最終回です。
夜。磁気嵐による鎖国状態を続ける日本の首都、ネオサイタマに相も変らぬ夜が訪れた。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……!」
夜の闇を走る影。ストリートを縫い、ビルとビルの合間さえ飛び越え、チーターの全力疾走に比肩するほどの速度で走る。
その姿はまるで色のついた風。彼が―――彼のニンジャソウルが与えられた権能は、常人の三倍にも匹敵する脚力だった。
彼の名はブラックブレード。半神的存在ともいえるニンジャソウルを身に宿した彼は、
今、ブザマに追われている。
「ハアーッ……ハアーッ……」
さしものニンジャといえど、全速力で走り続ければ体力の消耗は避けられない。足の動きが瞬時に止まり、人気のない路地裏に彼は立ち止った。
震える手で無菌笹タッパを取り出し、中のバッテラ・スシを口に放り込む。栄養が体に行き渡るまでの数秒間、彼は考えを巡らせていた。
彼を巡る状況はもとより良いわけではなかった。組織は絶えず弾圧され、地下に潜伏すれば
終わりなき潜伏に飽いて決起を選ぶ者と時を待ち続ける者たちが争い続けていた。その間にも同じ理想を持っていた同志たちは次々と死に絶え、屍さえ晒すことなくサンズ・リバーの橋を渡っていくのだ。
「イヤーッ!」
冷や水を浴びせかけるようなシャウトがブラックブレードの思考を打ち切る。上空から、漢字マグライトの眩しい光がブラックブレードを照射していた。
「アイサツも済んでいないのに逃げるとは、シツレイにあたるのでは?」
電子マイコ音声めいて感情の磨り減った声が響く。ブラックブレードは空を見上げた。
BOOOZZZZ……青い噴流が低く呻る音。透き通るような水色のニンジャ装束を翅のように羽ばたかせながら、そのニンジャは天使めいて月を背に浮遊していた。
「ドーモ、ブラックブレード=サン。ラスターチカです」
「ドーモ、ラスターチカ=サン、ブラックブレードですグワーッ!」
二人がアイサツを交わした静寂は一瞬で終わる。ブラックブレードがオジギを終えた瞬間にラスターチカのトビゲリが決まっていた。鳩尾に一撃を受け、ブラックブレードは苦悶の声をあげながら飛び退く。
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
続けざまにジェット・ツキ。と、ブラックブレードは無事に済んだ脚部に力をこめ渾身のハイ・ジャンプ。三〇〇メートル級スゴイタカイ・ビルを軽々と飛び越し、地上からたちまち遠ざかっていく。
「イヤーッ!」
同時に腰部から六本の煙幕を投射。閉所に催涙成分を含んだ煙が広がっていき、ブラックブレードの姿はたちまち闇に消えた。
その隙に彼はどこまでも駆けていく。腐ってもニンジャ。たとえ数秒でも時間があれば逃げ延びれる算段だ。これまでもそうやって追手を撒くか殺してきた。この煙幕にはチャフも混入してあるのだ。
「煙幕。実際効果的な策だ……」
ブラックブレードは振り向いた。声が聞こえたことよりも
「私以外には」
ゾッとするような囁きが、背後にぴったりと張り付いていた。
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
ラスターチカの右フック!
「イヤーッ!」
ブラックブレードの顔面にジェット推力を乗せた拳!
「グワーッ!」
特殊金属製メンポが粉々に砕ける! ラスターチカは襟首をつかみ更に殴打!
「イヤーッ!」
膝蹴りがストマックに突き刺さる!
「グワーッ!」
背中のジェットが唸る! 空中で一回転!
「イヤーッ!」
ブラックブレードの頭部に振り下ろされる踵!
「グワーッ!」
頭蓋骨損傷! ブラックブレードはついにダウンした。
ラスターチカは彼の頭巾を引きずり、顔を上げさせる。
「ウグ……」
「お前たちの行動は筒抜けだ、ブラックブレード=サン。はぐれニンジャ風情が今更お家争いか?」
「ラスターチカ=サン、お前はなぜアマクダリに与する? 我々を殺してまで……」
「ラオモト=サンを支えるため、それ以外はない」
「お前まで」ブラックブレードの声は弱弱しくも憤怒にあふれていた。「お前までもが、アガメムノンの走狗になり果てたか。お前も、坊ちゃん共々傀儡に成り下がる気か……ネヴァーモアのようにグワーッ!」
ラスターチカの手がマンリキのようにブラックブレードの首を締め上げる。
「邪悪な発言は控えるように。この会話は録音している……若の御前と思え。仲間の数は?」
「グワーッバカめ、仲間などグワーッ!」
「お前のワザマエは先ほど把握できた。はっきり言ってクズのサンシタだ」ブラックブレードの指を一本ずつつまみ、折ってゆく。「それがIRCを探ってみると、小型ツェッペリンに高濃度ZBR三ダースの購入履歴。はぐれニンジャのクズができる買い物じゃない」
「ウ……グワ……」
「大体、お前ひとりで態々アマクダリに乗り込めると本気で思っていたのか? イディオットらしい誇大妄想ともいえるが」
「グワーッ!」
右手の指を全て折られたブラックブレードの歯をラスターチカが折り取る。断面から赤黒い三倍濃縮ZBRカプセルが零れ落ちた。それを握りつぶしながら、
「ブラックブレード=サン。今吐くなら、まだいくらでも回復の余地がある。もしまだ口を割らないなら、」懐からLAN端子を取り出し、「お前の自我に直接聞くことになる。構わないな?」
「クッ……どうとでもするがいい、首輪付きの猟犬め。俺とてソウカイヤの……」
画面が突如一時停止し、早送りされる。巨大スクリーンはブラックブレードが絶えず痙攣している映像に切り替わった。
「アバババババッ! アバーッ! 自我がーッ!」
四面コンクリート・タタミの狭い一室に叫び声が響く。目まぐるしく動く目玉はトマトのように充血していた。
「ブラックブレード=サン、君の仲間の数と名前は? 私に教えてくれ」
ラスターチカの声。
「アバッ総勢約二十名、執行代理がバックラッシュ=サンでアババッ」
「して、どのように襲撃を?」
「アバッ……先ず小型ツェッペリンをもって若のおわす地点に特攻、続きバックラッシュ=サンと共に若を奪取し、可能な場合はアガメムノンも殺す……」
ブラックブレードの痙攣が止んだ。過度のニューロン刺激により自我が拡散し、変容し始めている───自我障害の初期症状だ。
「決行、は、アー……」
「止めろ」
映像が止まる。ジゴクめいたトーチャリングの一部始終を見ていたのは、デスクに座る少年とその背後に立つ眉目秀麗な男。
「思い上がったクズめ」
少年───ラオモト・チバが眉間に皺を寄せ、葉巻をくゆらせる。磁器人形のような美貌に酷薄な表情が滲んだ。
「このクズどもの居場所は吐かせたか」
「ガミオダと」黒いスーツに身を包んだラスターチカが答える。「そう答えました」
「そうか。すぐ殺しておけ」
チバは視線をホロ株価チャートに映しながら、吐き捨てた。
「ヨロコンデー」
「若は殺せと仰せだ。して、君ならバックラッシュ以下二十名のニンジャをどう殺す?」
言いながら、ラスターチカはサカイ・ウイスキーを一本取り出した。琥珀色の液体がグラスに輝いていく。
「ウウム……」苦々しげに応じたのは、麻色のニンジャ装束を纏うスモトリめいた大男だった。黒い髪を後ろに撫でつけながら、その顔貌は西洋人のように彫り深く整っている。
「いかなワザマエといえど二十人だ。とてもじゃないが」グラスにウイスキーを注がれながら彼は続ける。「スパルタカス=サンのような実力者なら、あるいは」
「無理だな」ラスターチカが返す。「スパルタカス=サンは12人の一人。かような些事では動かない。……
「それなら幾分かある。だが……」スフバートルの眉間に寄った皺は未だ取れない。「彼らは君の元同僚だろう。無理することはない」
「……若が殺せと命じられた。だから殺す。そこに迷いなどない」
言って、ラスターチカは古めかしいジュークボックスのスイッチを入れた。音数の少ないドライなテクノサウンドが部屋に流れる。
「良い音だろう。暗い都市部……最近アルバムが出た」
「……ヒトの餌は情報のスシ/懊悩する賢者/紫外線の教義……」ボコーダーで隠された言葉少ななボーカルが警句するように囁く。淡々と、モンクめいて。
「……不信心だな。アンタイセイな曲だ」
咎めるようにスフバートルは呟いた。
「良い音楽は良い。どう受け取るかは聴き手の自由さ」ラスターチカは歌詞カードを眺めながら、
「こういうのは涼しい。ゼン・ストーム並に……」
「ちょっとやめないか」とうとうスフバートルは片手を上げた。「聞かれるぞ」
「悪かった」ラスターチカも引き下がった。「無駄話もここまでにしよう。勝ち筋を教えてくれ」
「ウム……相手はソウカイヤ崩壊後三年にわたって潜伏。結束は固いはずだ……しかし今は違う」
「なぜ?」
「経験則だ。長く連れ添った仲間を失ったとき、誰であれヘイキンテキを失うもの」スフバートルはグラスを傾けながら、厳粛に言った。「今こそが好機だ。強襲し分断すれば、あとは烏合の衆だ」
「アンブッシュか」
「君の得意分野だな、ラスターチカ」
「期待してくれるな」ラスターチカもウイスキーをあおる。「カラテは苦手だ……それよりも」
スフバートルにゆっくりと歩み寄って、太い首筋を撫でながら、
「私は専ら、こういうものの方が」
「……仕事中だ」
「君は真面目だな」そう囁く声はすでに艶やかさを帯びていて、ほのかに甘く香っていた。しなやかな手がスフバートルの背中に絡みつく。二人は静かに、顔を近づけた。
誰もいないストリートに酸性雨が打たれている。四角い居住区はアドバンスド・ショーギの盤めいて等間隔に並べられ、もはやゼンめいたワビサビをさえ漂わせている。カブキチョの無軌道な騒々しさもニチョームの奇妙な温かみもここには無い。ただ薄暗く、非人間的なほど静かな市街地が広がるばかり。それが、ガミオダ・ストリートの全容だった。
……ストリートを歩く影が一人。重金属酸性雨に耐性を持った独特のコートを羽織り、鋼鉄のマスクが口元を覆い隠している……ニンジャである。
彼は突如立ち止り、ストリート脇の電話ボックスじみた小屋へ入る。そこには地下へと続く階段があった。錆びついた看板が「MONTH駐車」とかつての用途を主張している。
その階段をゆっくりと下り、やがて彼は巨大な扉に向き合った。「厳重な注意」。
そして、六回ノックする。ガラガラと重い鉄が引きずられる音をたてながら、その扉は開いた。
「ドーモ」
開いた先にいた門番のような男が頭を下げる。バイオタケヤリを携えたこの男も、やはりニンジャのようだった。
「ドーモ」
コートを着た男もまた頭を下げた。門番が話しかける。ガタン! その瞬間音を立てて背後の扉が閉じた。高度なオートロック機能である。
「バックラッシュ=サン、噂のことは」
「ああ」コートの男───バックラッシュは無念そうに首を振った。「これを拾った」
彼はポケットをまさぐり、七色に光る鉄くずを取り出す。
「それは……!」
門番は目を見開いた。
「ブラックブレードのメンポだろう。バラバラだ」
「ということは……恐らく」
「もう手遅れだ」
「なんと……」門番もまた、首を振る。「実際、決行の日は近いというのに」
「それだ」バックラッシュはコートを脱いだ。「この時期に襲われたとは……嗅ぎつけられたかもしれぬ」
「何!」
「相談だ。まずは集団意志」
門番に先導されながら螺旋階段をさらに降りる。集会場へ向かうのだ。
「ドーモ、同志たちよ」
「おお、バックラッシュ=サン!」
一人がバックラッシュに気づくと、皆が先を争うようにオジギする。バックラッシュもオジギを返した。
「ネオソウカイ・シンジケート」。錆びたフェンスには、そんなノボリが掲げられていた。
「……そうか、ブラックブレードが……」
痩躯のニンジャが項垂れる。その他のニンジャも大抵似た反応を見せていた。
「いかがする、パイクマン=サン」
「もはや時は来た。我々はむしろ遅すぎたのだ」
「いや、現状を立て直す時では?」反駁したのはスケアクロウだった。彼はバイオタケウマを足に移植した支援ニンジャであり、その堅実さで知られる。「ブラックブレード=サンを失ったのは痛い」
「臆病者だな」
誰かが茶々を入れるように反論した。メギンギョルズだ。
「確かな情報に基づいた堅実な判断だ」
「それが臆病だってンだよ、スケアクロウ=サン」
「なんだと」スケアクロウの声は少しかすれていた。「我々は少数。万全のフーリンカザンを整えなければ無駄死にだぞ!」
「おれたちはもう三年待ってんだぜ」それから一言、嘲りを付け加えた。「バカな奴め」
「バカハドッチダー!」
バックラッシュの喝が周囲を静寂させた。彼が組織の長に上り詰めたのは、決して人望のためばかりではない。
「我々は未だ総勢二十名。依然勝機はある、されど団結失くして勝利なし。メギンギョルズ=サンは礼節を改めよ」
「へいへい」
メギンギョルズは目も合わせず、オジギもしなかった。
「ブラックブレード=サンの死をもって、退路は断たれたといっていい。これはもはや天啓といっていい。我々についに時が来たのだ!」
沈黙の質が期待へと変わる。何年だろうか、永遠に思われた彼らの雌伏は今ようやく実を結ぶのだ。
「バックラッシュ=サン……!」
KA-BoooooM!
爆音! 破片が吹き飛び突如エントリー!
「サンシタたちの寄り合いはここだな?」
「貴様、何奴!?」
「ドーモ、旧きご友人。ラスターチカです」
「ドーモ、ラスターチカ=サン。バックラッシュです」
バックラッシュが一歩進み出てアイサツを交わす。と、静謐を怒鳴り声が破った。
「ラスターチカ=サン! 何故ここが!」
「私のジツをご存知か」ラスターチカは真顔のまま、首に手を当てた。「ネズミどもがどこに隠れようと、このレーダー・ジツが見つけ出す。白昼堂々出歩くのは感心しないがね、バックラッシュ=サン」
「ネズミだと! 名無しの歯車めが───」
「待て!」激情に駆られて叫ぶスケアクロウを制したのはバックラッシュだった。「何の用だ。今更ドゲザしに来たわけでもあるまい」
「大将は多少学があるらしい。私の用はこれだ」言いながら、彼はカラテを構えた。「ローニンずれに明日など見させぬ。それが我らの天下」
「すっかりアマクダリの走狗というわけか」バックラッシュもまたカラテを構える。実直かつ実践的なアイキドーの構え。「決めたぞ。若への土産はアガメムノンと貴様の首だ」
「適切な返答ではないな」ジェット噴流がノズルの奥で静かに燃えだした。一触即発の危険な空気が、満ちる───
「…………何?」
ラスターチカの顔が不審に歪んだ。刹那、彼のジェットが轟音を噴き上げる。同時に数個の何かが床に落下!
「伏せろ! フラッシュボムだ!」
バックラッシュのニンジャ動体視力はそれが何であるか瞬時に判別した!
「グワーッ!?」目を閉じるのが遅かったガニメデが悲鳴を上げる! 他のニンジャは瞬時に閃光防御!
耳に突き刺さる爆発音が止んだ時、バックラッシュは目を開けた。螺旋階段の辺りには、もう誰もいなかった。
「……! 冷やかしか!?」
「攻撃中止だと。なぜ……!」
高空を飛ぶラスターチカの声は若干震えていた。突如突き付けられた理不尽に対する当惑と怒りが、久方ぶりに彼の心を焼いている。
「モシモシ、スフバートルだ……私も理解しかねる」
アマクダリのIRC無線チャットは常に本部から監視されているゆえ、二人とも個人端末での通信に切り替えていた。これは全くプライベートな会話だ。聞かれれば今後に支障をきたす。
「アクシス本部じきじきにお達しが来た」スフバートルも、怒りは無いにせよ思うところは同じだった。「指令を下したのはおそらく、いや全く分かりかねるが……」
───アガメムノン、だろう。
「……ワカラナイ! 話が違うぞ───うッ!?」
ZZZAAAAHHHHH!!! 突然の激しい雑音! 思わず片目を閉じ、耳を抑える。くだらない混線トラブルまで心をかき回し、苛つかせる。今すぐ空に叫びだしたい気分だった。
だが雑音に交じって聞こえてきたものは決してトラブルではなかった。誰かが、通信に割って入った。
「すべては計画通りということです。実際、君達が知る必要はない」
二人は絶句する。息をのむ音だけが、わずかな電子的ノイズとなって伝わった。「アガメムノン……!?」
「この件については以上です。今後ともよろしくお願いします」
「な……」
雑音はあっという間に止んでいた。
「……一杯食わされた、か」
スフバートルが呆気にとられたように呟いた。ラスターチカの応答は聞こえなかった。
ズンズンポポーウ、ズズンズンポーウ……街頭の防水スピーカーから今日もあふれる猥雑なテクノポップ。「おなしやす」「オイランバーガー」とミンチョ体でプリントされたネオン看板が誘惑的に点滅する。ネオサイタマのごくありふれた光景。
上空には当然のように巨大マグロ・ツェッペリンが浮遊し、広告ライトを照らしながら宣伝文句を連呼する。
その中に一隻だけ、不審な小型ツェッペリンが航行していた───船体は黒く塗りつぶされ、サーチライトも広告音声も装備していない。マグロのようにただ真っすぐと高速に空を突っ切り続ける。
「……うむ」
船内では複数人のニンジャがハチマキを締め、この日のために用意したオーガニック・トロマグロスシを食す。「身勝手」のショドー。その中にはバックラッシュもいた。
「諸君!」
張りのある声が決意にみなぎる。
「長き沈黙を経て我々はついに決起のチャンスを得た! 必ずや襲撃を完遂し、アガメムノンの傀儡に堕した若を救うのだ!」
「「「ワオオオーーッ!」」」
ニンジャは───端の方でスシを食い続けるメギンギョルズを除いて───一斉にカチドキの声を上げる。彼らもまた、今日救われる者たちだった。
「イヤーッ!」
瞬間、殺気を宿したシャウトが響き渡る! ブーム!
「グワーッ!?」
運悪く後方にいたスケアクロウが全身に衝撃波を受け悶絶! 両足のバイオタケウマがバリバリと断裂!
「事に及んで襲撃とは、イディオットのやりそうなことだ」無感情な罵倒が船内に響き渡る。「ドーモ。ラスターチカです……それから」
「ドッソイオラーッ!」
ラスターチカの後方から大男が跳躍し突撃!倒れこんだスケアクロウを踏みつける!
「アバーッ! サヨナラ!」
スケアクロウは臓物を嘔吐し爆発四散! 続いて大男がオジギの姿勢をとる。
「
「フン」バックラッシュは犠牲者も意に介さず首にZBRを打ち込んだ。「ご無沙汰だなラスターチカ=サン。アマクダリの歯車に成り下がるとは、貴様のような若輩にはお似合いよな」
「私は若に従う忠実な駒。もう邪魔は入らない」ラスターチカの瞳は今や氷のように冷たかった。「若の望みゆえ、貴様らを殺す」
「何……」バックラッシュの額に汗がにじむ。「……いや。貴様、言うに事欠いて嘘八百とは」
「イヤーッ!」
ラスターチカのジェットノズルから轟音! バックラッシュに高速トビゲリをかける!
「イヤーッ!」
バックラッシュのカウンターパンチが足を捉えた! 周囲に満ちるカラテ!
「イヤーッ!」
静止したラスターチカ目掛けパイクマンがタケヤリを投擲!
「ドッソイ!」
すぐさまスフバートルが飛び掛かりヤリを粉砕! そのまま二十人のニンジャにヨコヅナめいた決定的圧力で立ちふさがった!
「……私はモンゴルの生まれでね。ここに来てから十年になる。ゆえに君たちの事情は知らない……」
二メートルはあるであろうスフバートルの全身筋肉が隆起していく。来ている装束からも装甲めいた筋肉が覗いた。
「……遠慮なく、殺せる」
その眼光はさながら飢えたグリズリーのように、残虐性を光らせていた。
「ドッソイオラーッ!」
スフバートルが猛然と進撃! パイクマンらとバックラッシュは鉄の壁めいて隔たれてしまった。
「ヌウーッ! コロセーッ!」
激情に駆られたパイクマンが叫ぶ! 二十人の一斉突撃!
「スフバートルはそいつらを頼む。私は……」ラスターチカも空中でカラテを構え直し、「大将をイポン獲りといこう」
「たわごとを! イヤーッ!」
バックラッシュが仕掛けた! 殺人的速度の左フックだ!
「イヤーッ!」
ラスターチカはジェット推力で後退、空中に回し蹴りを食らわせる! ブーム!
「イヤーッ!」
衝撃波! 鋼鉄さえもバラバラに刻む衝撃波がバックラッシュを切り裂かんと迫る!
「グワーッ!」
命中! しかし浅い! バックラッシュはそのまま跳躍! 今度はラスターチカに接近する!
「イヤーッ!」
彼は知っている。ソニックカラテは至近距離のカラテに対応できない! 接近戦に持ち込めばいかな使い手とて、恐れるに足らず!
「イヤーッ!」
ラスターチカはさらに後方へ跳躍!
「逃亡か! 逃がさんぞ!」
「……上だ、スフバートル」
「イヤーッ! ……?」
正面からバックラッシュが全速で迫る! 恐るべき速さ! 油断ならぬ砲丸めいたタックルだ! にもかかわらずラスターチカは何を言っているのか!?
「後ろにも回り込まれている。弱輩のようだが注意せよ」
「ドッソイ!」
「アバーッ!」
遠くからスフバートルのカラテ・シャウトが響く。彼の真後ろからバイオタケヤリを手に迫るパイクマンが裏拳を受け、顔面を砕かれた。
「貴様、寝言か!」
「寝言ではない……イヤーッ!」
ラスターチカは避けることなくカラテを構え───神速のジェット・ツキを繰り出した!
「グワーッ!?」
苦悶の声をあげたのはバックラッシュだ! 正確無比なツキの一撃がキドニーに直撃し、ラスターチカの目前で静止!
「私のレーダー・ジツはサポートに最も向いている。貴様とのカラテはただの片手間だ」生体LAN端子に嵌め込まれたIRCトランスミッターを確かめながら、彼は言い切った。
「グ……何だと……!」
バックラッシュの顔がみるみる赤黒くなる。プライドを傷つけられた男は目を見開いた。
「貴様が私に劣るだけのこと。いつの時代も、カラテを極めた者が上を行く……フーッ」呼吸を少し荒くしながら、彼はもう一度構え直した。「正面から来るなら来るが良い。貴様の死因くらいは変えられるかもな」
「グッ……ラオモト=サン、バンザイ! イヤーッ!」
負けじとバックラッシュも上段にショートフック!
「イヤーッ!」
ラスターチカは両掌を正確に運び、その打撃を受け流す!
「イヤーッ! イヤーッ!」
さらに打撃! 当たらない!
「イヤーッ! イヤーッ!」
さらに打撃! 当たらない!
「イヤーッ! イヤーッ!」
さらに打撃! 当たらない!
「イヤーッ! イヤーッ!」
さらに打撃! なんとオリガミのごとく精緻なカラテ応酬か! ……だが、マシンガンめいて高速で続けられる打撃に掌はかすかに、少しづつずれていく!
「イヤーッ! イヤーッ!」
「…………!」
ラスターチカの足が徐々に後ずさっていく。このままではジリー・プアー(徐々に不利)!
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
ついにラスターチカの顔面へストレート! 強烈な一撃に思わずよろめき、防御が崩れる!
「カラテの差が出たようだな! イヤーッ!」
「グワーッ!」
追撃の左フック! ラスターチカは膝をつきダウン!
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! ハハハハハ!」
「グワーッ!」
ナムサン! マウント動作からなんと容赦なきラッシュ! バックラッシュは勝利を確信!
「どうした、ハイクの準備かラスターチカ=サン!」
勝ち誇ったような笑い声が聞こえてくる。ラスターチカは息を吐いた。諦めてなどいない。コトダマ空間の中で無数の光点が躍動する。最も近くにいる光点がバックラッシュ、遠くでひときわ輝く眩い光点がスフバートル。眩い光点の周りに纏わる小さな光が、今この瞬間にも消滅している───これが、レーダー・ジツを活性化させた彼の視界だった。
「フーッ……」
一秒が何千時間ともさえ思えるニンジャアドレナリン時間の中でラスターチカはヘイキンテキを保つ。光点が一つ一つ小さく、弱くなり、そして感じ取れなくなっていく。反対にバックラッシュの光点だけが強くなり、やがて人体の形を成すほど細かく認識される。
未知の超自然的な波動をもって、ニンジャソウルを探知するジツ。その波は微弱ゆえ常人にさえも危害すること能わず、ニンジャ相手ならばいざ知らず。
ならば、もし
彼は目を開けた。
スローモーションの視界が、早送りしたように加速していく───
「終わりだ! イヤーッ!」
「ヒサツ・ワザ! イイイヤアーッ!」
両者のシャウトは同時だった。それからセイケン・ヅキめいて、拳を相手に突き出すのも。
だが、
「アババババババーッ!?」
両者のダメージは必ずしも均等とは言えなかった。
「ハーッ……私のジツを、見くびったな」
鼻血をぬぐいながらラスターチカは立ち上がった。未だ完成途上のワザ。
「レーダーの原理は電子レンジと同じ電磁波だ。さすがに爆発四散させるほどではないが……」向き直り、「貴様のニューロンを煮るくらいなら、容易い」
「アバーッ! アババババーッ! 若ーッ!」
苦しみもがくバックラッシュが、虚空に手を伸ばそうとして崩れ落ちた。
「イヤーッ!」
「アバーッ!」
ラスターチカの右手が霞む。カタナのごとく鋭いチョップが、バックラッシュの頸椎を叩き割った。
「サヨナラ!」
しめやかに、爆発四散。
「……サヨナラ」
ラスターチカは静かにザンシンを終えた。首筋に手を置き……うなじに彫られた小さなクロスカタナの紋を、古傷のように撫でながら。
「……」
装甲窓から外を覗き見る。目標と思われる料亭「オトノサマ」まであと20km。このままではツェッペリンがオトノサマへ特攻し、中にいる者らに危険が及ぶだろう。なんとしても若のお手を煩わせることがあってはならない。
「スフバートル。状況はどうだ」
「……イレギュラーだ」スフバートルの声は彼にしては意外なほど、焦りに満ちていた。「何だ……敵に紛れて、謎のニンジャが」
「謎の? 今向かう、すぐに───」
「サ・ヨ・ナ・ラ!」
「な……!?」
くぐもった断末魔と爆発音───イクサが始まってから初めて、ラスターチカはスフバートルの方を振り向いた。
すでにその巨体の姿は無く、ボロボロのニンジャ装束だけがそこに転がっている。敵ニンジャも一人として───いや、ただ一人立つものがいた。その装束は血のように赤く、または墨のようにどす黒く映る。メンポには禍々しくも明快な字体で刻まれし、「忍」「殺」。
おお、そこにいたのは紛れもないイレギュラー。
招かれざる者。
「……ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ラスターチカです……」
「ドーモ、ラスターチカ=サン。ニンジャスレイヤーです」
己に渦巻く全ての感情を押し殺し、ラスターチカはアイサツした。
「なぜお前がここに。私のジツでは……」言いかけて、ラスターチカは己の弱さを恥じた。バックラッシュを迅速に殺すため使ったあの手が一瞬の死角を作り、スフバートルを見えなくしたのだ。過失を認めなければならなかった。
「状況判断だ」ニンジャスレイヤーは言い切った。この男は恐れも驕りもなく、ただ目の前のニンジャへと殺意を向けていた。
「お前は二度ならず三度も、私から奪うのか。ソニックブーム=サンも、ラオモト=サンも、スフバートルも」
口が乾く。ニューロンに浮かぶスフバートルの顔が、ノイズのような怒りと苦しみに置き換わる。
スフバートル。あれほど共にいたのに、死に顔も見れなかった。
「そうだ。そしてオヌシの番が来た。安心して後を追うがいい」赤黒のニンジャが、途方もない誇大妄想の死神気取りが、カラテを構えた。「ニンジャ殺すべし」
「ザッケンナコラーッ!」
ラスターチカの右手が霞む! ブーム! 同時にジェット噴射で急上昇!
「イヤーッ!」
ニンジャスレイヤーは衝撃波をブリッジ回避! そのままバク転しつつスリケン投擲!
「イヤーッ!」
ラスターチカはスリケンをクナイ・ダートで打ち返しながら上昇! ツェッペリン気嚢室のドアをこじ開け、「イヤーッ!」 ブーム!
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
CRAAASH! ツェッペリンの大きな気嚢が衝撃波によって破られていく! 高度急低下! 速度急上昇!
「落落落落下の危険ドスエドスエドスエ」
KAboooM!あまりに急激なステータス変化に耐えきれずUNIXも爆散!
「イヤーッ!」
ニンジャスレイヤーはツェッペリンの異常に気付き決断的跳躍! 雨降るネオサイタマの夜空に出る! その手からはドウグ社製フックロープ! その鉤爪が伸びる先は……赤黒のセスナ機!
「イヤーッ!」
着地! 負けじとラスターチカもジェットをうならせる!
「三年前からずっとお前を殺したかった」ラスターチカはセスナ機のプロペラを蹴り、ニンジャスレイヤーにワン・インチ距離まで接近!「私を殺し損ねたこと、後悔してもらうぞ」
「どうであれ変わらぬ」ニンジャスレイヤーも臆せずジュー・ジツの構え!「後悔などする前に、今オヌシを殺す」
「ザケッコラー! イヤーッ!」
ラスターチカの右足が振り子めいたサマーソルトキック! ニンジャスレイヤーは下段から刈る足を両腕で受ける!
「イヤーッ!」
ドウグ社製ブレーサーに衝撃! されどニンジャスレイヤーは怯まない!
「イヤーッ!」
すかさず静止した足を掴みイポン投げの体勢! 両腕のニンジャ筋肉がラスターチカの身体を地に叩きつけんと力強く拘束する! ラスターチカは寸前で手をついて抵抗!
「かかったり……! イヤーッ!」
瞬間、彼の背面が燃え上がった!
「グワーッ!」
殺人的推力に今度はニンジャスレイヤーの足が機を離れた! そのまま宙を一回転! 機上へ叩きつけられたのはニンジャスレイヤーだ!
「イヤーッ!」
足の拘束が緩んだ一瞬のうちにラスターチカはクナイ・ダートを投げながら三連バク宙を決め空へ! 空中で構えたのは……ソニック・カラテだ!
「このイクサ、フーリンカザンは常に私へ利している。お前はこのままソニックブームに嬲られ死ぬのだ! イヤーッ!」
ダウンから立ち直ったニンジャスレイヤーを衝撃波が襲う! すかさずブリッジ回避!
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
だがラスターチカは両の拳を振るい容赦なく衝撃波を量産していく……それも、常に自らの位置を変え続けながら!
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
「ヌウーッ……」
ナムサン、これは長い消耗戦の予兆か……紙一重の回避を続けるニンジャスレイヤーのニューロンに嫌な予感が走る。彼とて永遠にイクサを繰り広げられるわけではない……!
「イヤーッ!」
ニンジャスレイヤーが仕掛けた! 拳を打ち出そうとするラスターチカの眼前へ決断的跳躍!
「何ッ!? イヤーッ!」
ラスターチカの反応が遅れた! ニンジャスレイヤーは絶えず動き続けるラスターチカが拳を振るう時生じる僅かな隙をついたのだ!
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
ニンジャスレイヤーの拳を衝撃波が襲い、裂いていく。同時にラスターチカの拳も血に染まる! ワン・インチ距離で拡散した衝撃波は使い手をも傷つけるのだ!
ソニックカラテ不可能距離! ラスターチカとニンジャスレイヤーは空中で同時に構え直した。
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」
血の滴る拳でニンジャスレイヤーが右フック! 寸前で回避しながらラスターチカのカウンターパンチ! 流派もジツも無用のカラテ勝負が始まった!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
ラスターチカとニンジャスレイヤーの間に死の世界が広がる! 何たるタツジン同士が行き着くカラテ・シークエンスか! もし両者の間にバイオツバメが置かれたならば、瞬きほどの間に羽毛一つ残さないネギトロと化すであろう!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
そして……「イヤーッ!」「グワーッ!」
天高く放たれたラスターチカのハイキックがニンジャスレイヤーのキドニーを捉えた! ニンジャスレイヤーは飛び退くがしかし、
「イヤーッ!」「グワーッ!」
ラスターチカも痛みに呻く! ニンジャスレイヤーの縄めいて浮き上がった筋肉から放たれるスリケンが右腕を貫通!
「ハァーッ……狂人め。貴様の手は何人の無辜なる者を殺めた?」
ラスターチカが息を切らしながら口を開く。二人はカラテ警戒を緩めないまま相対している。両者のダメージは互角。だがニンジャスレイヤーは流麗なるジュー・ジツの構えを崩さない。
「オヌシらが犠牲者ぶるなど笑わせる」ニンジャスレイヤーの目は赤く燃えるように輝いていた。「私が貫いたその右腕は何人の罪無きモータルを殺めたのだ」
「モータル? モータルだと」ラスターチカの胸に誰かが去来する。遠い昔のことが、微かに。「詭弁だな。虫けらの話をした覚えはないぞ」
「オヌシを殺すのはその虫けらたちの怒りだ」 ニンジャスレイヤーは見るものを射るがごとくに眼光を走らせる。「ハイクを詠め」
「怒り。怒りか」ラスターチカは静かに呟いた。「今ちょうど、そういう気分だ」胸中ににじむ余計なノイズを、赤黒い憎悪が塗りつぶしていく。「イヤーッ!」クナイ・ダート三連投擲!
「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはそのすべてを迎撃しつつ、「イイヤアーッ!」カラテ奥義ツヨイ・スリケン!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ゴウランガ! 機関銃めいた連続スリケン掃射!
「イヤーッ!」そのわずかな間隙を縫って急加速!「いつまでも逃げられると思うな! イヤーッ!」変わらずソニックカラテの構え!
「イヤーッ!」しかし衝撃波をニンジャスレイヤーは危なげなく回避! わずかにワン・インチ距離を縫って回避していく! 右腕なきラスターチカのソニックカラテは威力も速度も減じているのだ!
「イヤーッ!」今度はニンジャスレイヤーが跳躍! 弾丸めいて飛ぶその拳が───
「グワーッ!」
ラスターチカの両目に指が突き刺さるのと、ニンジャスレイヤーの胸元にカウンターキックが叩きつけられるのが同時だった。
「くッ……!」
ラスターチカは左手で顔を覆い、ジェットを噴出させ逃走! 血が首筋を伝ってニンジャ装束を染める! 眼球に重篤なダメージ!
「イヤーッ……!」ニンジャスレイヤーはさらに追撃! しかし胸からは容赦なく鮮血が噴出!
「イヤーッ!」さらなるチョップ・ツキをラスターチカの右手が遮る! そのまま左フック!
「イヤーッ!」
「グワーッ!」無傷の左拳がニンジャスレイヤーのメンポを砕く……正確無比に!
「イヤーッ!」
右拳が音よりも速くニンジャスレイヤーの胸を殴打! ブーム!
「グワーッ!」
赤黒いニンジャ装束が裂かれ血が噴き出る! 衝撃波が至近距離から全てを切り裂いていく!
「グッ……イヤーッ!」
ラスターチカも衝撃波を受け右腕を損壊! だが止まらない!
「グワーッ!」
「グワーッ……!」
ニンジャスレイヤーの血が硫酸めいて燃え上がりラスターチカを焼灼! 肉体を苛む衝撃波と不浄の炎! まともに動かなくなった右手で首筋を掴む!
「死ねッ……!ニンジャスレイヤー=サン!死ねい!」
血を吐きながらラスターチカが左手を振り上げる! その狙いは脳天!
「ヒサツ・ワザ! イヤーッ!」
「グググ……イヤーッ!」
ニンジャスレイヤーもセイケン・ヅキ! クロスカウンターの恰好! だが……!
「グワーッ……!!」
ニンジャスレイヤーの拳が刹那ほど速く、ラスターチカを追い抜いていた。
ラスターチカの身体がぼろ布のようにはらりと崩れ落ち、何を思う間もなく機上から墜落していく。レーダー・ジツで捉えていた光点すらも見えなくなって、