日々の未来の青春譚 -メビウスアーカイブ-   作:逃げるレッド五号 5式

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マケット怪獣
ゼットン


登場





21.【砂原の銀狼(シロコ)

 

 

 

 獰猛なる地底怪獣――グドンが迫る中、ミライは()()()の魂が宿る翡翠のカプセルを、鮮やかなイエローレッドの線が走る純白のシャーレジャケットから取り出した。

 

 彼の瞳には恐怖の色も、迷いの曇りも無い。

 

「―――僕は、()()を信じるよ」

 

 ただ一言、カプセルへ向けてそう呟き、それを淀みない手つきでGUYSメモリーディスプレイのソケット部に装填する。

 

『――SELECT(セレクト) , Z-TON(ゼットン)

 

 そしてミライはトリガーを引いた。

 

『――“REALISE(リアライズ)”』

 

 刹那、砂原の大地に迸る若草色の閃光。

 砂塵を巻き込み荒ぶるマケットの大竜巻。

 その威容を目にして足を止める地底怪獣。

 

『マケットゼットンの実体化を確認しました!』

 

 若葉色の巨大旋風から姿を現すのは、爛々とマグマの如く輝く発光器官を備えた黒と白の()()

 

 これぞ、蒼球の守護者として新生した人工怪獣の勇姿。

 

 その瞳無き目は、確かに眼前のグドンを捉えていた。

 

 

 

―――ゼットン…ピポポポポポ―――

 

 

 

 “宇宙恐竜(ゼットン)”――をご存知だろうか。

 侵略異星人である“変身怪人(ゼットン星人)”が自らの母星にて、遺伝子操作、強制交配を繰り返し施すなどして創り出した、恐るべき戦略級侵略生体兵器の名である。

 

 この天体単騎制圧獣の初期生産タイプの一体は、かつてM78スペースの地球侵略に王手を掛けるため、ゼットン星円盤艦隊と共に同惑星の防衛要衝――日本国に来襲した。当時の防衛チームにあたる科学特捜隊や自衛隊、地球防衛軍極東方面軍が奮戦したもののそれらを尽く撃退し、防衛戦に中途参戦した初代ウルトラマンと交戦。

 その圧倒的な戦闘能力をもってして、ほぼ無傷でウルトラマンを瀕死の戦闘不能状態に追い込むという、事実上の完封勝ちを成した強豪怪獣種だ。

 

 この衝撃事案の発生を契機に、宇宙警備隊員(ウルトラマン)撃破の実績を持つ「究極の怪獣兵器」としてゼットンの名は銀河中に広まった。本怪獣の登場は、同時に宇宙各地の侵略星間国家や重宇宙犯罪者たちを熱狂させ、生体兵器の新たな指標や枠組みが出来、これが後に防衛・侵略の用途に限らず各星間文明での新種ゼットン怪獣の開発競争に繋がることにもなったのだが、ここではさして重要な話ではないので割愛する。

 

『ゼットンの分子ミスト体内濃度分布、安定しています。キヴォトス惑星環境に対する最適化処理も完了…いけます!!』

 

 なお、前述した初のM78星雲人(ウルトラマン)撃破を成した個体は、人類の手――科特隊が投入した決戦兵器“ペンシル爆弾”で殲滅され、ウルトラマンは光の国本国からの使者ゾフィーによって一命を取り留め故郷へ帰還した……のだが、当時を知る()()市民や地球の被侵略史に詳しい歴史家、怪獣生態学を修めた学者、そして歴代地球防衛組織に在籍経験のある武官などにとってはトラウマ以外の何ものでもない存在、それがゼットンなのである。

 

 第一次怪獣頻出期最序盤の在地球宇宙警備隊員(ウルトラマン)及び地球人類に最も猛威を奮った敵性宇宙怪獣ことゼットンであるが、地球上における初観測個体(オリジナル)、そして後の時代に現れた他星ルーツ(バット星人)二代目個体(養殖種)の解析データを基にして、ウルトラマンと互角以上というその高水準な戦闘能力に目を付けたCREW GUYS総本部は地球防衛を担う人造(マケット)怪獣(モンス)ゼットンの開発を指示した。

 

『ゼットン――交戦開始(エンゲージ)ッ!』

 

―――ゼッ………トン!!

 

 破壊の化身として産み落とされた悪魔の侵略兵器が、無辜なる人々の盾…地球文明の守護者へと生まれ変わり、その仲間入りを果たす――華々しい第一歩を踏み出した瞬間であった。

 しかし運命は時として非情で、それでいて残酷である。

 第二次怪獣頻出期(21世紀初頭)GUYS JAPAN基地(フェニックスネスト)にて執り行われた新規マケット怪獣採用コンペで()()は発生した。

 端的に言うと、()()()()祖先にあたる試作(プロト)マケットゼットンが戦闘試験用仮想空間内で暴走してしまったのだ。

 

 カプセル内に記憶された各種構成データに異常をきたしていたゼットンはシュミレーターの電子的損壊に留まらず、同サイバー領域からGUYSJAPAN基地ネットワーク網への侵攻を開始してしまい、自壊並びに停止命令の受理を拒否したことで即座に破壊処置命令が下された。

 デリートプログラムとしてマケットグドンやマケットメビウスが差し向けられたが、これらを立て続けに撃破。

 最終的には、基地()の光回線から()()してきたサイバー体のウルトラマンメビウスによって撃破された――のだが、GUYS側の被害が思いの外大きく、事態を重く見たニューヨーク総本部によって、メテオールの解明が進んだ21世紀後半になるまでは暴走したマケットゼットンのカプセル並びに同系列(元“敵性”)怪獣のプロトマケットカプセルが尽く封印、運用と実験を無期限凍結されるに至ってしまう。

 

………だが後年に、当時の()()()()()()()()()()()()()()()()に立ち会った極東日本支部方面総監補佐官だった人物による「本来起き得ない事故に更なる事故が積み重ねって発生した極めて偶発的なインシデントだった(自責の念)」という証言や改めて行われた原因究明プロジェクトの後押しもあって、長らく凍結されていた試製マケットカプセル群の実験・運用が再開。

 そして――厳しい監査を乗り越え、元敵性怪獣のマケット化を公表し、これに反発した世論への粘り強い説得を経て、遥か未来…各国GUYS支部に制式配備されたのが、今日(こんにち)のアビドスに立つ()を含むマケットゼットンなのである。

 

「ゼットンの実用行動時間もウインダムと同じく3分…か」

 

 さて、このような数奇な運命を辿ったマケットゼットンであるが、彼等の役目(コンセプト)試作(プロト)段階で、ほぼほぼ固められていたと言っていい。

 

「……キミも、守るために戦い続けてきたんだね」

 

 マケットゼットンの戦術用途は至ってシンプル。

 

 単一、又は複数体の敵性怪獣を独力で、かつ行動可能時間内というごく短時間での完全制圧ないし殲滅―――である。

 最初から全力で対象を捩じ伏せる…マケットゼットンにはそれを可能とする力があった。

 

 力は、持ち主とその扱い用によってどのようにでも()()。M78スペースにおける未来の地球人類は、偉大なる先人にして友人(ウルトラマン)の少なからぬ導きもあって、その力の使い方を誤らなかった。

 

 人類が生み出した宇宙恐竜――マケットゼットンは、M78星雲人が須く去った未来地球における母星防衛の切り札の一つとなった。

 新たな人類の護剣――恒星間航行用対怪獣航宙戦艦(“スペースペンドラゴン”級)が就役し、自身らが退役するまでの数千年、彼らは太陽系防衛圏の第一線に立ち続けたのだ。……その時代には、もう彼らを「欠陥品だ」などと述べて恐れる、或いは蔑み嘲るような人間はいなかった。

 

「だから僕は…ゼットン、キミを信じる」

 

 無論、これらの話をミライは知らない。そして、プロトマケットゼットンと戦ったメビウス(ミライ)としては、同怪獣に対して正直な話…嫌な印象と思い出しかなかった。

 ―――()()()()()

 ……キヴォトスに赴任してから今日まで、マケットゼットンの“シッテムの箱”内での振る舞いを見てきた、そして彼らの言葉を交わせるアロナの話を聞いて、ミライは眼前でグドンに立ち塞がる()()()を信頼するまでに至っていた。

 

 ゼットンは彼とシッテム在住の仲間達に応えたいと思っていた。信頼と期待を背負って戦いたいと強く望んでいた。

 だからこそ、彼はそのゼットンの想いを汲み、このグドンとの戦いを任せたのだ。

 

―――ピロロロロロロッ!

 

 我は――心無き殺戮兵器に非ず。尊き生命を繋ぎ護る使命を授かった誉ある防人なり。

 故に戦う。我は人類の盾。故に負けぬ。我は人類の矛。

 恐れを抱く必要は無い。一体どこに、眼前の敵を恐れる理由があると言うのか。

 

 上記の如く、推定数千年ぶりの実体化を果たしたゼットンの戦意は高い。まず彼はグドンと真っ向から激突した。

 自慢の“瞬間移動(テレポート)”での撹乱、“絶対防壁(バリアー)”の展開もせず、地底怪獣が仕掛けてきた正面からの純粋な力勝負に応じたのだ。

 争いに飢えていた故ではない。対面の突撃を回避・空振りさせた時、或いは攻撃を受け流した時に、自分の背後で退避行動に移っている主人らにどのような戦闘余波が加わるかを考えれば、こうして動くのが最も理に適っていると分かっていたからだ。

 

『LAV、安全圏までの一時退避完了!』

 

 これで心置きなく戦える。

 アロナから、防衛対象(ミライ)が退避を終えた旨を把握したゼットンは、分子ミストによって緻密に再現された__二代目由来の__高耐久、高出力の圧縮筋繊維を稼働させ、体躯差で優越していた成熟体グドンを市街地から押し出しにかかる。

 抵抗するグドン。だがゼットンがそれを抑え込み、一方的な格闘戦を展開。頑強な腕、脚から繰り出される打撃――チョップ、キックの連続被弾は、地圧がもたらす致命的な負荷に対する完全耐性を実現した超耐久外殻に身を包む地底怪獣と言えども無視できるモノではない。

 グドンが市街地外縁の廃施設や土砂を巻き込みながら砂地に叩きつけられる。

 

『戦況はゼットンに優勢、実用行動時間は残り161秒です!』

 

 だが、グドンとてやられてばかりではなかった。

 

「グドンの反撃が来るっ!」

 

――――ヒュンッ!!

 

 双方の視界を遮る砂煙から突然飛び出したのは、大岩盤を容易く破砕する漆黒の振動触腕(エクスカベーター)。伸縮自在の巨鞭がマケットモンスの頭部を撥ね飛ばそうと襲いかかる。

 反射で全方位光子防壁(“ゼットンバリアー”)を展開し、その一撃を防ぐゼットン。しかしこれで攻守が逆転した。

 

―――ゼットン…!

 

 ゼットンにとっても、()()とはいえ外殻の内側…肉体内部から損傷を加える、高周波を伴ったウィップアタックは脅威と認識していた。

 彼の起源種族もそういった類いの特性を持った兵器――“無重力(ペンシル)爆弾”を使用され個体レベルにて大きく劣る地球人類に撃破された過去があるし、どのような攻撃への対処であれ、慢心は許されなかった。

 

―――ガキンッ! ガガガッ――バギン!

 

 体勢を立て直したグドンが、ミライによる援護射撃も意に介さず、防壁を張るゼットンへ両腕によるラッシュをひたすら叩き込む。

 

 バリア解除は…しない。全方位に展開するこの光子防壁は、M78星雲人が多用する光波熱線の連続照射を受けても崩壊しない破格の耐久性を誇るが、バリア発現中はテレポートを含む一切の身動きが取れなくなるのがデメリットである。

 

 ――が、グドンの反撃は一時的なモノ。全力故に長続きはしない。

 攻撃の手が緩んだ時、彼は再び攻めに転じる。

 

『実用行動時間、残り117秒!ゼットン、頑張ってください!』

 

 触腕の猛攻に耐え忍ぶこと約30秒。体力の消耗が顕著になってきたグドンに対し、遂にゼットンがバリアの展開を解除し即前進。肉薄する。

 対する地底怪獣。彼は自前の長尾を用いた()()()をゼットンに仕掛ける。

 だがそのアイアンテールは空振りに終わった。ゼットンがテレポートを使用したためだ。その転移座標は、グドンの真正面(後ろ)

 

 そこから懐に飛び込んでの体当たり、そして準人型の二足歩行怪獣種に許された特権の一つたるハイキックを繰り出す。仰け反るグドン。

 ……マケットゼットンを構成する蓄積データには、ウィンダムやミクラスから抽出・共有された重力下における格闘戦ノウハウも詰め込まれている。

 

―――シャァ゙ア゙ア゙ア゙ッ゙!!

 

 叫ぶグドンを他所に、ゼットンは詰め将棋の如くそれらの中から最適解とされる近接技を選択し繰り出していく。

 元より彼の知能指数はそれなりに高いが、ここに自称スーパーAI――アロナの高精度管制が加わるのだから、もはや相手の動きを読み誤まる方が難しいまである。

 

 至近距離まで詰められればグドン側の防御手段は皆無であり、脆い。

 エクスカベーターを振り回して抵抗するにしても、()()を抑えられればそれも不可能。

 ゼットンの両脇に自身の両腕をガッチリ挟まれ封じられたグドン。

 こうもなると抵抗手段は頭突きと噛みつき程度。グドンが悪足掻きを繰り出さんとしたその時、彼の顔面が赤く照らされた。

 

 ……究極の人工生物としてこの世に生を受けたゼットン属種は、さも当然のように皆尽く頭部から高威力エネルギー弾“ゼットン光弾”を発射可能である。

 胸部炉心から直接汲み上げた核エネルギーを圧縮して撃ち出すこの殲滅光弾は、その余りの威力から“一兆度の火の玉(トリリオンメテオ)”とも評された。

 

―――カッ!!

 

 小型人工太陽の直撃とも形容できる一撃がグドンの頭部に炸裂した。

 唐突かつ予想外の痛撃に身を捩る血濡れのグドン。高強度外殻に守られた頭部は辛うじて消し飛ばなかったが、その半分は原型を留めておらず既に機能の大半を喪っていた。

 この時点でグドンは戦意を挫かれ、撤退しようともがき始める。

 

 だがゼットンがそれを許すはずが無い。一旦グドンへの拘束を解くと、再びテレポートを実行。再度グドンの背後に回り込んだ。

 目の前で荒ぶっている黄土色の長尾を両腕で掴み上げると、規格外の腕力に物を言わせジャイアントスイングの要領で、体格にて勝るグドンを持ち上げ振り回し始めた。

 遠心力の作用によって、振り回される側のグドンは身動きが自由に取れない。

 

 回転速度がピークに達したところで、ゼットンはグドンを空高く放り投げた。

 緩やかな放物線を描き大地に向かって落ちていく地底怪獣。それの未来位置は一対の頭部多機能触覚器官(レーダー)で逐一割り出している。

 

 異形なる護星の防人は空を仰ぐ。

 彼の無貌の瞳は、遥か空の地底怪獣をじっと見つめていた。

 ゼットンの頭部並びに胸部の発光器官の煌めきが一層増す。

 それは、先ほどのものと比べて数段大きな、()()の火球を撃ち出す準備動作。

 

―――シュンシュンシュンシュン…… ―――ゼットン…!

 

 ―――ボッ!!

 

 斯くして、真紅に輝く特大の殲滅光弾が一発放たれた。

 

 昼間の砂漠を更に明るく照らす破滅の球が、瞬く間に空へ昇り、宙で溺れていた地底怪獣の胴部にめり込む形で直撃。光弾は怪獣の内部で盛大に爆ぜる。

 刹那、凄まじい閃光…及び轟音。そして猛烈な爆風。プラズマ化する大気。

 アビドス砂漠の青空を見上げれば、緋の華――直径100m強のおどろおどろしい大火球がパッと咲いていた。

 

 凶暴地底怪獣は火球の中に呑まれ消えた。

 

 それはゼットンの勝利を意味する。

 

『グドン、マケットゼットンによって撃破されま――わわっ』

 

 アロナの討伐報告の最中だったが、ミライは彼女が内在するタブレットを庇うように抱え込んだ。

 グドンの空中爆散時に発生した衝撃波、爆風爆熱の到達に備えるためである。

 

 しかし、そんな彼らの前にゼットンが音も無く瞬間転移し光子防壁を展開。地上のミライとアロナ、軽装甲機動車を火球の余波から遮断し守った。

 余波の一切が消え去った後、足下の主人らの安否を案じ、ゼットンはバリアを解き身を屈めて確認する。

 

「………ありがとう、ゼットン」

 

 足下のミライから感謝の言葉を受け取り、満足げな頷きを返すマケットゼットン。

 彼を讃える溢れんばかりの歓声などは無かったが、彼にはそれだけで十分であった。

 

 

 

『―――VANISH(バニッシュ)

 

 

 

 その瞬間、活動制限時間がゼロになったことで、ゼットンの実体は黄緑の桜吹雪と化して霧散した。

 ミライは手元のゼットンのカプセルに目をやれば、内部結晶体のエメラルドの如き輝きは失われ黒ずんでいた。

 彼は課せられた任務を見事達成したのだ。

 

「…ゆっくり休むんだよ」

 

 ミライはメモリーディスプレイのソケットからマケットカプセルを外して懐に仕舞うと、LAVに駆け寄り車体や積載物資に損傷などが無いことを確認する。

 

「取り敢えず、危機からは脱した…と言えるかな。アロナちゃん、付近に怪獣サイズの生体反応とかは確認できる?」

 

『――いいえ、現在は特にありません。アビドス高校への移動を再開しても問題無いと思います』

 

 シッテム内…青空教室内でリムゼットンを撫で回していたアロナがミライの問いに答えた。

 

「分かった―――」

 

 

 

「―――あの…」

 

 アビドス高校に向かおう…そう言おうとした矢先、彼の背後から聞き馴染みの無い声が。

 

「……えっと、キミは」

 

 振り向いてみれば、そこには紺色の制服を着、水色のマフラーを首に巻いた仏頂(ブッダ)フェイスの銀髪碧眼ケモ耳制服少女が立っていた。

 

 先の怪獣同士の市街地戦闘を目撃したためなのだろうか。彼女の腕には背負うでも肩に掛けるでもなく、キヴォトスの主要日用品こと銃火器――自動小銃(AR)がしっかり抱えられていた。

 

「見慣れない顔に、格好。連邦生徒会の制服にも似てるけど差し色あたりとかちょっと違う…あなた、どこから来た人?」

 

 眼前の素性不明男性(シャーレの先生)を…というよりも周囲を警戒しているようで、ライフルの引き金には指を掛けて、いつ何時でも発砲できる状態にしていた。

 突然実体を消失させたゼットンを目撃し、その行方を気にしてるのだと思われる。…大多数のキヴォトス人にとって怪獣は未だ未知の存在群。マケット怪獣の特性も公表されていない中では、彼女からすればマケットゼットンは、「都市或いは同種を文字通り一撃で消し炭に出来る力を有する不気味なルックスの怪生物」、アビドス存続を揺るがす純然たる脅威そのものだ。

 

 そんな彼女にゼットンを味方だと伝えても、その警戒心は解けるどころか寧ろ強化されるだろう。

 …幸いなことにこちらへの害意は感じられない。その銃口をミライに向ける気も予定も今の所は無いようだ。やはり、彼女の警戒対象はグドンとゼットンかもしれない。

 そこで取り敢えずミライはゼットンの件は置いておき、自己紹介に移ることとした。

 

「僕の名前はヒビノ・ミライ。D.U.の方から来た、シャーレの先生だよ。よろしくね」

 

 ミライの身分…“シャーレの先生”という単語を聞いた瞬間、少女の獣耳がピクリと反応した。

 

「………! ん、よろしくミライ先生。私は砂狼(スナオオカミ)シロコ。アビドス高校の二年生。そっか、アヤネの手紙、ちゃんと届いたんだ」

 

 銀髪の少女――シロコが、よかった…と溢し安堵する。手紙の件は彼女も知っているようだ。ならば話は早い。

 ジャケットの内ポケットにしまっていたアヤネの手紙を取り出して彼女に見せる。

 

「うん。今日の朝にこの手紙がシャーレに届いてね、内容を読んですぐに行こうって。ここまでは後ろのLAVで来たんだ。アレに支援物資を載せてる」

 

「ん――助かる。流石はシャーレの先生。物事の判断から実行までとても速い。世の大人たちはミライ先生を見習うべき」

 

 ミライが、アビドスに来たのは今日が初めてなんだ――と付け加えると、シロコは穏やかな笑みを見せる。

 

「それならミライ先生は遭難者じゃなくて、久しぶりのお客様だ。もう随分長いこと訪ねに来てくれる人はいなかったから嬉しいよ。中央市街地の南区にある今の校舎…別館までの道は分かる? ここに長居はしない方が良いと思う。良ければ私が先導するけど」

 

「ありがとう。中央市街地までのルートはわかってたけど、細かい所まではあんまりだったから助かるよ。…僕はLAV(クルマ)があるけど、シロコちゃんは?」

 

「ん、心配は無用。ここまでは自分の自転車(ロードバイク)で来たの。私の脚力なら、車との並走も可能。だからちゃんと先生を案内できる」フンスッ!

 

「そ、そうなんだ…?」

 

 シロコの言っていることは嘘ではないだろう。

 アスリートが操るロードバイクは原付よりも遥かに速い。

 それに、よくシロコの格好を見てみれば、制服の下にサイクルウェアが着込んでいることが分かる。相応の体力と筋力を備えているその道のガチ勢であると考えられた。

 彼女も、基礎スペックで地球人を軽く上回る肉体を授かっているキヴォトス人だ。やろうと思えば本当に出来るのだろう。

 

「あの、シロコちゃんが良ければなんだけど、一緒にLAVに乗って行かないかい? アビドスのこと、シロコちゃん達のこと…聞きたいことが色々あるんだ。………どうかな?」

 

 だがミライは目的地に着くまでに、アビドスのことを可能な限り聞いておきたかったため、シロコと直接の会話を重ねることを望んでいた。

 そのため、彼はシロコにLAVへ乗車するよう勧める。

 すると特段悩むこともなくシロコはその勧めを受け入れ、自身の移動手段であったロードバイクを預けると、さっと軽装甲機動車の助手席に乗り込むのだった。

 

「………ん、そういうことなら厚意に甘えてお邪魔する。アヤネ以外の人が運転する車に乗るのははじめてかも」

「アヤネちゃんは運転免許を持ってるのかい?」

「うん。大特も取ってるらしいし、ヘリだって操縦できる。しかもドローンを動かすのは私とおんなじぐらい上手い。アビドスのメカは大体アヤネが整備してくれてる」

「すごいなぁ」

「ん。自慢の後輩」

 

 LAVが発進してからは、シロコによるアビドス高校の生徒…友人たちの話が始まった。

 シロコ曰く、現在のアビドスには彼女含めてたった五人しか在籍していないのだと言う。

 

 

 

「――ラジオで聴いたけど、ミライ先生は外の世界から来た大人なんだよね?」

「そうだよ。キヴォトスにやって来て、今日で大体一ヶ月ちょっとかな」

「ふーん…連邦生徒会長の推薦でって聞いたけど、どうしてキヴォトスの先生になることを引き受けたの? あ、これはただ純粋な興味」

 

 暫く続いた会話の途中、ふとシロコから投げられた疑問。

 

 その疑問が頭の中で乱反射する。

 

 顎に添えられた手は次第に額に登っていく。

 

「………そういえば、僕はどうして――」

 

―――どうしてこうもあっさり“先生”になった、いや…なれたんだ?

 

 考えてみれば妙である。

 

 ミライはキヴォトスの連邦生徒会オフィスビルでうたた寝している前は、光の国本土・警備隊本部所在の教官執務室で事務仕事をこなしていた。

 自分の意識が無い間に何があったのか…なぜこの事を()()()()()()()()()()()()のだろう?

 

 この宇宙と基幹宇宙(M78スペース)の時間進行速度がどれほどの差があるかは知り得ていないが、今頃、宇宙警備隊ではメビウスを行方不明者として何らかの行動を起こしているに違いない。

 今のメビウスは宇宙警備隊士官学校の教官であり、光の国の英雄…ウルトラ兄弟の一員である。なんの断りも無しに本星から蒸発すれば大騒ぎになる。

 これについては()()がある。以前には、科学技術局のヒカリが失踪した際に同局の有志と宇宙警備隊が大規模な捜索を行なったことがあったため、警備隊が動いている可能性は高い。

 

 ならば何故、救難信号(“ウルトラサイン”)を打ち上げるという手段を()()()()()()()()()()のだろう?

 

 ミライはキヴォトスにやってきてからの己の()()た思考と行動に疑問をぶつける。

 

(わからない……僕は…どうして、どうやって、何故キヴォトスに……)

 

 これは赴任じゃない。遭難、転移だ。

 仮にこれが遭難ではなくとも、本星に『未確認文明惑星にて滞在・活動中』という報告は少なくともせねばなるまい。

 では何故していない?

 

(僕は…誰かと…何かを……駄目だ、思い出せない)

 

 記憶は全く無いが自分がここまでしていたと言うことは、余程のことがあった…のだと思う――が、やはりそれが何であるのかは不明である。

 それに、キヴォトスに来たと認識した時点で所持していた、正常に動作するGUYS装備一式の所有経緯だとか出所も未だに分かっていない。

 

(それに…なんだろう。シロコちゃんとは今日初めて会った筈なのに、この子からは前にも会ったような――懐かしいモノを感じるのは………なんだ、頭が痛い…)

 

 表面化してきた形容し難い()()()の数々。

 しかし、彼の潜考は、この世界の定め――(ことわり)が働いたのか…違和感の究明途中で自然とソレを遮るようにシロコが前方を指差しながら声を上げた。

 

「―――ん。先生、別館が見えてきたよ。アレが、私たちの学び舎(居場所)

 

 いつの間にかミライの操るLAVは中央市街地入りを果たしていた。

 シロコの言葉通り、日本式鉄筋コンクリート製校舎の姿が彼の目にも入ってくる。

 

 

 

 ミライは己に対する考察を切り上げざるを得なかった。

 

 

 

 ―――そして、ミライがそれらから意識を外した時、彼はこの考察に関連する記憶の一切を瞬時に()()してしまった。

 この箱庭にやって来てから()()()()()()()()()()()“処理”が、今回も為された形だった。

 

 

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_________

 

 

 

 このキヴォトスに超古代先史文明との繋がりが断絶した現行文明――連邦制学園都市の基となった大陸共同体が興ってより二千年。

 キヴォトス人類の科学技術はめざましい発展具合を遂げた。…まるで地球人類のそれを後追いするかのように。

 その中の一つである飛行機械分野の開発・研究もまた、外界との少なくない交流などもあって地球人類とほぼ同じ軌跡を辿った。

 

 しかし、現キヴォトスにおいて最先端の飛行機械としての地位にあるジェットエンジン搭載型固定翼機は広範に普及していない。

 これの理由は単純で、以前にも記したが各学園・企業の勢力圏の()は一歩踏み出せば基本的に「他国」に帰属する領域であるためである。

 中小規模の自治区であれば、その()()故に、ジェット機が超音速巡行(スーパークルーズ)をするとたった数十秒ほどで他学園の勢力圏に侵入してしまう。

 逆に広大な領土とそれに伴う領空を有するゲヘナやトリニティ、レッドウィンター、旧帝政アビドスといった大規模学園自治区に関しては、維持コスト…費用対効果などの面から、軍用ジェット機はおろか旅客・貨物ジェットの類いすら保有を断念しているのが実情だ。

 ――といった事情もあり、固定翼機はあっても無人機を除けば有人レシプロ機__百鬼夜行連合では旧大日本帝国陸軍・海軍機の模造品(レプリカ)が現役である__ぐらいで、大半の自治区において航空機というのは、何かと使い勝手の良い回転翼機を指す。

 

 また、こうした事情も踏まえ、ジェット機をはじめとする長大な航続距離を有する兵器に当て嵌まる飛行機械は、学園・企業間で近年締結された各種大陸(国際)軍事条約などによって生産・保有を完全に制限ないし禁止している。

 …これに関する直近の出来事では、独自の解釈を提唱して大陸間弾道ミサイルの製造と配備を画策したカイザーコープ本社が今は無きSRT特殊学園による強制査察を受けた案件が記憶に新しい。

 

 上記の影響を受けない数少ない例外と呼べるのは、自治区間をまたに掛ける活動領域、若しくはそれと比肩する直轄管理領域を抱える都市企業や、大陸付近の公海のほぼ全域を実質的な自治区領海並びに領空とするオデュッセイア海洋高等学校のような、距離と予算の制約を受けない規格外の巨大組織ぐらいである。

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

――――ゴォオオオオオオオオーーーーッッ!!!!

 

 アビドスの空を進むのは、人類(科学)の翼。

 砂漠迷彩塗装が施された軍用航空機の二機編隊(エレメント)

 

『――パゴダ・コントロール、ガイアール・ライダー701。僚機、ライダー702と共に指定空域に現着』

 

 それらは、機首と一体化した大口径機関砲、直線翼、機体後部搭載の双発ターボファンエンジンという異色の組み合わせが特徴的な近接航空支援機(CASA)

 

 外界(地球)の――自由主義陣営(西側諸国)に於いて名実共に最強()()と謳われた対地攻撃機、〈A-10 サンダーボルトⅡ〉である。

 

(空対地誘導弾(マーベリック)30mm機関砲(アヴェンジャー)も効くか分からん化け物どもに()()()()()掛けてこい、とは…基地司令部の爺様方も中々の無理難題を仰る。…今度高級嗜好品を一つ二つ直接要望してもバチは当たらないと思いたい)

 

 声無き呟きは、エレメントの片割れ。

 ガイアール・ライダー702パイロットのものである。

 

『されど観測機の情報にあった二体の未確認特殊生物…暫定識別名“ブラックシェル(ゼットン)”、及び“ビートルホーン(グドン)”のいずれも目視ならびにレーダー上では確認できず。視認できる限りでは、戦闘によって生じたと思しき放棄市街地内での複数箇所での火災及び地面陥没、倒壊した建造物群のみ。特殊生物の肉片や移動痕跡等も見当たらない。…以降の指示を乞う』

 

 主翼と胴体、機首には皇帝の威光を秘めたトライアングル…カイザーグループの傭兵企業“カイザーPMC”の社章と、あらゆる困難を粉砕し勝利を掴み取る“竜騎士(ドラゴンライダー)”の勇ましいエンブレムが煌めいている。

 

 ()()曰く、アビドスの空は「都市大陸で最も自由である」らしい。

 現三大校からの干渉が無く、他学園自治区の航空校則、電波校則等への配慮は不要で、航空情報の提供などもいらない、地政学的・地理的リスクの一切と無縁な空の楽園……それが今のアビドス自治区領空に対する、彼らの評価だった。

 

(………“ブラックシェル”に投げ飛ばされた“ビートルホーン”は、遠目で見たあの馬鹿でかい火球で消滅したらしいが、あんなものを撃ちやがった“ブラックシェル”の姿は見当たらない…あの巨体で何処に行った…? それともまだ潜伏してるのか…冗談じゃない。意識があるまま機体と一緒に身体(ボディ)が融解してお陀仏だなんてのは御免だ)

 

 さて。話を戻すが、詰まるところガイアール・ライダー701及び702は、アビドス砂漠地帯に座するカイザーPMC第113前線基地を拠点とする第13航空団所属機…即ちPMC空軍機であった。

 この周辺空域における哨戒を担当していた同空軍所属の無人攻撃機〈MQ-1 プレデター〉のレーダー、光学並びに熱源観測機器、そして基地の各索敵機器が、無人市街地での複数回に渡る建造物倒壊と爆発、二体の巨大生物の出現を確認したため、最も現地に近い空域を飛んでいた彼らは、これらへの威力偵察を実行するよう基地司令部より指示され本空域にやってきた。

 

 しかし、グドンを打ち倒しただろうゼットン――彼らの言う“ブラックシェル”らしき存在は影も形も無かった。

 

(さて、いたらいたでとっくに撃たれてもおかしくない筈だが…まさか本当に消えたのか……?)

 

 なお、特殊生物発見の第一報を伝えた同無人機はゼットンが放った殲滅光弾の炸裂時に副次的に発生したプラズマが直撃したことにより墜落、損失している。

 

『――ガイアール・ライダー701、こちらパゴダ・コントロール。例の…連邦生徒会(GSC)所属と思われる白の装甲車は上空から確認できるか』

 

 A-10二機が()()へ応えるために放棄市街地の上空を旋回し、地上の様子をあらためて確かめる。

 ライダー702は翼下…地上を風防越しに覗き込んだ。

 

(6分前に基地の地底用ソナーや長距離レーダーが諸々の反応を全部見失ってるんだ。今からどうこうしようと、見つかりっこないさ)

 

 心内で悪態を吐く彼…702と彼の相棒(僚機)たる701の、目視による高高度からの地上索敵は、常人であれば無謀な行ないであるが、彼らの頭部視覚ユニットは拡大・解像精度が良い一級品。苦労することなく()()で地上の状況を細かく見ることができた。

 

『了解、確認する。…ライダー701よりライダー702、そちらはどうだ。何か見えるか?』

 

「ライダー702。いや全く。動くものは一つもない」

 

『だろうな…聞いての通りだ、パゴダ・コントロール。こちらで目視及び熱線映像装置による確認を行なったものの、該当する装甲車両並びに操縦者と思しき人物は確認できず。市街地より移動…退避した可能性が高い。砂風等の影響もあるだろうが、こちらも特殊生物と同様に移動の痕跡は欠片も見当たらない。目標捜索の可否を問う。我々の燃料はまだあるが、如何とするか』

 

『………パゴダ・コントロールよりガイアール・ライダー701、了解した。ロストした特殊生物、連邦所属車両の即時捜索は共に不要。

 前者の捜索任務には早期警戒機(AEW)KJ(空警)-600〉と戦術偵察機〈RF-4E(スカウトファントム)〉を護衛機付きで出し、放棄市街地の地上と周辺空域の安全が確認でき次第、NBC防護装備を与えた空挺部隊を投入する。後者については本社からの指示があるまでは動向を静観とする。

 ガイアール・ライダー701及び702は113基地へ帰投せよ。繰り返す、ガイアール・ライダー701及び702は113基地へ帰投せよ』

 

『ライダー701、了解。これより帰投する。ライダー702、ベース113に戻るぞ』

 

「ライダー702、了解。指示に従う。オーバー」

 

 基地司令部の命に従い、彼らは己が駆る愛機の操縦桿を傾けて基地への帰投コースに入る。

 

――――ゴォオオオオオオオオーーーーッッ!!!!

 

「…何にせよ、これで()()()の筈が無い」

 

 ライダー702の機内での呟きは、誰にも聞かれることなく空に消えていった。

 

 

 

 又、この時点でカイザーPMCアビドス平和維持駐留軍――第113前線基地は、連邦生徒会が十数年越しのアビドス自治区介入に着手したものと判断。「万が一の()()に備える」として、PMCタカマガハラ本社総司令部へその旨を伝達・共有した。

 

『――OGHQ(本社総司令部)より伝達。BB(理事)が動く。BBは自治区間鉄道にてFB-113(第113前線基地)へ直接()()される予定。FB-113は路線警備等、BB受入態勢を万全にされたし』

『FB-113了解。路線共同管理者(ハイランダー)へ路線情報を確認し次第、BB受入対応に移る』

『…なお本案件とは別に、旧アビドス領内における先の特殊生物事案の専門調査部隊としてEB-66(第66実験基地)よりNBCM-IGr(特殊武器対応グループ)の派遣が決定された。詳細は追って連絡する。以上』

 

 

 

______________

____________

_________

 

 

 

アビドス中央市街地 南区

 アビドス高等学校本校舎市内別館(暫定本校舎)

  同館校庭・陸上競技グラウンド

 

 

 

 四半世紀ほど前からアビドス自治区全土を苦しめ続けている未曾有の天災、巨大砂嵐(ダストストーム)

 稀に複数の竜巻(トルネード)を伴って発生するそれは過去に数回、自治区首都圏(中央市街地)を直撃した。

 超常的規模の砂嵐が醸した主な被害は、アビドス経済圏の中心地域…この中央市街地の北及び東区の埋没・砂漠化と、同二区にあったアビドス高校本校舎と生徒会関連拠点、その他多数の官民重要施設の機能喪失。

 それによって自治区最大のオアシス地帯に築かれた首都圏と文字通りの最重要生命線(ライフライン)であった地下水源は壊滅的打撃を受けることとなり、アビドス全土で収拾不可能な混乱が発生した。

 

 これが、アビドス自治政府(生徒会)崩壊の最たる原因である。

 

 …自治区の人々は、この終わりの見えない災害の連鎖を、古来より細々と伝えられてきた土着信仰と結びつけ「我々が限りある清水と深緑(シンリョク)を弄んだことで、アビドスの神が炎山(エンザン)の如く激昂し下した、天界(テンカイ)からの神罰」なのだと恐れ慄いたと言う。

 

「先生。物資の運び出し、私も手伝うよ」

「ありがとうシロコちゃん。それなら…校内に運びたいものとかあれば教えてくれるかな?」

「ん、弾薬、医療品、食料、その他の順で持っていきたい」

「了解。じゃあそうしようか」

 

 このように、アビドスにおける政府中枢施設の役割を担っていた本校舎が砂の底に沈んでからというもの、アビドス生徒会は活動拠点を砂漠化の影響を受けていない地域の生徒会傘下施設や市街地内の分校等に移転を繰り返した。

 そしてここ…ミライとシロコの目の前にある施設が、内部抗争により解散したアビドス生徒会の後継と半ば化した、アビドス代理(臨時)政府たる“アビドス廃校対策委員会”に残された最後の拠点――南区本校舎別館である。

 

「私たちはこの校舎の二階を本拠地にしてる。…この時間ならいつもの部屋に皆んないるはずだから、このまま先生のことを紹介する。こっちだよ」

 

 そう言ってシロコはLAVから大きめの弾薬箱を一箱引っ張り出して校舎内…正面(生徒)玄関へと入って行く。

 ミライも一度に持てるだけの救援物資を背負って彼女の後ろについていく。

 

 玄関を潜れば、学年・学級毎に分かれて下駄箱(シューズボックス)が置かれた日本式の学校昇降口がミライを迎えた。

 

「よいしょ…っと」

「……シロコちゃん? あの…内履きに履き替えたりしなくていいの?」

「うん。ウチは屋内土足OKだよ。こっちの方が何かと()()()()()し」

「都合?」

「ん…あんまり気にしなくて良い」

 

 本人が気にするなと言っているなら、そこまでこちらも気にしなくていいのかもしれない。

 そのように思いながらミライも彼女に倣ってそのまま校内に上がった。

 足を踏み入れた校舎一階の通路は電灯が点っておらず、光源は屋内消火栓のランプと外から差し込む太陽光のみと薄暗い。

 

「先生、こっちこっち」

 

 廊下の壁にはセロハンで留められた手作りの張り紙――『計画停電実施中』やら『節電にご協力を』と書かれた古いポスターがいくつか目に入る。記載されている作成日はどれも十数年前だった。

 省エネ関係の掲載物が至る所に見えるのは、巨大砂嵐による降砂の影響で稼働可能な発電施設が数を減らしていったからに違いない。

 

「校舎の中は綺麗だね」

「毎週一回はみんなで全館清掃やってるから。それでも気を抜くとすぐに砂が色んなとこから入ってくる。砂が憎い」

「二階を拠点にしてるのも?」

「うん。それ()ある。あとは時々天井から“砂漏り”もあるけど、そっちはもうしょうがない」

 

 ………先ほどからシロコの言葉の節々に妙な含みが見え隠れしているのは気のせいだろうか、とミライは首を傾げる。

 なお、この含みがどのような意味を持っているのかを彼が知るのはそう遠くない。

 

 階段を上がり、校舎二階へ。

 二階は廊下の照明が付いており、一階とは違って人の気配…生活感が漂っていた。

 

「―――ん、先生、ここが私たちが普段使ってる部屋だよ」

「ここがシロコちゃん達の教室…」

「昔は事務室だったらしいけどね」

 

 シロコの前にある横開きの扉。それの窓ガラスには『対策室』と手書きで書かれたガムテープが貼られていた。

 彼女は空いた片腕で戸を開け放つ。

 

―――ガラガラッ!

 

「ん、私は帰ってきた」

 

 弾薬箱を抱えながら威風堂々、胸を張って入室(凱旋)するシロコ。

 心なしかその仏頂面には幾分かの喜色が混じっていた。

 

「こ、こんにちは〜…」

 

 それに遅れる形でミライも入室。

 対策室には、シロコを除きアビドスの制服を着た三人の少女達がいた。しかしながら様子が変である。全員、ミライを見るや否や固まったのだ。

 

 何か自分に問題が……?

 

「うわっ!? し、シロコ先輩、その後ろの人誰なの!?」

 

 ミライが何とも言えない雰囲気に耐えかねて何か口にしようとした時、猫耳黒髪ツインテールの少女がこちらを指差しながらパイプ椅子から立ち上がった。

 

「シロコちゃんが大人を拉致してきました〜!」

 

 続いて、椅子に座ったままのベージュ髪のおっとりとした少女が歓声を上げた。

 内容に関してはちょっと認識に齟齬があると言えるが、説明する間もなく、今度はホワイトボードの前に立っていた赤縁メガネの黒髪少女がヒステリックに叫んだ。

 

「拉致!? えっ、シロコ先輩、ほんとに前に言ってたプランを実行に移してしまわれたんですか!?」

 

 …大変賑やか(パニック)である。

 何故か混乱状態に陥っている面々に平静を取り戻させようとしているのは、やはり混乱している“ツン”の気漂う猫耳黒髪ツインテール少女。

 

「みみみみみ皆んな、お、おおお落ち着いて!こういう時こそ冷静に! スゥーーーーッ……バレなきゃ犯罪にならないから、まずは簀巻きにして何処か鍵の掛かるとこに――」

 

 しかし駄目だった。クソデカ深呼吸の後にお出しされたのは、状況の確認ではなく推定拉致被害者の隠蔽工作(存在抹消)であった。

 

――「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」、とはよく言ったものだが、目撃者(被害者)の目の前で堂々とする話ではない。というより対応策が斜め上すぎることにまずツッコミを入れるべきか。

 

「………いや、普通にお客さんだよ。死んではいないし意識もある。ウチの学校に用があるんだって」

 

 加速し始めた誤解をそろそろ解こうとシロコが口を開いた。

 

「へ…無理やり連れてきたわけではないのですか?」

「拉致された人、じゃなくてお客さん?」

「まあ、お客様でしたか! とっても久々ですね、嬉しいです〜♣︎」

 

 各々が状況を飲み込み始めると、混乱はすぐに収まっていった。

 シロコからもたらされた情報を整理するのは、先ほどシロコを「先輩」付けで呼んだ暫定一年生…赤縁メガネのエルフ耳少女。

 

「たしかに、久しぶりと言えば久しぶりですが…来館の予定ってありましたっけ…? 応対カレンダーには登録が無かった筈なんですけど…」

 

 予定に無いミライの訪問に首を傾げる彼女。

 

「名乗りがまだだったね。僕は連邦捜査部の顧問…シャーレの先生をやってるヒビノ・ミライだよ、よろしくね皆んな」

 

「「「!!」」」

 

 ミライの自己紹介、正確に言うなれば“シャーレ”という単語を耳にして、アビドスの一同は電流が走ったかのような驚きの反応を示した。

 

「え、ええっ!? まさか、本当ですか!?」

「今連邦捜査部(シャーレ)の先生って言った!?」

「わあ〜⭐︎ 支援要請が受理されたのですね! 良かったですね、アヤネちゃん!」

「は、はい!これでようやく…弾薬や補給品の援助を受けられます」

 

 潤ませた目元をハンカチで拭う眼鏡っ娘改め、アヤネ。

 彼女がベージュ髪の少女によしよしと頭を撫でられているところを見て、ミライは両者の先輩後輩の立ち位置がなんとなく分かった気がした。

 

「あ、ホシノ先輩にも知らせないと。……ええっと、ホシノ先輩はどちらに?」

 

 事前にシロコとの会話で現在のアビドスには最高学年生が一名在籍していることは把握している。

 二年生のシロコが先輩と仰ぎ、三年生は一人しかいないとなれば、その一名こそ今ちょうど名前の出たホシノだろう。

 

()()()ならこの時間は隣の部屋で寝てるはずだよ。私、起こしてくる」

 

 どうやらホシノは…いやこの場にいる彼女達は皆、何らかの委員会(グループ)に属しているようだ。

 

 ()()委員会だろう――

 

 

 

――――バババババッ!!

 

 

 

 そんなことを考えていた時、突然校舎の外から連続した破裂音が轟いた。

 

「発砲…!伏せて!!」

 

 咄嗟に反射でミライは周囲の少女達を巻き込んで床に伏せさせた。

 銃声だ。聞き覚えがある。

 

「いたたた……な、なに!?銃声ぽかったけど!」

「襲撃、ですね…!」

 

―――タタタタタッ!!

 

(襲撃…アヤネちゃんの手紙にあった武装集団か?)

 

 …入手・扱いの容易さと、一丁あたりの製造費が非常に安価で大量生産が可能なことから、地球団結への反対勢力…過激な環境保護団体、敵性存在迎合思想のカルト教団といった不穏分子(テロリスト)が揃って愛用した、東側諸国(ワルシャワ)の代表的自動小銃…AKシリーズのそれだった。

 

「人様の土地で景気良くぶっ放してんじゃないわよ!…もうアッタマきた、ホシノ先輩叩き起こしてくる!返り討ちよ、返り討ちにしてやるんだから!!」

「お願いします、セリカちゃん。気をつけて!」

 

 激昂の叫びと共に真っ先に立ち上がった猫耳ツインテ少女…セリカは、部屋の隅にある掃除用具入れの横に置かれたガンラックから自身の愛銃を掴み、ミライとシロコが持ってきた弾薬箱から5.56mm弾のマガジンを数本拝借して対策室から飛び出した。

 

「さて、私たちも急いで支度しないとですね♣︎ お相手は()()()()()()でしょうか?」

 

 それに続き、ベージュ髪のおっとり少女…ノノミは組み立て式木造机の下部スペースから、本来であれば人力では持ち上げれない重火器…“M134”系多銃身機銃(MMG)をひょいっと取り出していた。

 また、話からして、襲撃相手の凡その見当はついているようだった。シロコも愛銃のマガジンの残弾数を確認しながら同意見だと頷く。

 

「ん…多分、()()()()だ。アヤネ、外の状況分かる?」

「申し訳ないです。節電のための計画停電が仇になりました…! 現在、各監視機器の強制再起動を実施中です。その間にクアッドドローンを上げて偵察を行ないます!」

「分かった。先に一階に降りとく。ノノミ、行こう。先生は―――」

 

 

「―――待って。僕も協力する。いや、させてほしい。君たちの力になりたいんだ」

 

 ここにいて…そうシロコが言う前にミライは遮った。

 彼がアビドスに来たのは彼女達に対するあらゆる長期支援活動である。襲撃事案への対応もまた、活動の一つだと考えていた。

 それか、指を咥えて事態の推移を見ていることを拒否した、という方が正しいのかもしれない。

 

「あ、あの…ミライ先生は外界人であるとお聞きしています。戦闘で負傷してしまえば、最悪の場合…」

「ん、アヤネの言う通り。アビドスに来てくれた先生を初日で怪我させたなんてことになったら夢見が悪い」

「校舎には頑強な建材が使われているので、ここにいるのが一番安全です。ヒビノ先生、どうか無茶は」

 

「ゴメン。任せっきりは、苦手な性分でね」

 

「先生…!」

 

 シロコの咎めに申し訳なさそうな顔をしつつも、そこだけは譲らない。

 ホルスターからトライガーショットを抜き、チェンバーを回転させて動作確認をしてみせる。

 

「―――アヤネちゃん、ホシノ先輩連れてきた! 私も迎え撃ちに行くわ……って、なんでまだシロコ先輩もノノミ先輩もいるの!?」

 

「えっと、実は先生が…」

 

 そこに桃髪の三年生(先輩)を連れてセリカが戻ってきた。迎撃準備が進んでいないことに驚く彼女に、アヤネが事情を説明しようとする。

 

 セリカにガッチリ手を掴まれて連れてこられた先輩――ホシノは寝起き故か、見てて不安になるほどフラフラとしていた。

 

「むにゃ……なに〜?何処の誰の何がどういう状況だって〜? おじさん、優雅なお昼寝タイム中だったんだけどぉ?」

 

 くしくしと瞼を擦りながら尋ねるホシノ。その眠たげな瞼が僅かに開かれ、その奥の瞳がミライを捉えた。

 

「で……そこにいるお兄さんは、どちら様なのかな?」

 

 纏っている柔和な雰囲気と声色とは真逆の、こちらを推し量るような…それでいて懐疑、不審の情緒が混ざった子供に非ざる冷徹な視線。

 

(……! 何をどうしたら…そんな…)

 

 ミライは思わず息を呑んでしまう。この齢の子が、斯様な目をするのかと。

 

「ホシノ先輩、襲撃勢力の詳細が判明しました。やはり、“カタカタヘルメット団”でした。兵力は二個小隊規模、装備は軽装で火砲の類いは携行していないようです。正門方向からばらけず真っ直ぐ校舎に接近中」

 

 何も知らぬアヤネはホシノの横に立つと、持っていた多用途タブレットを半ば押し付けるように見せ、要点を絞り現状を報告する。

 その液晶画面は、別館校舎周辺の防犯システムのリアルタイム映像やサーモ画像、短距離レーダーや対地ソナーの索敵結果で埋まっていた。

 

「――そしてこちらはシャーレのミライ先生です。先生のおかげで、各種物資の補給が叶いました」

 

 アヤネからミライに対する補足を受けると、先ほどまでホシノから静かに醸されていた“圧”は、すべて消えたわけではないが限りなくゼロになった。

 

「うへえ…お兄さん、先生だったんだ。よろしくねぇ」

 

 信用を獲得できた、或いは単に矛先が変わった…のではなく、彼女の中での()()()()というヤツが更新されたのだろう。

 まずは眼前にいる余所者(ミライ)への問い詰めよりも、害意を露わにして攻めてきつつある武装集団への対応が先というわけである。

 

「ふあぁ…まったくヘルメット団めぇ、おじさんから安眠を奪うだなんて許さんぞ〜」

 

 あくびをひとつ挟んで、のほほんとした声色でカタカタヘルメット団への怒りを表明するホシノ。しかし、ガンラックから掴み上げた散弾銃(SG)に12ゲージ弾を慣れた手つきで次々装填していく様は、歴戦の兵士を思わせる滑らかで素早いものであった。

 

―――ジャコン!

 

「――さあ、いつも通りみんなで力を合わせて、チンピラ集団をやっつけよ〜」

 

 これから戦闘だと思えぬ緊張感の無い間延びした号令で、今度こそ武装集団への迎撃準備が始まった。

 

 

 





 あと
 がき

 皆様、わっぴ〜!(気さくな挨拶)
 好きな帰マン怪獣は“台風怪獣(バリケーン)”の投稿者(逃げるレッド)です。

 はい、今回は怪獣バトル回と原作ストーリー第1話まわりの話でした。
 ゼットン鬼強えッ!!この調子でシャーレに逆らう奴らは全員丸焦げにしてこうぜっ!!(アホの子)
 

 
 ※毎度お馴染みピックアップ解説コーナー
 (独自設定独自解釈共にもりもり)

◯マケット怪獣 ゼットン
 かつて平成期のCREW GUYS JAPAN基地――“フェニックスネスト”にて行われた仮想空間での戦闘実験中に暴走したプロトマケットゼットンを祖とする、制式量産マケット怪獣。
 
 プロトマケットゼットン暴走の原因が、情報容器(カプセル)の物理的破損による致命的な構成データの汚染であると原因を特定した未来地球では、運用上の安全性を確保出来得ると判断され、GUYS内外からの懐疑的・批判的な声を何とか抑えて各国支部及び宇宙圏(スペーシー)の各衛星基地にロールアウトした。
 元敵性怪獣の制式マケットカプセル化は、多分トリピー補佐官たちが胃に穴あけながら被災者団体や同じ防衛畑の方への説得を超頑張ったと思う。

 なお、もしも今回のグドン戦の戦闘条件に制限なんて無ければ、開幕から牽制レベルの殲滅(ゼットン)光弾を連射しまくってそもそも近づけさせず、勢いでそのまま高出力(※小都市丸々一つ消し飛ばし抉り取る威力)の光弾を対地砲撃して一分以内に終了――なんてことも出来た。
 けれども防衛怪獣の一員なのでそんなことは出来るとしてもしないのだ。
 ……キミやっぱ味方側の火力担当じゃないよ。

◯ウルトラサイン
 M78星雲人――ウルトラ族が多用している、性質的には信号弾などに近い一方通行型の__ 並行世界であっても一瞬で届く__超長距離疎通手段。
 光粒子で構成された電子メールのようなもので、()()(空間座標や受取人など)を設定して発信する。また、宛先を指定せずに不特定多数及びあらゆる場所への発信が出来る。
 
 主に報告や命令、救難信号等に使われる。生成時は光弾状に圧縮されており、その状態で発射(送信)される。
 受信側に到達すると同時に圧縮処置が解除され、本文を周辺空間に展開・投影する。サインを形成する光粒子のエネルギーが放出されきると本文が自然消滅する。

 ウルトラ族の難解な言語記号と特殊なスペクトルを有する光粒子を用いるため、 基本的にはM78星雲人しか閲読できず意味も理解できない。
 なおM78スペースの出自でないウルトラマンたちも()()()()は可能であるらしい。

◯カイザーPMC 特殊武器対応グループ(NBCM-IGr)
 日本国陸上自衛隊陸上総隊の“中央特殊武器防護隊”の役割と指揮系統の造りがまんま同じ、第66実験基地なる秘密拠点に駐屯しているPMC本社総司令部直属の()()部隊の一つ。
 外の世界からの未知なる感染症やNBC兵器の持ち込み事案が発生した際の切り札として設立された特殊武器取り扱い専門の部隊。
 陸自防護隊との相違点は、「特殊」の範疇に‘M(神秘)’が組み込まれていること、そして()()()()()使()()()でもあること、である。

◯ヘルメット団
 キヴォトス各地に点在する、スケバン軍団と双璧を成す武装不良集団。名称の通り、構成員はもれなくヘルメットを着用している。
 派閥や分家のようなグループが多々あり、その集団毎に譲れない信条や個性、ヘルメット愛があるらしい。
 規模や活動は様々で、コソ泥がせいぜいの数人グループから、オートマタ・ドローンのみならず機動兵器や装軌車両まで揃えている傭兵部隊のような集団もある。



 ミライ先生、何か大事な記憶を封じられてやしないか…? なんなんでしょうね。投稿者にも全く分かりません(すっとぼけ)
 さあ、ここからどんどん色んなキャラを動かさないといけなくなるので頑張りますわよ。

 本作のお気に入り登録者、700人を突破致しました。
 ヘッヘッヘッ…コノ ニジソウサクショウセツヲ ミツケテクレテ ウルトラカンシャダ、ハヤタタイイン。コレカラモ、ヨロシクタノム。ヘッヘッヘッ…
 
 その他…しおり、ここすき、評価、感想、誤字報告、いつもありがとうございます。
 引き続き、メビウスアーカイブをよろしくお願い致します。
 
 
 
_______
 
 次回
 予告

 カタカタヘルメット団のアビドス別館襲撃。

「ひゃははは! 攻撃、攻撃、攻撃せよ!ヤツらは物資が枯渇している!攻め落とすならば今日だ!!」
 
 迎撃に出る対策委員会メンバー、と半分自ら襲撃イベントへ巻き込まれに行ったミライ。

「これより自衛戦闘に移る。正当防衛射撃、開始!」
「――おっ、中々良い腕してるねミライ先生。うんうん、おじさんも負けてられないなぁ」

『―――弾薬投下。受け取ってください!』
「ん、ナイスタイミング」
「制圧射撃、いっきまーす♣︎」
「うへ、パパッと距離詰めちゃうね〜。カバーよろしくぅ」
「ちょっ!ホシノ先輩、早いってば!」

 数の面で不利な彼彼女らは別館を守り抜けるのか。

 

 次回、メビウスアーカイブ
 【砂没の学び舎攻防戦】
 
 お楽しみに。
 
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