さて、皆が持ち帰る物を見繕っている合間に此方でも何か探しておくか……。
「お金になりそうと言えば……このプリンターモドキかな……」
二畳程ある真っ黒な外装。出力される物には材料の一貫性が無い。
プラスチック、金属、ガラス、革やレアマテリアルまで。現代では生成できないであろう精度の良さ。
外装を叩くと、薄い金属板の跳ね揺れる感触と空洞感が伝わる。
「良く調べてなかったか……」
……しかし深く調べたいとも思えない。本当は好奇心が擽られ開けてみたいのだが、身体が拒否している。拒絶し続けている。
手を突っ込みたくない。
蓋を開け中を覗くだけでも気持ち悪い。
そこから出てきた普通な家具・家電。外見も機能もごく一般的な物だ。
何処から出てくるのか、駆動音も無いのは明らかにヤベぇ代物ではある。
「写真撮っとこ……」
スマホを出してとりあえず外観だけでも情報を残しておく。
先生に見せるのもありだが……まぁいっか。
もうちょっと良いの探しておこう……。
◇◇◇
バダバタと空気を叩き切る喧しい音。
宙に留まろうとするヘリのブレードローターの破裂音から耳を守ってくれるヘッドセット。
ヘッドセットと言うからには勿論マイクもあり、それを通して昼行灯の先輩の声が聞こえた。
それに答えるしっかりとした新しい先輩の声も。
「ふぃ〜……今日はいっぱい汗かいたねぇ……色々取れたし、良かった良かった」
「……申し訳ございませんでした……もう少し採算が取れると思っていたのですが……」
「あはは〜まぁ弾だけでも回収出来たし全然大丈夫だよ~」
「少しだけでも皆様の役立つものが手に入ったのなら本望です」
雑に着こなす制服や高身長、つり目に精悍な顔立ち。それとは裏腹に、丁寧で恭しい言葉遣い。
記憶がないとは言っていたが、そう見えない程落ち着いていて大人びている。けれど一人称が揺らぐのは記憶喪失の証拠と言えなくもない。
「あ〜そうそう、いい物見つけたよぉ〜? これ」
先輩が出したのは探索で見つけた少し変わった形の銃だ。
「ちょっと埃被ってたけど、カヨコちゃん達も武装して無いのは危ないって言ってたし……同じショットガンだから使い方も教えてあげるよ~」
「えぇ、そんな……」
「ん、先輩も強くなるべき」
「その流れで銀行強盗とか誘っちゃ駄目だよ~?」
「……わかった」
「銀行強盗……?」
「1回しかして無いからねぇ〜?」
「1回も……」
話がややこしくなってきた。
先輩方にアビドスに着く事を報告しつつ、その話を打ち切った。
◇◇◇
学校に戻ると時間はもう放課後らしい。
ホシノさんに銃の扱い方を叩き込まれた。
常に弾が入っていると想定することや、
銃口の管理、標的狙うまではトリガーを指に掛けるな、などなど……。
「けどマガジンチューブが4つも繋がったショットガンなんて、初めて見たよ~」
それだけこの銃がマニアックというか珍しいんだろうなぁ……
「銃の操作も問題は無いけど実射はまた明日にしよっか」
「明日に……わかりました」
真っ黒なベースに赤いラインの入った銃を撫でる。
とうとう所持してしまった。
向こうの常識は通用しないと言う事を朝思い知った。
……この世界の事をもう少し知らなければ行けないな。
そんな事を考えているとスマホが震えた。
「失礼します」
ホシノさんに断りを入れ、銃を置き、携帯を見た。
着信は先生からのようだ。
"迎えのヘリは出しておいたよ、焦らずゆっくり帰って来てね。"
どうやら先生自身は忙しいらしく来ないそうだ。
引く手数多とも聞いていたし、私がシャーレから出た後も色々仕事があったのだろう。
「誰から?」
「先生からでした。迎えが来るようなので荷物を纏めてきます」
「ん、そっか。みんなもう帰っちゃったし、私が見送るよ~」
……一人称おじさんだけじゃ無いんだ……いや、流石にこの見た目でおじさんだけなのも違うか。
「ありがとうございます」
「また明日もちゃんと登校してね〜?」
「はい、勿論」
白いヘリが頭上を飛んで行く。
校庭に出れば既に着陸していて俺を待っていた。
ホシノさんと一緒に20箱もある荷物を載せて、ヘリは空へと飛び立つ。
「ではまた明日、ホシノさん」
「うん、またね~」
また明日なんて言うのはいつ以来だろうか。……いや、そもそもそんな機会は今まで無かったかな。
扉を閉め、ヘッドセットやベルトを付けて着席する。
窓越しに手を振る彼女に礼をしてヘリは飛びたった。
エンジンの振動が揺りかごの様で……久々に外へ出た私はいつの間にか意識を落とした。
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「着きましたよ!」
ゆさゆさとヘリパイロットの女の子に肩を揺られる。
「んぁ……あぁ……ありがとうございます」
目を擦りながら伸びをし、体を鳴らす。
「お疲れ様です、お気を付けて!」
「……お疲れ様です……」
「では!」とハキハキとした態度で敬礼をしてどこかへ行ってしまった。
「……やりますかぁ……」
台車にコンテナを4つ程積んでカラカラと押して行く。
20個分のコンテナを行きつ戻りつで倉庫に入れていく。
最後のコンテナを運んでいる時、先生が声を掛けてきた。
"ホムラ、お疲れ様……何してるの?"
「あぁ、先生。なんかハードディスクみたいなやつ、必要だろう? 持って帰ってきたんだ」
"ん?"
私がコンテナを開けると中身を見て先生は目を輝かせた。
"こんなに? 良いの?"
「私は頼ってばっかだからな。これくらいは助けさせておくれ」
"ありがとうホムラ!"
「ふっふっふっ……これだけじゃないよ……なんと20箱もあるからね……!」
"えぇ?! 本当? こんなにいっぱい?!"
「あぁ、このコンテナいっぱいに詰めてきたぞ」
大喜びの先生と共に倉庫にコンテナをしまう。
これだけ喜んでくれるなら持って帰ってきた甲斐があった。
私自身は才もなければ特殊能力的な物もない。
役立たず也に役立つ物をこうやって渡すしかないだろう。
せんせいは オーパーツ 20個ずつ 手に入れた (全レアリティ・全オーパーツ)
銃何使うか決めてねぇや……
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AR
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SR
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HG
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SMG!
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MG
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SG!
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GL
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MT
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RG
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RL
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FT
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お前 近接でいいんじゃない?
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何も持たなくて良いよ……
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グレネェード!