ミリしらアーカイブ   作:こまごめピペット

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ゼルナの伝説〜逆行の種火〜

 なんやかんやで終わった体力測定。

 

「パンパカパーン! ホムラのステータスが分かりました!」

「はい! なんとですね……ホムラさんの運動能力は平均的ですね!」

「全体的に低いけど……反射神経だけはずば抜けているようだね」

「脳波も取ってみたけどなかなか面白い結果だったよ。脳と体の反応速度にかなりギャップがあるみたい。射撃訓練とかが顕著だったね」

 

 そういうのって割と個人情報なんじゃ……と思いつつコピー機で出された用紙を受け取ろうとした。

 

「あれ?」

 

 手を伸ばし掴もうとした紙がとれなかった。

 耳鳴りがする。

 視界が狭まり暗い。

 

「大丈夫? 顔色が悪いよ」

 

 ボヤけた誰かの心配そうな声がした。

 

 あれ? 誰だっけ……そうだノートに……。

 ずっと胸に忍び込ませていたメモを開いたが顔と名前が一致しない。

 

 白い紙にパタリと赤黒い液体が落ち、じわりと滲んだ。

 コレは……血か……? 

 

 "ホムラ……! ち、ちょっと外に……! "

 

 誰かに手を引っ張られた。

 力無くメモが落下し、見れなくなってしまった。

 

「あれ? せんせい? なんか……」

 

 首が締まる様な窮屈さと共に息が出来なくなる。

 

 くらく、ねむたくなってくる。

 

 

 あつい。

 

 

 あつい。

 

 

 あつい。

 

 

 熱い。

 

 

 熱い。

 

 

 熱い。

 

 

「あっつ?! ……あれ?」

 

 

 熱から逃げる様に身体を起こせば、見覚えのある砂漠のクレーター。

 周りには甘めの重たい線香の様な香りが立つ木が燃えていた。

 首には何も無く、焦がす様な体の火照りと僅かな倦怠感だけが残っていた。

 

 

「あれ……? 先生? えっと……アリスさん? みんなどこだ……?」

 

 返事は無く、風だけが砂を運び静かに舞った。

 

 

「オレ……何でここに居るんだ……?」

 

 砂まみれの髪と制服をはたき落とし、よっこらせと立ち上がる。

 最初に目覚めた時、オレは確かにここに居たが……。

 

 

「とりあえずこの穴から抜け出して先生に連絡しなきゃな……」

 

 崩れる砂の丘を登り、クレーターから出たところで携帯を探すが……

 

 

「あれ? 落としたか?」

 

 急いでいたので落としてしまったのかもしれないと思い、クレーターの方を見てもそれらしい物は見当たらない。

 

 

「……と、とりあえず、あのシェルターを……」

 

 記憶を辿りシェルターのハッチまでたどり着いた。

 えっと……確かナアマの大盾だっけか。

 

 

 開かない……なんて事は無く、ハイテクスパイ映画よろしく浪漫を感じる程ゆっくりと分厚過ぎるハッチが開き、オレを誘う。

 

 

「お邪魔しまーす……」

 

 日照りから逃げる様に中に入り猿梯子を降りていく。

 

 

「はぁ、幾分か涼しいなっ……」

 

 前回来た時もそうだったが下の方はかなり涼しく快適に思える。

 

 

「はぁ……なんでまたここに来たんだろうね……」

 

 様々な工作機械を横目に、パソコンのあった普通の部屋に来たところで溜息を一つ。

 

 

「先生達はどこに行ってしまったのやら……」

 

 いや、オレは何故ここに居るんだ……? オレはミレニアムにいたはずなのに……。

 そういえば制服も元に戻っている。

 

 携帯は……確かこの辺に……あ、あったあった……

 

 

「とりあえず連絡しなきゃな……」

 

 パッとスマホを付けてモモトークを開くが連絡先は何も無かった。

 

「ん?」

 

 何も無かった。

 

 

 先生やアビドス、便利屋のみんなすら。

 日付は変わっちゃいないのに俺のいた1ヶ月がまるまる吹き飛んだ様な……

 ふと机に置いてあったあの付箋が目に映る。

 

『お前は私だ』

 

 くしゃりと握りつぶしゴミ箱へ投げ入れた。

 

 

 嫌な予感がする。

 咄嗟に周りを見渡した。

 

 

 最初に来た時に遊びで作ったソファーすらここには無い。

 

 

 換金のために持って行った物はそのままの位置に。

 

 

 携帯の写真フォルダを見ても今まで撮っていた物が無い。

 

 

 出会い。信頼。友情。絆。

 その全てが泡沫の夢の様に弾け消えてしまったかの様な気味の悪さと喪失感が頭を揺さぶる。

 

「はっ……はっ……」

 

 

 落ち着かないと……

 焦点の合う物が大きくなっていくような、空間が歪んで行くような、嫌な錯覚を見る。

 

 

 

 呼吸を整え、錯乱した精神を元に……元に……

 

 

 

 ……なんだか無性に腹が立ってきた。

 やって来たこと……そんなに大きく長くもないが、無駄になった事には苛立ちを覚える。

 

 

「ああ、もう……銃は何処だっけな」

 

 あのチューブが4つもあるショットガンを探し出し、作業場でバラシて整備していく。

 

 あの1ヶ月の間に何回でもやった事だ。今では手慣れたものだ。

 この時間では今回が初めてだからか埃や

 汚れが気になる。

 

 

 ◇◇◇

 

「ふぅ、こんなもんかな」

 

 きちんと組み上げたらボルトを下げ、薬室に何も無いことを確認して、完全に動作するよう操作した。

 空撃ちすればカチと撃鉄が動いた音が聞こえる。

 チューブにシェルを一つ一つ詰め込んでいく。

 ……多くね……? 16発も入っていったの? 

 量が多くて凄くめんどくさい……改善の余地ありだな。

 

 

 その辺に転がっていた山岳用のリュックに水と缶詰を詰めるだけ詰めた。

 

「む……ちょっと詰めすぎか……」

 

 弾とライト、寝袋を詰める為に何本か水を抜いて詰め込んだ。

 

「よっこらしょ……」

 

 かなりズッシリとしたリュックを背負い、銃のスリングを肩にかけ、私は外に向かった。

 目指すは……アビドス。

 幸いにも外には砂嵐は起きておらず、天候も晴れだ。

 

「とりあえず道あっちの方角に行ってればつく……はず!」

 

 不安でしかないが行けるところまで行ってみようと思う。

 どうせ拾った命なのだから自分の思うままに使おうが誰も怒るまい。

 ここから歩いていけば少なくとも2〜3日はかかるだろうか。

 

「……やるしかないな……出発進行!」

 




お久しぶりでございます。
ぬきたしのアニメが待ち遠しいこまごめです。
見るまでは死なないように頑張ります……。

銃何使うか決めてねぇや……

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