褒め言葉かな」
「あら、おかしいですね? ウタハ、その最後の1割、どうしても個人名にしか聞こえないのですが。気のせいじゃなければ、この超清楚系美少女天使である私の名前な気がするのですが。ウタハ、ウタハ聞いてますか?」
―――無情かもしれないが、時は少し進む。
……それから、より具体的かつ詳細な相互の情報共有及び開示の取り決めや、エンジニア部所有の漂流兵器の所属移籍準備の話し合いに、
「おぉ…! これが、人工怪獣を実体化させるアイテム…マケットカプセル……!!」
そんなウタハが鼻息荒く、目を輝かせながら指先で摘んで天井の照明に透かして見ているのは、内部のミニチュア染みた緑色結晶体が印象的なGUYSの戦術メテオール装備――マケットカプセルである。
「ふむふむ…こっちがアカレンガで活躍したウインダムのカプセルで、これはレポートに載っていたアギラのカプセルだね。なるほど、使用後はカプセル内部の粒子蓄積結晶は黒ずんで非活性状態を表しているのか…いや、それとも蓄積される粒子そのものが発光作用を持っていて、それらが消失したからこのような色合いになったのか……いずれにしても興味深い」
カプセルの底面は
「…………50mサイズの擬似肉体の即時形成と自我情報のカプセル・擬似肉体間の高速転送…超絶技術の塊と言っていい代物だね。しかも交戦時の各種データは使い捨てられることはなく実体解除後に自我情報と共にカプセル内へ復帰するから、マケット怪獣の経験値は蓄積可能で、フィードバックも容易ときた。…完全実体化後の連続稼働時間は3分ポッキリだとはいえ、破格の性能だね間違いなく。メテオール、恐るべし」
既存技術に欠片とはいえ異性文明の技術を組み合わせ、しかも使いこなすなんて芸当、真似できるモノじゃない。ミライ先生の地球にも、素晴らしいマイスターが大勢いたんだね――と、ウタハは言う。
「こうして、ミライ先生の説明を聴きながら実物を見ていると、リン会長代行ら連邦生徒会トップがマケットカプセル全般、メテオール全般の情報を規制する判断を下したか理解できる。あれは英断だったと思うよ。
確かに…マケットの基礎原理を知らなければ、先生が怪獣を自在に呼び出し操る力を持った危険な人間…怪獣使いとしか見えないだろうね。ウインダムを機動兵器、その実体化をワープと言い換えた理由はそれ絡みなんだろう?」
「そうだね。いくら理屈を並べても、
「どうしようも無かったわけだ。まあ、先生と会って数時間ほどしか経っていないが、キミの誠実さは痛いほど分かってるつもりだ。その考えと選択を攻めたりなんかしないさ」
ミライはこの場にいるウタハ、ヒマリ、エイミにマケット怪獣の存在を打ち明けていた。こちらの
それは、ウタハたちが不用意にべらべら口外するような子らではないと彼が思った故でもある。
「それで、このマケットカプセルのエネルギー源、分子ミストの補給手段の確保に難儀している…と言うよりも頓挫していて、件のミストの製造には専用の粒子加速器が必要だが、先生が調べた限りキヴォトスではその類いを見つけられなかった…と。それで私に…だったね」
「どうだろうウタハちゃん、難しいお願いだっていうのは分かってるんだ。だけど――」
「――安心してくれ」
ミライがウタハに頼み込んだ要望というのは、当初学園都市では確保が困難と思われていたマケット粒子――高エネルギー分子ミストの生産と安定供給化であった。
怪獣や異星人が確認され出したこのキヴォトスで、この先マケット怪獣の必要性はどんどん増していくに違いなかったからだ。
「結論から言えば、分子ミスト生成用の粒子加速機は……製作可能だよ。ミスト供給に関する技術的問題は皆無だと思う」
技術先進校ミレニアムのスーパーマイスターことウタハ率いるエンジニア部でも厳しいか…と思われていた案件だったが、粒子加速機の作成自体は大した問題ではないと軽々ウタハは言ってみせてくれた。
「えっ!?本当かい!?」
彼女の返答を受けてミライは手放しに喜ぶ。
子供のような彼の無邪気な喜びように、何かこそばゆいものを感じてか少し困ったような笑みを浮かべながら、ウタハは続きを話す。
「ああ、本当だとも。なんたって、未使用の実物がまだ複数残っているわけだし、シッテムの箱にはマケット怪獣実体化に関する各種データが既に入っていて、しかも実践データまであるんだろう? マケット粒子のサンプルが採れて、その構造・組成も解析できるなら、あとは生成対象粒子の特性に合わせた加速器用パーツの作成と調達だけになるからね」
「そうなんだ。じゃあ、こっちで必要な機材の発注とかの費用を――」
シッテムの箱を操作して、連邦捜査部に割り当てられている銀行口座から電子マネーの残高を覗こうとしたが、ずいっとウタハが手のひらを彼の前へ遮るように突き出した。
「――おっと!ありがたいがその必要はないよミライ先生。これは、先生がこちらをシャーレに受け入れてくれたこと、各種取り決めに合意してくれたこと、そして光学拳銃を筆頭とするGUYS装備の解析許可をくれたことに対する礼なんだ。気持ちだけ、受け取っておくよ」
「ウタハちゃんがそういうなら良いんだけど……でも本当にいいのかい? エイミちゃんから聞いた話だけど、予算がカツカツになってるんじゃ…?」
「ああ…軍資金の件は、実は二週間ほど前に解決したんだ。アカレンガの“G2事案”の
それのおかげで、今は金銭面でエンジニア部が抱えてる問題は皆無なのだとウタハは言う。
「ははは…いやぁ、携行式
――ということでミライ先生、粒子加速器の方は任せてほしい。一週間ほどの時間とマケットに関する一通りのデータをくれないかい? キッチリ仕上げてみせるよ」
「それなら…よろしく頼むよ。くれぐれも無理だけはしないようにね」
本人が無問題だと文字通り胸を張って言っているのだし、こっちはあくまでも頼む立場だ。後は彼女らエンジニア部がキッチリ加速器を完成させてくれることを信じ祈るのみである。
「承知した!吉報を楽しみにしていてくれ」
このマケット用粒子加速器製作の話が一通りまとまったところで、今回の集まりは解散という運びとなった。
ミライはミレニアム物理校舎正門を出るまで三人に付き添われた後、
―――こうして、ミライのミレニアム自治区初訪問イベントは幕を閉じる。
あと
がき
皆様、わっぴ〜!(気さくな挨拶)
どうも水着ナギサ様天井の
投了です対ありでした、
またしても投稿期間が長引いてしまい申し訳ありません。
今回の話、前回前々回と違って台本と言いますか下書きは本編5割ほど作ってたので、早く出せるぞと思ってましたが予想よりも内容が膨らみすぎ、展開も何度か書いたり消したりを繰り返しと…難産の難産でしたホントに。なんでここで苦戦してるんだ…
はい。直前の次回予告では微塵も触れてなかった、とある世界の地球における第一話(?)怪獣の話をぶち込んだミレニアム・ヒマリ部長&ウタハ部長回となります。
なんか無理矢理感のあるシャーレ入部(兼部)と分子ミスト安定供給化の流れでしたが、何卒ご容赦を…
ヘッヘッヘッ……カノジョタチトノカイワヤヤリトリ、メチャメチャムズカシイナハヤタタイイン。
――と、言うわけで、シャーレのスーパーマシン枠はミレニアムに頑張ってもらいます。
どうやらリオ会長はネオフロンティアの情報と漂着兵器を何処かへ運んで研究を続けてるようですね。なにが流れ着いてるのやら。
ブルアカ二次ss読もうとしたら、急に
なんで一応、かなり前の次章予告の中には匂わせを載せていましたが……ビックリしたヒマリストの方々、ごめんね。
あと、例のサブタイ表記についてですが、アレは向こうの世界の
ブレーザーとかゼット、アークでウルトラシリーズ入った人にはかーなーりオススメです『ウルトラマンガイア』。
単体でストーリー完結してますし、何よりボリュームやSF要素、ミリタリーがこれでもかとてんこ盛り。登場怪獣なんてどれも秀逸な新規の子たちでいっぱい。
序盤の異様にテンション高い
蛇足ですが、投稿者のお気に入りの回は【反宇宙からの挑戦】です。
あと今更ながら『ウルトラマンオメガ』、始動おめでとう!!
想像の数倍CGの質良くてビックリ。ホンマにカッコいい。新規怪獣も好みの子しかいないんで、今後の展開が楽しみです。
※毎度お馴染みピックアップ解説コーナー
(独自設定独自解釈共にもりもり)
今回ちょっと長いです。
◯F-2 スーパー改
日米二国が多用途戦闘機〈F-16 ファイティング・ファルコン〉をベースに共同開発し生まれた大型戦闘攻撃機F-2…の、アメリカが発案した「有り得たかもしれない」強化発展機。
史実世界では国内外における諸々の事情で廃案となった幻の機体なためか、ifの歴史を辿った日本などを舞台にした戦記系作品で度々登場が確認されている。
◯宇宙戦闘獣 コッヴ
本格SFウルトラ作品『ウルトラマンガイア』に登場し、同地球及び人類に対して初めて本格的な攻撃を行なった宇宙起源怪獣。大鎌の形状をした両腕“コッヴシッケル”と頭部発光器官より撃ち出す破壊光弾で外敵を撃退する。
本作劇中において日本政府・防衛隊がコッヴを“
後に、歴史の修正力からか本来の通称と呼称であの世界でも呼ばれることになる。
同作の主要敵――正体の一切が未だ謎に包まれている、宇宙意思的悪意“根源的破滅招来体”が現代において最初に地球へ送り込んできた始まりの敵であり、
……コッヴは元々M91恒星系の固有生物で、同領域からは自ら出ることは一切無い温厚な怪獣であり、生息環境の変化や外敵の出現というストレスを受けると防衛本能を刺激され暴れ出してしまう。
破滅招来体の手引きによってガイアスペース地球に送り込まれたコッヴもその例に同じく、周囲の劇的な環境変化に戸惑いとパニックを起こし、降下地点であった日本国・東京都、池袋区にて破滅招来体の目論見通りに破壊活動をするに至ってしまった。これを良しとしなかった日本防衛隊や特捜チーム“XIG”の航空部隊がコッヴ迎撃に出るも蹴散らされることとなる。
最終的には、顕現した地球守護巨人――ウルトラマンガイアと対峙、交戦し、自在伸縮光刃“フォトンエッジ”の直撃を受け撃破された。
◯ミレニアムサイエンススクール・ヴェリタス
電子機器分野においてミレニアム最高峰の実力を持つ、ブラックなホワイトハッカー達の有志グループ。真理の守護者であり、知能を探求する正義のハッカー集団(某部員談)。
活動内容が学園運営や機密と言ったモノと紐付いてることが多く、校外秘に触れる機会も結構多いためか、学園内でその存在を周知されていないアンダー風味な部活でもある。
現在、特捜部の活動で顔を出せないヒマリの代わりに、副部長のちーちゃんが部長代理を務めている。
部員毎に特化してる分野に違いがあるのが、それが同部の弱点であり強み。部内の雰囲気は良好。
個性的なわんぱくっ子たちを一人でまとめ上げている部長代理にはコーヒーを奢ってあげた方が良いと思う。
◯パープルお清楚ポイント
綺麗な菫色の瞳を持つ清楚系美少女ハッカーから授けられる名誉あるポイント。実用性は皆無。スーパーやコンビニなどでは使用できない。……ポイントの量が彼女からの好感度に繋がってるとかいないとか。
チヒロとウタハ、エイミが上位ポイント保持者であり、後に王女系大型新人が現れるがそれはまた別の話。因みにリオは現在没収処置を受けており首位レースから陥落している。
元ネタは多人数型卓上カード遊戯『テストプレイなんてしてないよ』に収録されている「勝利!」系カードの一種に記載がある、“パープル狂気ポイント”。
ゲーム中にこれを10ポイント集めればと特殊勝利できる。ただし集め揃えるのは結構難しく、しかも通常の“ポイント”とは別の扱いなためそれとは加算できない。「SMH」や「ダブル電撃攻撃」でさっさと他のプレイヤーを蹴落としていこう。
友達を4人以上集めて馬鹿騒ぎする系のパーティゲームです。『ソクラテスラ』とかと同じ類いに見えてちょっと違うやつ。百均とか某驚安の殿堂にて値段もそこそこで販売してるのでぜひ買って遊んでみてください。あまりの理不尽さに爆笑することでしょう。
◯ ミレニアムサイエンススクール・特異現象捜査部
現セミナー会長の発案で設置された、情報収集から実力行使まで行なう対怪奇事象特捜組織。エンジニア部と共に、並行世界の地球から流れ着いた超兵器とそれに付随していた情報の管理・保全を行なっていた。
???「常識では考えられない出来事、アンビリバボー」
◯ ミレニアムサイエンススクール・エンジニア部
浪漫と情熱を燃料に動く物作りのプロフェッショナルたち。素材と閃きさえあれば大抵何でも作れる。機械…ハードウェア関係においてはキヴォトストップ。
※ただし余計なやらかし機能が追加されることがしばしばある。
向こう側の防衛チームのマシンたちをレストアなんてするから…!
???「テクノロージア!」
◯TPC/GUTS/スーパーGUTS/ブラックバスター
ネオフロンティアスペース――『ウルトラマンティガ』、『ウルトラマンダイナ』が存在する世界線の地球組織群。
“
人類間の武力闘争などに介入、加担しない彼らの使命は、世界で多発する怪現象・気象災害の未然防止、地球環境の整備と外宇宙進出のための技術研究及び開発であった……が、古代地球の“闇”の軍勢や、宇宙から襲来する未知の敵対的地球外起源生物の相次ぐ出現により、軍備拡張の武闘派路線に切り替えざるを得なくなった。
“
“ブラックバスター”隊は、TPC最高司令部
◯G.U.A.R.D./XIG
ガイアスペース――ウルトラマンガイア、ウルトラマンアグルが存在する世界線の地球組織群。
“
◯UDF/DASH
マックススペース――『ウルトラマンマックス』の文明監視対象となった並行地球で結成されていた組織群。
“
DASHは上記の他世界線の防衛特捜チームとは違い、結成以前より怪獣災害があったことなどから、対人対獣半々の中途半端な特殊部隊ではなく、怪獣・星人特化の対応チームとして始動している。
◯クゼ・テッペイ
GUYS JAPAN実働隊員の一人。マッシュヘアーが印象的な中肉中背の男性クルー。トマトが苦手な18歳現役医大生。
主に以前触れたコノミ隊員と共にフェニックスネストでオペレーター及び分析要員…頭脳役として活躍した。その他に作戦立案や新装備の開発補助なども担当し、新生GUYSの有能サポーターの一人だった。
医者志望の理系学生という肩書きから、理詰めで融通が利かなそうなネクラ人物と誤解されそうだが、実際にはミライやコノミにも負けないほどのお人好しであり、社交性もある。
地球科学と怪獣やM78星雲人含む異星人関連の知識量は“ヲタク”レベルに匹敵し、なんと独学で宇宙言語を習得しているほど。
テッペイさん、シャーレの先生になったら絶対面白い。
シロコやセリカを見て「なんで獣耳とは別にヒトの耳もあるんだろう」って馬鹿真面目に考えたりとか、ユスティナ聖徒会のミメシスと遭遇したら「戒律の守護者だぁ!(絶叫)」ってビビり散らかしながらも、トリニティ古書館に足繁く通ってたおかげでシスターフッドやハナコよりも詳しくっていきなり説明と解説始めてそう。あとは家柄というか実家の関係で、C&Cのメイド制服にツッコミ入れないし、コトリの「説明や解説ぅ!」を最後まで聞いて質問までしてくれる珍しい先生になるんじゃないかとも愚考。
性格とか得意分野で言えばエンジニア部にセミナー、救護騎士団やゲヘナ救急医学部とかがベストマッチなグループだと思うんすよね。生徒単位だと、セナ、ノノミ、チヒロ、アヤネ、ハナコ、アリス&ケイ…結構シナジー合いそうな子挙げきれないぐらい多いな…
多分リュウさんの次ぐらいにコユキとかゲーム開発部とかハイランダーの橘姉妹にナメられてそうな先生だと思ってます。カイにずっとちょっかい掛けられててほしい(願望)。
テッペイせんせ、ミサキ総監代行の方がミレニアム適性高いなんて言ってゴメン。
以下にエンジニア部格納庫に座していた
→ダッシュバードβ:試験飛行中、
※追記/F-2スーパー改同様、パイロットは墜落直前に脱出済み。
→XIGファイターEX:AIによる自律操縦の下、破滅招来最終母体(暫定識別呼称“
※追記/記録から、上記高性能AIの電子的並びに物理的破損は同戦闘が主因と推定される。
→ガッツシャドー:スフィア合成獣(識別呼称“ネオガイガレード”)との空間戦闘の最中に捕獲・拘束されるが、ウルトラマンダイナ及び宇宙四脚機動要塞“クラーコフNF-3000”が同怪獣を撃破し、拘束から解放。ダイナに救助される。しかし、詳細不明の巨大な移動重力源(識別呼称“グランスフィア”)の引力圏から逃れるため、パイロット回収後は戦闘宙域に放棄・漂流。
……「ファイターEXは原作劇中で跡形もなく爆散したろうが!」ってのはそう。本編の一番最初にも書いてるように並行宇宙、近似宇宙です…原典ガイアの宇宙出身じゃないから許して、ユルシテ…
対策委員会編ビナー君対戦怪獣アンケートに投票してくださった方々、ありがとうございました。
アントラー人気、凄まじくて草なんだ。思わず横転。いやまあ砂漠といったらあの子なイメージが強いですし、投稿者も大好きですよアントラー。怪獣バスターズでは良デザインの防具が作れたからひたすら狩まくってた記憶が。
それと本件の投票数がなんと「
また、本作にて名前が出てる「キヴォトス超古代先史文明」は、無名の司祭や名もなき神々とはルーツを別とするモノです。あとダッシュバードβの型式は勝手に弄りました。
原作ガイアだと、防衛隊の支援戦闘機って〈
※2026/02/16 追加編集
ヒマリ部長の苗字の読み仮名を間違っていたため、修正致しました。
ホントに痛恨のミス…申し訳ありませんでした。
修正前)ミョウジョウ 修正後)アケボシ
次回もよろしくお願い致します。
_______
次回
予告
遂にヒビノ・ミライ先生の青春譚も「対策委員会編」へと突入する。
―――キミの
大筋こそ変わらずだが、本来の物語から徐々に流れが剥離しつつあるキヴォトス。
―――諦めるな、最期まで。
目醒め始める
―――前を向いて、道なき道を…ひた走れ。
それは破滅へのカウントダウンか、
―――キミが切り拓くんだ。どうか恐れないで。
閉ざされた果てなき砂漠で繰り広げられる、想い出の学び舎の運命を懸けたアツき戦いを見逃すな。
―――振り向けば、そこに…仲間がいるから。
…アビドスは廃校になったりしない。絶対に。
次回、メビウスアーカイブ
特別編【Vol.3予告PV】
守りたいのは、
お楽しみに。