何時ぶりだろうか、こうして学校に登校するのは。
勉学にあまり良い思い出はないが、家に居るのが億劫で部活や友達がいる学校は良い逃げ所だっだ。
……もう少しだけ、子供時代に戻っても誰も咎めないだろうか……
札に『アビドス廃校対策委員会』と紙で張り付けられているのを確認し、私はガラリと戸を開ける。
「おはようございます」
「おはようございます。ホムラ先輩」
「ん、おはよう」
「遅かったわね」
「おはようございます〜ホムラ先輩♪」
挨拶をすると、4人の少女達が待ちかねた様子で挨拶を返した。
「ふぅ〜……おじさんは寝るねぇ……」
私の後ろから装備を脱いだホシノさんがフラフラとパイプ椅子に座り込み、長机に突っ伏した。
フッとヘイローが消え、スゥ……と寝息を立てるホシノさん。
手馴れた様にブランケットを持ってきた……えっと……誰だっけ……まぁ、ゆるふわ系の子が掛けてあげていた。
私も空いている席に座り、そっと書き連ねたメモ帳を開く。
あぁ、ノノミさんだったか……。
シロコさんにセリカさん、あとアヤネさんだったね。
書いててよかった……
「ん、遠いシャーレからちゃんと来れてよかった」
「あはは……流石に人の手を借りなければ私は遭難してたでしょうね……」
砂嵐に巻き込まれていたらと思うと少しゾッとする……。
「そういえば、ホムラ先輩はシャーレでどう過ごして居るのですか? モモトークでは美味しそうな物のばかりなので気になって……」
「あー……なんて言ったらいいんでしょうか……」
突然アヤネさんから聞かれ、返答に困る。
確かに今まで上げてきた写真は基本的に
自作の食べ物や、スイーツなどだった。
う〜ん……何をして過ごしているか……
少し振り返るか……
朝起きて、見たことも無かったソシャゲのログボを消化しつつ、朝食の準備。
昼までクラシックを聴きながら掃除やアイロンがけしつつ昼食の下処理……たまに先生の書類の校閲。
夕方になれば、先生が目を逸らしているその日中の書類を処理し、コンビニで帰るものを買って夕食。シャワーを浴びて髪乾かして……自由時間はソファに寝転んで眠くなるまでゲーム……
それの繰り返しだ。
ある意味主婦みたいな生活をしている。
なんというべきか……
「オレは……家事かな? ゲームしてばっかだけど……」
それを言った途端、何故か皆こっちを見てくる。
え……なにこれ?
不思議に送られる視線に困惑しつつ、今紫色の髪を後ろで括る。
髪の括りも慣れたが……そろそろ切るかなぁ。
「ん、ホムラ先輩はどういう家事をしてる?」
「先輩ってそんな……まぁ、布団干したりとか……私は特別な事をしていませんが……」
「そうなんだ……」
表情は分かりずらいが少し腑に落ちない様な、違和感のある様な顔をしてシロコさんは頷いた。
なんなんだ……。
こんな事を話してる間にチャイムは鳴る。
そういえば授業はあるのだろうかと考えていると突然黒いネコミミのセリカさんが立ち上がった。
「もうこんな時間……先輩、私バイト行って来きます!」
「あ……気をつけて下さいね」
在り来りな言葉を紡ぎ、お金を稼に行く溌剌なセリカさんを見送った。
その間に何処からかシロコさんが、テレビを引っ張り出してきた。
デッキにブルーレイディスクを読み込ませると、スーツを着たロボが映った。
字幕と共にカクツキなく動くロボはホワイトボードで初級戦術①と書き込み何やら解説している様。
ただミュートされ、何も聞こえない。
これを付けたシロコさんも、平然とスマホを触っていた。
「……なんなんですか? これ……」
「これは授業用の映像ですね」
「ん、コレでみんな授業の出席は大丈夫」
そんなオンライン授業の裏ワザみたいな……
「えっと……先生は……」
「教師はこの学校には居ません。正確には仕事として学校側が雇うことは出来ないんです」
「経営すら出来ないから借金を返してるんですよね〜」
……それなら部の名前に合点が行く。廃校ギリギリというか廃校してるこの学校をなんとかしようと奮闘しているんだ。
「その……借金とやらは……」
「9億……」
「きゅ、9億……!?」
「……ありました。カイザーグループが利息を上げにあげた結果です」
またカイザー。どうやら大きな会社? らしい。
治安維持をしているものだと思っていたか、金に汚い会社の様だ。
「先生のおかげで今は利息かなり減って好転してきてますから〜」
「ん、ハイランダーとも協力出来た」
「そうですね、債権として売られたお陰で借金は返せる範囲まで減りましたから」
ハイランダー……ふむ。これは……明らかに山が終わってそうだ。
いわゆる最終回を終えた後日談。本当にオレはぽっと出で、物語はもうおわっているんだ。
私のやる事はなんだ……そもそも何かやるべきなのか……。
「先輩……? ホムラ先輩!」
なんだかモヤが掛かる。音が籠る。
息苦しい。誰かがワタシを呼ぶ。
「先生を呼んで、早く!」
うわ……鼻血が出た……。
全てがゆっくりに見える。
あぁ、もうそんな時間なのか……。
「大丈夫だ……問題無い……」
皆パニックだ……落ち着かせる為にゆっくりと喋る。
「屋上で休む……暫く来るな……」
目のピントが合ってくる。
鮮明に音が聞こえるようになってくる。
色んな所からの音が雑音として処理されず直に突き刺さる。
立ち上がってゆっくりと教室を出て、鋭敏な感覚で屋上まで駆けて行く。
1歩踏み出す度に着地、皮膚を撫でる風や服。そのどれもが、オレの脳を揺さぶっては情報として処理される。
屋上にたどり着き……そのまま倒れ込みたい欲を抑えて、外開きの扉に背をかけ床に座り込む。
タバコを1本取り出し、ライターで火を灯し吸っては吐く。
「ふぅ……はぁ……」
息苦しさや、頭痛が徐々に徐々に治まってゆく。タバコを咥え、火はつけたまま膝を抱えて空を眺める。
「今日はやけに早い……パニックにならなかっただけマシだな……」
漂う紫煙は砂と共に吹かれ、風に乗って空に消えた。
電話が鳴る。
大抵こういう時は誰が掛けてきたのか見当が着くものだろう。
宛先など見ず、電話に出る。
「……先生?」
『"あぁ、良かった……ホムラ大丈夫?"』
ほら、やはり先生だ。
「あぁ、問題無い。思ったよりも切れが早かっただけだ……屋上に逃げてきた」
『"そっか……鼻血まで出したって聞いたからさ、無理してない?"』
「大丈夫だ、先生。もう止まったし、ちょっと一服すれば治まる」
こんなタバコ吸ってる姿なんて生徒達には悪影響だからな……。
『"あんまり無理しないでね……もし辛かったら迎えに行くからね?"』
「大丈夫だって、自分の管理は自分で何とかするさ。じゃ、切るよ」
ブツリと通話を切る。
灰をポケット灰皿に落とし、透き通った青い空を眺めながら燻るタバコを再び吸った。
銃何使うか決めてねぇや……
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AR
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SR
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HG
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SMG!
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MG
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SG!
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GL
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MT
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RG
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RL
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FT
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お前 近接でいいんじゃない?
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何も持たなくて良いよ……
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グレネェード!